【TALE12】彷徨える生命(いのち)
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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
@グリーンランドの教会
貴族のポケモン
「・・・ひぃぃっ・・・、神よ、どうかお赦しを・・・」
ジュペッタ
「・・・楽に死ねると思わん事だな、あほんだら」
ドラピオン
「・・・全く、ジュペッタの言う通りだぜ。 屑ん中の塵屑風情がよ」
貴族ポケモンの首は鮮血と共に、白い床へみすぼらしく落ちる。
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@アルケナの街
ドータクン
「・・・ところで、例のポケモンは見つかったか?」
鎧を着たポケモン
「・・・ああ、やっとの思いで初対面だ。 後はどうやって誘い出すか、だな」
ドータクン
「ああ。 ・・・それから、奴の力がいか程のもんかも気になるだろ」
鎧を着たポケモン
「・・・言われてみれば、確かにその通りだ。 何ならそれも、攫うついでに試してみるか?」
そう問いかけると同時に、ヒスイバクフーンはゆっくりと紅茶をすすり始める。
ドータクン
「勿論さ。 俺は幾らでも立ち向かえるぜ」
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@世界樹の遺跡
サーナイトは、世界樹の方へ手をかざし、その上で空しい表情を浮かべる。
サーナイト
「・・・やはり、対となる力さえあれば・・・!」
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<SIDE ピカチュウ>
メビウスの再出航から一夜。俺たちは何とか、フリームスへと到着する。
それから俺とアンディとドリュウズさんは、急いで王立図書館へと向かい、無事に到着する事が出来た。
そして、ドリュウズさんは新聞を開きながら言う。
ドリュウズ
「・・・世界樹の光に干渉する力、か・・・。 それの事ならどこかで聞いた事はあったんだがな」
紙面に踊る文字を覗き込んでみる。
ピカチュウ/廉太郎
「『その伝説は真実だった ~世界樹の闇の、向こう側から来た少女』・・・?」
この記事によると、この少女もまた別の世界から、不思議な力を抱えて転移して来たのだという。
ドリュウズ
「ああ。 ・・・それから、3年前の事だ。
彼女は一匹の戦士として、その不思議な力を以てして戦争に介入し、この世界を破滅から救い出したんだ」
ピカチュウ/廉太郎
「それから・・・?」
ドリュウズ
「・・・だが、残念ながら彼女は、ある日を境に力を出せなくなったらしい。戦士を辞めちまったのも、それがきっかけだったようだな」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・じゃあ、俺はそのポケモンと、同じ力を・・・?」
ドリュウズ
「・・・ああ。 その可能性は大きい」
ドリュウズさんとの話を終えると、今度はアンディが問い掛けて来る。
ポリゴン/アンディ
「・・・ところでお兄ちゃんは、その力を何の為に使うの?」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・残念だが、あの力が何の役に立つかは肝心の俺ですら分からない。
でも、それをみんなやみんなの平和の為に役立ててみたい。 何となくだけどそう思うんだ」
果たしてその願いが叶ってくれる日は来るのか。そう思いつつも俺は言う。
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それから図書館を後にし、建物の白い外壁が映える通りを抜けてからの事。
俺たちはその向こう側に、ダンジョンの入り口の様な不思議な闇を見つける。
ピカチュウ/廉太郎
「ダンジョンか・・・。 ・・・それにしても何でそんな街中に・・・?」
ドリュウズ
「さあな。 第一ダンジョンは、いつどこに現れるか、現れるその時まで判らない。
・・・だが、市街地まで浸食するとなると・・・」
そして俺たちは、闇の中にそっと足を踏み入れる。
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@タイラントの国王官邸
タブンネの側近
「・・・スターミー様。 新たな財産でございます」
スターミー
「それはご苦労」
タブンネの側近
「ええ。 ・・・それはそうと、今度の情報統制政策の件につきましては・・・」
スターミー
「・・・上手くいきそうなのだろう? ・・・噂にはそう聞いているが・・・」
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<SIDE ピカチュウ>
ポリゴン/アンディ
「お兄ちゃん、これ・・・」
闇を潜り抜けた先での事。先ほどまで目に映っていた景色とは打って変わり、紫色の空の下に、黒く薄汚れた街並みがただ広がる。
そんな空間を歩いていると・・・。
???
「・・・こんな所に足を踏み入れるな、庶民ごときが・・・!」
どこからか冷凍ビームが飛んで来る。
ピカチュウ/廉太郎
「アイアンテール! ・・・でもこいつ一体・・・」
???
「・・・うるさい! 近づくなっつってんだろ・・・!!」
俺たち2匹が互いに吹き飛ばされるのと同時に、アンディもまた謎のポケモンに問い掛ける。
ポリゴン/アンディ
「・・・ねえ君、もうやめて! 僕たちは敵なんかじゃ・・・!」
???
「チビの癖して妙な綺麗事を・・・。 ・・・それより、こんな所に足を踏み入れるなって言ってる!
お前らまで苦しむだろう!!」
『足を踏み入れるな』、それに『苦しむ』・・・。その言葉の意味を問い掛けると・・・。
???
「・・・僕は同じポケモンのエゴで造られたポリゴン2、またの名をコードネーム・アルファ」
アルケナで戦ったポリゴンZ、もといコードネーム・イエーガーの、凍り付いた表情がふと頭に浮かぶ。
アルファはあの時の彼の様に、悲しげな表情を俺たちに突き付けて来る。
ポリゴン/アンディ
「・・・ところで、ここは・・・?」
ポリゴン2/アルファ
「・・・用済みになって、惨めに捨てられた兵器どもが静かに死んでいく。ここはそういう場所さ」
しかし、それにしても何故、そんな薄汚れたダンジョンの内部なんかに・・・?
ポリゴン2/アルファ
「・・・どうしてなんて聞くなよ。 漸く見付けた行き場がここ、ただそれだけ」
アルファは遥か彼方を指しながら言う。そこにはやはり黒ずんだ街並みが広がり、アルファそっくりな姿をした、ポケモンの屍も転がっている。
ポリゴン2/アルファ
「戦争を戦い抜く為、ただそれだけの為に生み出されながらも碌に戦う事は出来ない。
いわば、ポケモンとして生きてる事自体が己の最大の罪って訳さ」
その言葉を何としてでも否定せねばと思うほど、俺の心は大きく揺れ動く。
・・・だが、ダンジョン内部で流れる時は、そんな事を考える猶予までは与えてくれない。
???
「・・・敵襲だ・・・!」
アルファそっくりなポケモンたちの集団が、すぐ目の前に迫って来る。
ポリゴン2の兵士
「殺せ、裏切り者・・・!」
「・・・電撃波!!」「・・・サイコキネシス!!」
俺は戦闘態勢に入る。
ドリュウズ
「・・・ドリルライナー!」
ピカチュウ/廉太郎
「電光石火! ・・・しかしこいつら、一体どうなってんだ?」
怪しげなポリゴン2の集団を退けてから間もなく、ダンジョンの奥から不気味な声が聞こえて来る。
???
「・・・行き場をなくし、泣きじゃくりながらも彷徨える生命。 それを俺の手で救ってやったまでさ」
ドリュウズ
「・・・まだのうのうと生きていたというのか。 バクフーンも、 ・・・そしてドータクン、お前も」
ドータクン
「・・・まあな。 そんでもって、お前だって決着を着けたいんだろう?」
ドリュウズ
「ああ、望むところだ。 ・・・シャドークロー!」
ドータクン
「・・・ステルスロック!」
それからドリュウズさんに続き、俺も戦闘態勢に入るが・・・。
ピカチュウ/廉太郎
「雷パンチ・・・!」
ドータクン
「これでどう足搔こうと無駄だぜ。 ・・・トリックルーム!」
・・・身体が上手く動かない、俺もドリュウズさんも。
ピカチュウ/廉太郎
「もう一度雷パンチ! ・・・?」
ドリュウズ
「ピカチュウ、お前・・・?」
ただでさえ動きは鈍くなり、しかも足はまきびしの様な岩にまで触れてしまう。
ドリュウズ
「・・・くっ、こうなったら・・・! ・・・ピカチュウ、俺と一緒にあの技を使え!!」
ピカチュウ/廉太郎
「あの技・・・。 ・・・解りました!」
ドータクン
「どう足掻こうが無駄だと言った筈だ。 ・・・地震・・・?」
ピカチュウ/廉太郎・ドリュウズ
「・・・電磁浮遊!」
さらに、アンディも・・・。
ポリゴン/アンディ
「こっちもトリックルーム・・・!」
・・・身体が急に軽くなった、俺も、勿論ドリュウズさんも。 だが・・・。
ドリュウズ
「・・・ドータクンの奴、姿をくらませたか」
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そして、戦闘終了後。
ポリゴン/アンディ
「ところで、2匹とも怪我は?」
ドリュウズ
「・・・俺は平気だ」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・俺も、大丈夫だ」
その後間もなく、アルファの無事も確認できた所で、アンディが彼に話しかける。
ポリゴン/アンディ
「・・・ねぇアルファ。 アルファも、もしかして独りぼっちなの・・・?」
ポリゴン2/アルファ
「・・・悪いかよ、独りぼっちでよ」
ポリゴン/アンディ
「悪いとは思わない。 ・・・でも、何だか寂しそうだったんだ」
アンディは確実に、アルファの心を揺り動かしている。
ピカチュウ/廉太郎
「アンディ。 アルファも連れて帰るか?」
ポリゴン/アンディ
「うん」
ポリゴン2/アルファ
「・・・あんたたちがどうしても、って言うなら・・・」
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@タイマントの国王官邸
側近のタブンネ
「・・・メタグロス陛下、どちらへ?」
メタグロス
「・・・戦闘指揮だ。 お前も私の部下として、戦う覚悟は出来ているな?」
側近のタブンネ
「ええ」
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メタグロス
「・・・これより、過激派武装ギルドの掃討を目的とする、ボノ王国への侵攻を開始する」
議院の壇上で、メタグロスはこう告げる。それと同時に、周囲からは大きな拍手が沸き上がる。
スターミー
「開戦、か・・・。 これが、私にとって最大のチャンス・・・」
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【TO BE COUNTINUED】