第80話

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください


タ「さてと、一応出発とは言ったけどどうやらこの町から出る事が出来る規制解除はどうやら昼からのようだね・・・。それまでは出られないって・・・どういうことなの・・・。」

ス『なんか調べ物でもあるのかな?それともただ単に交通量を調整する為?』

タ「どうだろうねぇ・・・確かにいきなり規制解除となると一気に人とかポケモンとか車とか押し寄せるだろうからそういう意味もあるんだろうねぇ・・・。」

現在のカイナシティはあちらこちらがボロボロに破壊されており立ち入りが危険と判断される建物さえもある為、迂闊に出歩くことが難しい状況にある。その為、規制解除を一気にしてしまうと人が押し寄せ混乱が生じる可能性が高い事、危険な場所がまだ把握できていないという理由で規制解除が昼からとなっているようだ。
また、こちらから出る場合もどれくらいの人々が被害を受けたか等がまだデータとして取れていない為避難者等は町の外へは一時出られず、この町の出入りは実質禁止されている状態とも言える。

タ「うーん・・一応規制解除が昼前とすると今の時間が8時だから・・・結構待つ事になるね・・・。」

レガ『あの団体は町の外に逃げたから残った団員を捕まえようという意識があるのかもしれないのかな・・・?』

タ「そういう意味合いもあるだろうけど、残った団員なんて殆ど下っ端が多いだけだし捕まえたところで団体の中身の事を話すとは思えないんだけどなぁ・・・。ん?あのポケモンなんだ・・??」

タツミが指さした所を見てみると緑色のフードをかぶったようで頭がつんつんしたホウエンでは見かけないポケモンを見つけた。しかし、かなり人目に付きにくい場所に倒れている点が少々不審な感じでもあった。

ス『あのポケモンなんだろう・・・?僕でも見たこと無いよ?もしかして他の地域のポケモンかもしれないけど・・・。』

タ「それよりも倒れているって事は・・・・・やばい!急いでポケモンセンターに連れて行くよ!」

タツミ達は一旦考えたが、すぐに倒れているという事は相当弱っていると判断しそのポケモンに急いで近寄った。

『はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・。』

タ「まずいな・・・相当弱っているみたいで息も相当荒い・・・・急いでポケモンセンターに連れて行こう・・・!レガ、スパイア頼んだよ!」

レガ『了解!』

ス『分った!任せて!』




その後、謎のポケモンを抱きかかえ空を飛ぶでポケモンセンターへと向かったタツミ達。そのポケモンは相当弱っているのか息も荒く目を開ける事もままならない状態だった。

レガ『でもそのポケモンなんて名前なんだろうね・・・今まで見たことも無いよ・・・あっもうすぐポケモンセンターに着くよ!』

タ「分った・・・頑張れよ・・・もう少しだからな・・・。」

そうタツミは話しかけたが答える元気も無いのかそのポケモンはただ荒く息をしているだけだった。

そして、無事にポケモンセンターへと到着し直ぐにジョーイさんの元へと駆け寄り・・・

タ「ジョーイさん!なんか道端で倒れていて・・話す事もままならない位息も荒く・・・・・。」

ジョーイ「これは大変!直ぐ治療室へ!ラッキー急いで!・・・貴方達はここで待ってて、まずはその子の治療が先よ。」

そう言うとジョーイさんに呼ばれたラッキーが担架を持ってきてその上にそっとそのポケモンを乗せ治療室へと入っていった。

タ「大丈夫かな・・・あのポケモン・・・・。」

ス『多分大丈夫だと思うけど、今は無事な事を願うしか無いよ・・・。』

レガ『でもあのポケモンなんだろうね・・・この地方でも一度も見たことないしカントーとかジョウトでも見かけなかったポケモンだけどなぁ・・・。』

タ「多分まだ行ってない地域のポケモンなんだろなぁ・・・でもそうだとしたらどうやってこの地域に来たんだろう。」




30分くらい座っていたら治療室入り口上にあるランプが消え、中からジョーイさんとラッキーが押す担架の上でスヤスヤと眠るそのポケモンの姿があった。

タ「あっ、ジョーイさん・・・・。」

ジョーイ「もう大丈夫ですよ?でも貴方達がここに連れてきてくれなかったら本当に危なかったわ、ありがとう。」

タ「いえそんな・・・それよりもジョーイさん、あのポケモンなんていうポケモンなんですか?」

ジョーイ「えっ?ああ~このポケモンはハリマロンって言うポケモンよ。でもおかしいわね・・・ここら辺じゃカロスのポケモンは居ない筈なのに・・・・。貴方達はどこで見つけたの?」

タ「うーんと・・・確かこの近くのちょっと目の付きにくい場所に横たわっていました。でも周りにはトレーナーと思われる人は居なかったんですけどね・・・。」

ジョーイ「そう・・・とにかく暫くは安静にしておかないといけないわ。」

そう言うとジョーイさんとラッキーは病棟の方へと向かった後、タツミ達はその後の事について話し合うことにした。

レガ『一旦保護したから今後がどうなるのか気になるのは気になるよね・・?でもこの後の事もあるしどうしようか・・・。』

ス『でも実際の所、仮の話で誰かの手持ちポケモンだったら返してあげないといけないような気もするけどそんな事してたら時間が幾らあっても足りないしなぁ・・・。』

タ「まぁちょっとこの後の状態次第で今後の予定を考える事にしよう。とりあえずジョーイさんからなんて言われるかだよねぇ・・・。っていうかカロスってどこだ?」

ス『僕も初めて知ったよ・・海外かな?』

レガ『海外の事かもしれないね、他の地域でそういう名前の地域無かったから海外で間違いないと思うよ。』

タ「うーむ・・・今の時間は10時ちょっと過ぎかぁ・・・まぁまだ規制解除されてないからそれ程急がなくても良いか・・・。」



10分くらい話し合っているとジョーイさんから話し掛けられた。要約するとあのポケモンは今まで虐待と思われる事をされていたらしく相当人間不信に陥っていると言うこと、トレーナーはおらずただ弱い等のトレーナー側の都合で捨てられている可能性が高いと言うことだった。

タ「それで僕達に何をしろと・・・・。」

ジョーイ「そんなに気を張ることじゃないわ。ただ傍に居てあげて欲しいの、このままだとあの子は本当に人間不信に陥ってしまう・・・そうなると人間自体を攻撃したりして大変なことになるの。だから貴方達仲が良いからお願い出来ないかしら?」

タ「うーむ・・・でも僕達そんなに凄いコンビじゃないですよ?」

ジョーイ「大丈夫よ、貴方達なら。それじゃあお願いするわね。病棟の301号室に居るから・・・何かあったら傍にあるナースコールで呼んで。後、リザードンの炎には本当注意してね、最近炎タイプが原因の火事が多いから・・・。」

タ「・・・・分りました・・。スパイア注意してね。」

ス『うん・・・・。今までそんな事言われたこと無いのに・・・相当多かったんだろうなぁ・・・。』

タ「まぁそんなところだろう、じゃあ行こうか。」


病棟の廊下は人々で溢れかえっていた。その中を慎重に歩いて行くがあまりの人の多さに中々思うように進むことが出来ない。元々大きなポケモンセンターで入院病棟も多い部類に入るが、それが埋まっていると言うことは相当今回の事件で被害を受けたポケモンが多いと言うことなのだろう。タツミ達・・・特にスパイアは慎重に歩きハリマロンが居る病室の前に辿り着くことが出来た。ここは先程までの相部屋病室が中心の建物とは違い、個室病棟中心の為それ程人は多くない。
恐らくジョーイさんの気遣いで人間不信に陥っているハリマロンをこれ以上刺激しないようにこっちにしたのかもしれない。タツミ達は一呼吸置き病室の中へと入って行った。

病室の部屋自体は広くは無いのだが個室と言うこともあって相部屋の場合よりもかなりの余裕がある。恐らく大型ポケモン等他のポケモンと一緒の部屋にすると相当狭くなる場合などはこちらの部屋を使うのだろう。しかし、今回はハリマロンという小さなポケモンだけだった為相当広く感じてしまったのかもしれない。

タツミ達が部屋に入るとハリマロンはまだ目をつぶったままで眠っているようだ。起こさないように静かに部屋の中に入ると近くにあった椅子に腰掛け目を覚ますのを待つ。

レガ『案外白を基調としていて清潔感がある部屋だね。』

タ「そりゃあ、病院だからなぁ・・・病室が清潔感無かったら一番いけないから・・・にしてもここからの景色も案外良いもんだねぇ・・。」

ス『手前に町並みが見えて奥に海とウィング達と行った橋が見えるのかぁ・・・結構良い景色・・・。』

タツミ達が他愛ない会話をしていたらハリマロンが目を覚ました。しかし・・・




ハ『!?』

案の定ハリマロンは相当驚きその驚いた勢いでベッドの上から落ちてしまう。ベッドの高さは結構ある為、背中を打ち痛がるがそれでもタツミ達から逃げようとするハリマロンを見てレガがそっと体を持ち上げベッドの上へと乗せる。どうやら人間だけが不信のようでレガの時は特段抵抗も何もしなかった。

タ「君ってどこから来たの?」

ハ『・・・・・・・・・。』

ス『どこから来た?』

ハ『・・・・・・・・・・。』

レガ『どこから来たんだい?』

ハ『・・・・・カロス。』

タ「僕はまぁ人間不信だから喋りたくないのは分るけど、スパイアはどうしてなんだろ?それよりもポケモンの言葉って全世界共通なんだね・・・日本語話しているとは・・・。」

ス『レガには答えてくれるのに僕には答えてくれないって結構ショック・・・・・。多分向こうの地域もこっちの地域もそれ程言葉に差は無いと思うよ。』

レガ『うん、確か前聞いた話だと特段言葉が話せなくっても何とかなるって。だからそんなに気にする事は無いと思う。それでスパイアはそんなに気落ちすること無いよ。それよりもカロスからどうやって来たの?』

ハ『人間と一緒に・・・船に乗ってきて・・・・そして・・・・。』

レガ『なるほど・・・やっぱり船みたいだね、それに人間と一緒って事は相当金持ちかなんか世界を飛び回っている人のポケモンだったかもしれないなぁ・・・。』

タ「確かにここの地域は外国からの客船とかも多いし、港町だからそういう可能性は否定できないね。」

レガ『でもなんで人間不信なんてなったの?結構そういう所から来るポケモンって大事にされてそうなんだけど・・・・。』

ハ『・・・・バトルで負けて・・・そのまま殴られ蹴られ・・・・気を失って・・・気づいたらここに居た・・・。人間なんてみんなみんな・・・あいつみたいに・・・。』

タ「やっぱり虐待か・・・・でもこのまま人間不信のままでもいけないと思うぞ。」

レガ『それは僕も思う、この世界で生きている以上人間と接しないといけない時も出てくるからなぁ・・・。人間は嫌いかい?』

ハ『・・・・嫌い・・・・大嫌い!!』

ス『こりゃ重症ですな・・・。』

ハ『さっきからうるさい!そこのトカゲ!!』

ス『と・・・トカゲ!?・・・・・そこまで言われちゃ黙っておけない・・・!』

スパイアはトカゲと言われたことに腹を立てたようで室内にも関わらず尻尾の炎はいつも以上に青く燃え上がり、今にもハリマロンに対して火炎放射を放ちそうだった為、タツミはとにかくスパイアの近くに一応消化器を置いた後止めに入った。

タ「スパイア、落ち着け!相手はまだ子供なんだから!しかも草タイプに炎タイプの技放ったら効果抜群で余計にジョーイさんに怒られるでしょ!」

ス『いんや、子供だからって言って良いことと悪いことがある事くらい分るでしょ!ってかトカゲってそれ絶対ヒトカゲの事でしょ!僕はもうリザードンなの!!そんな事も知らないのかって!!離せ!タツミ!』

スパイアとタツミがギャーギャーと騒いでいる中レガはとりあえず事情をまじまじと聞き入っていた。



その後も暫くスパイアの怒りは収まらなかったのだが、とりあえず室内で危険と言うことでなだめてハリマロンの事情をレガを介して伝えて貰うことにした。

レガ『とりあえず外国からある人と一緒に来てこっちでバトルして負けたのがきっかけで急に殴る蹴る等の暴行を受けそのまま捨てられてタツミに拾われた・・あー疲れた・・・という感じで良いみたいだよ?』

タ「なるほど・・・やっぱり人が絡んでいたのか・・・でもレガにしか心許してないからどう接するか何だよなぁ・・・とりあえず話し掛けてみますかぁ・・・。なんか話すことは無いかい?」

ハ『・・・・貴方話せるの・・・・!?僕の言葉が分るの・・・!?』

タ「そうやね・・・まぁ一応話せるし言葉も分るよ。それで虐待されたから人間が嫌いになったのかい?」

ハ『いや・・・それもあるけど・・・急に態度を変える人間・・・・どうせ貴方もそうなんでしょう?檻の中に入れて・・・。』

タ「いや、違うよ。実際気分とか天候とかで変わるけど・・・パートナーを大事に思う気持ちは変わらないよ。って檻の中って何のこと?」

レガ『うん、僕だって気分次第だけど実際心の中では思っているよ。まぁただ手を出したらいけないんだけどね・・・。檻って何?この子もしかして捕まっていたとか・・?』

ハ『違う!何でも無い!でも・・・あいつは・・・・お前だってそうだろ!!!!』

ス『タツミ危ない!!!!』



ハリマロンが急につるのむちでタツミの腕や顔を強く叩いた。当たった所からは血がじわっと垂れてきておりそれを見たスパイアは一気に攻撃態勢に入った。

ス『お前!!!いい加減にしろ!!』

スパイアは今度こそ火炎放射を放とうとしたがその前にタツミが立ちふさがった。それに続きレガもスパイアの前に出てくる。

タ「スパイア!!駄目だ、今ここで攻撃したら余計に酷くなる・・・少し落ち着け、深呼吸してみろ。」

レガ『・・・スパイア、確かにタツミが傷つけられて怒るのは分る。でも今は違う事するべき時だろ?とりあえず落ち着け、そしてジョーイさんから救急箱を借りてこい。』

ス『・・・・・タツミ・・・ごめん・・・・分った。』

スパイアはレガからそう言われると攻撃する事を止め救急箱を取りに部屋から出て行った。

ハ『ぼ・・・僕・・・・・。』

どうやらタツミが血だらけになっているのを見てとても申し訳なく思ったのだろう、ハリマロンは明らかに動揺している様子だった。

レガ『タツミ大丈夫?相当血出てるけど・・・・。』

タ「まぁ大丈夫だろう、ただ着替えないといけなくなったなぁ・・・このまま町歩けないし・・・。それよりもハリマロン。」

ハ『・・・はい・・・。』

タ「今なんて心の中で思った?」

ハ『なんか・・・・心が痛い感じがした・・・。』

タ「そう、傷つけられる・・・傷つけるとそういう思いが心の中に表れるんだよ?そういう気持ちがあるとなんか罪悪感は無いかい?」

ハ『うん・・・・・、ある・・・。』

タ「その気持ちが大事なんだよ、その気持ちがあるならまた何時か立ち上がれるよ。それよりもまず傷つけて申し訳ないって思ったらなんて言う?」

ハ『・・・・・ごめんなさい・・・・。』

レガ『そういう気持ちが大事だからこれからも忘れないようにね?大丈夫だよ、君なら良いパートナーと出会えると思うよ・・・それよりもスパイア遅いな・・・。』

ス『お待たせしましたー!!』

ジョーイ「怪我したって本当!!?ってかなり血だらけじゃないの!!」

レガ『何故ジョーイさんを連れてきたんだ?(震え)僕は救急箱を持って来いって言ったはずだけど・・・・。』

ス『なんか言葉伝わらなくてとりあえず連れてきたw救急箱を指差したんだけどなんか一緒に来るって言って来たw』

タ「あらら・・・なんかかなり大事になってきたなぁ・・・。あっ、ジョーイさんこのハリマロンですが・・・やっぱり暴行とか受けていたみたいです。」

ジョーイ「やはりそうだったの・・・恐らく他の国のポケモンだからこの前来た客船のお客さんのポケモンだろうなと思ってたけど・・・やっぱり・・・。それよりもちょっと消毒するわよ。」

タ「ええ、痛った・・・・やっぱり結構深く傷行ってるのかなぁ・・・。」

ハ『・・ごめんなさい・・・僕が急に叩いたから・・・。』

タ「気にするな、それよりもハリマロンこれからどうするんですか?」

ジョーイ「もう客船が出たのは騒動が起きる数日前だったら今頃どこを行っているのか・・・連絡も携帯電話が船内は圏外になる場合が多いからちょっと無理なのよね・・・。」

タ「そうなんですね・・・でもこのままでもなぁ・・・。まぁもしかしたら何か思い立って船に乗らずに町の中にいるかもしれないから一応探してみるのも良いかもね・・・?」

ジョーイ「それは構わないけど、まだ完全に回復していないんだから気をつけてね・・・今も外は結構物騒だったりするから・・・・。」

タ「それなら僕達だけで探しますか・・・?それだったらハリマロンに負担になることも無いと思いますし・・・。」

ハ『・・・・いや・・・僕も行く!!』

ジョーイ「そう・・・でも気をつけてね、何かあったら直ぐ逃げるのよ・・・まぁリザードンとカイリューが居るならまだ大丈夫かしら・・・?」

ス『勿論!僕達が居るから何かあったら直ぐ守るよ!』

レガ『まぁこういう事になったから・・・全力で守るから!』

タ「じゃあそういう事で早速行って来ます。規制が解除されて他所の地域の人が入ってきたら探すのが本当困難になると思いますんで・・・。」



町の中は基本的に警察関係者や消防関係の人が多く、また現在は規制実施中で他の地域の人は居ないためこの近くに居る人は限られている。その中で一般人と思われる人を探すのは容易いことだった。しかし、いざ一般人を探そうと思うと出てこないのが筋というもので警察等には会えても一般人と思われる人は中々見つからない。

タ「うーむ・・・警察や消防は基本制服着ているから・・・海外から来た人を探すのは楽かなぁと思ったけど甘かった・・・。それよりなんか視線を感じるんだよなぁ・・。」

ス『そうかな・・・?僕は特段何も感じないけど・・・。でも海外から来るって事は相当身なりはしっかりしているって事でしょ?こんな状況の町でそんな姿をしている人は・・・居たよ・・・。』

レガ『まさかこんな場所にそんな人は・・・・いるね・・。ぴったしの人が・・・ハリマロンあの人じゃ無いよね?まさか・・・?』

ハ『・・・あいつです・・・・。間違いなく・・・あいつが僕を捨てたんです・・・。』

全員が見つめる先には高そうなスーツと帽子をを汚しながら何かを探すある外国人と思われる人が居た。壊れた建物の近くで何かを探しているようだが、着ている服と壊れた建物は相当ミスマッチで端から見ると不審者にも思える位だった。

タ「一応話だけ聞こうか・・・でも僕英語無理やなぁ・・・。言葉通じると良いんだけど・・・。」

タツミは静かにその男性に近づいてみた、すると男性の方もタツミ達に気付き目を丸くしてこちらを見つめ返していた。

タ「まさか・・・本当のトレーナーか・・・あの~・・・もしかしてハリマロンのトレーナーの人ですか?」

男「はい・・・あっ、私言葉分りますので大丈夫です。それよりもハリマロン・・・・。」

男性はハリマロンを見つめるが、当のハリマロンは男性に見向きもしていなかった。それを見た男性は身につけていた帽子を取り深々と頭を下げる。

男「すまなかった・・・私がもうちょっと考えて行動していれば君をこんなにも寂しい思いをさせなくて済んだのに・・・私の行動が軽率だった・・・申し訳なかった。」

ハ『・・・あんな事しておいて何が済まなかっただ・・・僕がどんだけ辛い思いをしたのか分っているの!!』

そうハリマロンは叫ぶとつるのむちでまたタツミと同じようにその男性を叩こうとした・・・しかし・・・




男「・・・・・!!!!貴方・・・なんで・・・・。ふっ・・・。」

タ「実際さっきもこうやって叩かれたんで痛いのは分るんですが・・・やっぱり他の人が傷ついて血が出るところは流石に見たくないなぁと思って・・。血も苦手ですし・・・。あと何で吹き出したんです?」

男「すまなかった・・・ちょっと思い出し笑いしてしまって・・・。」

この時点でタツミは不審に思い男から少し身を引く。それに対して男の目はハリマロンにしか向いていなかった。

ハ『・・・!!!・・・あ・・・また僕・・・。』

ス『おい、そこの小さいの。直ぐに手を出したらいけないだろ?さっきもああやってタツミを傷つけて・・・まだ分らないのか?』

レガ『スパイアはちょっと口調が強すぎる、僕が代わりに話そう。さっきも同じように人を叩いたけどそういう感じで手ばっかり出していると負のスパイラルに陥るよ?』

ハ『僕・・・・本当・・・ごめんなさい・・・・・。』

レガ『謝れば済むって話じゃ無いんだよ・・・今回に至ってはもう2度目だからね?少しは相手の事も考えてから行動しないと・・相手も自分も傷つくことになる・・・。』

タ「レガ、もう大丈夫だ。ちょっと血が出ただけでこの人には怪我は無いからね?それよりも貴方も貴方ですけどね?それ位分ってますよね?」

男『はい・・私はハリマロンに対して酷い事をしました・・・船が出航する時もずっと心の中に残っていて・・・だから船はここで降りてハリマロンを探していたのです・・。」

ハ『もう今度は騙されない!!前もそう言って連れ戻したけど結局その後ずっと殴ったりしてたじゃ無いか!!!!』

ス『マジか・・・それが本当の話だったら・・・・。』

レガ『まぁ聞き捨てならんなぁ・・・タツミ、その男からちょっと距離取ってた方が良いよ。なんか嫌な予感するからね・・・。』

タ「・・・・分った。とりあえず貴方がやっていた事はどのみち警察には言わせていただきますので。それじゃ。・・・・・ようやく正体を現したね・・・?」

男「ふ・・・ふははは!!ちっ・・・厄介な奴等を連れてきやがって・・・お前はどのみち取引先の奴隷として働く運命なんだよ!良いからこっちに来い!!お前みたいなレアポケモンは高くで取引されるんだよ!!」

その男は急に人が変わったように叫んだと思うとハリマロンの方へと走りだした・・・しかし

ス『少しは分らせないといけないみたいだな?これはちょっと真面目に・・・・ね?タツミ。』

タ「まぁ良いんじゃ無い・?なんか相当あれみたいだしね。」

その後男の足下に火炎放射と破壊光線が打ち込まれる。それに怖じ気づいた男は逃げ出したがその後ろには何故か警察車両と警察官が男を睨んでいた。

男「なんで警察までいるんだよ・・・ちっ・・あいつら余計な事を言ったな・・・。」

警察「ポケモン虐待および窃盗、密売の疑いで署までご同行願います。」

男「誰がここで捕まるかよ!!」

警察官数人が男を確保しようとしたが男は逃げ出す・・・しかし

警察「逃がすか!ガーディ噛みつけ!!」






その後無事に男は確保され警察車両へと乗せられた。タツミ達は近くに居た警察官に事情を聞いてみると

警察「ジョーイさんから連絡があって君達の後ろをずっとついて行ってたんだ。なんか虐待されていたポケモンが来たって。それで追っていたらあいつが現れてね・・・あの男は国際警察でも手配されててね・・・まぁ俗に言うポケモンハンターの仲間の1人で、最近になってこの地域に潜伏しているって話で警察でも追っていた所なんだ。君達のお陰であいつを捕まえることが出来たよ。ありがとう。」

タ「いえいえ・・・それじゃあ僕達は一旦ポケモンセンターに戻ります。」

警察「付きまとってしまってごめんね・・・ジョーイさんにもよろしく言っといて。」



その後ポケモンセンターに着くとジョーイさんが駆け寄ってきた。

ジョーイ「なんか大変な事になったみたいね・・・?知り合いの警官に連絡して付いていって貰ったけど大丈夫だった?」

タ「一応ギリギリの所で・・・・でもこのハリマロンどうしますか・・・・トレーナーがあんな状態じゃとてもじゃないけど返すことは出来ないですし・・・。」

ジョーイ「そうなのよね・・・・じゃあこのセンターを手伝って貰おうかしら?丁度最近は凄く人手が居るのよ・・・。まぁハリマロン次第だけどね?」

ス『おっ、もう昼か・・・そろそろ出発しないと予定の時刻に着かなくなるよ~タツミ。』

タ「もうそんな時間か・・じゃあ僕達はこれで・・・ハリマロン元気でね?」

ハ『・・・・・・・・・・・僕嘘ついていました・・・。本当は捨てられたんじゃ無くて逃げ出してきたって・・・でもその事言うとまた新しい問題が起きるから・・・。』

タ「素直に話すと良いよ。そうすると相当気持ちが楽になるから・・・この後の事はゆっくり考えていけば良いよ。それじゃあね。」

ハリマロンはそう聞くと下をずっと向いたままタツミと言葉を交わすことは無かった。タツミはきっとお別れが辛いんだろうと思いそっとし静かにポケモンセンターから出た。そして、スパイアの背中に乗りフエンタウンへと向かった。




タ「まぁあれで良かったのかなぁ~。あのポケモンセンターで良い助手になってくれてると良いんだけどねぇ~。」

レガ『あの~・・・タツミ・・・その事でちょっと相談が・・・。』

タ「?・・・・・・!?」

ス『なに?どうしたの・・・・・・!?』

レガの腕にはさっきまでいたハリマロンが何故か居た。しかも満面の笑みである。

タ「レガ・・・ちょっと話してみて。どういうこと?」

レガ『いや~・・・なんか急に尻尾に何か掴まってきたなぁって思ったらハリマロンが居てねぇ・・引き返すにも引き返せなかったからこのまま連れてきた(^_^;)』

ハ『無理矢理付いてきてしまってすいません・・・でも・・貴方達なら絶対守ってくれるって思って・・・後直感で貴方とならついて行っても良いと思ったんです!だから貴方達に付いていきます!』

タ「なんか強制力あるような感じなんですけど・・・まぁ別に構いはしないけど・・・本当に良いの?知らない土地だよ?」

ハ『はい・・・それと・・・どうしても怪我をさせてしまって申し訳ないと思って・・・何かそのお詫びにと思ったら・・・次は僕が守ります!!』

ス『なんか話が全く分らないんだけど・・それよりももう少ししたらフエンタウンに着くよ。』


フエンタウンは現在立て替え工事中だったりして慌ただしく動いている為、一旦バンギラス達が居る森の中へと戻ることにした。

タ「でもハリマロン、そんなに簡単に決めて良いもんかい?一生に一度のパートナー選びを・・・。それに僕はそんなに凄く無いよ?逆に幻滅するよ?」

ハ『大丈夫!僕を守ってくれたし僕に教えてくれたりした!だから僕は後悔はしてない!』

タ「まぁそこまで言うなら・・・じゃあこれからよろしくね?」

ハ『うん!』

ス『まぁ何とか丸く収まったと言うことで・・・あっもう着くよ~。』

リフレッシュ工事を1話からし出してますが一体どれくらい掛るかなぁ・・・。

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