第84話 VSイブキ

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 フスベシティに到着するとキャラクターの濃いお婆さん(本人は自称お嬢ちゃん)に会っていきなり実力が足りないと言われてしまったマイ。言葉では見栄を張ってみたものの内心は、ゴールドに頼りっぱなしなので自覚はしていた。

「どうしよう。ジム、すぐそこだけど……」
「お? いつもなら頼もーって入ってくのに入っていかねえのか?」

 フスベジムの前で扉に手を当てたまま動かないでぶつぶつとつぶやくマイに耳を傾ける。フスベジムの佇まいは今までのジムとは雰囲気が違うようにとらえられた。
 ハクリューの銅像が二つ並べられた扉は来る者を拒むようだ。

「うー……ちょっ、ちょっとだけ寄り道を……したい、なぁ」
「おー。ジムの奥にある洞窟行ってみようぜ。なんだか面白そうな気がするぞ!」
「うん、そうしよ! アルファ出てきて!」

 結局手を扉から放してゴールドに振り返ると困った顔で提案をしてくるので、ジムの奥に見える洞窟を指で指した。怒りの湖と比べると小さいが湖があったため、ラプラスに乗って岸にたどり着く。
 入り口に立っているだけなのに奥からは涼しい風が吹いて歓迎をされた。

「わ! なにここ、すごい! ゴールドここは天国ですか!?」
「うーん、まあ。そうじゃないか」

 マイが感涙の声を上げる目の前の光景はミニリュウとハクリューが数匹ずつすり寄って生活している空間が広がっていた。
 そうここは竜の穴、普通なら警備の者がいると思うのだが流石はドラゴンタイプ、実力のないトレーナーや泥棒に掴まる程落ちてはいない。警備いらずというわけ。

「リューくん、見て見て! 同じ仲間がたくさんいるよ!」
「ばう!?」
「はは、喜んでら。寄り道も悪くないな」

 カイリューを洞窟内で放つと嬉しそうに羽を小さく動かして踊っているようにも見えた。側にいたハクリューはマイのカイリューに近寄ってきて頭を下げたり、尻尾を揺らしていて歓迎をしてくれている。

(よかった。リューくんが寂しくなったらここに来ればいいや)
「マイ? 何ボーっとしてんだよ。お前の愛しのリューくんがこっち見てるぞ」
「えっあっなになに? どったの?」
「お前が寂しそうな顔してたから心配してんだよ」

 仲間達に迎えられ嬉しそうにするカイリューに少しだけ寂しい想いを抱いていたので悟られてしまって顔が赤くなる。照れ笑いをしていると後方から懐中電灯で照らされた。
 振り返ると水色の髪をポニーテールにまとめ、体にぴったりと張り付いた水色のボディースーツを着用し、またその胸元にはハクリューのものに似た宝玉をつけ、マントを羽織っている女性の姿が。

「あら? この子達が部外者から逃げないなんて珍しいこともあるのね」
「ごっゴールド、この人変な恰好してるよ!」
「ああ、あんまり見ない方がいい。ここは無視して洞窟から出ようぜ」
「ちょっと~!? 聞こえてるわよ!? 私を誰だか知らないの!?」

 ボディースーツというだけでも破壊力があるのにマントまでつけてしまってマイはゴールドの背中に隠れるようにして凍えで言うとゴールドも頷いて女性の横を通り過ぎようとするとマイの肩を掴み女性が怒声を上げた。

「ごごごごめんなさい。知らないです」
「泣くことないじゃないの! もうっ私はフスベジムのジムリーダーイブキよ!」
「あ、この人か。マイ、こいつが挑戦しようとしてたやつだ。勝てそうだ、バトルしてみろよ」

 イブキと名乗った女性に両肩を取られ激しく揺さぶられながらマイは謝罪をするが、ゴールドが生意気にもバトルを申し込む。

「ふん、あなたが私に? まあ、いいわ! 使用ポケモンは一体よ! ハクリュー! 出てきなさい!」
「やっぱり、ドラゴンタイプで来た! リューくん!」

 イブキはポニーテールを無駄に手ではたき弄りながらハクリューを繰り出した。マイはというと元から外に出ていたカイリューで戦うようだ。

「えっそこのカイリューってあなたの!? 嘘でしょ!?」
「リューくん、冷凍ビーム!」
「待ってえええ!? 話してる途中でしょ!? あっやだ! ハクリュー!?」

 まさかこんな小さい女の子がカイリューを出してくるとは思っていなかったためイブキは混乱して冷静になっていられない。そこを付いて、弱点である氷タイプの技でハクリューを横倒しにする。
 しかも運がよかったのか、倒れたまま起きてくる気配はなく目を回してしまった。

「お、ハクリュー戦闘不能だ。マイ、勝ったぜ」
「やったー! ジム公式バッジくださ~い!」
「こんなの公式戦じゃないわ! バッジはあげないっ絶対にあげない! 今日は調子が悪かったの!」

 ゴールドに左腕をつかみ取られて、そのまま腕を上に掲げられ勝利の証言。マイは跳んでハネて喜びながらイブキに近寄って両手を差し出すがバッジが置かれることはなかった。
 涙目になったイブキはそんな捨て台詞を残して竜の洞窟から逃げて行った。

「え?」
「え?」
「「 えーっ!? 」」

 一応バトルには勝ったものの公式戦ではない、認めないとそんなことを言って負け逃げをしたのだ、二人は顔を合わせて叫び、イブキが逃げたであろうジムに向かう。

「イブキさん! どういうこと!?」
「そうだぜ! 使用ポケモンは一体のバトルって言ったろ!? 勝ったんだぜ、マイは!」
「う”る”さ”い”! だから言ったでしょ! 調子が悪いって! こんなの公式戦じゃないわ!」

 扉を開けさせてくれない。どうやら扉の向こう側で押さえつけているようだ。扉を叩くゴールドと叫ぶマイと泣くイブキ。

「分かったよ! もう一度バトルしてください! 調子がいい時!」
「マイ!? それでいいのかよ? ポケモン協会にでも言えば解決するかもしれないだろ?」
「言ったわね! じゃあ二週間後に来なさい! そしたら元気だから! 今日は帰って!」

 扉を開けてくれないのならバッジももらえない、つまり先(ポケモンリーグ)に進めないのでマイは交渉を始める。
 トンデモなジムリーダーに出会ってしまったようだがマイはまた戦うことが出来るのだろうか……?

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