第30話 フレンドボールでゲットだぜ?

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 コガネシティを探検したいと言い出したマイに、ゴールドはまあたまにはそういうのもいいだろう、と承諾をした。表の道には人ごみが、裏の道にはそれなりの人影が。

「うーん、裏道はやめておこうぜ。ワカバタウンと違って治安が悪そうだからなあ」
「ちあん? そうだね、悪そうだね!」
「うん、まあ。話を合わせてくれてありがとうな」

 どういたしまして、なんて言うがゴールドは嫌味を言っただけである。裏道をひょっこり顔だけ出しているマイの肩を軽く叩き、表にあった花屋を指さした。

「わー! お花屋さん! いい香りー!」
「ほー、流石都会だな。珍しい花がたくさんあら」
「あらら、デートかしら?」

 店の前で話し込んでいたら店内から頭に青色のカチューシャをつけたお姉さんが出てきた。暑いから中に入ったら、と言うので言葉に甘えて店内へ。
 世間話が好きなようで、ゴールド達のことをアレコレと聞いてきた。これからエンジュシティへ向かうというと、通路を邪魔をしている「動く」木があると教えてくれた。水をかけると動きが激しくなり人を襲うというので、その木をどこかに置いておきたくても、それが出来ないらしい。

「そうかあ。うーん、わたし達でもどうにかならないかな?」
「なんとかしてやりたいな。道中にあるなら行ってみるか」
「そうだね!」

 どうせ行くのだから暇つぶしにでもその「動く」木を見ておこうと二人で話していると、店員さんが店の奥に行き、すぐに戻ってきたと思ったら手にジョウロを持っていた。

「娘のなんだけどね、もう娘も大きくなって使わないからこれあなた達にあげるわ。これに水をいれて、その木にかけてみて。いらなくなったら捨ててもいいから」
「わーい! ありがとうございます!」

 ゼニガメの形をしたジョウロをもらって店から出る。結局、花は何も買わなかったのに貰い物だけしてしまってなんだか悪い気もするが……。
 さっそく、その木を見に行こうとコガネシティから離れて、北に向かう。

「公園だー!」
「おー、自然公園だな。木曜日に毎週虫取り大会を開いてるらしいぜ。まあ、マイは虫タイプが苦手だけどな!」

 コガネシティを抜け、門をくぐりぬけると草むらたくさん、木々たくさん、それでもキチンと整理されている公園をマイが発見した。
 ゴールドの言う通りここは自然公園。ここはさっさと抜けてしまおうとマイが先頭をきるがゴールドは虫タイプのポケモンは苦手ではないから、のんびりと見ている。

「もー。先行って待ってるよ!」
「おー、いいぜ。上も下も気を付けて歩けよ~」
「分かってるよ~!」

 気を付けろというのは虫が飛んで来たりするからである。意地悪なゴールドから離れようとした時、草むらから何かがマイめがけて飛び出してきた!

「っわああ! 虫さんだぁあっ!」
「じゃねえよ。ロコンじゃねえか、まだ小さいな」
「あ、ほんとだ。生まれたばかりなのかな? ゴールドの預かったタマゴはまだ孵りそうにないね」
「だなー。ってマイ、炎タイプ持ってないだろ? 可愛いし、ゲットすればいいだろ」

 手をポンと鳴らして、それもそうだと一言。ピカチュウをボールから出してシルバーに教わった通り少し疲れさせてから捕獲しようとした。
 思えば今までマイのパーティは全て、あちらからマイに懐いたから捕獲できたものだ。ゴールドはあえて何も言わないでおこうとマイを見守ることにした。

「ピーくん、あんまりやる気ださなくていいからね! まだ小さい子みたいだから!」
「きゅーっ」
「かわいいい! ゴールド聞いた!? きゅーだって! キューって名前にしよ! ピーくん、体当たり!」

 まだ捕獲する前からニックネームを決めているマイに、一筋の汗がゴールドの頬を伝う。気が早いよ、と言い掛けてやめておく。
 ピカチュウの軽い体当たりがロコンに当たると大きくよろめいた。やはり戦闘の経験がないのだろうか。ロコンはすでに肩で息をしている。
 
「きゅっ! きゅーっ!」
「わわ! 火の粉かな! ピーくんだいじょうぶ!?」

 マイが声を掛ければ、大丈夫と言わんばかりに頷くピカチュウ。試しにモンスターボールを投げる。

「きゅー!」
「あれー! 出ちゃったよ! ピーくん、影分身でロコンの目を回して!」

 これ以上攻撃をしてしまうとロコンがひん死になり捕獲ではなくなってしまう。ここは攻撃ではなく、相手を混乱状態に持ち込む作戦だ。
 ボールを準備しようとリュックに手を入れた時に、ふと気づく。

「フレンドボール!」
「お、気づいたな」

 緑色のボール、これはガンテツに作ってもらった特製のフレンドボール。このボールで捕獲されたポケモンは懐きやすくなると説明を受けていた。
 ゴールドは始めから気づいていたのか、ぼそりと聞こえない程度に声を出す。
 
「いっけー! フレンドボール!」
「どうだ……」

 二人と一匹が緊張の中見守る。ボールの動きが止まるのを確認するとようやく息ができる。そうして、今まで息をしていなかったことに気づくのであった。

「やったー! ロコン、ゲットだぜー!」
「よし、虫タイプも捕まえようぜ!」
「それはいいです」

 ある意味はじめてポケモンを一人で捕獲することができ調子が出てきたのを察して、ゴールドがふざけてみるが、苦手なものは苦手ときっぱり断る。
 旅に出るまでは断ることをしなかった(出来なかったが正しい)ので、若干マイの性格が素に近くなってきている。ゴールドは少し悲しいようであった。

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