第22話 時渡りポケモンと過去

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 ウバメの森に来たものの、まだ朝日が昇ったばかりだというのにこの暗さ。
 しかも七月に近いこの季節、暑さも増してきていて体力をドンドンと奪っていく。

「なあ、マイ! ここらで一休みとするか」
「うん! ねえ、これってなんていうの?」

 ウバメの森の半ばまで来ただろうか二人は木々がぽつんと抜けているところで座っていた。マイが指さすのは小さな小さな神社のような置物で神秘的な雰囲気を出している。

「これは祠って言うんだ。中に神さまを祀っているんだと」
「へえ、この中に」

 興味津々で祠を覗きこむマイ。すると中には変わった文様の掘られたモンスターボールがお供えされていた。

「うわっ風が強い!」
「なんで急に? あっ!」

 まるで森全体が騒ぎ出したように風が木を鳴らしてつよく吹き始めるではないか。すると祠の扉が開き、からからと鈴の音をたててモンスターボールが出てきてしまった。
 しかも、運が悪いことに開閉スイッチが地面とぶつかりぱっかりと開いてしまうではないか。眩い光が発光して、二人と包み込むと思えばーー。

「な、なんだァ!?」
「ポケモン!?」

 緑色のポケモンが二人の前に現れたと同時に上空に飛び去って行く。図鑑を開く暇なんてなく、特徴も捉えられないまま逃がしてしまう形になってしまった。

「びっくりした~!」
「何だったんだろうな、今の……。それよりも、ほら。祠の中にまだ何かあるぜ?」
「お札? じゃないか。えっと、時渡りポケモンセレビィ?」

 ゴールドの言う通り祠を覗いてみればお札のような張り紙が張ってあった。そして、律儀にポケモンの名前まで書いてある。図鑑で検索をしてみたがデータがない。新種のポケモンだろうか、あとで博士に電話で教えてあげよう、なんてマイはいたずらっ子のような顔になる。
 それからまだ書いてあることがあり、マイが続けて読む。

「えっと、じぶんの かこ や みらいのこと を とも と かたり あおう?」

 普段は漢字が読めないマイであったがすべてひらがなで書かれていた為、すんなりと読めた。

「へえ、自分の過去を友と語る、ねえ。なあ、マイお前が前にいた地方のことを教えてくれよ」

 自分の過去を話し相手に伝えることが大事、なんて書かれていた方に気をとられたマイはゴールドに言われ素直に話し始める。

「わたしが前にいた地方はサニー地方っていってジョウト地方から南の方にあるって博士が教えてくれたよ。わたしは生まれた時からお母さん達と離れて故郷とは違う街で育てられたの」
「ほお……なんか悪いこと聞いちまったか?」

 首を左右に振るマイに安堵するゴールド。そして話を続けるマイの瞳は悲しそうというよりも知ってほしい、なんて訴えかけているようにも見える。

「ほんとの故郷はソウルシティって言うんだけど、その街で金色の瞳は禁忌なんだって。だからお母さん達はわたしのことを想ってくれてのことだから悲しくないよ。それに今はゴールドと同じ目の色だからとっても嬉しいよ!」
「ああ、ありがとうな」

 途中から照れてしまったゴールドは、禁忌という言葉が気になりはしたが聞くのはやめておいた方がいいと判断した。
 ソウルシティは魂が呼び交う街という意味、魂とは神さまの元にあるべきもので、その神さまが金色の瞳を持っていると言われている。禁忌というのは神さまと同じ瞳であることが罪だと言われているからだ。

「ゴールドの過去のこと教えてほしい。お父さんのこととか聞かせてほしいな」
「俺の父さんはポケモントレーナーで、世界中のポケモンを探しに旅に出てんだ。たまに連絡が来るから、母さんはそれが楽しみらしいな」
「そうなんだ。ゴールドはお父さんと同じことするの?」

 しばらく考えていたゴールドだったが、ニッと笑って

「お前と旅をすることが俺の夢だ!」
「そうなんだ! わたしもゴールドと旅をすることが夢だよ!」
「いやそこは、もう旅してるでしょってツッコミをだな……」

 ボケをスルーしたのか、ボケに気づかない天然かはさて置き。いい雰囲気になったところで特訓再開だ。
 情報によればツクシは虫タイプのジムリーダー。炎タイプのバクフーンなら楽勝だろうがマイは持っていない。それに今回は主力でミニリュウに頼るのを控えておきたいとも言っている。

「フィーちゃん、出ておいで!」
「エーフィは認めたトレーナーには「分かってるよォ!」はいはい、すまねえな! ほら特訓しな!」

 ゴールドは近くで新たなポケモンを見つけてくると少し離れたところにいる。さすがに手持ちが二匹だと辛いのかもしれない。

「フィーちゃん、この細い木って切れる?」
「ふぃ?」
「うーんとね、こんな感じに、ずばーって! 刀みたいに!」
「ふぃー」

 マイが刀を持っているような手つきをして斜めにその両手を振り下ろす。エーフィには理解できなかったらしく、頭を悩ませているようだった。
 その時、ぽんっと軽い音がしてピカチュウが出てきた。マイとエーフィに嫉妬をしたのかマイの足元にスリスリと頬をなすりつけてきた。

「ピーくん! できそう?」
「ぴかぴっ! ピーカッ」
「なんだなんだァ!? なんか出てきたぜ!?」

 ピカチュウの小さな雷が木に落ちてぱっくりと割れてしまった木の反対側から驚きの声をあげるゴールド。当然だろう突然雷が落ちて森全体に響いたのだから。
 そして何かポケモンが出てきたらしい。マイが気になって反対側まで駆けて行くとすでに捕獲完了していた。

「わーっ何ゲットしたの~?」
「こいつさ、ヒマナッツってポケモン」
「カワイイねえ~カワイイ~」

 黄色のポケモンで、ひまわりの種のような姿をしている。頭の先からは小さな芽が生えている。

「よろしくな、キマたろう」
「きまたろう? お、女の子だよ?」
「細かいことはよくあるこった、気にすんな!」

 いや気にするでしょ、と今度はちゃっかりツッコミを入れるマイだったが、ゴールドにデコピンをされてしまった。

「え~つっこんだのにぃ」
「生意気なツッコミはお呼びでないぜ~」

 そしてマイの大好きな、ゴールドの困ったような顔の笑顔を見て、あっ怒ってないと安心するのであった。

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