第63話 VSミカン

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「頼もー! ミカンさん! 来たよー!」
「はぁーい! 待ってたわ! さっそくジム戦……って……ずいぶん濡れてるわね」

 あのドククラゲ大量発生事件のままアサギジムに来たので髪や服(水着)が濡れたままで、ミカンは事情を知らないので困惑気味。ゴールドが気にしないでください、と言うのでそのままスルーして、いつもの台詞を言う。
 ジム全体はそんなに広くはない。真四角な体育館のようで、照明などの明かりも設置されていなくて外からの光が天井の窓から注いでいるのみ。

「ごほん。えっと、ここのジムでは使用ポケモンは一体。もう分かってるから出しちゃうね、ハガネール!」

 土煙と出てきたハガネールはこの間みた通りのポケモンだった。複数の鉱石が連結して大蛇の様な姿をし、進化した事でイワークよりも全体的に巨大化している。
 目つきもイワークよりも鋭く赤く光る目が恐怖の対象となるが、マイはもう怖がらない、逃げ出さない。

「さあ! マイちゃん、あなたのポケモンはどうする?」

 イシオカとビビっていたマイとは大違いでミカンは内心首を傾げるがジムリーダーとしてそんな素振りは一切見せない。

「ごめんなさい! ほんとはこんな戦い方ズルいって思うけど! アルファ! 波乗り!」
「キャア!? 一気に水がジム内に溜まってる! ハガネール大丈夫!?」

 どんなに大きなポケモンもモンスターボールの中に入ってしまえばポケットサイズに収まる、それを利用してマイはラプラスのボールの中に大量の、本当にどうやったらこんなに集まるんだっていう位の水を溜めてきていた。
 それのポケットサイズから元のサイズに戻った瞬間、ジムは海中に変化する。この作戦を思いついたのは、ゴールドがコウの通信交換をする際に持ち物を持たせたままボールに戻していたからである。もしかしたら道具だけではなく物体も持ち込めるのでは、と試した結果できたので今回はジムを変化させる、そうした。

「アルファ! わたしとゴールドとミカンさんに泡を!」
「きゅ~♪」
「もー! 今はジム戦なのに~」

 ラプラスは地上ではスピードが遅くて不利、しかし海中では話しが違う。重さがあるハガネールは海中となったジムでは動きが鈍い。
 大事な時でもマイペースなラプラスにマイは肩を落とすが頭の中では違う。

(うんうん! アヤノの言ってた通り水の中の方がアルファは生き生きしてる! 動きが遅い今なら勝てる!)
「マイ! こんなバトルなんて聞いてねえぞ! こんな泡の中で戦えるのかよ!」

 身体は水中で浮くことなく立ったままでいられている。ゴールドはマイから作戦を聞いていなかったのでいきなり水中戦になりミカンと同じく混乱しているようだ。

「だいじょうぶ! ハガネールは重さ四百キロで素早さも遅い! 攻撃力は高いけど、水中戦でアルファに敵うポケモンはいない!」
「こんなバトル聞いたことないわ~! ハガネールお願い動いて! アイアンヘッド!」

 地上でも遅いハガネールが海中での突進。水をかき分けての突進だがラプラスはひょいと交わして見せる。
 水の抵抗を受けての攻撃にじわじわとハガネールにダメージを与えている。

「アルファ! 地ならし!」
「ハガネール丸くなるで身体を最小限に守って!」

 ラプラスは泳ぐのをやめ海底に脚をつけると、バタバタと地面を叩きつける。反動で海底が揺れ動き丸まっているハガネールに波の波動が直撃する。
 丸くなっていたハガネールも水には負ける、身体がゆるりとほどけてきた。

「今だ! ドリルライナー!」

 海中でのじわじわダメージにアイアンヘッドでの水の抵抗で体力低下、おまけに地面タイプ技で大ダメージを受けて、急所に当たりやすいドリルライナー。
 ラプラスが甲羅の中にヒレをしまい、ぐるぐると回転しての突撃攻撃! 効果は抜群だ。水も徐々に引いて行くが、ハガネールに戦う体力はもう残っていない。

「よーし! おまけに特訓した波乗りで決めよう!」
「キュー!」

 荒れ狂う海をイメージしての波乗りはビックウェーブ。大きな波に乗ってラプラスはハガネールを包み込んだ。そして――

「ハガネール! ごめんなさい、私の負けだわ。こんなバトルはじめてだった。やっぱり只者じゃないのね」
「やったー! ハガネールに勝ったー!」

 水が全て消えたことで泡は消えてなくなり、ガードするものはなくなった為、服は三人共ビチョ濡れ。そんな中でラプラスに抱き付いて左腕を大きく上げるマイ。

「はい、これがアサギジムのバッジ、スチールバッジ!」
「わ~! キラキラしてる! ゴールド! やったよー!」

 ミカンから銀色に光るバッジを受け取りゴールドに見せつける。今回も喜んでくれるかな、なんて思ったら……。

「ッイタ~! ゴールドなんでー!?」
「カーバ! こんな危ないバトルで何かあったらどーすんだ!」
「だって何もなかったよ! めでたしだよ?」

 そんな会話にミカンはため息を大きく吐いて注目を集める。

「ゴールド君が心配するのも分かります、けど今回のバトルは新鮮だったの! だからお願い、怒らないであげて?」
「わーったよ……。ただし今回限りだからな! もうするなよ!」
「はーい!」

 本当に分かってんのかよ、と疑いたくなる返事に返す言葉もない。まあ、嬉しそうだしいいかな~なんて思っちゃうのは普段甘やかしている貴方のせいですゴールド。
 なにはともあれ、六つ目のバッジを手に入れたマイ。このまま冒険は案外すんなりと終わってしまうのかもしれない。
実際にこんなバトルしたら死んじまうがなー!

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