プロローグ

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

※ポケスペキャラとオリ主達の絡みのある二次創作です。
※ポケスペを知らない人でも分かるように原作とは全く異なります。
※名前とキャラを借りているだけなので誰でも分かるように書いていくつもりです。
あなたのことをいつか「     」と呼べる火が来るように。
 ずっとずっと、そう呼びたいのに、その勇気もなくて、そんな資格もないと決め込んで、心の奥底に仕舞いこんだその呼び名。
 いつか、呼んでもいいですか? わたしにそうやって呼んでもいいって言ってくれますか?



 あなたとわたし


「さて、そろそろ行くか!」

 はじまりを告げる風が吹く街と呼ばれるここは、ジョウト地方のワカバタウン。
 このワカバタウンで一番大きなお屋敷、通称「ポケモン屋敷」に住む少年の名前は「ゴールド」は誰に言うでもなく自分に言い聞かせるように元気に言葉を放った。
 
「母さん! マイのところに行って来る!」
「は~い。気を付けるのよ。行ってらっしゃい!」
「おう!」

 五月の太陽にギラギラと反射して眩しい真っ黒な髪色、黄金に輝く瞳は真っすぐ前をとらえて駆け足になる。
 マイと呼ばれた少女の自宅への道のりは遠くはない、慣れ親しんだ住人におはようと言われながらもマイの家に着く。赤い屋根が目印。

(起きてっかなー)

 マイはゴールドと違い、昔からワカバタウンにいたわけではない。
 三年前に南の地方からウツギ博士に養子として引き取られてやってきた訳ありの今年で十歳になる小柄な少女だ。
 ゴールドは内心、どうせ寝ているに違いねぇ、と悪態をつきながらも呼び鈴を鳴らししばらく玄関前で待つ。

「…………来ねぇな」

 思わず口から出た言葉は綺麗なものではない。
 かかとだけで足踏みを数回してから我慢の限界がきてもらっていた合い鍵で玄関を慣れた手つきで開けてしまう。

「入るからなー!」

 これまた我が家のように部屋へ上がっていくゴールドは真っすぐに階段を上り、上がりきったところで廊下を歩いて「マイのへや」とプレートが張られた扉をノックもなしに開ける。

「オイコラ寝坊助! い~つまで寝てんだよ!」
「……んん、あ。ごーるどさん、おあようございまし」
「おはようだろ? ったく、舌回ってねぇし、しっかりしろよ! 今日からお前はポケモンを持てる年齢になったんだからよォ!」

 薄い掛布団を顔まで覆ってすっぽり丸くなって寝ていたマイから布団を剥ぐと、手を引いて無理矢理身体を起こした。
 肩に掛かるくらいまでの茶色の髪を寝癖で跳ねさせた少女はまだ眠いのか目をこすりながら挨拶をする。

「あ~……そっかぁ、わすれてたぁ」
「あのなぁ~! テーブルに置いてあるモンスターボール! ウツギ博士からのプレゼントだろ? 歯ぁ磨いて、飯食ったらさっそくポケモンゲットしに行くぞ!」

 ゴールドに今日は何の日か説明をされてようやく目が開いた。どんぐり眼の大きな瞳はゴールドと同じ金色で、可愛らしくぱちぱちと瞬きを繰り返している。
 こうして彼に起こされることは珍しいことではない、ウツギ博士が研究やフィールドワークで忙しい時はゴールドがこうして起こしに来たり、ゴールドの家に泊まったりしているのでマイは彼がここにいることに特に驚いたりはしていない。

「そうだ! あのね、ゴールドさん。ポケモンゲットならクリスさんに助けてもらったらどうかなぁって思ったんですけど」
「ああん!? 俺だけじゃ不安だってか!?」

 マイが言った「クリスさん」とはニックネームで本名は「クリスタル」と言う。
 名前にも負けていない透き通った瞳を持つ、芯のあるゴールドと同じ十四歳の女の子である。
 彼女はポケモンゲットに関してはプロ意識が高く、まだまだ子供の年齢であるがポケモンゲットの仕事を数多くこなしている。
 彼女の特徴はそのゲット方法である。通常は手でボールを投げてゲットするが彼女は足でボールを蹴ってゲットする、という変わったところもあるが他人のために動ける心優しい少女だ。
 
「ちっちがいます! な、なんとなく、です……怒らないで~」
「まぁ~マイがそこまで言うなら……呼んでやらんこともねぇーけど」

 クローゼットから服を取り出して着替え終わったマイが顔を下に向けて控えめに言えばゴールドが顔を近づけてきて、頬に手を当てて顔を上にあげさせた。(ちなみにマイもゴールドもお互いが着替えるところを何百回と見ているので何とも思っていない)

「えっほんとうですか!」
「なんでそんなに嬉しそうなんだよ……ったく、とりあえずお前はしたくしろ。俺はその間にクリス呼ぶから……仕方ねぇけどなぁ!」
「わーい! ありがとうございます!」

 てっきり怒られるかと思っていたからか、彼の意見に目を丸くして瞬きをしていたが、彼がポケギアを手に取り、クリスに電話を掛けるために操作している姿を見てハッとした。

「あ? もしもしクリス」
『あらゴールド、珍しいわね? どうしたの? マイちゃんと何かあった?』
「あーまー……ちょっとマイの家まで来てほ『あっ色違いのオタチ! 捕獲します!』あ、オイ、クリス!? 聞いてんのかー!」
『仕事中よ! 静かにして!』
「ああ!? オイコラ! って切れてるし……」

 三回目のコールで出たクリスは外を歩いていたのか風の音が聞こえる。
 いつもの二人ならすぐに口喧嘩を始めるが内容が『マイ』と場合は案外冷静に話し合える。弱い者を守りたい気持ちだけは唯一同じらしい。
 それなのにクリスは急に態度を急変して電話を切ってしまうではないか。

「もう一回掛けてやら」

 RRR、電子音が耳元に届くが一向に出る気配はない。一旦電話を切り、ラストにもう一度掛け直してやるが出る気配はない。むしろ電話を切っている可能性もある。
 リビングの二人掛けソファーに我が物顔で座るゴールドは目の前に広がる庭に差し込む朝日に目を細めながらポケギアをポケットに仕舞いこんだ。

「ゴールドさーん」
「お、来た来た。今クリスがこっち来てっから待ってな」
「うん、歯磨きしてきますー」

 タイミング良く後ろから声を掛けられて振り返ればティアードワンピースに身を包んだマイが立っていた。
 ゴールドにそう言われると素直に頷いてから洗面所に向かう。ふわりと揺れる膝丈の白いワンピースが似合っている。

「あ、クリスだ」
「ほえ」
「あー、マイはここにいろ。見てみろよ? あのこわ~い顔したクリスさんを」

 ソファーに脚を組んで座っていたらネイティオにクリスが運ばれて庭に降り立った。
 意外と大きかった独り言にマイが首を傾げながら反応してやるが、ゴールドは苦虫を潰したような顔になりながら玄関に向かう。

「よォ! クリ「ちょっとゴールド! 何度も電話掛けて来ないでちょうだい! おかげで色違いの珍しいオタチを逃がしちゃったじゃないの!」俺のせいってか!? 電話で集中力切らしてんじゃぁ捕獲のプロもあったもんじゃねーな! それなら、これからポケモンゲットするときゃ俺に、今から捕獲するって一言言えよな!」
「なんですってぇ! 大体あなたはいつも唐突なのよ! こっちから電話には一切出ないし!」

 二人の会話はリビングにいるマイからでもはっきり聞こえた。
 喧嘩をしている姿を見て焦ったマイは左に行ったり右に行ったりとリビングをぱたぱたと右往左往して困り果てていた時、ふと頭に過ぎる一人の人物が。



「おいお前ら、何喧嘩している」
「「 シルバー!? 」」
「今日はマイの誕生日なんだろう? アイツを困らせてどうする」

 マイが思い当たった人物、それはシルバーという少年。赤く燃える炎のような髪を肩甲骨あたりまで伸ばし、名前と同じ色の銀色の瞳を持つ少年だ。

「なんでオメェがここに!?」
「マイの誕生日だから近くまで来ていた、そしたらちょうどマイから連絡が来たから急いで……あ、マイ。行くぞ」

 ゴールドがクリスから目を外してシルバーの肩を掴んで激しく揺らすが至って冷静に対処するシルバー。二人は正反対の性格だ。
 しかも、リビングから外に出て来たマイの手を掴んでどこかへ歩き出すではないか。

「はぁ!? オイコラ! シル公逃げるのか!」
「お前らいい加減マイの様子に気がつけ。ヤミカラス、空を飛ぶ」

 手を掴まれながらもマイがゴールドを気にして後ろをチラチラと見つめて来たのでシルバーを足止めしようと近寄る。

「えっ! シルバーさん!? ひゃっ! わーっ!」

 しかし、シルバーが一枚上手だった。モンスターボールからポケモンを繰り出してマイを片手で抱え、もう一本の腕でヤミカラスの脚を掴んで空へと飛んでしまった。

「オイコラシルバー! マイを返せー!」
「後で返す、しばらく二人で反省会でもしていろ!」

 クリスも追いかけようとしたがネイティオが追いつけるわけでもなく、地上に残された二人は小さくなって空に消える二人を見るしかなかった。

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