第76話 性格:マイペース?

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「そういやどこにテレポートしたんだ? エーフィから聞いたけどよォ、場所までは分かんねぇって」
「コウちゃんがなんか言ってたけど忘れちゃった。でも寒いとこ! それよりフィーちゃんから聞いたってどういうこと? ゴールドもポケモンの言葉がわかるの?」
「あー、いや、な。へっへっへっ」

 怒りの湖から一度ポケモンセンターに戻ることにし、その帰り道のことである。エーフィを再びボールに戻した時にゴールドが落ち着いた口調で話してきた。
 マイはカイリューに進化したことであの時のことを綺麗さっぱり忘れてしまったようで曖昧な回答。そして、ゴールドがエーフィから聞いた、という台詞に首を傾げて聞くと意地の悪そうな笑い声が返ってきた。

「前によ認められたトレーナーには~って話覚えてっか? その意味がなぁ、ククク」
「えー、なになに? 教えてよー!」
「エーフィの言葉だけは分かるようになったのよォ! まあ? 俺さまがエーフィに認められたっつーわけよ! ナッハッハッ!」

 腰に手を当てドヤ顔でマイに言って高笑い。それがなんだか面白くなくてマイはエーフィに尖った口を見せるが、エーフィは顔をそらす。
 確かにゴールドはマイに的確なアドバイスをしているから認められるのも当然。逆にマイは頼りっぱなしだからまだまだ未熟者という訳。

「ウー、なんか悔しい。あ、そうだ! ゴールド、あのね、これ」
「ん? ポケギアがどうした?」
「湖に落ちた時に壊れちゃったみたいなの……ごめんなさい――わっ!」

 ポケモンセンターに着いた二人は取ってあった部屋のソファーに横並びに座る。リュックから誕生日プレゼントでもらったポケギアを取り出し、困ったような顔つきで渡すとゴールドに頭を撫でられる。
 てっきり怒られると思って身体に力を入れて構えていたマイにとっては驚き以外の何物でもない。

「どれどれ~なるほどな。分かった、もう遅いし今日中には直せないけど明日、ショップで新しいの買ってやるよ」
「えっ! ち、ちがうの! そういう意味で渡したんじゃないの! わたし、これがいい! これじゃなきゃイヤだ!!」
「どれも同じじゃねーか、いーだろ。買ってやんだから」

 手元にある物では直せそうにはないためゴールドは新しいポケギアを買ってやると提案するが、マイはポケギアを奪い返すように素早い手つきでポケギアを手元に戻すと大事そうに両手で持ち、胸に当てる。

「そうじゃないのっこれは誕生日にもらったから、大事で……大切なの! だからゴールドお願い修理してよ! お願い!」
「わーったわーった。まあ、そんなに言われたら修理するしかねぇよ。でもどっちにしろ部品もないし、明日まで待ってくれよ。な?」
「うん。ありがとう……よかった」

 ポケギアを抱きしめたまま強い姿勢を見せるマイに身体を引きつつも承諾してやると、安心した顔でマイは目をつむる。

「オイオイここで寝るのかよ。ま、仕方ねえか。疲れたんだな」

 テレポート先で疲れたと察してゴールドはマイを抱きかかえてベッドに寝かしてやると、自分は風呂に入ろうと部屋から出る。

◆◆◆

「寝坊助ー起きろ」
「んんあ? あえ……今何時?」
「昼前、十時だ。いー加減起きろよ。風呂入って来い、準備出来たら外出るからな」

 ゴールドがそう言い終わる前にまたマイは目をつむり、起こされた身体をベッドに戻す。が、すぐにゴールドに起されて服を掴まれ脱がされそうになる。

「ぎゃー! ごめんなさいごめんなさい起きます~! お風呂ですねはい了解しましたー!」
「ったく、素直に入ればいいものを。な、ピーくん?」
「ピッカ!」

 素早くベッドから降りて風呂へ直行。ゴールドはその間に髪を整えたり、忘れ物がないかチェックをしていた。ピカチュウはゴールドの周りをうろついていて暇そうだ。

「ん? なんだ、シルバーから電話? 珍しいな。よっ、どうかしたか?」
『今お前どこにいる? まだ怒りの湖の付近にいるなら頼みたいことがあるんだが』

 支度も終わりマイが風呂から出るのを待っているとシルバーからポケギアに電話が掛かってきた。珍しく頼みごとのようだが、どうやら頼みの主はウツギ博士らしい。

『例の強制進化のことなんだが、赤いギャラドスを調べていたら分かったことがあった。あの湖の近くに工場かなんかあっただろう、そこに何らかのヒントがあるとウツギ博士が言っている』
「へえ、ウツギ博士が。それで、赤いギャラドスからは何が分かったんだ?」
『チップが身体につけられていて、その発行元を調べたら湖の付近工場だと分かったんだ。今、俺は忙しいからそっちに行けそうにないからゴールドお前が引き受けろ』
「命令かよ。クリスに頼めばいいだろ、アヤもいるし。こっちはマイと旅してんだ。プライベートなんだよ」

 シルバーの淡々とした説明に額に青い筋が立つのを覚える。ゴールドが一撃必殺と言わんばかりの断りにとんでもない一言を言ってきた。

『既にクリスとアヤには頼んだ。だが塾のことで精一杯らしい。まあ、ハッキリ言えば余ったのがゴールド、お前だ』

 売れ残りのように言われてポケギアを握りしめる。しかしウツギ博士の頼みとなれば断ることもできない。

「わーったよ。引き受けてやる! 今度ワカバタウンに帰った時に礼を忘れるなって言っとけよ! って、切れてるし……クソ」

 最後まで聞いていたのか定かではないが何も言わなくなったポケギアを机に置くと風呂場の扉前まで行き、声を掛ける。

「あーマイ? 聞こえるか?」
「うんー、どったの? 電話してたっぽいけど」
「おー、それがよォ。シルバーから伝言で、怒りの湖近くの工場に怪しい奴がいないか見てきてくれ「行くー! 行く行く! はかせの役に立ちたいもんー!」おー……まあ、ゆっくり入ってろ」

 ノックに反応したマイは、ゴールドが電話で話をしていたのを聞いていたらしくそう答える。
 そしてゴールドが話を終わる前に返事を返して慌てたのか、風呂の桶が床に落ちる音を聞く。

「でも、まずはポケギアを直してからだからね! 約束だよ!」
「もう直してきたさ、起きるのおせーんだよ」

 流石ゴールド、先回り。というかマイが起きるのが遅すぎるだけ。
 こいつ本当にマイペースだな名前負けしてないわ、とゴールドは風呂場から離れるのであった。

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