思い出は大切に
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ラペーニと別れた俺は、その場でしばらくスマホを見ながら、シウバと一緒にハンスとリーリエの到着を待った。何も言わずに先へ行っちまったから、後で二人にどやされるんだろうな…。
「昔と比べて自由に旅できないからな。リーリエが独り立ちするまでの辛抱か…」
「バシャ?」
シウバが俺の顔を覗き込んでくる。そういやシウバや他のポケモンにも、バトルをするための知識や動きを俺が教えてたな。人もポケモンも育て方が大事…か。
「きっとあの娘は立派なトレーナーになれる。お前もそう思うか?」
「…バシャ!」
少し考えてからシウバは頷いた。そんなシウバの頭を軽く撫でていると、二つの人影がこちらへ向かってきた。無事に合流できたか。
「あっ、やっと見つけました!もうっ、勝手に行ったらダメじゃないですかグランさん!迷子になっちゃいますよ!」
「おいおい、俺を子供扱いするなよ。ちょっと悪い人を懲らしめただけだ」
「グラン、とにかく追いつけて良かったよ。悪い人って、もしかしてロケット団の…」
「ああ、軽く追っ払ったから大丈夫だ。このままおつきみやまを抜けよう」
そう伝えて俺は洞窟の出口へ向かおうとした。しかしそこで、一匹のポケモンが岩壁から現れた。可愛らしい目にまん丸ボディが特徴的なそのポケモンは、ここでしか見られないピッピだった。
「へぇ、ピッピが現れるなんて珍しいな。せっかくだし捕まえてみるかな?」
バッグからモンスターボールを取り出そうとした時、リーリエが慌てて俺の動きを止めてきた。
「ま、待って下さい!実は私、昔からピッピのことが大好きで、トレーナーになったら一緒に旅をしたいと思ってたんです。だから私に、ピッピを捕まえさせて下さい!」
必死に頭を下げるリーリエ。そこまで言われては仕方ない。俺はモンスターボールをしまって、リーリエにバトルの順番を譲った。
「分かったよ。後ろで見守ってやるから、頑張ってピッピを捕まえるんだ。ボールが無くなったら俺のやるし、思う存分やってみせてくれ」
俺の言葉を聞いて、感激のあまり涙目になりかけるリーリエ。気を取り直して、まずリーリエは手持ちのシャインをくりだして、ピッピの体力を削る作戦のようだ。
「そうだよリーリエちゃん!ポケモンの体力を減らせば、捕まえやすくなるってちゃんと覚えてるね!その調子だよ!」
俺の隣でハンスが笑顔でリーリエを褒め称える。俺も昔はあんなふうに、ポケモンと戦ってはモンスターボールで捕まえていたなと、少し懐かしさを感じる。
シャインの体当たりでピッピがよろめき、その隙を見逃さずにリーリエはモンスターボールを投げた。ポケモンに強く当たらないように、下手投げでふわりとボールが空中を舞う。
ボールはピッピに当たり、そのままボールの中へ吸い込まれる。1…2…3…カチッ!
ボールは動かなくなり、リーリエはピッピの入ったモンスターボールを拾い上げる。
「や、やりました!ピッピ、ゲットですよ〜!」
嬉しそうに駆け寄るリーリエと、俺は彼女を褒めるようにハイタッチを交わす。少しずつ彼女が、ポケモントレーナーとしての道を進んでいるんだなと実感する瞬間だった。
「どうするリーリエ?ピッピのニックネームは考えてるのか?」
「それなんですが…ニックネームはつけずに、ピッピちゃんのままにします。私がポケモンを好きになったきっかけというか、昔からピッピちゃんにとても思い入れがあるので、その気持ちを忘れないようにしたいんです」
そんなふうに話すリーリエの目は、どこか遠くを見ているような憂いのこもった様子だった。
新しいポケモン、ピッピを仲間にしたリーリエ。俺とハンスもそれを喜びながら、皆でおつきみやまの出口へ向かった。
「昔と比べて自由に旅できないからな。リーリエが独り立ちするまでの辛抱か…」
「バシャ?」
シウバが俺の顔を覗き込んでくる。そういやシウバや他のポケモンにも、バトルをするための知識や動きを俺が教えてたな。人もポケモンも育て方が大事…か。
「きっとあの娘は立派なトレーナーになれる。お前もそう思うか?」
「…バシャ!」
少し考えてからシウバは頷いた。そんなシウバの頭を軽く撫でていると、二つの人影がこちらへ向かってきた。無事に合流できたか。
「あっ、やっと見つけました!もうっ、勝手に行ったらダメじゃないですかグランさん!迷子になっちゃいますよ!」
「おいおい、俺を子供扱いするなよ。ちょっと悪い人を懲らしめただけだ」
「グラン、とにかく追いつけて良かったよ。悪い人って、もしかしてロケット団の…」
「ああ、軽く追っ払ったから大丈夫だ。このままおつきみやまを抜けよう」
そう伝えて俺は洞窟の出口へ向かおうとした。しかしそこで、一匹のポケモンが岩壁から現れた。可愛らしい目にまん丸ボディが特徴的なそのポケモンは、ここでしか見られないピッピだった。
「へぇ、ピッピが現れるなんて珍しいな。せっかくだし捕まえてみるかな?」
バッグからモンスターボールを取り出そうとした時、リーリエが慌てて俺の動きを止めてきた。
「ま、待って下さい!実は私、昔からピッピのことが大好きで、トレーナーになったら一緒に旅をしたいと思ってたんです。だから私に、ピッピを捕まえさせて下さい!」
必死に頭を下げるリーリエ。そこまで言われては仕方ない。俺はモンスターボールをしまって、リーリエにバトルの順番を譲った。
「分かったよ。後ろで見守ってやるから、頑張ってピッピを捕まえるんだ。ボールが無くなったら俺のやるし、思う存分やってみせてくれ」
俺の言葉を聞いて、感激のあまり涙目になりかけるリーリエ。気を取り直して、まずリーリエは手持ちのシャインをくりだして、ピッピの体力を削る作戦のようだ。
「そうだよリーリエちゃん!ポケモンの体力を減らせば、捕まえやすくなるってちゃんと覚えてるね!その調子だよ!」
俺の隣でハンスが笑顔でリーリエを褒め称える。俺も昔はあんなふうに、ポケモンと戦ってはモンスターボールで捕まえていたなと、少し懐かしさを感じる。
シャインの体当たりでピッピがよろめき、その隙を見逃さずにリーリエはモンスターボールを投げた。ポケモンに強く当たらないように、下手投げでふわりとボールが空中を舞う。
ボールはピッピに当たり、そのままボールの中へ吸い込まれる。1…2…3…カチッ!
ボールは動かなくなり、リーリエはピッピの入ったモンスターボールを拾い上げる。
「や、やりました!ピッピ、ゲットですよ〜!」
嬉しそうに駆け寄るリーリエと、俺は彼女を褒めるようにハイタッチを交わす。少しずつ彼女が、ポケモントレーナーとしての道を進んでいるんだなと実感する瞬間だった。
「どうするリーリエ?ピッピのニックネームは考えてるのか?」
「それなんですが…ニックネームはつけずに、ピッピちゃんのままにします。私がポケモンを好きになったきっかけというか、昔からピッピちゃんにとても思い入れがあるので、その気持ちを忘れないようにしたいんです」
そんなふうに話すリーリエの目は、どこか遠くを見ているような憂いのこもった様子だった。
新しいポケモン、ピッピを仲間にしたリーリエ。俺とハンスもそれを喜びながら、皆でおつきみやまの出口へ向かった。