忘れるって幸せ

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今夜もムウマがふよふよ星の輝く空をふわついていると、同じくふよふよ、でもなんだかおぼつかない様子で飛んでいる星のようなポケモンに出会いました。

どうやらひどく疲れているようで、声をかけつつ近くの水辺まで一緒に降りていくと、星のようなポケモンはそのままぐったり眠り込んでしまいました。病気かな?でも熱はなさそう。うーん、どうしよう ムウマは元気になるよう「いやしのすず」を鳴らしてあげました。

それが効いたのか、しばらくすると星のようなポケモンは目を覚ましました。集めてきていたオレンやオボンを差し出すと、勢いよくガツガツ食べて星のようなポケモンは元気になりました。

君は誰?どこから来たの?どうしてこんなところにいるの?といくつか質問してみましたが、星のようなポケモンは答えることができません。かろうじて、自分の名前がジラーチだということは覚えていましたが、どうして飛んでいたのか全く覚えていないようです。

行くあてがないなら一緒にいらっしゃいよ。 ムウマはジラーチを連れて洋館へ戻りました。ヨマワルとカゲボウズを呼んで一緒に廊下で追いかけっこしたり、お気に入りの絵本を読んだりして遊びました。

そのうち出かけていたムウマージが戻ってきて、ムウマはジラーチを紹介しました。記憶がなくて困っているみたいと伝えると、ムウマージは少し考えこんでから、色々道具を持ってきました。

魔法陣の描いてある絨毯にジラーチを乗せて、使い込んだ水晶玉に呪文を唱えると、玉の中にもやもや雲が浮かんで来ました。 それをムウマージはふむふむ、そういうことね。それならあれを……とぶつぶつ独り言まじりに見ていました。

もやもや雲が消えるとムウマージはふふっと笑って、記憶を戻せる薬を作ると言いました。材料が足りないというので、ムウマとジラーチはメモを貰って材料探しに出かけました。

木に生ったばかりのしろぼんぐり、橋の一番高い所からスワンナが落とした白い羽、広い草むらにほんの少しだけはえている白いハーブ。全部とってくるのは大変でしたが、二匹でいると不思議と楽しいのでした。

取ってきた材料をムウマージに渡すと、中くらいの鍋に入れてぐつぐつ煮込みました。なんだか甘い匂いが漂って、いい感じ。 仕上げに白いビードロを一吹きして、さらさらしたミルクのような薬が出来上がりました。

ジラーチが薬を一口飲むと、ほわほわした安心感に包まれました。そうだそうだ、自由に空を飛んでたんだった。星の降る渓谷で住んでいるポケモン達と遊んで、見守るのが自分の使命だった、忘れてた。急いで帰らなくっちゃ。

記憶を取り戻したジラーチは、ムウマとムウマージにお礼を言って飛んでいきました。よかったねムウマ。

きょうのおはなしはこれで……あれ?ムウマージの水晶玉に何か映ってる。

鼻につくような薬品の匂いが漂う、どこかの研究所のようだ ジラーチが冷たい実験台の上に乗せられて、お腹の目に機械光線を当てられている……嫌がっているみたい。なんだかとっても苦しそう。何度も何度も繰り返されて、へとへとになったジラーチは力を振り絞って研究所の天井に穴を空けて飛び出した。

……というところで、映像は終わった。 もしかしてムウマージの作っていた薬って……! ……あれ?なんの話をしていたっけ?

とにかく、きょうのおはなしは、これでおしまい

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