3話-4 この温かい世界に『ありがとう』の涙を

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:12分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

仲たがいをしてしまった。これからどうしていくのだろうか。
7月4日。土曜日。修行78日目。


am5:24


カイト「なぁミル。」


ミル「なに?カイト。」


カイト「海岸いこ。」


ミル「‥あぁ分かった。」

カイトたちはいつもこの時間に起きている。なんせここからマーズタウンは歩いて一時間かかるからだ。準備を含めてこのくらいに起きなければいけない。だが今日は土曜日。バイトの出勤は9:00なのでまだまだ時間がある。


「でもなんで海岸に行きたいの?」

「なんとなく‥‥かな」

「そう言うと思ったわよw」
そんな会話をしながらギルドを出た。



朝の日の出は毎日見ているが、飽きない。

暗かった景色からだんだんと光が差し込んでくる。

そしてそれは海を反射させる。まるで海自体が光を放っているかのように。

海は太陽に力を借りて光はなっている。海は自ら光ることはできない。

だが、二つで一つになれば素晴らしい光景となる。

そして横から泡が流れてくる。

いつもこの時間はクラブが泡を吐く時間なのだ。


「…ふぅ…きれいだね…」
ミルがつぶやく。

「あぁ‥‥」
これを見ていると心が落ち着く。


「あれ?あそこ…誰‥‥?…!」
その姿はピカチュウである。

海岸の隅で海を眺めて、片手腕立てをしてるじゃないか。
電気野郎だ。あいつは電気野郎だ。間違いない。陰で努力しやがって…。


「電気!!」

「んあ?…ちっ。なんでお前らがここにいるんだよ。」

「なんとなく‥‥」

「またそれかよ。‥‥‥はぁ。朝っぱらからお前らと会うなんて運がねぇな。俺はもう行くから。それじゃぁ」
待って!逃げないでよ!このチャンスを逃したら君と一生会えない気がする…!

「‥‥あのっ!‥‥あの時はごめん。‥‥ついカッとなっちゃって‥‥。」
電気野郎が歩くのをぴたっと止めた。

「私にも謝らせて。あなたに色々迷惑かけちゃったね。…ごめんなさい。」






「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんで‥‥なんで‥‥なんでお前らが謝るんだよ‥‥!悪いのは俺の方だろ?!俺はお前にあんなこと言ったんだぞ!なんで‥‥」
俺はあいつらに合わせる顔がないから…。いつか謝ろうと思ってた。でも、先に謝られてしまった。カイト、ミル…何がカッとなってだよ。…何が迷惑かけてるだよ。それは俺の方だろ…!ムシャクシャしてたせいなのか知らないけど最初にキレたのは俺の方だ。俺のことを気遣って飯も持ってきてくれたのに払いのけてしまった。
それに

「なんで‥‥『あんなに高価なキズぐすりを俺なんかのために』‥。」

「え?そんなの『あたりまえ』の事じゃないの?仲間なんだからさ。そもそも私が勝手にやったことだし、お金のことなんか気にしなくていいのよ」

「!!!!」
ミルの爆弾発言に言葉が出てこない…!
涙が止まらない。うれしくて‥‥。俺をずっと雑魚扱いしてるのかと思ってた…!心配してくれて…!俺たちは仲間なんだ…!うれしい…!


「俺の方こそ…ごめんな!!あんなひどいこと言って!!誰にも辛い思いでくらいはあるはずなのに…!あんなひどいこと言って…ごめんな!!!」


「「許さない」」









「「‥‥と言うとでも思った?」」

ミルとカイトは軽く冗談を入れて言った。


「そういえばガルーラのおやっさんから聞いたわよ。あなた、私たちが学校行っている間にバイトに行ってたらしいじゃない。」
どうやらミルたちにばれていたらしい。


「ちっ。あの『クソババァ』。秘密にしろって約束したのに約束破りやがって。」

「君にお願いが一つあるんだ。‥‥お願い!僕たちと探検隊になって!…なんとなくだけど、君が頑張ってるから…僕たちも頑張れていると思うんだ。君がいなきゃ…!…お願い!」






「………………………………………はぁ、しょうがないなぁ。お前らの面倒には付き合ってやるよ。その代わりに、俺たちが探検家になったら俺の失った過去を取り戻す手伝いをし‥‥」
カイト「wwwwwwww」
ミル「wwwwwwww」

‥‥は?笑ってる?なぜ?


カイト「アーッはッハハハハハハハハハハ!!!ごめんホントごめん泣いてる顔が面白くてもう我慢できない!!!泣きすぎでしょ!!顔がぐちゃぐちゃだよ!!!!ははははっはっはっはっははっはっははっははははははははは!!!!」


ミル「鼻水出てるよ!きたなーい!!アッハッハッハハッハハハハハッはっはっは!!!」


電気野郎「は?オイゴラ。せっかくの感動シーンを台無しにしやがって。やっぱ殺していい?」

電気野郎の涙は 枯れた。






(過去に戻る)

7月2日
仲たがいをした翌日

am8:55


ガルーラの店


「おはようございます。」
店の裏のある店員専用の入り口ドアをすっと開けて俺は少し暗めの表情でおやっさん(ガルーラ)に挨拶をする。

「あぁ!おはよう!ん?なんでこんな朝から来たんだい?学校は?」

「いろいろありまして‥‥サボってきました。(てへぺろ)」

「昨日のでケンカしたのかい?まったく‥‥問題児だねぇ。」

「問題児…ですかww」

「勉強もたまには息抜きも必要だからね。今日は許してあげる。でも!明日はサボったりするんじゃないよ!」

じゃぁ明日は図書館で勉強でもするか。
そう考えながら電気野郎はうなずく。

「あの、今日バイトに来たとこはあいつらには言わないでください。」


「ふふっ!いいわよ!」

「それと‥‥あの‥‥この前のキズぐすり‥‥ありがとうございます。」

「お礼をするならカイトとミルに言いな。」


「‥‥は?」

「あれはカイトとミルが買ったのよ。あんな高価なもの私じゃかえないわよ。なんたってあれは82000Pもするんだからね。」

「そうなんですか?!」


「あんたが意識失ってから二匹は何したと思う?…………………………なのよ。」
ガルーラがすべて教えてくれた。

?!まじかよ‥‥あいつら‥‥なんでそこまでするんだよ‥‥。

「ピカチュウ‥‥あなた、いい仲間に出会えたね。」

「!!!!」

今まで気が付かなかった。俺は仲間に支えられて生きていたんだ。それなのに‥‥俺はなんてことを‥‥。

「…優しいね…この世界って。」
そう呟くガルーラだった。









時間はいろいろと事件が起こった7月1日。

意識を失って倒れた電気野郎をベッドに寝かしつける。電気野郎の左頬は血は止まっているが痛々しい傷が見える。右頬はピジョンのエアカッターによってナイフのようにスパンとキレイにに切れている。ミルは電気野郎の顔を見たくなかった。

「ガルーラさん!お願いがあります!」
ミルがガルーラに言う。

「なに?」

「給料を前借させてください!」

「いいわよ」
「お願いします!そこをなんとか……っていいんですか?!」
ガルーラはあっさりとミルに今月の給料分8430Pを渡した。(日本円で約37100円)

「じゃぁガルーラさん!行ってきます!」
ミルが言う。

「どこへ?!」

「薬買ってきます!」

「ダメよ!いま仕事中よ!」

「秒で帰ってくるのでお構いなく!」
そう言ってミルはギュューンと店を出て行った。
帰ってきたのは約5分後。
持ってきたのは何か高価そうな箱だった。



「………これで良しッと。」
傷口に消毒をして高級そうな箱から薄い膜のテープのようなものを出して電気野郎の痛々しい顔の傷に貼った。

「‥‥‥高級キズ薬じゃないコレ!?これクソ高いのよ?!確か82000Pじゃないのコレ?!」

82000P。日本円に換算すると36万円。36万円である。今月の給料分が8430P(37100円)だった。明らかに足りないはずだ。それをどうやって入手したのか。

「借金してきましたっ☆(てへぺろ☆)」
ミルは借金を抱えてしまったのだ。

「借金‥‥‥はぁ?!借金?!未成年で借金?!はぁ?!どうしてそこまでするの?!」

「私未成年じゃありませんよ。それは置いといて‥‥‥‥あの傷は処置しないと一生傷跡が残りますよ。失敗して付けられた傷なんて嫌ですからね。」

「‥‥‥それに…。」


image747



「たしかにね…ショックに決まってる」

「その貼ってある薬を2,3時間放置しておけば傷跡が治ると思いますので。…それでは仕事に戻ります。あっ!!!そうだった!!あいつ(電気野郎)には『帰れ』って厳しく言っておいてくださいね。性格的に『俺はまだやれる』とか言ってきそうなので!」
ミルはそう言って調理場に戻っていった。

調理場近くでカイト~ごめんね~おまたせー!という声が聞こえた。




(現在に戻る。)

カイトら三匹は仲直りして笑いながら海岸を見ていた。


「そういえば電気野郎はここで倒れていたんだよな。今思うと懐かしいよね!」
カイトが嬉しそうに言う。

「全くだ。ここでアンタにとび膝蹴りを食らって目を覚ましたんだよ。あの時は殺してやろうかと思ったよ。」

「そしてボコボコにされた」
「うっせぇ、マッチョは黙ってろ」
(直後に電気野郎はミルによって処された)

「なんで僕たち出逢ったのかな‥‥?」
急に感動シーンみたいになってて草

「知らねーよwたまたまじゃないのか?」




「ねぇ、バイト終わってからもここに来ない?今日は満月らしいよ。」
カイトが言う。満月の時に海は輝く。満月の光が海を反射して見たものを幸せにすると言われているらしい。
でもさぁ…今週はアレだよね。

「いいけど、今週は宿題かなり多いわよ。教科書の184ページから195ページの補充問題全部やれって教官が言ってたわ。」

「あぁ、そこならもうやってあるよ。お前らが学校とバイト行ってる間に俺、自主勉してたから。」

「あなた、本当にクズね。勉強してる暇があったらバイト来なさいよ。」

「いやぁ~しょうがないじゃんか~。過ぎたことは気にしないの!」

ズゴン!!!!


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!いったぁぁぁぁぁぁぁぁァーーーい!!!」

ミルの手加減したゲンコツを食らってたんこぶができた。

「もう宿題終わってんなら答え教えて♡」
カイトが目をキラキラして言う。

「嫌だね。それじゃあ何も力にならねぇだろ。ヒントなら教えてやってもいいけど。」

「‥‥‥‥…ケチ。」


ミル「?!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!もう9時過ぎてる!!!バイト遅刻しちゃう!!!!おやっさん(ガルーラ)に殺されるー!!!」


「「はぁぁぁぁぁぁぁ????!!!!!!」」

電気野郎とカイトは叫んだ。


「ほら!急いで!!走って!!一秒でも早くいかないと説教が長くなるわよ!」
三匹は急いでガルーラの店があるマーズタウンに向かって走るのだった。




電気野郎、ミル、カイトの三匹はそれ以来、弱音を吐くことはなかった。
そして、勉強にも力が入り模試の点数は急激に上昇した。



どうやらこの世界は、冷たい世界ではなさそうだ。

この冷え切った世界裏側は『思いやり』によって温められているのだ。
この世界は




温かい。








(電気野郎達の給料明細
ポケ換算はクソめんどくさいので日本円でします。
1匹あたり
時給480 週5平日5時間12000円
土曜バイト12時間5760円
4週を一ヶ月として月給71040円
学校での授業料毎月12200円
(参考書などは除く)
ギルドでの食事代毎月3200円
学校での食事毎月約4400円
毎月雑費含め33850円
(精算は全てガルーラが差し引くものとする)
毎月あたりにもらえる給料37190円。
考察タイム
電気野郎がプライドがとても高いと考えられる文章を読み取ってみよう。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想

お名前:しろあんさん
とりあえずここまで読んだので一旦感想を!
「見えないナイフ」からの件は改稿前から気に入ってたところなので、やっぱりちょっと辛さはあるけれどもう一度読めて良かったですー
カイトは何て言ってたのだろう……電気野郎君に対して「仇は取ってやる」的なことを言ったのかな?
電気野郎君のプライドの高いセリフは……いや結構あるんじゃないかな!?((
個人的にはガルーラに問題児と言われた時の、「問題児……ですかw」という苦笑の部分に、「アイツらなんかよりはちゃんとやっているつもりだ」という自身の劣等感を認めたくない気持ちが出ているなと思いました。
……もし正解があるとしたら怪我してもバイトを続行しようとした部分なのかもしれませんが((

なんだろうね、やっぱり仲間ってとてもいいですね……!この後も続きをちょっとずつ読んでいこうと思いますー。



(……ミルの背中の傷がちょっと気になった)
書いた日:2018年09月22日
作者からの返信
読了ありがとうございます!
これから解説などをやっていきたいと思います!
「問題児...ですかw」のとこ、作者は全く気づいていなかったですw(確かにそこもプライドが高い描写だ!)なぜか作者自身が新しい発見をしてしまいましたw
しろあんさん...アレに...気づいてしまったのですね。

というわけで感想もありがとうございます!
妄想膨らませて最新話をどんどん書かせていただきます!
書いた日:2018年09月24日