6話 print the moment!

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 キューが手玉を強く突く。突かれた手玉は外枠にぶつかって跳ね返り、コーナーポケットの傍に佇んでいた三番ボールを叩き落とす。
 勢い余った手玉は、三番ボールを追いかけるように自らもポケットの中に飛び込んで行く。
「うわー! 今のバッチリだったはずなのに」
 澤口美咲との対決から二日。翔と恭介、そして恭介の友人の生元亮太(きのもと りょうた)の三人でビリヤードに興じていた。
「ラッキー。じゃあいいとこに置かせてもらうよ」
 青いシャツに暗めのジーンズを合せ、ロケットペンダントを首から提げた恭介の友人は、最近紹介されたばかりで翔との面識はまだ日が浅い。翔と恭介、亮太は共に同じ大学同じ学部だが、翔だけ学科が違うのだ。
 こいつ凄いんだぜ、と紹介された亮太は、ゲームの達人と言っても過言でなかった。それはテレビゲーム、ボードゲームだけに収まらず、技術と駆け引きにおいて天賦の才を発揮した。
 理に適ったスタイルを貫きつつ、攻め時を見失わず、時には風がないように静かで時には波が押し寄せるように大胆に振る舞う。過去三度この三人でダーツやボードゲームなどで遊んだものの、とんでもない強さを見せつけられた。それはこのビリヤードでも同じだ。
 キューを杖のように床に立て、中腰になりながら亮太は机上を眺める。声を掛けるのも憚られるほどの集中力だ。目を閉じて、きっとイメージトレーニングまでしているのだろう。
「よし、ここだ」
 手玉をそっと四番ボールの近くに置き、キューを構える。ありったけの力をこめて。それでいてぶれない一打が手玉を突き飛ばす。四番ボールは斜め前の五番ボールを左斜めに弾き、そのままポケットに吸い込まれる。五番ボールはコーナーポケットのそばで二度跳ね返り、九番ボールにぶつかる。
 すげえ、とありきたりな感嘆の言葉を恭介は一つ吐き、翔はそれさえ忘れて玉の行方を追う。何が未経験者だ。絶対嘘だろ。そう毒づいても仕方はないのに。一方九番ボールはポケットの手前で、なんとか立ち止まる。
「流石に無理か」
 亮太は首を傾げ、ううんと唸る。しかし玉は一つ落としたため、連続して亮太の番のままだ。
 今三人がプレイしてるナインボールは、白い手玉を順番に打ちあい、九番ボールを落とせば勝ちというスタンダードなゲームだ。ただし手玉が最初にぶつける球はテーブルの上にある最も小さい球でないといけないため、いきなり九番ボールは狙えない。
 抜け道として今亮太がやろうとしたような、他のボールを九番ボールにぶつけ、それを落とす。という手法でも九番ボールが落ちたことになるため勝ちになる。
 そういうルールを一時間前に教えてまだ五ゲーム目。本気でそれを狙いに来るとは。
「やっぱすっげえ! ほんと何が出来ないんだ?」
 恭介はこの才能に惹かれていた。どんなゲームで挑んでも、返り討ちに遭う。この圧倒的なゲームセンスの塊。そうとなれば、現に恭介が亮太にポケモンカードを教えたいというのも自然と言えよう。
 性格も熱すぎず、冷え過ぎず。厳しい状況の時こそ、周りを見ようとする。これがなかなか難しい。ついつい勝負に熱くなると視界が極端に狭くなりがちだが、亮太にはそれがない。これに関しては風見以上かもしれない。
 彼を優秀なゲームプレイヤーとしているのは技術ではなく、むしろ精神面なのだろうか。
 さて。亮太はキューを持って机の周りをうろうろするも、なかなか次のショットに踏み出せない。それもそのはず、手玉と五番ボールの位置がよくない。直線上には八番ボール。反射を利用して打ったとしても、五番、九番共に落とすのは至難の業だ。
 観念したのか、亮太は外枠に向かって手玉をキューで突き飛ばす。跳ね返った手玉は僅かに五番ボールを逸れそうなルートだ。その瞬間。
「Print the moment!(この瞬間を焼き付けろ)」
 突如隣の机からジャンプした別の手玉が翔たちのテーブルに乱入し、亮太の手玉を弾く。弾かれた手玉は五番ボールに当たり、さらにそれがポケット手前に鎮座していた九番ボールを穴の中にねじ込む。
「How about that!(すごいだろ) 今日も俺は絶好調だ! はっはーん」
 三人とも突然の出来事に面食らっていると、ハンチング帽を被った背の高い男がこちらのテーブルに近づいてくる。どことなく白人系の顔立ちだ。ハーフかクォーターだろうか。
「おい、奥村翔と長岡恭介と……。もう一人はしらないがまあいいや。とにかくその二人に関しては間違いないな?」
「こいつ、俺たちのことを」
「だいたいのことは知ってるぜ! えっと、青い髪だから奥村翔だな。特にお前には気をつけろと言われてるんだ。なんだっけ? オーバーズだっけ? 話を聞いた所俺じゃあ敵いそうもないんだよな」
 オーバーズのことを知っている。間違いない、Af絡みだ。しかも俺たちの事を知っている以上、追手に違いない。
 怪訝な目で乱入者を見つめる亮太に憚るように、恭介は前に出る。
「それ、俺に喧嘩売ってるってことでいいんだよな?」
「Not if I can help it.(そんなことする気はない) 思ってることを言っただけさ!」
 この乱入者の狙いはどうやら恭介のようだ。恭介はそれを自分で分かっていて、俺たちに危害が無いように振る舞うつもりなのだろう。
「翔、こいつは俺に任せてくれないか」
「いや、まあいいけど。……行けるか?」
「へっ! 今日の俺にはとっておきがあるんだ。そう、亮太も折角だから見てけよ。本気のポケモンカードってのを見せてやるぜ」
「OK、ではさっそく始めようか」
 乱入者がキューを壁に立てかけ、バトルデバイスを投げようとするタイミングで恭介が声を掛ける。
「待てよ。そういやアンタ自身は名乗ってないよな」
 その言葉に乱入者は動きがピタリと止まる。oh! だのなんだの叫びながら振り返り、ハンチング帽に右手を当て、白い歯を見せる。
「すっかり忘れてたぜ。ミーの名前はロドニー・タマウチ。漢字で書いたらボールの玉に、内側の内だ。親友の頼みでAfを狩りに来た。短い間だけどよろしく」
「悪いな。今から狩ると言った相手に握手する文化は、俺にはないんだ」
 手を差し伸べるロドニーに対し、意外にも恭介はそれをスルー。陽気を装っていたロドニーの表情に、初めて陰りが見えた。
 一つしっぺ返しを決めた恭介は、少し満足げにバトルデバイスを放る。ロドニーもそれに続いてデバイスを放った、直方体のデバイスが空中で変形を行い、肩幅サイズの薄いテーブル状に変形する。
 恭介もロドニーも腰につけたデッキポケットの端末を立ち上げ、バトルテーブルと連動させる。
『ペアリング完了。対戦可能なバトルデバイスをサーチ。パーミッション。ハーフデッキ、フリーマッチ』
 いくら他に客がいないとはいえ、個人経営のあまり広くないビリヤード場。恐らくあのロドニーもAfを持っているだろう。巻き添えを喰らわないように、翔は亮太を誘導して恭介の背後の壁際に控える。
「巻き込んでごめんな」
「いや、僕は別に大丈夫だよ」
「そっか。まあ恭介はなんだかんだやるやつだし、安心していい」
 まだ状況を飲み込めていないのか、少し困惑気味の亮太。とりあえず状況説明は恭介が戦っている途中にするとしよう。
 最初の恭介のポケモンはバトル場にゼクロム130/130、ベンチにシビシラス40/40。対するロドニーのバトル場にはドクロッグEX170/170。
 いきなりのEXポケモン。翔も恭介も先日の澤口美咲を想起した。あの時も同じ超タイプのミュウツーEXだったが、今対峙するロドニーには彼女ほどの覇気を感じない。
 澤口は明確な敵意と攻めの姿勢から呼び寄せたかのような初手EXポケモンであったが、この男のそれは単にこのカードが引けたから。という薄弱としたものが態度から伺える。
「先攻はミーが頂く。Here goes. ハンド(手札)の超エネルギーをドクロッグEXにつける。さらにグッズ『レベルボール』だ。デッキのHPが90以下のポケモンを手札に加える。ミーが加えるのはヨマワル(50/50)。こいつをベンチに出してターンエンドだ」
「俺の番だ。まずはダブル無色エネルギーをゼクロムにつける。この特殊エネルギーは、無色エネルギー二つ分として働く。そしてグッズカード『ハイパーボール』を使うぜ。手札のカードを二枚トラッシュしてポケモンを一枚加える」
 恭介は手札の雷エネルギーを二枚ともトラッシュし、シビビールを加える。最初の番はポケモンを進化出来ないが、次の番への布石だ。
「まだまだ行くぜ! サポート『ティエルノ』を発動。山札からカードを三枚ドロー。そして俺も『レベルボール』を発動し、シビシラス(40/40)を山札から手札に加え、そのままベンチに出す。さあ攻撃だ! 逆鱗!」
 ゼクロムが乱暴に身を翻し、その大きな尻尾でドクロッグEX150/170の土手腹に叩き込む。
「軽い軽い! ブレイクショットにはもっとヘビーでパワフルな一撃が必要だぜ。ミーのターン。ベンチのヨマワルをサマヨール(80/80)に進化。ドクロッグEXに超エネルギーをつける。さて、もう少し暴れやすい場所にチェンジしようぜ?」
「暴れやすい場所だと」
「It goes like this! (こんな感じにな) スタジアム『タチワキシティジム』発動!」
 薄暗いビリヤード場に強烈なネオンの光が差し込む。どこからか現れた大量のスピーカーからは、一人でに陽気なロックが流れ出る。
 背景にドガースのネオンサインを抱え込んだステージの上にロドニーが立ち、客席の恭介を見下ろす。
「さあ、ドクロッグでバトル。三倍毒!」
 驚異的な跳躍であっという間にゼクロムとの距離を縮めるドクロッグ。鋭い腕の振りをゼクロムは体を傾けることで回避する。が、パンチはかわせてもドクロッグの爪が右脇腹に突き刺さる。
 怒り狂ったゼクロムは四方に電撃を飛ばしてドクロッグを追い払うが、左手で患部を抑え、片膝をついてしまう。
「ゼクロムはダメージを受けてない、だけど……」
「YES! 毒状態になってもらうぜ」
 ロドニーのターンが終わり、一度目のポケモンチェック。毒のダメージを受け、HPが減るゼクロムを不思議そうに見つめる亮太に、翔は一つ解説を挟む。
「毒、火傷とかの状態異常のポケモンは、ターン終了時にあるポケモンチェックでダメージを受けるんだ。たとえば火傷ならコイントスしてオモテならノーダメージ。ウラなら20ダメージ。そして毒なら必ず10ダメージを受ける──」
「いや、そうじゃないんだ」
 亮太の視線に合わせ、翔もバトル場のゼクロムに目をやる。するとゼクロムのHPは80/130にまで落ち込んでいた。
「ん? ……な、バカな! ゼクロムのHPが50も減ってるぞ!」
 ロドニーはキラリと白い歯を見せて笑い、翔を指さす。
「いいリアクションだ! まずは三倍毒のエフェクト。このワザを受けて毒になったポケモンは通常の三倍、30ダメージを受ける。さらにスタジアム『タチワキシティジム』のエフェクトにより、このスタジアムの中では毒のダメージが更に20追加される。よってゼクロムが受けるダメージは50になったのさ」
「なんてコンボだ。やってくれるじゃねーの。今度は俺のターン」
 恭介の番の終わりにさらに50ダメージを受け、次のロドニーの番にロドニーが何をしなくともその後のポケモンチェックで50のダメージを受ける。
 迂闊にこのまま戦う訳にはいかない。毒のポケモンは進化か、ベンチに逃げれば状態異常が回復することを利用して一度ベンチに下げなくては。
「手札からバッフロン(100/100)をベンチに出し、ベンチにいるシビシラスをシビビール(90/90)に進化させる。手札の雷エネルギーをバッフロンにつけ、サポート『プラターヌ博士』を発動。手札を全て捨てて山札からカードを七枚ドローする」
 引いたカードの中に二枚目のシビビール。これで全ての準備は揃った。
「もう一体のシビシラスをシビビールに進化させ、ジビビールの特性『エレキダイナモ』を発動。トラッシュにある雷エネルギーを自分のベンチポケモンにつける。俺はバッフロンを選択」
 二体のシビビールの効果を共にバッフロンを対象にしたことで、バッフロンには手札からつけた雷エネルギーと、トラッシュからつけた二枚の雷エネルギーの計三枚がついたことになる。
「ゼクロムのダブル無色エネルギーをコストに、ゼクロムをベンチに逃がしてバッフロンをバトル場に出す。このままバトル! ゴールドブレイク!」
 エネルギーを纏ったバッフロンの体毛が金色に変わっていく。そのまま猪突猛進と突き進むバッフロンの一撃を受け止めようとドクロッグEXが構えるが、容赦なく吹き飛ばされる。ドクロッグ30/170はそのままロバートの頭を飛び越え、タチワキジムのドガースのネオンサインを壁もろとも粉々に粉砕する。
「ゴールドブレイクは相手がEXポケモンなら、威力が60から倍の120に大きく変化する! いくら毒がすごくったってそいつがいなけりゃ意味ないさ」
「Wonderful! しかしHPが残ってしまえばこっちのものさ」
 ドクロッグが壁の向こう、ネオンサインの残骸の山から再び姿を現し、バトル場に戻る。ダメージは大きいが、まだその目には闘志が溢れていた。
 恭介は勘付く。このターン、あのロドニーは何かを仕掛けてくる。おそらく今ロドニーが引いたカードがきっかけだ。
「どうやらミーの本気を出す時が来たようだね。親友から預かったこのカードで勝利を掴むと宣言しよう」
 ロドニーは右手で引いたカードを左手の手札に加えず、そのままバトルテーブルに叩き付ける。
「ポケモンの道具『Afポイズンアディクション』をドクロッグEXに装備! そしてベンチのサマヨールをヨノワール(120/120)に進化させる!」
 ドクロッグの拳にある赤い突起が、モーブに変色してさらに禍々しさを増す。ドクロッグは強化されたそれを、名刀を眺めるかのように掲げて、長い舌で一舐めする。
「さらにサポート『サナ』を使う。ハンドを全てデッキに戻し、シャッフル。そして五枚ドロー。ポケモンの道具『大きなマント』をヨノワールに装備。これでヨノワールの最大HPが20アップ! 更にヨノワールのアビリティ『シャドーホール』!」
 首のあたりから大きな青いマントをヨノワール140/140が纏う。ヨノワールはその腹部にある口を大きく開ける。その腹部を中心にブラックホールのような強い引力が働き、タチワキジムのスピーカーやら瓦礫やらがサイズに関係なく吸い込まれていく。
 恭介は左足を軸にし、姿勢を低くして凌ぐ。翔と亮太は壁に手を付き、しゃがんでシャドーホールの引力に巻き込まれないように堪える。一方、ロドニーのドクロッグの身体から大量に赤い光の珠が飛び出し、それらを全て吸い込むとようやっと口が閉じた。
「シャドーホールは自分のポケモンのダメカンを好きなだけヨノワールにつけかえられる。俺はドクロッグのダメカン十三個をヨノワールに全てつけかえた! さらにグッズ『まんたんの薬』をヨノワールに使い、ヨノワールのHPを全回復。本来なら回復したポケモンのエネルギーを全てトラッシュしないといけないが、ヨノワールのエネルギーはまだ一つもない。つまりノーリスクでハイリターンだ。面白いだろう?」
 ダメカンが移動して、一時はドクロッグ160/170、ヨノワール10/140となったところにまんたんの薬で全回復。こっちは高い打点でダメージを与えてもそれより強い威力でねじ伏せないといけない訳か。
 恭介は腰につけたデッキポケットに視線を落とす。流石にあのドクロッグのHPを一撃で消し飛ばすほどの力を持ったポケモンはこのデッキに入っていない。ならどうする? 前に風見に新兵器のレクチャーを受けたときの事を思い出せ。
『お前のそのシビビールだってそうだが、シナジーの強いデッキは強力だ。しかし同時にそのシナジーこそが弱点の露呈。たとえばお前のシビビールが倒されればデッキの機能は著しく落ちるだろう。それと同じようにそういう相手にはシナジーの源となるカードを潰すんだ』
 となると今、ロドニーの回復コンボを支えているのはまんたんの薬のカード。或いはヨノワールのカードだ。回復させないか、ダメカンを移動させないか。どっちだ?
「この調子でどんどん行くぜ。ヨノワールに超エネルギーをつけ、ドクロッグで三倍毒!」
 またしてもドクロッグの毒を受け、苦しむバッフロンは悲鳴を上げて悶えのたうつ。
「Head the moment!(この瞬間に注目だ) ポケモンチェックの度に三倍毒とタチワキシティジムの効果でバッフロンは通常の五倍、50の毒ダメージを受けてもらうぜ」
 あっという間にバッフロン50/100のHPが半分にまで削られる。まだ状態異常だからベンチに下がれば回復するものの、仮に逃げられないとかであればもっと被害は大きかっただろう。
「俺のターン。まずはグッズ『いたずらスコップ』を発動。自分か相手の山札の一番上を確認し、望むならそれをトラッシュ出来る。俺は自分の山札を選択する」
 めくったカードは雷エネルギー。シビビールの特性はトラッシュの雷エネルギーを多く使う。ここはそれを有効に使うためにもトラッシュしておこう。
「確認した雷エネルギーをトラッシュ。そしてグッズ『いいきずぐすり』をベンチのゼクロムを対象に発動。HPを60回復させ、そのポケモンのエネルギーを一つトラッシュする。が、ゼクロムのエネルギーは0。よってこっちもノーリスクハイリターンだ」
 まんたんの薬程は効果がないが、それでも50しかダメージの無かったゼクロム130/130を全回復させるには十分。今度はもう一度このゼクロムを起点に戦局を立て直す。
「シビビール二体の特性『エレキダイナモ』を、ゼクロムを対象に発動。トラッシュの雷エネルギー二枚をゼクロムにつける。手札の雷エネルギーもゼクロムにつける。そしてバッフロンについている雷エネルギー二枚をトラッシュして、ベンチのゼクロムと入れ替える!」
 これでいくら強力とはいえ三倍毒の効果もこれで失わ──。
「な、どういうことだ!」
「恭介のバッフロンの毒が」
「治っていないね……」
 恭介が驚き、翔が渋い顔でバッフロンを睨み、亮太が口に手を当てて考えるように異常な光景を眺める。ベンチに下がっても、未だ苦しみ続けるバッフロン。本来ならこれで毒が回復するはずなのに、はっきりとモニターにも毒状態が継続していると明記されている。
「ドクロッグEXにつけたAfポイズンアディクションのエフェクト。この道具をつけたポケモンによって毒になったポケモンは、いかなる手段を講じても毒から回復しない。まさしく、毒の中毒(ポイズンアディクション)。さあ、これでもミーの攻撃をかわし続けられるかな?」
 恭介たちのリアクションが面白おかしいのか、ハンチング帽を右手で抑えつつロドニーは高笑いを上げる。既にロドニーが突きたてた毒は、恭介の場にじわじわと染み渡っていたのだ。



──次回予告──
翔 「ポイズンアディクションの効果が恭介の場をじわじわと追い詰める。
   次々に主力級のポケモンを失ってもまだ、恭介の目は死んでない!」
恭介「次回、『震霆のストロングボルト』
   新たに身に着けた俺の力、見せつけてやるぜ!」

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