第93話 VSイブキ[前編]

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 特訓に特訓を重ねてパワーアップしたマイと仲間たち。この日のためにやって来たことは無駄ではない、とマイは言った。胸を膨らませて大きくて重たい扉を開けマイは活気のある声で言う。

「頼もー! 挑戦しに来ました! ワカバタウンのマイです!」
「あら、本当に来たのね。ふふふ、完璧な私を見せてあげるわ!」

 約束の二週間が過ぎマイとゴールドは再びジムに訪れていた。
 相変わらずイブキのファッションはイマイチだがそんなことを気にしている時ではない。

「使用ポケモンは三体。先に二勝した方が勝ちよ。ルールは少しややこしいかもしれないけど、よーく聞きなさい! 戦闘範囲はこのジム内のみ、いいわね」
(……ん? それって普通のことなんじゃ……どこが複雑なんだろう)
「そして一度でもバトルしたポケモンは勝とうが負けようが二回目のバトルには使用禁止! つまり一度のみのバトルってこと! 以上!」
「はい! よく分からないけど分かりました!」

 イブキは怪しげな笑みを浮かべて、挑戦者は私について来なさい、となんの変哲もないまっさらなフィールドに案内され、ゴールドは口出しが出来ないようにマイがいる場所から大分離れた個室に案内され、モニターで見るよう指示をされた。

「うわーっ! 広いなぁ! 天井は低いけど……このくらい広ければ暴れても大丈夫だよね」
「ふっそうね……ふふふ……ふふっ」
(さっきからイブキさん気持ち悪い笑い方してるけどお腹でも痛いのかなぁ)

 イブキは何やら笑いが堪えられないのかクスクスと肩を上下させている。

「さぁ! バトル開始よ! 行きなさい……!」
「君に決めた! ルーちゃん! えっとイブキさんは?」

 行きなさい、と言うもののイブキはポケモンを出さないのでマイは頭の上にクエスチョンマークを浮かべて首をかしげる。

「私はこの子よ! ギャラドス!」
「ギャラドス!? ゴールドどうしようっていない……どうしよう!?」
(ふふふ聞いていた通り! 相手の出すポケモンが分からない、かつタイプ的にも有利ではないと慌てて後ろを振り返る! そう、彼に頼ってしまうという弱点!)

 今までのバッジを取られて来たジムリーダーから情報をあの手この手で聞き出していたイブキ。情報通りだと笑いが耐えれないようだ。
 腰に手を当て天井を見上げるように反り返って笑いを堪えている。

「練習した特大の破壊光線を見せてやるのよ!」
「ルーちゃん構えて! 破壊光線は強力だよ!」

 ガルーラに気をつけるように言えば、深く頷き相手の様子を探る態勢に入る。

「ん? 口を開けたまま動かない?」
「ギクッ」

 光のパワーを溜めているのかギャラドスはその場から動けずにいる。チャンスと思ったマイはガルーラに尾びれを両手で掴むように指示を飛ばすが……。

「振り回そうっての? 無駄よ! それだけじゃ破壊光線の邪魔にならなくてよ!」
「やってみなくちゃ分からないでしょ! ルーちゃん、両手から雷パンチの要領でギャラドスの全身に電撃を流し込んで!」

 弱点の電気ならギャラドスの集中力も途切れるだろうと思ったマイ。さらに振り回すことで遠心力が働き竜巻まで生まれてしまった。

「流れで上に飛ばしちゃって!」
「ガウガー!」

 ガルーラの威勢の良い声と共にギャラドスを竜巻の中に入れてしまうと、その竜巻にオマケとばかりに雷パンチ。竜巻が雷のイルミネーションに彩られている。
 地上に降りてくるころにはギャラドスは目を回してその場から動けなくなってしまった。

「やったー! 一勝目だー!」
「嘘、私のギャラドス弱過ぎ?」
「……あ、天井壊しちゃってごめんなさい!」

 マイが喜ぶ反面申し訳なさそうに謝って来た。見上げると綺麗に澄み渡る空が顔を出していた。
 木造だったのかステージには木の板が大小無数に散らばっている。

「き、気にしないで……。別の事で心が折れそうだから。行きなさい、ハクリュー!」
「ハクリュー……ならわたしはっリューくんお願い!」
(掛かった! この勝負もらったわ!)


 ギャラドス戦を引きづっているのか顔色が悪かったと思えば一瞬にして悪い笑顔を取り戻す。

「ちょうど天井を開いたしリューくん空を飛ぶ! 空中から冷凍パンチだよ!」

 カイリューは狭いフィールド、低い天井では戦いにくいとたまたま壊れた天井から外に出てもらおうと空を飛んでもらい、まさに今攻撃体制に入る時にイブキの叫び声が響く。

「ああっ~と! 失格よ失格!」
「ええ!? どういうこと……ですか!?」
「ふふふ、あはははっ! あーっはっはっ! よーやく笑える時が来たわ!」

 目を丸くして地上に舞い降りてくるカイリューをボールに戻してマイは信じられないと身振りまでつけてイブキに意見する。
 それに対して意地悪そうなイブキは大爆笑しながら答える。

「あなたがジムを破壊してまわるトレーナーだと聞いてよかったわ! 特にそのカイリュー! ハヤトの所では穴を掘るだかなんだかでジムが沈没したみたいよ!」
「あー……あれは……へへへっ」

 初めてのジム戦を思い出してくすぐったい思い出なのか照れ笑いをするマイ。落ち込む様子のないマイが気にくわないのかイブキは眉を寄せながら話を進める。

「あれ? メンタルにダメージ無しなのかしら? まあいいわ、何故失格か、それはルールにあるわ。私は初めに言ったわよ。戦闘範囲はこのジム内のみ、ってね! カイリューは外へ出た、つまり逃げたってこと! これで一勝一敗。勝つのは私よ!」
「うー……まぁ仕方ないかぁ。次で勝てばいいもんね、ゴールド! あ、いないんだった!」

 カイリューの入ったボールを指差しながら眼光を開くイブキにビビるマイ、かと思いきやそうでもなかった。そして癖でまた後ろを向いてしまう。

「それよ! あなたの弱点! 保護者だか恋人だか知らないけど、あの子がいないと不安で仕方ない! そうでしょう!」
「保護者でも恋人でもないよ……。うーんでも確かに不安かも!」
「本当にイマイチ分からないわねあなた! まぁいいわ! 最後よ! 行け、シードラ!」
「ピーくん、最後は任せたよ!」

 ジムリーダーとの最後の決戦が始まる! 勝つのはマイかイブキか!

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