第1話 わたしのはじめてのポケモン

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「さあマイ、行くぞ」
「へっ? ど、どこにですか?」

 ゴールドが呼び出したクリスと口喧嘩を始めてしまった二人に困り果てたマイはどうすることも出来ずに、二人の事をよく知っているであろうシルバーを家の電話から彼のポケギアへと電話で呼び出したのであったが、自分が思い描いていた仲直りの展開とは違いシルバーにマイがどこかへ連れて行かれてしまったのであった。

「へ、じゃない。ポケモンを捕獲しに行くんだろう?」
「そうですけど……。ゴールドさんたちを止めた方がよかったんじゃないですか?」
「放っておけば収まる。お前もよく知っているだろ?」

 ヤミカラスで空を飛びながらシルバーはマイに淡々とした口調で答えていく。
 ゴールド、クリス、シルバーは三人組、というイメージがマイにはあり、どうしてもその仲には入っていけなかったマイにとって、その三人の仲に入れてもらえていたような気がして、知っているだろ? という言葉はとても嬉しいもので、心が暖かくなるのを感じ取った。

「じゃあ、いっしょにポケモンをゲットしてくれるんですか?」
「その為に連れて来たんだ。そろそろ目的地に着く」

◆◆◆

 マイの家からはそう遠くはないが、薄暗く不気味なためあまり人が近寄らないとある洞窟にきた二人。

「ししししシルバーさん! こ、怖くないのぉ」
「ああ平気だ」
「ひゃあ!? なっなんか首に当たってきたァ!?」
「……あまり騒ぐな。ポケモンが逃げるぞ。それにお前に当たったのは上から落ちてきた水滴だ。」

 冷静に状況を把握しているシルバーを見て、彼の腕にしがみついているマイは思う。

(ゴールドさんとは違ってクールなひとだなあ……)

 なんて失礼なことを思っていた。
 奥に進むのはポケモンを所有していないマイにとって危険だろうとシルバーは奥には進まず入口に近いところでポケモンを探すことに。

「マイ、いたぞ」
「へ?」
「ほら、あのポケモン。見えるか」

 彼の鋭い目の先にいたポケモンはヘビのような細長い姿で水色の身体をしたポケモン。特徴的なのは翼のような耳をしていることだろうか。額には小さな丸い白い突起があり、大きな愛くるしい瞳をしている。

「うわあ! かわいッ「静かにするんだ、ゴールドに似てきているんじゃないか?」っぷは! く、苦しかった」

 か~わいい~、と喜びたかったマイの口をグローブ付きの手で押さえつけられ息ができずに苦しかったらしいマイは息が吸えるようになると大きく呼吸を繰り返す。
 さりげなく、ゴールドに似てきているといわれ複雑だが今はそれを考えている暇はない。目の前のポケモンに集中あるのみだ。

「あのポケモンでいいな」
「はっはいっ」

 違うポケモンがいい、という選択肢はもらえないマイ。もちろん、あのポケモンでいいマイだが。
 シルバーもゴールドに似てきてしまっていて少し強引なところがある。

「俺のポケモンを使え。はじめてのポケモンバトルだから説明してやる」
「ありがとうございます……!」
「あの状態でポケモンを必ず捕獲できると思うな。まずは攻撃をしろ」

 えっ!? ポケモンに攻撃!? とショックを受け、青ざめるマイ。当然だろう、今まで戦闘とは無縁の生活をしていた。
 ただでさえ身体が弱いマイにとって相手を傷つけるのは心が痛い。不安に揺れる瞳でシルバーを見つめる。

「大丈夫だ。倒さない程度に攻撃をするんだ。そうだな……ひっかく、と俺のポケモンのニューラに命令をするんだ」
「う……にゅ、ニューラさん! ひっかく! です!」

 使えと言われだされたポケモンであるニューラがそわそわとした態度でマイを見つめていた。戦闘がしたくてたまらないのだう。
 ひっかく、と聞いたまんま、見たまんまに、ニューラの鋭い爪先が相手ポケモンに当たった。
 目にも止まらぬ速さで移動するニューラに追いつけず攻撃をまもとに食らってしまったのか、相手ポケモンはくらりとよろけ、その場に崩れた。

「わ! すごいすごい! すごいよニューラさん!」
(デレデレするんじゃないニューラ)
「シルバーさん、次はどうすればいいですか?」
「そうだな、あの様子だと捕獲もたやすいだろう。モンスターボールで捕獲してみるか」

 はい! と今日一番の笑顔をみせるマイ。
 ボールを構える角度、相手のパワーの源の部分にあてると捕獲しやすくなる、などアドバイスを受けるがいまいち理解ができないのか、目は困っているのに口はわらってしまうという意味不明な表情になっていた。
 マイはとりあえず投げてみよう精神でテキトーに投げつけてみた。運がいいことにボールは見事にポケモンに当たった。

「やった! これでゲットできましたか?」
「いいや、まだだ。ボールの動きをよく見ろ。ボールが止まったら捕獲完了だ」

 両手を組んで前かがみになりながらボールの動きを見るマイの心臓はドキドキと脈打ってうるさい。右に左にボールが動いている、中でポケモンが暴れているのだ。
 その時間がとても長く感じるが、なぜだか嫌な気はしない。むしろ、ドキドキがワクワクへと変化して行っている。

「動きが……止まった?」
「捕獲完了。おめでとうマイ、これでこのポケモンはお前のポケモンだ」
「やったー!」

 ポケモンが入ったボールをつかむと元気よくジャンプし上に掲げる。ジャンプしたからか奥の岩陰から、ころころと小石が転がる。
 喜んでいたらニューラにご褒美を与えていたシルバーが近づいてきて、捕獲したポケモンを出してみろと言う。

「え、とこうですか?」

 ボールを弱々しく投げると中から煙とともに先ほどゲットしたポケモンが現れる。どこかに逃げる心配はない、もう自分のポケモンだ。
 わーい、かわいい! と出てきたポケモンの頭を撫でているマイに、長方形の形をしている赤い機械を手渡す。

「これは?」
「ポケモン図鑑。見覚えがあるだろう? ウツギ博士からいただいた物だ。使ってみろ。ここが図鑑を開けるボタンで、このカメラ部分でポケモンを撮影すると図鑑に登録されているポケモンが表示される」
「わ、わわ、わかりました?」
「わからないならいい、とりあえず写真を撮ってみろ」

 こんなにも反応がわかりやすい奴はいるのか? とマイの将来が心配になるシルバーだが、そんなことを思われているとは知らないマイ。嬉しそうに捕まえたばかりのポケモンを撮影する。

『ミニリュウ。ドラゴンポケモン。目撃者が少ないため幻のポケモンと呼ばれていた。脱皮を繰り返しては大きくなる生命力あふれるポケモン』

 ポケモン図鑑が機械音で説明をしてくれる。マイはそんな説明よりも、この捕獲したはじめてのポケモンの名前を知ることができることがうれしいのか、ミニリュウ! ミニリュウ! と何回も愛情をこめて呼んでいた。


「さあ、そろそろ帰るぞ」
「はっはい! 行こうっミニリュウ!」

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想