第91話 仕事が終わったあとは

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 スリバチ山へ着いたコウはグライガーから降り、山頂で待っていたソラの元へ駆け寄ろうとしたのだが二メートル程離れた場所で急ブレーキを脚に掛けその場にストップをした。
 なぜならソラの足元に守るように戦闘態勢のポケモンがいたからだ。

「あっおい、エンテイ! 危ないかもしれないぞ!」
「大丈夫大丈夫、こいつ頭撫でると大人しくなるから」

 トラをモチーフにしたようなポケモンには勇ましく蓄えた髭や背中ある体毛は雨雲のようであり近寄りがたい容姿をしていたのだが、エンテイは恐れることなくそのポケモンに近寄って行く。頬を擦りつけていて友達関係のように思えた。
 ソラに撫でられて顔を緩めるポケモンはコウの顔を見つめるのをやめ、撫でられることに集中している。

「ソラさんもしかして調べてほしいってポケモンは……」
「あーこいつじゃなくて、こっちだ」
「あ、このポケモンがライコウか。って……へ?」

 ソラは満面の笑みでモンスターボールを下から上に放り投げると眩い光を放つと、コウは目を疑う。

「こ、これって……ピジョンとかオニドリルの色違い? いやいやそんな訳ないよな……えーと図鑑は……え、ノーデータ?」
「うーん、やっぱりコウの図鑑もデータ無しか。これは博士に調べてもらうしかないか~」

 虹色の羽を持つ大きな鳥ポケモンは威嚇をするまでもなくソラの側で羽をたたんで立っていて襲って来る様子はない。しかしソラの言葉に違和感を覚えたコウは眉を寄せて質問をする。

「俺の図鑑もって……もってどういう事ですか? まさかソラさんも?」
「あぁ、図鑑所有者って言えばいいのか? 故郷の博士からもらったんだがジョウト地方のポケモンには疎い図鑑でなぁ」
「さらっと言わないでください……ライコウの影が薄く思えてきましたよ」

 鳥ポケモンの羽をライコウは興味深そうに鼻で探って匂いを嗅いでいるようだ。

「ジョウト地方は確かワカバタウンのウツギ博士だっけ? そこに行くしかないか~」
「そ、そうですね。とりあえず向かいましょうか」
「あーそうだな! レッツゴー!」
(……なんかマイに似てるなぁ)

 コウのグライガーに二人で掴まりワカバタウンへ飛びながらコウは思考を巡らせる。

(ソラさんは一体何者なんだ? ライコウだけでなく図鑑にないデータのポケモンですら捕獲するなんて……本当はものすごく強いポケモントレーナー?)
「おーあれがワカバタウンか~いい風だな!」
「そっそうですね。さ、降りますよ!」

 ワカバタウンに着くなり研究所へ行くとウツギ博士はまたまた腰を抜かして二匹を交互に眺めた。

「こ、この二匹は、ライコウにホウオウ! すごい、マイちゃんのデータを含めると全て揃ってしまった!?」
(マイちゃん? もしかしてあのマイ? いやーそんなわけないか……そんなミラクルが……)
「博士、ホウオウってなんですか?」

 マイが死闘の末捕獲した「ルギア」コウの仲良し捕獲をした「エンテイ」アヤノの執念の捕獲「スイクン」そしてソラの「ホウオウ」「ライコウ」
 ジョウト地方に伝わる伝説と言われるポケモンがウツギ研究所に集まってしまったのだ。ウツギは混乱する。
 時間を置いてからまた訪れることにして二人はアヤノと合流することになった。

◆◆◆

「もしかもしてこの方が噂のソラさん!?」
「ああ、噂のソラさんだよ! えーっと名前は?」
「あっすいませんついっ。私はアヤノと言います、アヤと呼んでください! コウとは同い年でサニー地方出身です!」

 二週間後に会う予定がすぐに会うことになってしまいアヤノは疑問に思ってはいたがソラが凄腕のポケモントレーナーだと察して問うことはやめた。

「へえ俺と同じか~、あっもしかしてマイちゃんのこと知ってる?」
「マイちゃん? ああ、マイね! はいっ知ってます! お友達ですっ!」
(と、ともだち……アヤみたいに素直に言えるようになりたいな……)

 ポケモンセンターの待合室でジュースを飲みながら話しているとウツギ博士から電話がコウの元に掛かってきた。どうやら混乱は解けたようだ。
 すでに博士にはエンテイ、ライコウ、ホウオウは手渡しているため残りはアヤノがスイクンを渡すだけになったので二人に着いて行くことにした。

「こんにちはウツギ博士、スイクンを渡しに来ました」
「ああアヤちゃん、もういいのかい? ってもう渡す気満々だね、ありがとう。確かに預かったよ。まあ立ち話もなんだし座っておくれよ」

 アヤノがいるとは思わなかったのでウツギ博士は目を一瞬大きくして驚いたようだがスイクンのボールを強い意志で渡されると知り真面目な顔で受け取った。
 二人掛けのソファーにアヤノとコウが座り、もう一つにソラとウツギ博士が座った。

「ではまずはホウオウからの話かな」

 湯呑に入ったお茶をひとくち飲み静かにテーブルに戻すと博士は落ち着き、一息つくと口を開いた。

「ポケモン神話というものがあってね、それにホウオウは記されていたんだ。ホウオウは世界中を飛び続ける、心正しき者の前に姿を現すと書かれていて、ソラ君の人柄を表しているよね」
「うん、そう思うわ。ね、コウ?」
「ああ、ソラさんは偉大だ」
「やめろよ~照れるな~はっはっは!」

 ソラを見つめてウツギ博士がいうとアヤノとコウがほぼ同時に頷いて応えた。

「でもジョウト地方に伝わる神話には生命の蘇生に関わる伝承を残しているんだよ。その生命の蘇生に関わったのがポケモンがいるんだけど、それは分かるかな?」
「スイクン、エンテイ、ライコウ……ですね」
「そう、流石アヤちゃんだね。その三匹は蘇生された時の記憶があるかどうかは不明だけど……って話が長いかな? とりあえずホウオウはそんな感じかな」

 アヤノは褒められてくすぐったそうに微笑み嬉しそうだ。

「スイクン捕獲作戦が終わってしまったけど私はこの後何をすればいいのかしら……」
「俺も図鑑が埋まってきたしなぁ、息抜きに何かしたいけど……」
「ジョウト地方はだいぶウロついたからなぁ、面白いことをしてから帰りたいな~」

 三人はホウオウの話が終わると他のことに悩んでいるようで頭を悩ませていた時にウツギ博士はソファーから立ち上がり拳を天井に掲げて叫んだ。

「来年開催されるジョウト地方最大のポケモンバトルが楽しめるポケモンリーグ・シロガネ大会に参加してみるのはどうだい?」
「面白そうだな! 参加する! 参加したいでーす!」

 ソラが大きな声で両手を上げて参加を表明する。以前ソラはポケモンバトルは苦手と言っていたが面白いことには積極的になるらしい。
 続いてアヤノもコウも参加すると言い出しウツギ博士はまた満面の笑みになった。

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