第27話 コガネシティで大レース[後編]
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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
エーフィを後ろに乗せてスタートしたマイは周りにどんどんと差をつけられていた。
そして気がかりなのが前、後ろ、横にいるギャロップに乗っているカメラマンだ。どうやら生中継で勝手に放送をはじめてしまったらしい。
テレビに出ているという興奮と負けてしまうと恥ずかしいという気持ちが混ざって何人かのトレーナーが本気を発揮出来ないでいた。
「わあ! 前の方はごちゃついてるねぇ」
「フィー!」
一番後ろから見るレースはとてもじゃないが気持ちのいいものではなかった。自分が一番になるためならどんな手だって使う、とポケモンを出して出して出しまくっている。マイは一番後ろを走っていたため誰の標的にもなっていなかったのが救い。
「わわっ急に道がデコボコにっ!」
「おわーッ!」
「きゃっ! 危ない……! だ、だれかがポニータから落ちちゃったよ!」
緩やかな丘だらけかと思いきやデコボコの走りづらいコースに変わった。急に変わったことで先頭を走っていた内の一人が転げ落ちてしまう。
「そうだ! 転ばないようにフィーちゃん、わたしとポニータを神秘の守りで囲ってくれる?」
もちろんよ、と言うようにエーフィは目をつむり額に集中する。カッと目を開けば優しいオーラがマイとポニータを包み込む。下手に転げ落ちる心配はなさそうだ。
しかし攻めなければ勝つことはできない。考えている間にも前を走るトレーナーは戦闘を繰り広げている。気が付けば人数も半分になっていた。
「育て屋の師匠がチームワークは最高だって言ってた。つまり、全員が得意なことを一気にすれば、勝てる!」
まずは身軽なピカチュウを自分の頭へと移動させる。次にお尻側にいたエーフィをポニータの頭に乗せてもらう。最後にミニリュウを出して、自分の前においてやる。
これでフォーメーションは整った。あとは作戦を考えるだけだ。
◆◆◆
一方ゴールドは、ゲームセンターにて有意義な時間を過ごしていたのだが、大きなテレビモニターに大きな声で「コガネジム特別編! 見なきゃ損でっせー!」と宣伝の声が聞こえてきて、ん? と外に出てみてテレビモニターを見た。
「ま、マイ!?」
ポニータにまたがって丘を駆け降りる女の子はどう見てもマイ。まさかマイが勝手にジムに行くとは思ってはおらず出るはずのないポケギアを掛けてしまう。
「って出るわけねえか」
出るはずもなくテレビモニターを見上げているしかなかった。
場面はちょうど三匹のポケモンを出したシーンで、一体どうするんだ? とゴールドは考えたりもしたが分かるわけもない。
ゴールドもトリッキーなバトルを得意とするが、マイもそれに似て作戦が誰にも思いつかないようなことをしてしまうため予測が全く出来ない。
「マイ、頑張れよ!」
◆◆◆
(そうだ! 下っていくのに走る必要はないんだ!)
マイは作戦を思いついたのか、まずミニリュウに指示を出す。
「リューくん、ここからゴール先までずっと冷凍ビーム出してくれる?」
「リュー!」
「フィーちゃんは、バランスが崩れないようにポニータに手助けをしてあげて!」
「フィー」
「ピーくん、ピーくんは他のトレーナーに邪魔をされないように電磁波の準備をしていて!」
「ピッカ!」
作戦はまとまった、後は相棒達を信じて突き進むまでだ。ポニータは手持ちではないため難しい指示は聞いてもらえない、だから走るのをやめてバランスをとることに集中してもらうことにした。
ミニリュウの口から出される冷たい氷のビームはあっという間に地面を凍られる、前を走っていたポニータは驚き、その場に転がった。
その冷たさや滑りやすさに負けないようにポニータのバランスを手助けする、そして指示はされていないが、光の壁でトレーナーからの邪魔をされないようにもした。
「ピーくん! 後ろからくるよ! 電磁波!」
「ピィィイカッ!」
「きゃああっ!」
「えっケーコさん!? ごめんなさいー!」
エーフィが後ろからの攻撃を感じ取り、マイに念力で伝えると理解したマイがピカチュウに指示を出す。後ろを見ていなかったため、まさかのケーコのポケモンを攻撃してしまったがケーコは気にしていなかった。
「大丈夫よー! マイー! 絶対優勝するのよー!」
「わかったー!」
前方にはあと一人だけだ。しかし、どうやってこの距離を縮めようか。
ミニリュウは相当体力を消耗しているのか疲れが見える、エーフィはミニリュウ、ポニータ、マイを気にしているので攻撃はできない。残りはピカチュウ。
しかしあれだけ遠いとどうやって攻撃を当てればいいのだろうか。うーん、と悩む暇もない。
「ピーくん、雷ってできる? 正確に当てようとしなくてもいいよ、ただビックリさせるだけでいいの!」
ピカチュウに最大の電気を溜めるように拳を震わせている。そして、一気に電気を空に向かって放つ。
だいぶ標的とはズレてしまったが、ポニータがこんなにいい天気なのに突然の落雷! と身を乗り上げてしまい、下へくだるはずが丘にまた登りはじめてしまった。
「うおおおい、ポニータ~!」
「やったー! リューくんお疲れさま! もう大丈夫! さあ、ポニータさん、あなたの実力を見せて!」
「――!」
今まで楽をしてきたポニータもようやく自分の出番だと嬉しそうに瞳を輝かせる。
誰もいなくなったレースに全速力でゴール! 堂々の一位をマイは勝ち取ったのだった。
そして気がかりなのが前、後ろ、横にいるギャロップに乗っているカメラマンだ。どうやら生中継で勝手に放送をはじめてしまったらしい。
テレビに出ているという興奮と負けてしまうと恥ずかしいという気持ちが混ざって何人かのトレーナーが本気を発揮出来ないでいた。
「わあ! 前の方はごちゃついてるねぇ」
「フィー!」
一番後ろから見るレースはとてもじゃないが気持ちのいいものではなかった。自分が一番になるためならどんな手だって使う、とポケモンを出して出して出しまくっている。マイは一番後ろを走っていたため誰の標的にもなっていなかったのが救い。
「わわっ急に道がデコボコにっ!」
「おわーッ!」
「きゃっ! 危ない……! だ、だれかがポニータから落ちちゃったよ!」
緩やかな丘だらけかと思いきやデコボコの走りづらいコースに変わった。急に変わったことで先頭を走っていた内の一人が転げ落ちてしまう。
「そうだ! 転ばないようにフィーちゃん、わたしとポニータを神秘の守りで囲ってくれる?」
もちろんよ、と言うようにエーフィは目をつむり額に集中する。カッと目を開けば優しいオーラがマイとポニータを包み込む。下手に転げ落ちる心配はなさそうだ。
しかし攻めなければ勝つことはできない。考えている間にも前を走るトレーナーは戦闘を繰り広げている。気が付けば人数も半分になっていた。
「育て屋の師匠がチームワークは最高だって言ってた。つまり、全員が得意なことを一気にすれば、勝てる!」
まずは身軽なピカチュウを自分の頭へと移動させる。次にお尻側にいたエーフィをポニータの頭に乗せてもらう。最後にミニリュウを出して、自分の前においてやる。
これでフォーメーションは整った。あとは作戦を考えるだけだ。
◆◆◆
一方ゴールドは、ゲームセンターにて有意義な時間を過ごしていたのだが、大きなテレビモニターに大きな声で「コガネジム特別編! 見なきゃ損でっせー!」と宣伝の声が聞こえてきて、ん? と外に出てみてテレビモニターを見た。
「ま、マイ!?」
ポニータにまたがって丘を駆け降りる女の子はどう見てもマイ。まさかマイが勝手にジムに行くとは思ってはおらず出るはずのないポケギアを掛けてしまう。
「って出るわけねえか」
出るはずもなくテレビモニターを見上げているしかなかった。
場面はちょうど三匹のポケモンを出したシーンで、一体どうするんだ? とゴールドは考えたりもしたが分かるわけもない。
ゴールドもトリッキーなバトルを得意とするが、マイもそれに似て作戦が誰にも思いつかないようなことをしてしまうため予測が全く出来ない。
「マイ、頑張れよ!」
◆◆◆
(そうだ! 下っていくのに走る必要はないんだ!)
マイは作戦を思いついたのか、まずミニリュウに指示を出す。
「リューくん、ここからゴール先までずっと冷凍ビーム出してくれる?」
「リュー!」
「フィーちゃんは、バランスが崩れないようにポニータに手助けをしてあげて!」
「フィー」
「ピーくん、ピーくんは他のトレーナーに邪魔をされないように電磁波の準備をしていて!」
「ピッカ!」
作戦はまとまった、後は相棒達を信じて突き進むまでだ。ポニータは手持ちではないため難しい指示は聞いてもらえない、だから走るのをやめてバランスをとることに集中してもらうことにした。
ミニリュウの口から出される冷たい氷のビームはあっという間に地面を凍られる、前を走っていたポニータは驚き、その場に転がった。
その冷たさや滑りやすさに負けないようにポニータのバランスを手助けする、そして指示はされていないが、光の壁でトレーナーからの邪魔をされないようにもした。
「ピーくん! 後ろからくるよ! 電磁波!」
「ピィィイカッ!」
「きゃああっ!」
「えっケーコさん!? ごめんなさいー!」
エーフィが後ろからの攻撃を感じ取り、マイに念力で伝えると理解したマイがピカチュウに指示を出す。後ろを見ていなかったため、まさかのケーコのポケモンを攻撃してしまったがケーコは気にしていなかった。
「大丈夫よー! マイー! 絶対優勝するのよー!」
「わかったー!」
前方にはあと一人だけだ。しかし、どうやってこの距離を縮めようか。
ミニリュウは相当体力を消耗しているのか疲れが見える、エーフィはミニリュウ、ポニータ、マイを気にしているので攻撃はできない。残りはピカチュウ。
しかしあれだけ遠いとどうやって攻撃を当てればいいのだろうか。うーん、と悩む暇もない。
「ピーくん、雷ってできる? 正確に当てようとしなくてもいいよ、ただビックリさせるだけでいいの!」
ピカチュウに最大の電気を溜めるように拳を震わせている。そして、一気に電気を空に向かって放つ。
だいぶ標的とはズレてしまったが、ポニータがこんなにいい天気なのに突然の落雷! と身を乗り上げてしまい、下へくだるはずが丘にまた登りはじめてしまった。
「うおおおい、ポニータ~!」
「やったー! リューくんお疲れさま! もう大丈夫! さあ、ポニータさん、あなたの実力を見せて!」
「――!」
今まで楽をしてきたポニータもようやく自分の出番だと嬉しそうに瞳を輝かせる。
誰もいなくなったレースに全速力でゴール! 堂々の一位をマイは勝ち取ったのだった。