3話-3 咎(トガ)
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読了時間目安:13分
この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
その咎(とが)が、彼らを傷つける。
Pm7:15
「はっ!!!!!!」
目が覚めてベットからクッと起き上がった。
ベット‥‥‥?
「ここ‥‥どこ‥‥?」
どうやらログハウスにいるようだ。この広い部屋はオシャレだが装飾品は少ない。
「目が覚めたかい。ここは私の家よ。」
店長のガルーラだ。
ガルーラの料理店(カフェ)はガルーラの家と繋がっている。そのため、電気野郎が気を失ってすぐにここに運ばれた。ガルーラが電気野郎の顔を見つめる。
「うんうん!傷は完璧に治ってきてるね!!」
電気野郎の顔の傷はすべて治って傷跡も完全に消えている。は?と思って電気野郎は自分の顔を触る。‥‥確かに、キリキザンから喰らったシャドークローの傷、ピジョンから喰らったエアカッターの傷もすべて完璧に治っている。
「へ?何でそんなに直りが早いんです?」
「すごくいいキズぐすりのおかげだよ。」
すごくいいキズぐすりは現在の最新科学によって開発された回復効果&傷跡治癒の効果がある。しかしながらそれは高額であり、安易に手に入るものではない。
「最新科学の力ってスゲーな!!」
しかし、あることに気づく。
「そういえば(ガルーラ)おやっさん。仕事はいいの?こんなところにいて大丈夫なの?」
「あぁ、それならカイトやミルが頑張ってくれているよ。」
「なぁんだ。じゃぁ俺も仕事に戻らなくちゃな。」
ベッドから飛び上がり、仕事に戻る。だが、
「待ちなッ。」
ガルーラの激しい声。怒りが混じっているかのような声。
「ん?なんすか?」
「あんた、今日はもう帰れ。アンタが仕事に戻っても失敗するだけ。厳しいことを言うが今のあんたは『迷惑』そして『邪魔』。」
突然の厳しいガルーラの発言に電気野郎は
それだけは嫌だね。もうあいつら(ミル・カイト)には負けたくない。ましてや迷惑がかかることなんてしたくない。だから‥‥
「大丈夫!もう失敗しない!俺はヤれる!!だから‥‥」
「帰れ。邪魔だ。頭を冷やせ。綺麗ごとなんて聞き飽きたんだよ。」
発言を遮られ容赦ない発言。‥‥‥‥心が完全に折れてしまった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あぁそうかい。じゃぁ消えてやるよ」
電気野郎は玄関のドアを ダン!!と怒りを込めて閉めた。
______________________
同時刻。
バシャーモ「本当に大丈夫なのですかねあの三匹。スケジュール的にすごい大変すぎではありませんか?」
デデンネ「正直大丈夫じゃなさそうだな。今年、制度が変わって探検隊目指す人の挫折が後を絶たないからなぁ」
隊長の部屋でバシャーモとデデンネが交互に話す。
「へぇ。でもどうして急に制度が変わったんです?」
「知らないのかおめぇ。去年11月にナイロシティで新人探検家が何者かによって洗脳されて操られて町を大暴れして数十名の負傷者を出したんだよ。操られた新人探検家が炎タイプのガーディだったから家に火が飛んで大火事になってね。」
「操られたっ?!“ねんりき”か何かですか?」
「その通り。暴走したガーディは駆け付けた特殊部隊によってやむを得ず殺害。遺体分析をしたらエスパー系の技で操られていたことが分かった。さらにもう一つ。彼は精神障害だった。」
「エスパーワザと精神…何か関係があるんですか?」
「あるとも。操ったりすることが多いエスパー技は標的の脆い精神に憑りついて思い通りに操ったり自在に操作できる。でも、憑りつかれてたまるか!みたいな抗う強い心があれば操られることはない。今後、探検隊が暴走しない為にも国家試験以外に心の修行が今年になって義務付けられたってワケ」
「それであの三匹にバイトをさせたのですね…」
「ガルーラの店は大変だぞ~。今年に入って4組の探検隊志望のポケモンがやってきたけどガルーラの店の地獄の修行に耐えれなくなって逃げたやつもいたし、チーム仲に亀裂が入って解散したりで全滅したからな。」
「彼らはどうですかね?試験に合格できそうですか?」
「分からん。彼ら次第だな。これに耐えられたなら探検隊として将来的に有望になるだろうな。」
「探検隊国家試験に合格できる確率って今年は非公開ですよね?何故なんです?隊長はご存じで?」
「去年は35%だった。でも今年の合格率は………………………………」
7%だ。
_____________________________
pm10:35
電気野郎はとぼとぼ歩いていた。場所はギルド前にある交差点。近くには井戸(水飲み場?)がある。
…………………………………………。もうこんな時間か。
とぼとぼ歩いてかれこれ1時間半程度かかった。いつもは1時間で帰れるのに。
バイトはクビにされたわけではない。ただ、今日は‥‥‥‥だから‥‥‥‥
「おーい!まてよ~!!」
誰かの元気な声。この声はカイト以外にあり得ない。
「………。」
「ハァッ!!ハァッ!!!カイト!休憩なしで走るなんて頭おかしいんじゃないの?!体力どんだけあるのよ?!」
とても激しい息遣いでカイトにツッコむ。
「え?走るの僕遅かった?もっと早く言えばよかったのに~言ってくれたらスピード上げてたのに~」
「ハァァッ!!!!逆よ!!速すぎるのよ!!」
「………。」
「ハァァァッ!!!ちょっと!何ボケーッとしてるのよ!あなたのこと心配だったから全力で帰ってきたのよ!!」
まだミルの激しい呼吸音が聞こえる。
「あ!そういえば!」
そう言ってカイトは今日のまかないのマラサダを手に取って
「腹減っただろ?食べなよ!今日はタウリンたっぷり入ってるよ!!そういえば、怪我は大丈‥‥」
「触るなッ!!!」
カイトがマラサダを持った手で電気野郎の顔に触ろうとする。それを全力で拒絶した。触ろうとしてくるカイトの手を払いのけた。マラサダが地面に落ちてしまった。
「‥‥‥‥‥俺、もう無理。‥‥これ以上ついていけない‥‥」
もう電気野郎の心はズタボロだった。そして本心をあらわにする
「なぁ、一つ教えてくれ。俺は記憶がないんだ。なくした記憶を取り戻したいだけなのに俺はなぜこんなことをしているんだ?」
ミル「探検隊になったらギルドに考古学や心理学で詳しい人(ポケモン)多いから過去の記憶なんてすぐにわかるでしょ。」
「そうだよ!俺たち探検隊になるん‥‥‥」
「正直言って『探検隊』なんてどうでもいい。もっと楽な方法はなかったのか?」
「‥‥探検隊なんて‥‥どうでもいい‥だと‥?ふざけるな。探検隊を馬鹿にしてるのか。」
カイトは冷たい声で言った。いつもん違うカイトの声は怖かった。
「お前らに俺の気持ちが分かってたまるもんか。目を覚ましたら記憶がない。右も左も分からず洞窟で殺されそうになる。訳も分からず探検隊の勉強をして。訳も分からずバイトして‥‥客に暴力を振るわれる。挙句の果てにお前らにクズ呼ばわりされるし雑魚扱いされる。こんな俺の気持ちが分かるか?」
「分かるよ。」
「分かってたまるものかよ!馬鹿みたいな過去を送ったお前に言われる筋合いはない。」
「勝手に決めつけるな!僕は楽な生き方なんてしてないッ!!!」
「おぉそうかい。俺にはバカな人生にしか見えないね。」
「!!ふざけるなぁぁぁッ!!!!!!」
カイトは電気野郎に殴りかかる。
「おぉ殴れよ!今日散々に暴力振るわれた俺を殴れるもんなら殴ってみろ!!」
「ッ!!」
カイトは電気野郎の顔面に当たる直前で手を止めた。電気野郎は動かない。殴ってくるなら殴れ。俺はよけるつもりなんて一切考えていない…というような顔をしている。
今日一番辛い思いをしたのは電気野郎だ。一番辛い奴に手を出すことはできない…カイトはそう思った。だから殴らずにギリギリで止めた。
殴りたくても殴れなかった。
電気野郎はふっと鼻で笑い
「俺、お前らと一緒にいたくなから辞めるわ。別にお前らがいなくても普通に生きていけるし。じゃぁな」
そう言って向かったのはギルドではなく反対側の海岸だった。
ミルとカイトは追いかけることができなかった。
そして電気野郎とは反対側のギルドへ帰っていった。
7月2日。木曜日。修行46日目。
それ以来、電気野郎は学校には来なかった。バイトも…来なかった。
カイトとミルはしゃべることはなく、暗い雰囲気が彼らを包み込んだ。
いつものように勉強、いつものように仕事‥‥をすることはできなくなってしまった。
「ねぇ、ミル。」
「何よ急に」
「辛いのは分かってるのに…電気を殴ろうとしちゃった…。記憶なくして右も左も分からないのに‥‥‥文字が分からなくてあんな頑張って勉強してたのに………点数で勝って『ざまぁみろ』なんて言っちゃった…。どうしたら…いいかな‥‥‥謝って…許してもらえるのかな…どうしたら…許してもらえるのかな…どうしたら…一緒にできるんかな…どうし…」
「はーい変な考え事はやめましょーう!」
「……うん。」
「許してもらえるかじゃなくて、謝るのが先でしょ?一緒に謝りにいこ。許してくれるよ…きっとね」
7月3日。金曜日。修行47日目。
この日もアイツ(電気野郎)は来ることはなかった。
一方、電気野郎は図書館に来ていた。
マーズタウン国立図書館。この星は四つの大陸(北大陸)(南大陸)(西大陸)(東大陸)で分かれており、西大陸の
中でもトップクラスの大きさである。
「うわぁ、すげぇ」
中に入ると巨大な大広間があり、本の貸し出しなどをしているようだ。多くの人(ポケモン)が本を借りるために長い列に並んでいる。その奥を進んでいくと部類分けされた部屋がある。考古学や心理学、医学や宗教など大きな部屋が120部屋ほどずらっと並んでいる。
電気野郎が入った部屋は歴史資料の部屋。理由は過去に元人間だったポケモンがいるかもしれないと思ったからだ。何か手掛かりがあれば‥‥。
そういえば勉強もしなくちゃな
探検隊の国家資格は取っておいて損はない。そうミルも言っていたな。資格を取ってギルドを変えればいいだけだ。あいつらとやっていける気がしないからだ。
4時間後
「‥‥‥‥ふぅ。つかれたぁぁ。こんなもんかな」
かなり勉強した。三日分くらいの量を勉強した。(やりすぎだろww by作者)
さて、本題に入ろうか。
調べもの作業を開始した。
歴史資料部屋には各年代ごとに起こったこと、事件や文化などの分厚い本がずらっと並んでいる。1956年、1957年、1958年‥‥‥‥‥。その数字は乱れることなく続いていた。
あれ‥‥?1969年で数が止まってる‥‥?いったいなぜ?確か俺が人間だった頃は‥‥何年だっけ?覚えていない。まぁいいか。
とりあえず電気野郎は適当に1962年の資料を引っ張って読むことにした。
なんか‥‥戦争のことが多く書かれてるな‥‥
この年(1962年)、南大陸では戦争が始まった国が多くあるらしい。国を治める頭領が暗殺されたりなど物騒な事件が多く書かれていた。
♪~~「まもなく閉館時間になります。本を借りたいお客様は大広間カウンターへお越しください。」♪~~
もう閉館時間か。とりあえずこれだけ借りておくか。
そう言って大広間のカウンターへ走っていった。
pm11:38
電気野郎はトレジャータウンを抜けて、サメハダ岩の藁の下に隠し階段を発見し、階段を下りると少し広い部屋のような空間があった。断崖絶壁だがそこから見える海の景色はきれいだった。そこを住居として夜を過ごそうとしていた。
電気野郎は借りた分厚い本をもう一度読んでみた。パラパラめくってたまたま目についたものが。
…?第三次未来戦争?
なぜか妙な感覚がした。未来?何の未来?
その戦争の本文と写真を見ると‥‥
「は!!!???こ‥‥これは‥‥!!!!!!」
電気野郎が目にしたものとは‥‥!!!!それは!!!!!
写真にカイトがいた。ムクホークの頭の上に乗ってアホそうな顔をしている。間違いない。カイトだ。目のキリッとした律儀そうなムクホークトとリオルの横には朗らかに笑っている優しそうなルカリオがいた。
_____
セン・ロッツォ(1927~1962)
航空自衛隊大佐(殉職二階級特進)
西大陸第三航空自衛隊『桜』隊長。
3年間続いた大戦を自らの犠牲によって終結させた。
彼の出身であるナイロシティには彼の銅像が建てられている。
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「はっ!!!!!!」
目が覚めてベットからクッと起き上がった。
ベット‥‥‥?
「ここ‥‥どこ‥‥?」
どうやらログハウスにいるようだ。この広い部屋はオシャレだが装飾品は少ない。
「目が覚めたかい。ここは私の家よ。」
店長のガルーラだ。
ガルーラの料理店(カフェ)はガルーラの家と繋がっている。そのため、電気野郎が気を失ってすぐにここに運ばれた。ガルーラが電気野郎の顔を見つめる。
「うんうん!傷は完璧に治ってきてるね!!」
電気野郎の顔の傷はすべて治って傷跡も完全に消えている。は?と思って電気野郎は自分の顔を触る。‥‥確かに、キリキザンから喰らったシャドークローの傷、ピジョンから喰らったエアカッターの傷もすべて完璧に治っている。
「へ?何でそんなに直りが早いんです?」
「すごくいいキズぐすりのおかげだよ。」
すごくいいキズぐすりは現在の最新科学によって開発された回復効果&傷跡治癒の効果がある。しかしながらそれは高額であり、安易に手に入るものではない。
「最新科学の力ってスゲーな!!」
しかし、あることに気づく。
「そういえば(ガルーラ)おやっさん。仕事はいいの?こんなところにいて大丈夫なの?」
「あぁ、それならカイトやミルが頑張ってくれているよ。」
「なぁんだ。じゃぁ俺も仕事に戻らなくちゃな。」
ベッドから飛び上がり、仕事に戻る。だが、
「待ちなッ。」
ガルーラの激しい声。怒りが混じっているかのような声。
「ん?なんすか?」
「あんた、今日はもう帰れ。アンタが仕事に戻っても失敗するだけ。厳しいことを言うが今のあんたは『迷惑』そして『邪魔』。」
突然の厳しいガルーラの発言に電気野郎は
それだけは嫌だね。もうあいつら(ミル・カイト)には負けたくない。ましてや迷惑がかかることなんてしたくない。だから‥‥
「大丈夫!もう失敗しない!俺はヤれる!!だから‥‥」
「帰れ。邪魔だ。頭を冷やせ。綺麗ごとなんて聞き飽きたんだよ。」
発言を遮られ容赦ない発言。‥‥‥‥心が完全に折れてしまった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あぁそうかい。じゃぁ消えてやるよ」
電気野郎は玄関のドアを ダン!!と怒りを込めて閉めた。
______________________
同時刻。
バシャーモ「本当に大丈夫なのですかねあの三匹。スケジュール的にすごい大変すぎではありませんか?」
デデンネ「正直大丈夫じゃなさそうだな。今年、制度が変わって探検隊目指す人の挫折が後を絶たないからなぁ」
隊長の部屋でバシャーモとデデンネが交互に話す。
「へぇ。でもどうして急に制度が変わったんです?」
「知らないのかおめぇ。去年11月にナイロシティで新人探検家が何者かによって洗脳されて操られて町を大暴れして数十名の負傷者を出したんだよ。操られた新人探検家が炎タイプのガーディだったから家に火が飛んで大火事になってね。」
「操られたっ?!“ねんりき”か何かですか?」
「その通り。暴走したガーディは駆け付けた特殊部隊によってやむを得ず殺害。遺体分析をしたらエスパー系の技で操られていたことが分かった。さらにもう一つ。彼は精神障害だった。」
「エスパーワザと精神…何か関係があるんですか?」
「あるとも。操ったりすることが多いエスパー技は標的の脆い精神に憑りついて思い通りに操ったり自在に操作できる。でも、憑りつかれてたまるか!みたいな抗う強い心があれば操られることはない。今後、探検隊が暴走しない為にも国家試験以外に心の修行が今年になって義務付けられたってワケ」
「それであの三匹にバイトをさせたのですね…」
「ガルーラの店は大変だぞ~。今年に入って4組の探検隊志望のポケモンがやってきたけどガルーラの店の地獄の修行に耐えれなくなって逃げたやつもいたし、チーム仲に亀裂が入って解散したりで全滅したからな。」
「彼らはどうですかね?試験に合格できそうですか?」
「分からん。彼ら次第だな。これに耐えられたなら探検隊として将来的に有望になるだろうな。」
「探検隊国家試験に合格できる確率って今年は非公開ですよね?何故なんです?隊長はご存じで?」
「去年は35%だった。でも今年の合格率は………………………………」
7%だ。
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pm10:35
電気野郎はとぼとぼ歩いていた。場所はギルド前にある交差点。近くには井戸(水飲み場?)がある。
…………………………………………。もうこんな時間か。
とぼとぼ歩いてかれこれ1時間半程度かかった。いつもは1時間で帰れるのに。
バイトはクビにされたわけではない。ただ、今日は‥‥‥‥だから‥‥‥‥
「おーい!まてよ~!!」
誰かの元気な声。この声はカイト以外にあり得ない。
「………。」
「ハァッ!!ハァッ!!!カイト!休憩なしで走るなんて頭おかしいんじゃないの?!体力どんだけあるのよ?!」
とても激しい息遣いでカイトにツッコむ。
「え?走るの僕遅かった?もっと早く言えばよかったのに~言ってくれたらスピード上げてたのに~」
「ハァァッ!!!!逆よ!!速すぎるのよ!!」
「………。」
「ハァァァッ!!!ちょっと!何ボケーッとしてるのよ!あなたのこと心配だったから全力で帰ってきたのよ!!」
まだミルの激しい呼吸音が聞こえる。
「あ!そういえば!」
そう言ってカイトは今日のまかないのマラサダを手に取って
「腹減っただろ?食べなよ!今日はタウリンたっぷり入ってるよ!!そういえば、怪我は大丈‥‥」
「触るなッ!!!」
カイトがマラサダを持った手で電気野郎の顔に触ろうとする。それを全力で拒絶した。触ろうとしてくるカイトの手を払いのけた。マラサダが地面に落ちてしまった。
「‥‥‥‥‥俺、もう無理。‥‥これ以上ついていけない‥‥」
もう電気野郎の心はズタボロだった。そして本心をあらわにする
「なぁ、一つ教えてくれ。俺は記憶がないんだ。なくした記憶を取り戻したいだけなのに俺はなぜこんなことをしているんだ?」
ミル「探検隊になったらギルドに考古学や心理学で詳しい人(ポケモン)多いから過去の記憶なんてすぐにわかるでしょ。」
「そうだよ!俺たち探検隊になるん‥‥‥」
「正直言って『探検隊』なんてどうでもいい。もっと楽な方法はなかったのか?」
「‥‥探検隊なんて‥‥どうでもいい‥だと‥?ふざけるな。探検隊を馬鹿にしてるのか。」
カイトは冷たい声で言った。いつもん違うカイトの声は怖かった。
「お前らに俺の気持ちが分かってたまるもんか。目を覚ましたら記憶がない。右も左も分からず洞窟で殺されそうになる。訳も分からず探検隊の勉強をして。訳も分からずバイトして‥‥客に暴力を振るわれる。挙句の果てにお前らにクズ呼ばわりされるし雑魚扱いされる。こんな俺の気持ちが分かるか?」
「分かるよ。」
「分かってたまるものかよ!馬鹿みたいな過去を送ったお前に言われる筋合いはない。」
「勝手に決めつけるな!僕は楽な生き方なんてしてないッ!!!」
「おぉそうかい。俺にはバカな人生にしか見えないね。」
「!!ふざけるなぁぁぁッ!!!!!!」
カイトは電気野郎に殴りかかる。
「おぉ殴れよ!今日散々に暴力振るわれた俺を殴れるもんなら殴ってみろ!!」
「ッ!!」
カイトは電気野郎の顔面に当たる直前で手を止めた。電気野郎は動かない。殴ってくるなら殴れ。俺はよけるつもりなんて一切考えていない…というような顔をしている。
今日一番辛い思いをしたのは電気野郎だ。一番辛い奴に手を出すことはできない…カイトはそう思った。だから殴らずにギリギリで止めた。
殴りたくても殴れなかった。
電気野郎はふっと鼻で笑い
「俺、お前らと一緒にいたくなから辞めるわ。別にお前らがいなくても普通に生きていけるし。じゃぁな」
そう言って向かったのはギルドではなく反対側の海岸だった。
ミルとカイトは追いかけることができなかった。
そして電気野郎とは反対側のギルドへ帰っていった。
7月2日。木曜日。修行46日目。
それ以来、電気野郎は学校には来なかった。バイトも…来なかった。
カイトとミルはしゃべることはなく、暗い雰囲気が彼らを包み込んだ。
いつものように勉強、いつものように仕事‥‥をすることはできなくなってしまった。
「ねぇ、ミル。」
「何よ急に」
「辛いのは分かってるのに…電気を殴ろうとしちゃった…。記憶なくして右も左も分からないのに‥‥‥文字が分からなくてあんな頑張って勉強してたのに………点数で勝って『ざまぁみろ』なんて言っちゃった…。どうしたら…いいかな‥‥‥謝って…許してもらえるのかな…どうしたら…許してもらえるのかな…どうしたら…一緒にできるんかな…どうし…」
「はーい変な考え事はやめましょーう!」
「……うん。」
「許してもらえるかじゃなくて、謝るのが先でしょ?一緒に謝りにいこ。許してくれるよ…きっとね」
7月3日。金曜日。修行47日目。
この日もアイツ(電気野郎)は来ることはなかった。
一方、電気野郎は図書館に来ていた。
マーズタウン国立図書館。この星は四つの大陸(北大陸)(南大陸)(西大陸)(東大陸)で分かれており、西大陸の
中でもトップクラスの大きさである。
「うわぁ、すげぇ」
中に入ると巨大な大広間があり、本の貸し出しなどをしているようだ。多くの人(ポケモン)が本を借りるために長い列に並んでいる。その奥を進んでいくと部類分けされた部屋がある。考古学や心理学、医学や宗教など大きな部屋が120部屋ほどずらっと並んでいる。
電気野郎が入った部屋は歴史資料の部屋。理由は過去に元人間だったポケモンがいるかもしれないと思ったからだ。何か手掛かりがあれば‥‥。
そういえば勉強もしなくちゃな
探検隊の国家資格は取っておいて損はない。そうミルも言っていたな。資格を取ってギルドを変えればいいだけだ。あいつらとやっていける気がしないからだ。
4時間後
「‥‥‥‥ふぅ。つかれたぁぁ。こんなもんかな」
かなり勉強した。三日分くらいの量を勉強した。(やりすぎだろww by作者)
さて、本題に入ろうか。
調べもの作業を開始した。
歴史資料部屋には各年代ごとに起こったこと、事件や文化などの分厚い本がずらっと並んでいる。1956年、1957年、1958年‥‥‥‥‥。その数字は乱れることなく続いていた。
あれ‥‥?1969年で数が止まってる‥‥?いったいなぜ?確か俺が人間だった頃は‥‥何年だっけ?覚えていない。まぁいいか。
とりあえず電気野郎は適当に1962年の資料を引っ張って読むことにした。
なんか‥‥戦争のことが多く書かれてるな‥‥
この年(1962年)、南大陸では戦争が始まった国が多くあるらしい。国を治める頭領が暗殺されたりなど物騒な事件が多く書かれていた。
♪~~「まもなく閉館時間になります。本を借りたいお客様は大広間カウンターへお越しください。」♪~~
もう閉館時間か。とりあえずこれだけ借りておくか。
そう言って大広間のカウンターへ走っていった。
pm11:38
電気野郎はトレジャータウンを抜けて、サメハダ岩の藁の下に隠し階段を発見し、階段を下りると少し広い部屋のような空間があった。断崖絶壁だがそこから見える海の景色はきれいだった。そこを住居として夜を過ごそうとしていた。
電気野郎は借りた分厚い本をもう一度読んでみた。パラパラめくってたまたま目についたものが。
…?第三次未来戦争?
なぜか妙な感覚がした。未来?何の未来?
その戦争の本文と写真を見ると‥‥
「は!!!???こ‥‥これは‥‥!!!!!!」
電気野郎が目にしたものとは‥‥!!!!それは!!!!!
写真にカイトがいた。ムクホークの頭の上に乗ってアホそうな顔をしている。間違いない。カイトだ。目のキリッとした律儀そうなムクホークトとリオルの横には朗らかに笑っている優しそうなルカリオがいた。
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セン・ロッツォ(1927~1962)
航空自衛隊大佐(殉職二階級特進)
西大陸第三航空自衛隊『桜』隊長。
3年間続いた大戦を自らの犠牲によって終結させた。
彼の出身であるナイロシティには彼の銅像が建てられている。
_____
第三次世界大戦はこれからのストーリーの鍵となります。
頭の隅にそっと覚えておいてください。
頭の隅にそっと覚えておいてください。
感想
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