第8話 バトルと勝利と番号交換

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 ゴールドとマイはヨシノシティからキキョウシティへと向かっていた。
 野生のポケモンと遭遇した時は、ゴールドが自分のポケモンを出し、マイにバトルの基本の流れを教え込んだ。
 なるほど、なるほど~、とわかっているのかわかっていないのかイマイチな反応をするマイ。
 じゃあ、そろそろミニリュウでバトルしてみるか? なんて言った時。目の前に虫取り少年が現れた。

「あっお前ポケモントレーナーだな! 俺一週間前にトレーナーになったばかりだけど俺の実力! 見てもらうぜ!」
「え? わたし?」
「そうだよ! お前もポケモントレーナだろ!?」

 持っていた虫取り網(ポケモン取り網)を地面に置くとモンスターボールを右手でマイに突き出した。勝負開始――と言ったところだろうか。

「俺はこいつだ! ゆけっオタチ!」
「わー! かわいい~」
「早くマイも出せよ! バトルはもう始まってんだぞ!?」

 ごめんなさ~い、と言ってボールの開閉スイッチを手で押してミニリュウを出すと元気よくミニリュウが声を上げてバトルフィールドに登場した。

「ミニリュウなんてズルい! オタチがんばれ! 体当たりだ!」
「わわわ! えと、避けて!」
「もう一度体当たりだ!」
「避けて~!」

 もしかして:ポケモンの技 知らない。検索
 と脳内に出てくるゴールド。マイはただ避けてと指示をしている。もちろんだが避けているだけでは勝負は終わらない。
 ゴールドはマイより少し離れたところでバトルを見ているだけのつもりだったがこんなんじゃ相手の虫取り少年にも申し訳ない。つい口出しをしてしまった。

「マイ! 同じく体当たりって指示をするんだ!」
「えっ!? わ、わかった! リューくん体当たり?」
「なんで疑問形なんだよ!?」
「わかんなくて~!」

 疑問形の体当たり? はオタチに運よく当たることができた。体格差なだけあって相手のオタチはよろける。しかしすぐに反撃が始まった。

「オタチ! 電光石火でミニリュウに近寄ってそのまま乱れ引っかきだ!」
「わっ! ぜんぜん見えないよ! 何匹もオタチがいるみたいだよ~!」

 虫取り少年の指示にオタチは電光石火を繰り出す。マイが言った通り早すぎて残像ができている。あまりの速さにミニリュウもどれが本物のオタチが分からない。
このままではミニリュウが乱れ引っかきの攻撃をモロ食らってしまう!

(動きを止めないと……でもどうしたらいいの? このままじゃリューくんが傷ついちゃうよ!)
「よーし! そろそろ行け! 乱れ引っかきだー!」
「そういえば、確かリューくんは電気タイプの技も使えるって博士が言ってた! リューくん! たくさんいるオタチめがけて電磁波!」

 ミニリュウは頭の突起に電気を溜める。そして一気に辺り一面にビリビリと音を鳴らして電気を放出!

「やった! あの子が本物のオタチだよ!」
(そんなバトルもあるのか……)

 無数の電磁波が辺りに踊り狂う。残像に電磁波はあたることはない。つまり本物だけに電磁波が効く、というわけだ。
 見事本物のオタチを見つけたミニリュウは次の指示を待っている。マイは前回、泥棒とバトルをした時に「竜巻」という言葉を聞き逃さなかった。

「リューくん! 竜巻! ぜったいできるよ!」
「リュ~!」

 電撃を受けてシビれてしまったオタチは避けることができない。しかもこれはバトルだ。モンスターボールに戻すことはできるが、そんなことしたらオタチにも少年にも苦い思い出となる。ポケモントレーナーとしてそんなことはできなかった。
 泥棒戦と同じように尻尾を早く動かして竜巻を作りあげる。そして尻尾の先にできた竜巻をオタチにぶつける!

「俺の負けだ。お前……いや名前を教えてくれないかな」
「わたしはマイ。ワカバタウンのマイ!」
「マイか。俺はゴロー! マイ、強いんだな! ポケギア持ってるよな? 番号交換しようぜ。また強くなったら連絡する!」

 二人のやり取りを黙ってみていたが番号交換となればゴールドは黙っちゃいない。慌てて阻止をしようとするが、マイが不思議そうな顔をし、首をかしげるので黙って番号交換を見ているしかなかった。

◆◆◆

 何度かバトルを繰り返していると流石のミニリュウにも疲れが見えてきた。
 たくさんのポケモンに囲まれて育ってきたゴールドは何となくポケモンの気持ちを察することができるので、ミニリュウのことを気遣ってマイにアドバイスをしてやる。

「なあ、ミニリュウだけを強くするのも悪くはないがよォ。ずっとミニリュウに頼ってたらこいつ、疲れて壊れちまうぜ?」
「壊れる!? そんなのヤダよ! ごめんねリューくん、気づかなかった」

 モンスターボールの中にいるミニリュウに向かって謝罪をすると、ミニリュウはまだまだ大丈夫だから気にしないで、と言いたげに尻尾を健気に振ってみせた。

「確かキキョウシティはジムがあるな」
「じむ……?」
「あー。そっか、ワカバタウンには無いもんな。ジムっていうのは、自分の実力を測れて、勝てばそれが証明される場所さ。まあ、その街で一番強い奴とバトルをするんだよ。んで、キキョウシティはハヤトさんっつー鳥使いがいるらしいんだな、これが」

 ジムの説明を受けてマイは頬を緩ませる。ミニリュウが生き生きと戦っている姿を見て嬉しくなったのを証明できるときた。これは挑戦するしかない。

「まあ鳥使いってことは飛行タイプを使ってくるわけだから。飛行に有効なのは、わかるな?」
「え?」
「え?」
「知らないよ?」

 ここにピコピコハンマーがあるとしたらそれをマイの頭上に振り落としていたと思う。口の端をひくひくと動くのをゴールドは感じた。

「わーったよ。教えてやる。忘れるなよ? 飛行タイプには電気タイプ、氷タイプ、岩タイプが有効だ」
「おっおお? わかったよ! ありがとうゴールド!」

 後半はきっと覚えていないだろう。マイの中にある飛行タイプ弱点は電気タイプというイメージで成り立ってしまっている。
 果たしてキキョウシティに行くまでに電気タイプのポケモンはいるのだろうか。

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