第78話 非公式ジムへの挑戦

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「うー。ヤナギさんまだ入院中かぁー。ねえ、ゴールド、近くに何かおもしろいとこなかったっけ?」

 チョウジジムの目の前に来ても相変わらず、張り紙が一枚貼られているだけ。中に入ることはできない。
 マイがシビレを切らして無茶振りを振ったがゴールドは、顎に手を当ててから目線を空に泳がすと思いついたのか、手を離して人差し指を立てて言う。

「この近くだと……お、そういえば! チョウジタウンの手前の街に非公式だけどジムがあったような気がするな」
「非公式ってなに? 強くないの?」
「いーや、非公式だからって舐めてかかると痛い目みるかもな」

 日をまたぐ程離れていない街らしく、さっそく二人はチョウジタウンから42番道路へ向かう。
 公式ジムと非公式ジムの違いはポケモン協会より選出、任命、就任しているかどうかの違い。非公式のほとんどは、ポケモン協会で出された試験に落とされた者がヤケを起こして勝手に名前を借りてジムを作っただけである。
 配布用ジムバッジはあるにはあるが「リーグ決勝ブロックへの無条件出場」という特権が与えられるバッジではないため持っていても意味はない。
 そのため公式ジムを目指して経験を積むトレーナーの踏み台として利用されるのが非公式ジムである。

「へ? ジムバッジってそんな意味があったの? 飾りかと思ってた!」
「カーバ、ちげーよ。公式ジムバッジを八つ持っているだけで、ポケモンリーグ決勝戦に出れんだよ。無駄な予選とかの戦いをしないで済むってことさ」

 今までなんのためにバッジを集めていたのか分かっていなかったマイに肩を落とすゴールド。しかもオマケに「ポケモンリーグってなあに?」アホな顔で聞かれる始末。

「ポケモンリーグ知らねえのかよ! オイオイオイそんなにマイペースで大丈夫か!?」
「えええ分かんないよ~えと、ポケモンリーグポケモンリーグっと」
「そーだ。自分で調べて覚えんだ」
「これは! ゴールド、これ!」

 顔を赤くして怒るゴールドに頭をぺこぺこと下げて、自分で調べますとポケモン図鑑を起動する。ポケモンに関しては何でも調べられるので、リーグのことももちろん書いてある。
 マイがポケモンリーグのページを見つけてゴールドに見せる。

「おーそれだ。読んでみな」
「うん! えっと、ポケモンリーグとはなんとかのなんと「ダー! わっーた! 俺が悪かった!」
「わーい、読んでくれるんだ!」

 漢字が読めない十歳児に十四歳が読んでやるとマイはなるほど、と頷いた。
 ポケモンリーグは各地方で定期的に開催している大会で、トーナメント制で戦いそのリーグで優勝すると名誉賞をもらえる。四天王と呼ばれる人物達が昔はいたが今はいない、各自好きな場所で好きなことをして暮らしている。四天王と戦うには、人それぞれだが大抵はジムバッジ八つとリーグ優勝の二つが必要だ。

「このバッジにそんな意味がっ! 大事にしなきゃ!」
「おーその通りだ。そんなパーカーの裏につけてるようじゃ危なっかしいぜ。」
「ゴールド持ってて!」
「なんでだよ! 自分で勝ったんだろ、自分で持ってろ。俺が守ってやるんだから取られたりしねーって」

 まだ不安が残る顔だったが、非公式ジムに行くために歩みを進める。オクタンと戦った場所まで行き、背丈の高い草むらをかき分けて行くと街が見えた。

「ここが非公式ジムのハナジムだ。鳥タイプか虫タイプを使ってくるんだったかな。久しぶりにピーくんに活躍してもらえよ」
「うん、そだね! ピーくんがんばろう! リューくんに追いつくように!」

 見た目が古ぼけた道場のようなジム。
 たのもー! 勢いよく横開きの扉を両手で開け中へ入る。

「……また挑戦者か」
「ってことは他にも挑戦者が来たってこと? もしかして今日は試合できませんか?」
「いやできる。言ってみたかっただけだ。俺の名前はノボル! 天にも昇る気分でポケモンバトルをしようじゃないか!」
「それって死んでる……?」

 ブレーカーを上げる音がして会場に光が注がれる。柔道着を着た男が胡坐をかいてマイを迎えた。片腕を付いて立ち上がるとモンスターボールを構える。
 変な台詞を言ったと思えばこの対応、非公式と言えどこのハナタウンでは一番のツワモノ。

「ゆけ! レディアン!」
「わわ! むっ虫だぁ~! ゴールド~! じゃないっピーくん君に決めた!」

 赤いボールから出てきたのは赤い天道虫のレディアン。ノボルの側からすぐに離れるとピカチュウ目掛けて飛んできた。

「連続パンチ!」
「――!? 早いっ! ピーくん、電気ショック!」

 身体の大きさはピカチュウのほぼ二倍の体格なのに意外とすばしっこい。ピカチュウを足でとらえて逃げないように押さえつけると残りの腕で連続パンチ!
 ダメージをくらいながらも至近距離での電気ショックにレディアンは足の力が緩み地面に落ちる。

「やった! 結構体力減ったんじゃないかな!」
「ふん、甘い! 俺のレディアンの特性は「虫の知らせ」体力がほとんどない時に虫タイプの技の威力が一.五倍になる! レディアン、虫のざわめき!」
「ピーくん!?」

 レディアンはこのまま動かないと思っていたのでピカチュウが余裕を持って近寄って来たのが間違い。倒れている身体を起こして羽を激しくばたつかせ、音波のようなものを生み出すとピカチュウにクリティカルヒット。逆にピカチュウが目を回して倒れてしまった。

「ピーくん、ありがとう! えっと次は……」
「相手は飛行と虫タイプだ、炎タイプのキューくんで行け」
「うん、わかった! キューくん! 火の粉!」
「避けろ! クソッ、羽休め!」

 ピカチュウが戦闘不能になったためゴールドの言う通りに進化したキュウコンが飛び出してきた。巨大な火の玉がレディアンに襲い掛かり避けることができずに羽を休めて地上に降りてくる。
 飛ぶのをやめることで体力を回復したのか顔つきが変わる。

「キューくん、まだ行けるよね! 大文字!」
「ちょっとちょっと待ってくれ! このジムを燃えつくす気か!? レディアン! 銀色の風!」

 ロコンの時よりも物理的に大きな大文字で、レディアンを囲み焼き尽くしてしまいそうだ。必死に風を起こそうとしても先程の羽休みで地上からうまく飛べることができずにその場に真っ黒になって倒れてしまった。
 レディアンどころかジムにまで炎が移ってしまい壁が燃えてしまってノボルは冷静にいられない。

「もう俺知らないぞ~!」
「わわわわ! どうしよう!」
「落ち着けって。マイ、アルファ貸しな。おし、波乗り!」
「きゅ~♪」

 ゴールドがマイの腰からラプラスの入ったモンスターボールをつかみ取って繰り出し、波乗りを起こしてジム全体を水浸しにすると消化完了。ノボルはトンズラこいてジムから消えてしまっていた—―。

「ゴールドありがと。えへへ、やっぱりゴールドがいないとダメだ~」
「ったく、お前もトンズラこいたノボルも落ち着けってんだ。でもまあ……なんでもねえよ! 俺達もこっから逃げるぞ!」

 火事を起こしそうになったり、ジムを水浸しにしたりで目立ってしまったのでそそくさとチョウジタウンに帰るのであった。

(まあ、あの威力の大文字と波乗りをポケモンに引き出せるようになったのは、お前の実力なんだけどなぁ……)

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