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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「広場に着いたか。なるほど…凄まじい数だ」

ガブリアス達は広場へと到着し、先程よりも多い兵士の数に驚く。予想でも広場に人が多いだろうと言われてはいたが、予想を遥かに越えていた。
そして…補佐もいる。

「…ようこそ!哀れな敵対勢力諸君!私は補佐、ダゲキ!」
「そして遊撃手、ナゲキ!」

青と赤の体に柔道着のような服を着た二人がいた。ガイラル達が戦ったエンペルトと同じくらいの実力派だ。

「…いくぞみんな!ここを抜ければ…城へ入れる!」
「おぉー!!」

ガブリアスの号令と共に、全軍がぶつかり合った。





「…アイツは…幹部、ジャローダか」

ゲッコウガは城の一階へと既に侵入しており、巨大な内部の天井に張り付いていた。下には、ジャローダが待ち構えており、ピリピリとした雰囲気だ。

「…ミロカロスの妹だかなんだか知らんが…抹殺してやる…!」

ゲッコウガはそのまま急降下し、ジャローダへと襲い掛かろうとする。が、ゲッコウガは凄まじい悪寒を感じた。

「っ!?なんっ…」

ゲッコウガは空中で向きを変え、離れようとする。その瞬間、鋭い斬撃がゲッコウガの背中を切り裂いた。

「ぐぅ…!斬…撃…!?」

ゲッコウガは吹き飛ばされ、地面に叩き落とされる。
そこに…エルレイドが現れた。

「…少し、調子に乗りすぎたな。ゲッコウガ」
「エル…レイド…か…!」

エルレイドの刀から、大粒の血が垂れていく。先程の攻撃はエルレイドが放った物だった。

「…スパイとは生意気な真似をしてくれる…それほどまでに金が欲しいのか?クズめ」
「ふっ…、わかってもらおうなどと思ってはいない。ジャロスに従え、悠々と暮らしてきた貴様なんぞにな」

とゲッコウガは立ち上がりながら答えた。
そこにジャローダも近づいてくる。

「…君こそ分かんないでしょ。僕達の憎しみがさ?…話してる暇なんかないんだよ、さっさと…死ね」

ジャローダは根を鋭く尖らせ、ゲッコウガにとどめを刺そうとする。その時、エルレイドとジャローダは上を見上げた。ミロカロスが放った大砲に気がついたのだ。

「ちっ…!」

エルレイドは外に出て、エネルギーを斬りに走っていく。

「…ミロカロス…鬱陶しい真似を…。…?くそっ、逃げたか」

ジャローダが再びゲッコウガを見ると、ゲッコウガは消えていた。本拠地に戻ったのだ。

遠くで、エネルギーが斬られる音がした。再び、エルレイドに止められたようだ。





「ここが…入り口か」

ルカリオ達は大きなドアの前に到着した。本来ならば、避難用のドアだ。ミロカロスいわく、城の中をしっかりと把握していなければ気づきにくい場所にあるので、神の支配者は知らないかもしれない…とのことだ。
これだけの兵士、そしてヨノワールがいたことから、その可能性は低い。だが、無駄な情報とまではいかない。
つまりは、ドアを開ければ分かることだからだ。

「…いこうか。何があるかわからない。十分、注意しよう」

とキリキザンは、ドアをゆっくりと開いていく。

中には、薄暗い通路が広がっていた。灯りは無く、ほのかに埃臭い。大分、使われていないようだ。

「埃…だらけじゃな。長いこと整備されていない。案外、神の支配者はここを知らなかったのかもしれんのう」
「そう決めるのは早計じゃないですか?…何処と無く、違和感を感じますよ」

そう言い、キリキザンは置いてある木箱の地面を見る。
そこには、引いた跡が残っていた。最近できた跡のようだ。

「これはっ…!」
「…戦闘でずれた可能性も無くはないが…気を付けようか」

3人は慎重に、進んでいく。やがて大きな広間へとたどり着いた。
相変わらず暗い。

「広場…中央に繋がる扉があるはずだ。じき目も慣れる。慎重に探そう」

3人はゆっくりと広場をバラバラに歩き始めた。キリキザンの言うとおり、闇に目も慣れてきていた。

「(よし、見えてきた。…この広場は…元々式場か?相変わらず埃っぽいな)」

ルカリオは足下を見ながら歩く。広場には物が置いていなく、高級そうな敷物が見えた。ふと左を見ると、妙な跡が残っていた。

「(…?ここだけ敷物の毛の向きが違う…大きさは…大体足くらいのサイズか)」

その瞬間、鈍い音が背後から聞こえてきた。

「ぐっ!…二人ともっ、敵だ!」

ダーテングが何者かの攻撃を受けたようで、二人に呼び掛けた。
3人は戦闘体勢をとる。

「…待ってたぜ、ミロカロス軍ども!」

うっすらと見えたその敵は、腕が4本あり、筋肉質な体をしていた。

「誰だ!補佐か!」
「おーよ!俺はカイリキー!お前らに殺された…ゴーリキーの兄だ!!」

カイリキーと名乗った男は、キリキザンの方へと走る。

「『クロスチョップ』!!」

カイリキーは腕を交差し、鋭い手刀を放った。
キリキザンは殺気を感じとり、同じく腕を交差させ防ぐ。

「ぐっ!重いな…!」

キリキザンは重い一撃に思わず引く。すると、何故かキリキザンの背中に衝撃が走った。

「ぐぁっ!なんだっ!?」

キリキザンは後ろを向くが、誰もいない。
ーまさか、もう一人いるのか!

「闇に乗じて、お前らをぶち殺してやるよ!」

カイリキーはルカリオへと走る。先程の謎の攻撃もあり、ルカリオに緊張が走る。

「…落ち着け。俺には…アレがある!」

ルカリオは深呼吸し、目を瞑る。
ルカリオの脳裏に、カイリキーの形をした光が浮かび上がる。

「…せぇあっ!!
「ぐぅっ!?見えただと!?」

カイリキーの攻撃をかわし、ルカリオはカイリキーの鳩尾へと剣の柄で攻撃を与えた。
ルカリオには、エネルギーが暗闇でもはっきりと見えるのだ。

ルカリオとカイリキーは後ろへ下がり、ルカリオは辺りを見渡す。
カイリキーの他に、もう一人いたのを確認した。

「やっぱりいやがったか!『波動弾』!」

その人物へと波動を撃ち込んだ。

「けっ、見えてやがったか!」

高い声で喋りながら、その人物は波動弾を避けた。

ダーテングは部屋を物色しており、やっと照明のレバーらしきものを見つけた。

「よし、これじゃな!」

ガコン、とレバーを倒し、部屋に明かりが灯る。

その明かりで、敵の姿がはっきりと映し出された。カイリキーともう一人、人形のような見た目だ。

「けっけけ!俺は遊撃手、ジュペッタ!明かりがあろうが…関係ないね!」

ジュペッタと名乗った男は、物の影と同化し、姿を消した。透明化の魔術だ。

「無駄だ!俺には見えるっ!」
「おっとぉ!させねぇよ!」

ルカリオは再び目を瞑ってジュペッタを探そうとするが、カイリキーに殴られ解除した。

「ぐっ!」

ルカリオはすっと体勢を立て直し、カイリキーと睨み合う。

「…鬱陶しいコンビじゃのう。どうするか…」
「…問題ありませんよ、私に任せて下さい」

キリキザンは一歩前に出て、集中していく。
ジュペッタはそれに目を付けて、音も発てず接近していく。

「(けっ…!首を掻っ切ってやる…!)」

ジュペッタはキリキザンの背後から出現し、首を狙って引っ掻こうとする。
その瞬間、ジュペッタの腹にキリキザンの手甲が突き刺さった。

「がはぁっ!!?…な…ん…?」
「…俺から背後を取れると思ったか?フンッ!」

キリキザンは刺さったままのジュペッタを空中へと投げ、両腕を強ばらせる。

「『鉄の蕀』!!」
「ーー…!」

キリキザンの腕が無数に枝分かれし、ジュペッタに無数の棘が突き刺さる。
ジュペッタは悲鳴を上げずに事切れた。

「ちっ、使えねぇな」

カイリキーはそれを見て、舌打ちをする。ルカリオはその態度に怒る。

「てめぇ、味方なら…!言葉を選べよっ!!」

ルカリオは剣を振り抜き、カイリキーを吹き飛ばす。
カイリキーは嘲笑する。

「味方ァ?ちげぇなぁ。使えるかと思っただけの他人だ」
「ってめぇ…!」

ルカリオは怒りに身を任せて紅き目を発動しようとするが、他の二人に呼び止められた。

「ルカリオ!ここはわしらが殺る。お前は力を温存しておくといい」
「爺さん、キリキザン…。…わかったよ」

ルカリオは後ろへと下がり、剣をテレポーチに仕舞う。
キリキザンとダーテングは、カイリキーの前へと立ちふさがる。

「ここは俺達が相手だ。貴様程度の兵士など、我が軍の希望を当てるまでもない」
「はっはぁー…、上等だ!」

3人は、戦闘を始めた。


敵…遊撃手、ジュペッタ死亡
味方…ゲッコウガ離脱
敵の補佐の数は変わらず。

挿し絵も描けたらなぁと、つくづく思います

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