こんなに月の紅い夜だもの

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 それは、今夜のような紅い満月の夜のこと。
ルナアーラは体を真紅に染め上げ空を飛び、ヨノワールだって落ち着きがなくうろつき回る。そんな中、ゴーストはいてもたってもいられなくて、洋館から飛び出していきました。

こんなに月が紅い夜に、じっとなんてしてられない!
外へ出ると、野生のゴーストポケモンたちが、ゴーストと同じように棲みかから飛び出して歌えや騒げやの大騒ぎ。みんな月の光に当てられてしまっているようです。

街をすみかにしているゴーストポケモンたちの宴にこっそり混ざって、出来立てのごちそうをぺろぺろりん。長い舌で盗み食い。今夜はどんなお菓子も素晴らしい味に感じます。

お腹いっぱいになったら、満月を見ようとのこのこ外へ出た、空を向いてぽかんと口を開けているニンゲンを、これまた長い舌で上から下までべろべろりん。舐められたニンゲンはブルブル震えが止まりません。それをゲラゲラ笑ってみるのでした。

ニンゲンが動かなくなったら、お次は湖へ行ってみます。満月がそのまま浮かんでいるような湖は、煮込めば佃煮が作れてしまうほどのプルリルでにぎわっていました。みんな獲物を捕まえたり踊ったりして遊んでいます。

ぎゅうぎゅう押されて、陸にはじき出されたプルリルを、舌でべろっとキャッチ。水の中へ戻してあげます。やぁやぁ悪いねぇ洋館の。ボク達もこんなに楽しい夜はここまで浮かんできちゃうんだ。ありがとう。

お菓子も食べて、ニンゲンもおどかして、ポケ助けだってして。ああ、なんて楽しくて面白い夜なんだろう! このままずっとずっとずーっと、紅い月が続けばいいのに。

けれども時間は残酷で、一秒だって待ってくれません。そのうち満月から色が抜けてきて、光も柔らかく落ち着きを取り戻していきます。ゴーストが森で出会った野生のパンプジンと一曲踊り終わる頃には、空は何事もなかったかのように元通りになっていました。

あーあ、楽しいことはすぐ終わっちゃうな。さて、かえろかえろ。 ゴーストは満月の余韻を味わうようにゆらゆら揺らめきながら、洋館に帰るのでした。道中ふと舌を空いっぱいにべろーんと伸ばしてみましたが、やっぱり月には届かないのでした。

きょうのおはなしは、これでおしまい

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