day8-1
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最近あまり眠れていない作者です・・・3時4時に目が覚めてその後眠れないのはちょっと困りものです。
もう朝??元から眠りが浅い僕が安眠できるか心配する位の部屋の寒さだったけど、それは僕の取り越し苦労で終わったみたいだ。
ポケモンセンターの空調も案外中々やるじゃない・・・にしては温かすぎる気がする。そもそもこんなにこのポケモンセンターの空調効いてたっけ?こんなに効いていたなら寒さで寝られるかななんて心配しないと思うんだけど???僕は不思議に思いつつも目を開けてみる。目の前には昨日寝る前に見た天井が映っていて僕はちゃんと毛布を被っていた。ピジョンみたいにどこかにポイっとした訳じゃないから温かかったのかな??それともこのジョーイさんから差し入れされた毛布が防寒保温機能に凄く優れていたのだろうか?それならポケモンセンターの備品にも良いものがあるんだね。よし、じゃあ起き上がろうかと思って僕はソファに腰かけ下を見た。
「・・・・あれ???何でリザードンがこんな所で寝てるの???」
昨日の夜にジョーイさんとひと悶着があった末に結局僕が治療(?)した筈のリザードンが目の前に。しかも僕の寝ていたソファの横の地面に器用に体を曲げて眠っているではないですか・・・ってか尻尾の炎あぶねぇな。
・・・あれ??そもそもこいつ何時の間に病室抜け出してここに来たの??って今の時間何時?6時?6時ならまだ朝早いから人も居ないからこんなセンターの室内を歩いていても騒ぎにならないか・・・それにしても何でこんな所にいるんでしょう・・・まだ完全に体は治ってない筈なのにねぇ。それに体調面でもまだ辛い筈だろうに何故だろう?
リ『・・・・!!あっ・・・お兄ちゃん起きたの?・・・まだ眠いけど・・・それなら起きないといけないね、うーーん・・・!やっぱり狭い所で眠ると翌朝キツクなるなぁ、おはようございます。』
「おはよう・・・っていつここに来たの?えっ?あの治療した後すぐに来たって?そうか、僕もあの後すぐ眠くなって寝ちゃったから気づかなかったのか。それにここに来た時に僕が凄く寒そうに寝てたから隣で暖めてくれてたって?あ~ありがとう・・・お陰で凄く良い眠りになりました。・・・それにしても昨日治療したところは大丈夫?・・・炎症も大分収まってきているし傷も治りかけているから大丈夫そう。流石ポケモンセンターの治療器具って所かな?」
ラ『おはようございまs・・・・!!!いつの間にリザードンがここに!?朝からちょっと思考が追い付かないよ!!コウイチさん説明して!!僕混乱状態に陥りそう!』
「少し落ち着きなさいって。そもそも朝起きた時からそんなハイテンションだと体に悪いからもうちょっとスローダウンして。そうだなぁ~どこから説明した方が良いのかな?昨日のジョーイさんとひと悶着あったのは話したよね?その後どうやら病室抜け出してきちゃったらしいのよね。完全に治ってないんだからベッドの上でしっかりと休養した方が良い状態だったのに・・・うーん、本当悪い子やね。」
リ『ごめんなさい・・・つい・・・。』
ピ『これってミニリュウ帰ってきたら絶対凄くワーワーいうタイプですよ・・・ミニリュウが戻ってくる前にこの問題は片付けないといけなさそうですね・・っと言っても戻ってくるまでに終わるには無理そうな予感はしますけど。でもそうしないとまた新たな問題を抱える事になりかねません・・・でも僕はコウイチさんの意向に沿いますけど。』
ラ『それよりもこんな場所にそんな大きなポケモン・・・まぁ僕も大きいと言ったら大きいけど、そんなポケモンが居たら色々な意味で危なくない?ポケモンセンターに入って来た人がリザードンを見るとなんかちょっと驚くというかなんというか・・・。』
「そうねぇ・・・ラプラスの言う事も一理あるねぇ・・・ってそれしかないね。取り合えずリザードンは病室に戻っておいて・・・こんな所で寝てたってジョーイさんに知られたらそれこそ色々な問題になりそう。もう知られてると思うけどネ。」
リ『分かりました・・・。』
・
・
・
ミ『お陰様で休養たっぷり貰っちゃったから元気いっぱいになったよ!でもこれでまたコウイチさんと旅が出来るね!それよりも何かあった?さっきからラプラスとピジョンが凄い不穏な笑みを浮かべてこっちを見てるんだけど??』
「えっ?あ~・・・ちょっと色々とあってね?じゃあ出発しようか。なんだかんだしてたらもう10時近くになっちゃったし、次の町までもそこそこ距離あるから早めに出ないと。それじゃあジョーイさんもお世話になりました。」
「あっ!ちょっと待って・・・・・・・はい、昨日のあの子のボール。貴方がボールに入れたのだからこの後どうするのかちゃんと話をしないとダメよ?それにあの子はまだ貴方以外の人間や他のポケモン達の事を受け入れられていないみたいだから・・・貴方なら大丈夫よ。ちゃんと話をしてね?それじゃあ気を付けて行ってらっしゃい。また近くに来たら様子を見せに来て?」
「・・・分かりました。本当色々とありがとうございました。それでは失礼します。」
僕はジョーイさんからリザードンの入ったボールを受け取るとそれをバックの中にしまい、ポケモンセンターを出発した。考えるとボールには大人しく入ったのだろうか??それともやっぱり四苦八苦しながら?強制的に?・・・僕は考えるのを止めた。そして少し行った高台にあるちょっと広い広場でピジョンとラプラスをボールから出す。ミニリュウは最初からあまり良い顔をしていなかったが、話をするだけという事で何とか宥めた。まだ根に持ってるのかあの話。
ミ『私は認めてないからね?あのリザードンが子供だから大変なのは分かるし、あの黒づくめ集団とその仲間ポケモン達の仕業で強制的に進化させられて、町の制圧に加担させられた謂わば被害者側だってのも分かる。けれどもね・・・それはそれこれはこれって話は分けないといけないって私は思う。ごちゃ混ぜにしたらいけない問題だと思うよ?』
「そうやね・・・あれはあれでこれはこれって話をしないといけないよね・・・僕だけだと何言うか分からなくなるからミニリュウ達も傍に居て。変な事言おうとしたら小突いて良いからね?それじゃあ話してみる。」
ミニリュウ達が見守る中僕はボールからリザードンを出した。景色が変わっていたりしたから最初こそは戸惑っていたリザードンではあったが、僕の姿を見るとすぐさま駆け寄る様に近寄ってくる。その時に僕はリザードンが入っていたボールを目の前に差し出しこう問いかける。
「リザードン・・・ああいう仕打ちをされたから僕以外の人間やポケモンが怖いのは分かる。また同じ目に遭わされるんじゃないかと思う気持ちも分かる・・・けれども、貴方自身はこれからどうしたいのかを僕は知りたいな。怖いから一先ず危害を加えないと思った僕と一緒に行くというのはリザードンの為にならないし、ミニリュウ達に説明するにも到底納得するような説明が出来る感じではないよ・・・だから今ここではっきりとしよう?もし・・・本当に僕達と一緒に着いて行きたいのならばボールを拾ってここに持ってきて。だけど、少しでも僕達と行くのに迷いがあるのならば、今ここでこのボールをその手で破壊して。ボールはここに置いておくから、少し時間をあげるからちゃんと考えて?双方の為にもね。」
リ『お兄ちゃん・・・僕は僕に危害を加えないと思ったからお兄ちゃんを選んだんじゃないよ・・・でも確かにそうだよね・・・。』
今の話し方と話すトーンからすると、多分だけど身寄りもなく生まれたばっかりで酷い仕打ちを人間とポケモンから受けたリザードンが、唯一心を開いた人物から急にそんな事言われたからリザードンが動揺した感じは受ける。(´・ω・`)とした顔を見てしまうとこっちは凄い罪悪感に包まれてしまうが、でも僕達としてはこのまま生半可な気持ちで一緒に行動するというのもあまり良くはないと考えてしまうし、それにリザードンの生涯を僕みたいな人と過ごすのはどうかと思ったのもある。
暫くしてからリザードンは地面に置いていたボールを取るとそれをギュッと握りしめた。力を入れたって事はボールを壊すんだなと僕は思うと同時に、やはりリザードン自身にも少し迷いがあったんだなと悟る。それならばここに長く居る事は双方にとってあまり良い事ではないかと思い、ラプラスとピジョンを一先ず先にボールに戻すと背を向け次の町へと発とうとした。
リ『・・・・やっぱりお兄ちゃんと一緒に居たい・・・!!お兄ちゃんの事をもっと知りたいし、お兄ちゃんの元で他の人間やポケモンは怖くないって事を分かっていきたい・・・・今はまだ怖くて分からなくて大変かもしれないけど・・・お兄ちゃんとだったら乗り越えていける・・・それだけは僕の直感で分かる!!だから一緒に行かせて!!』
僕はその言葉を聞くとリザードンの方を振り返り
「分かった、一緒に行こう!!こっちおいで!」
僕がそう言うと先程までの(´・ω・`)とした表情から一変し、子供のような明るく微笑んだ顔でこちらまで走ってきて僕にいきなり抱きついてきた。リザードンは何処かクールな感じと元の世界の時から聞いていたからちょっと拍子抜けしたけど、やっぱりまだ子供なんだなと思うと同時にもうちょっと加減という物を覚えさせないといけないなと僕は思った。
ミ『ちょっとコウイチさんが困惑してるでしょ!!離れなさいって!!そもそもコウイチさんの一番最初のポケモンは私なんだから私が先輩!いい?先輩の言う事は変な事とかいけない事とか以外は素直に聞くものなの!分かった?』
リ『・・・ミニリュウの言う事は聞かないよ?』
ミ『やっぱりこいつムカつくわ。さっきからコウイチさんをお兄ちゃんなんて馴れ馴れしく呼んでいるし。もうコウイチさんコテンパンにやっても良い?えっ?子供だからダメって?子供だからこそ良し悪しを分からせないといけない思うんだけどなぁ~コウイチさんがそう言うなら今回の所は許す事にしよう・・・。』
・
・
・
リザードンが正式に付いてくる事になって、いよいよ手持ちのポケモンが4体となりました。まだこの世界に来て1週間程度しか経ってないんだけど、既になんか最強感が出る手持ちポケモンレパートリーとなっております。・・・ところでさっきからミニリュウの機嫌が下降気味ですけど、その原因は恐らくリザードンを連れ歩いているからと思います。本当仲悪いなぁ。
「そんなに怒らなくても良いじゃないの?リザードン本人が一緒に歩きたいって言って連れ歩いている訳だし、こんな感じの道だったらリザードン連れ歩いても全然問題ないでしょ?」
ミ『そうだけど・・・そうだけどぉぉぉ!なんかモヤモヤするのぉ!この子私が話してもそっぽ向くし、言う事全然聞いてくれないし!!(折角元気になったからコウイチさんと久しぶりに2人きりで歩けると思ったのに何でこの子が出てくるのよぉぉ!)』
リ『・・・・このミニリュウなんか変だね?こんな変なポケモン連れてるなんてお兄ちゃんも大変だね・・・気持ち察するよ・・・。』
ミ『ああぁああぁぁぁぁ!!!!!こいつすっごくムカつくから地面に叩きつけてやるぅぅぅ!!』
「落ち着きなさいって!!第一そんな事したら2人とも折角怪我治ったのにまた怪我する事になるでしょ!少し落ち着いて!ミニリュウなんか最近凄く荒れてる!ラプラスちょっと眠らせて!!」
ミニリュウが凄く荒らぶっていたので急遽ボールからラプラスを出してうたうを使ってもらった。うたうは相手を眠らせる技だし、強制的に眠らせるとは言ってもミニリュウは最近不眠が続いていたっぽいから万事OK?にしてもなんだろうな、急になんかあんな感じで何かに嫉妬するような・・・はたまた心配しすぎるような感じになったんだろうか?そろそろミニリュウも一回ボールに入れておくか?何か体調不良とかあった時はそっちが何かと良い事もあるだろうし。
ミ『私は絶対にボールには入りません!(断言)』
ラ『嘘・・・僕のうたうが効いてない!?それかミニリュウって難聴持ちだったりするの!?』
「そこまでナイーブな話をしなくても・・・でもうたうって眠くなる技なのに眠ってないって中々凄い・・・ってこれ寝言だわ。ぐっすり寝てる・・・ラプラスもちょっとショック受けなくても良いからね?」
ラ『そっか・・・あーびっくりした。寝言で言うのは止めてほしいね。それにしてもリザードンを連れ歩くなんてコウイチさんも中々リスキーな事するね・・・バトルとか挑まれないと良いんだけど。だってまだ彼はバトル慣れしてないんだよね?昨日のあれを見る限りではまだ改良の余地ありって感じだったけど・・・。』
「そうか・・・バトル慣れしてないか・・・。」
ラプラスからそう言われて僕はリザードンを見る。僕から見られた事が嬉しかったのか何故かリザードンが微笑んだけど、本当の事を言うとラプラスの言う事は僕も心配していた。リザードンというとカントー御三家の最終進化系の1体であって、そもそも進化するレベルが高いので存在するリザードン全てのレベルはそこそこ高いという認識が一般的であるようだ。
でも僕のリザードンはまだ子供であって、レベル的にもバトルの経験的にもまだまだ浅い。下手するとピジョン達よりも低いのかもしれない。そんな中リザードン指名でバトルとか申し込まれるとちょっと困った事になるというかなんというか。
リ『???お兄ちゃんどうかした?昨日僕が・・・怪我させたところとか他のどこか痛むとか?もしそうだったら少し休んでも良いよ?』
ラ『このリザードンは優しいと言ったら優しいのよね・・・。それよりも少しだけ休憩する?ミニリュウもなんか最近凄く張りつめているような感じがするし、焦らずにもう少しゆっくりと行っても良いのかなって僕は思うよ。』
そうか・・・確かに最近はやたらと次の町に早く着かなければという謎の焦りがあったし、それがミニリュウ達にはプレッシャーとなってのしかかっていたのかもしれないね。っという事で僕はちょっと行った所にあった何か道の駅のような感じの場所で休憩をはさむ事にした。
結構自然豊かな所にある割には利用者が多い。でもその殆どがトレーナーと思しき人達ばかりで、しかも平均年齢も若めな気がする。考えるとこの世界では10歳になったらポケモンと一緒に各地を巡ると聞いた事がある。小学4年生位の子供が日本各地を巡る・・・???考えるのを少し止めよう、頭が痛くなってきそう・・・っという事で僕は道の駅(?)建物内から色々と冷やすためにアイスを買ってきてそれぞれに渡す。ミニリュウも目が覚めたけどまだ本調子じゃないっぽく、僕の肩から降りてボーっと空を見上げてる。
ラ『やっぱり久しぶりに食べると美味しいね!それに今日はなんか暑いな~と思ってたから丁度良かった!コウイチさんも早く食べないと溶けるよ?あっ、もしかしてミニリュウの事が気になっている感じかな?』
「いや僕のアイスはどうでも良いんだけど、ミニリュウ何でか食べたそうにしないんだよなぁ・・・朝ご飯もあまり食べてないみたいだし、なんでだろ?まだ体調が本調子に戻ってないってのもあるかもしれないけど、もしかしてミニリュウって氷技が苦手だからアイスも苦手だったりしないよね。」
ピ『いやそこまで氷に弱い訳じゃないと思いますよ?ただ最近色々あったんで疲れただけじゃないですか?そもそも氷菓子でダメージ受けるんだったら、僕だって氷タイプ苦手なんでダメージ蓄積されると思いませんか?それと同じです。寝起きだからじゃないですか?』
そうか・・・っと思って一先ず僕の分のアイスを食べようと封を開けたら急にミニリュウの体が光り出した。えっ?もう進化するの??ほらなんか進化って言うと何年も掛かってやっと次に進化するって感じじゃないんです?1週間ちょっととかですぐに進化しちゃうの?確かにトレーナー無双してたりしてたけど、あれで経験値めっちゃ溜まってたとか??ほらラプラスとかピジョンも驚きのあまり( ゜д゜)と口開けた状態で固まっちゃったよ。リザードンは相も変わらず興味無さそうだなぁ~
ピ『僕は進化しようと思ってから半年以上経ってやっと進化出来たのに・・・ミニリュウってそんなにバトル厨だったっけ???』
「バトル厨かどうかはともかく、もしかして・・・もうすぐ進化が近かったからあんな感じに荒れてたとか???そういう訳じゃないのかな?それとこれは話が別で全く関係ないって感じだったりする?」
ラ『それは無いと思うけど・・・でもミニリュウって最近何かずっと焦っているような感じは受けたし、僕としてはそれが原因であんなに荒れてるのかなと思ってたんだけど・・・進化となるとなんかねぇ。まだまだ僕も勉強する必要があるな~。』
僕達が心配そうに話しているとミニリュウを包んでいた光が収まった。そしてミニリュウが居た場所にはハクリューがこちらもまた( ゜д゜)とした顔でその場に立ち尽くしていた。
ハ『・・・進化した???えっ???』
「ミニ・・・じゃなかった。ハクリュー大丈夫?どこか痛いところとか具合悪いとか無い?」
ハ『・・・コウイチさん・・・・はっ!!もしかしたらもう・・・。』
ハクリューは何を思ったのか急に泣き出してしまう。それでまたリザードン以外の僕達は困惑+どう対応すれば良いのか分からないとなって大惨事気味になってしまう。なんで急に泣き出すの!?もしかして進化ってなんかアレなの!?やっぱりどこか痛いんじゃないの!?
ハ『もう・・・コウイチさんの肩に乗って一緒に旅できないんだなぁって思って・・・グズッ・・・進化は仕方ない事だと前々から思ってはいたけど・・・グズッ・・・でもやっぱりコウイチさんの肩に乗って色々な景色見て来たから何か・・・うぁぁぁぁぁぁ(号泣)』
ピ『これは暫くそっとしておいた方が良いかもしれませんね。急に進化したから体の変化に気持ちが追い付いていません・・・。そもそもハクリューはずっとコウイチさんの肩?首元???に乗ってましたから、尚更寂しさを覚えたのかもしれません。』
リ『・・・・そんな事で号泣するもんなのかな??僕からすると全然分からないんだけど。』
ラ『あんたは少し黙っときなさい。・・・あっ、僕の言う事も聞かないんだっけ?ふーん。そうなんだぁ~あっそ。』
「ラプラスも少しは静かにしておいて。リザードンもこういう時は相手の事を考えて、少し口チャックでお願いね。ハクリューも落ち着いてって、大丈夫だからね?本当。だからちょっと落ち着いて?」
僕達はハクリューを宥めてはいたが、その後もハクリューは10分くらい泣き続けたのだという。滅茶苦茶周りからの視線が痛かった。
ポケモンセンターの空調も案外中々やるじゃない・・・にしては温かすぎる気がする。そもそもこんなにこのポケモンセンターの空調効いてたっけ?こんなに効いていたなら寒さで寝られるかななんて心配しないと思うんだけど???僕は不思議に思いつつも目を開けてみる。目の前には昨日寝る前に見た天井が映っていて僕はちゃんと毛布を被っていた。ピジョンみたいにどこかにポイっとした訳じゃないから温かかったのかな??それともこのジョーイさんから差し入れされた毛布が防寒保温機能に凄く優れていたのだろうか?それならポケモンセンターの備品にも良いものがあるんだね。よし、じゃあ起き上がろうかと思って僕はソファに腰かけ下を見た。
「・・・・あれ???何でリザードンがこんな所で寝てるの???」
昨日の夜にジョーイさんとひと悶着があった末に結局僕が治療(?)した筈のリザードンが目の前に。しかも僕の寝ていたソファの横の地面に器用に体を曲げて眠っているではないですか・・・ってか尻尾の炎あぶねぇな。
・・・あれ??そもそもこいつ何時の間に病室抜け出してここに来たの??って今の時間何時?6時?6時ならまだ朝早いから人も居ないからこんなセンターの室内を歩いていても騒ぎにならないか・・・それにしても何でこんな所にいるんでしょう・・・まだ完全に体は治ってない筈なのにねぇ。それに体調面でもまだ辛い筈だろうに何故だろう?
リ『・・・・!!あっ・・・お兄ちゃん起きたの?・・・まだ眠いけど・・・それなら起きないといけないね、うーーん・・・!やっぱり狭い所で眠ると翌朝キツクなるなぁ、おはようございます。』
「おはよう・・・っていつここに来たの?えっ?あの治療した後すぐに来たって?そうか、僕もあの後すぐ眠くなって寝ちゃったから気づかなかったのか。それにここに来た時に僕が凄く寒そうに寝てたから隣で暖めてくれてたって?あ~ありがとう・・・お陰で凄く良い眠りになりました。・・・それにしても昨日治療したところは大丈夫?・・・炎症も大分収まってきているし傷も治りかけているから大丈夫そう。流石ポケモンセンターの治療器具って所かな?」
ラ『おはようございまs・・・・!!!いつの間にリザードンがここに!?朝からちょっと思考が追い付かないよ!!コウイチさん説明して!!僕混乱状態に陥りそう!』
「少し落ち着きなさいって。そもそも朝起きた時からそんなハイテンションだと体に悪いからもうちょっとスローダウンして。そうだなぁ~どこから説明した方が良いのかな?昨日のジョーイさんとひと悶着あったのは話したよね?その後どうやら病室抜け出してきちゃったらしいのよね。完全に治ってないんだからベッドの上でしっかりと休養した方が良い状態だったのに・・・うーん、本当悪い子やね。」
リ『ごめんなさい・・・つい・・・。』
ピ『これってミニリュウ帰ってきたら絶対凄くワーワーいうタイプですよ・・・ミニリュウが戻ってくる前にこの問題は片付けないといけなさそうですね・・っと言っても戻ってくるまでに終わるには無理そうな予感はしますけど。でもそうしないとまた新たな問題を抱える事になりかねません・・・でも僕はコウイチさんの意向に沿いますけど。』
ラ『それよりもこんな場所にそんな大きなポケモン・・・まぁ僕も大きいと言ったら大きいけど、そんなポケモンが居たら色々な意味で危なくない?ポケモンセンターに入って来た人がリザードンを見るとなんかちょっと驚くというかなんというか・・・。』
「そうねぇ・・・ラプラスの言う事も一理あるねぇ・・・ってそれしかないね。取り合えずリザードンは病室に戻っておいて・・・こんな所で寝てたってジョーイさんに知られたらそれこそ色々な問題になりそう。もう知られてると思うけどネ。」
リ『分かりました・・・。』
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ミ『お陰様で休養たっぷり貰っちゃったから元気いっぱいになったよ!でもこれでまたコウイチさんと旅が出来るね!それよりも何かあった?さっきからラプラスとピジョンが凄い不穏な笑みを浮かべてこっちを見てるんだけど??』
「えっ?あ~・・・ちょっと色々とあってね?じゃあ出発しようか。なんだかんだしてたらもう10時近くになっちゃったし、次の町までもそこそこ距離あるから早めに出ないと。それじゃあジョーイさんもお世話になりました。」
「あっ!ちょっと待って・・・・・・・はい、昨日のあの子のボール。貴方がボールに入れたのだからこの後どうするのかちゃんと話をしないとダメよ?それにあの子はまだ貴方以外の人間や他のポケモン達の事を受け入れられていないみたいだから・・・貴方なら大丈夫よ。ちゃんと話をしてね?それじゃあ気を付けて行ってらっしゃい。また近くに来たら様子を見せに来て?」
「・・・分かりました。本当色々とありがとうございました。それでは失礼します。」
僕はジョーイさんからリザードンの入ったボールを受け取るとそれをバックの中にしまい、ポケモンセンターを出発した。考えるとボールには大人しく入ったのだろうか??それともやっぱり四苦八苦しながら?強制的に?・・・僕は考えるのを止めた。そして少し行った高台にあるちょっと広い広場でピジョンとラプラスをボールから出す。ミニリュウは最初からあまり良い顔をしていなかったが、話をするだけという事で何とか宥めた。まだ根に持ってるのかあの話。
ミ『私は認めてないからね?あのリザードンが子供だから大変なのは分かるし、あの黒づくめ集団とその仲間ポケモン達の仕業で強制的に進化させられて、町の制圧に加担させられた謂わば被害者側だってのも分かる。けれどもね・・・それはそれこれはこれって話は分けないといけないって私は思う。ごちゃ混ぜにしたらいけない問題だと思うよ?』
「そうやね・・・あれはあれでこれはこれって話をしないといけないよね・・・僕だけだと何言うか分からなくなるからミニリュウ達も傍に居て。変な事言おうとしたら小突いて良いからね?それじゃあ話してみる。」
ミニリュウ達が見守る中僕はボールからリザードンを出した。景色が変わっていたりしたから最初こそは戸惑っていたリザードンではあったが、僕の姿を見るとすぐさま駆け寄る様に近寄ってくる。その時に僕はリザードンが入っていたボールを目の前に差し出しこう問いかける。
「リザードン・・・ああいう仕打ちをされたから僕以外の人間やポケモンが怖いのは分かる。また同じ目に遭わされるんじゃないかと思う気持ちも分かる・・・けれども、貴方自身はこれからどうしたいのかを僕は知りたいな。怖いから一先ず危害を加えないと思った僕と一緒に行くというのはリザードンの為にならないし、ミニリュウ達に説明するにも到底納得するような説明が出来る感じではないよ・・・だから今ここではっきりとしよう?もし・・・本当に僕達と一緒に着いて行きたいのならばボールを拾ってここに持ってきて。だけど、少しでも僕達と行くのに迷いがあるのならば、今ここでこのボールをその手で破壊して。ボールはここに置いておくから、少し時間をあげるからちゃんと考えて?双方の為にもね。」
リ『お兄ちゃん・・・僕は僕に危害を加えないと思ったからお兄ちゃんを選んだんじゃないよ・・・でも確かにそうだよね・・・。』
今の話し方と話すトーンからすると、多分だけど身寄りもなく生まれたばっかりで酷い仕打ちを人間とポケモンから受けたリザードンが、唯一心を開いた人物から急にそんな事言われたからリザードンが動揺した感じは受ける。(´・ω・`)とした顔を見てしまうとこっちは凄い罪悪感に包まれてしまうが、でも僕達としてはこのまま生半可な気持ちで一緒に行動するというのもあまり良くはないと考えてしまうし、それにリザードンの生涯を僕みたいな人と過ごすのはどうかと思ったのもある。
暫くしてからリザードンは地面に置いていたボールを取るとそれをギュッと握りしめた。力を入れたって事はボールを壊すんだなと僕は思うと同時に、やはりリザードン自身にも少し迷いがあったんだなと悟る。それならばここに長く居る事は双方にとってあまり良い事ではないかと思い、ラプラスとピジョンを一先ず先にボールに戻すと背を向け次の町へと発とうとした。
リ『・・・・やっぱりお兄ちゃんと一緒に居たい・・・!!お兄ちゃんの事をもっと知りたいし、お兄ちゃんの元で他の人間やポケモンは怖くないって事を分かっていきたい・・・・今はまだ怖くて分からなくて大変かもしれないけど・・・お兄ちゃんとだったら乗り越えていける・・・それだけは僕の直感で分かる!!だから一緒に行かせて!!』
僕はその言葉を聞くとリザードンの方を振り返り
「分かった、一緒に行こう!!こっちおいで!」
僕がそう言うと先程までの(´・ω・`)とした表情から一変し、子供のような明るく微笑んだ顔でこちらまで走ってきて僕にいきなり抱きついてきた。リザードンは何処かクールな感じと元の世界の時から聞いていたからちょっと拍子抜けしたけど、やっぱりまだ子供なんだなと思うと同時にもうちょっと加減という物を覚えさせないといけないなと僕は思った。
ミ『ちょっとコウイチさんが困惑してるでしょ!!離れなさいって!!そもそもコウイチさんの一番最初のポケモンは私なんだから私が先輩!いい?先輩の言う事は変な事とかいけない事とか以外は素直に聞くものなの!分かった?』
リ『・・・ミニリュウの言う事は聞かないよ?』
ミ『やっぱりこいつムカつくわ。さっきからコウイチさんをお兄ちゃんなんて馴れ馴れしく呼んでいるし。もうコウイチさんコテンパンにやっても良い?えっ?子供だからダメって?子供だからこそ良し悪しを分からせないといけない思うんだけどなぁ~コウイチさんがそう言うなら今回の所は許す事にしよう・・・。』
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リザードンが正式に付いてくる事になって、いよいよ手持ちのポケモンが4体となりました。まだこの世界に来て1週間程度しか経ってないんだけど、既になんか最強感が出る手持ちポケモンレパートリーとなっております。・・・ところでさっきからミニリュウの機嫌が下降気味ですけど、その原因は恐らくリザードンを連れ歩いているからと思います。本当仲悪いなぁ。
「そんなに怒らなくても良いじゃないの?リザードン本人が一緒に歩きたいって言って連れ歩いている訳だし、こんな感じの道だったらリザードン連れ歩いても全然問題ないでしょ?」
ミ『そうだけど・・・そうだけどぉぉぉ!なんかモヤモヤするのぉ!この子私が話してもそっぽ向くし、言う事全然聞いてくれないし!!(折角元気になったからコウイチさんと久しぶりに2人きりで歩けると思ったのに何でこの子が出てくるのよぉぉ!)』
リ『・・・・このミニリュウなんか変だね?こんな変なポケモン連れてるなんてお兄ちゃんも大変だね・・・気持ち察するよ・・・。』
ミ『ああぁああぁぁぁぁ!!!!!こいつすっごくムカつくから地面に叩きつけてやるぅぅぅ!!』
「落ち着きなさいって!!第一そんな事したら2人とも折角怪我治ったのにまた怪我する事になるでしょ!少し落ち着いて!ミニリュウなんか最近凄く荒れてる!ラプラスちょっと眠らせて!!」
ミニリュウが凄く荒らぶっていたので急遽ボールからラプラスを出してうたうを使ってもらった。うたうは相手を眠らせる技だし、強制的に眠らせるとは言ってもミニリュウは最近不眠が続いていたっぽいから万事OK?にしてもなんだろうな、急になんかあんな感じで何かに嫉妬するような・・・はたまた心配しすぎるような感じになったんだろうか?そろそろミニリュウも一回ボールに入れておくか?何か体調不良とかあった時はそっちが何かと良い事もあるだろうし。
ミ『私は絶対にボールには入りません!(断言)』
ラ『嘘・・・僕のうたうが効いてない!?それかミニリュウって難聴持ちだったりするの!?』
「そこまでナイーブな話をしなくても・・・でもうたうって眠くなる技なのに眠ってないって中々凄い・・・ってこれ寝言だわ。ぐっすり寝てる・・・ラプラスもちょっとショック受けなくても良いからね?」
ラ『そっか・・・あーびっくりした。寝言で言うのは止めてほしいね。それにしてもリザードンを連れ歩くなんてコウイチさんも中々リスキーな事するね・・・バトルとか挑まれないと良いんだけど。だってまだ彼はバトル慣れしてないんだよね?昨日のあれを見る限りではまだ改良の余地ありって感じだったけど・・・。』
「そうか・・・バトル慣れしてないか・・・。」
ラプラスからそう言われて僕はリザードンを見る。僕から見られた事が嬉しかったのか何故かリザードンが微笑んだけど、本当の事を言うとラプラスの言う事は僕も心配していた。リザードンというとカントー御三家の最終進化系の1体であって、そもそも進化するレベルが高いので存在するリザードン全てのレベルはそこそこ高いという認識が一般的であるようだ。
でも僕のリザードンはまだ子供であって、レベル的にもバトルの経験的にもまだまだ浅い。下手するとピジョン達よりも低いのかもしれない。そんな中リザードン指名でバトルとか申し込まれるとちょっと困った事になるというかなんというか。
リ『???お兄ちゃんどうかした?昨日僕が・・・怪我させたところとか他のどこか痛むとか?もしそうだったら少し休んでも良いよ?』
ラ『このリザードンは優しいと言ったら優しいのよね・・・。それよりも少しだけ休憩する?ミニリュウもなんか最近凄く張りつめているような感じがするし、焦らずにもう少しゆっくりと行っても良いのかなって僕は思うよ。』
そうか・・・確かに最近はやたらと次の町に早く着かなければという謎の焦りがあったし、それがミニリュウ達にはプレッシャーとなってのしかかっていたのかもしれないね。っという事で僕はちょっと行った所にあった何か道の駅のような感じの場所で休憩をはさむ事にした。
結構自然豊かな所にある割には利用者が多い。でもその殆どがトレーナーと思しき人達ばかりで、しかも平均年齢も若めな気がする。考えるとこの世界では10歳になったらポケモンと一緒に各地を巡ると聞いた事がある。小学4年生位の子供が日本各地を巡る・・・???考えるのを少し止めよう、頭が痛くなってきそう・・・っという事で僕は道の駅(?)建物内から色々と冷やすためにアイスを買ってきてそれぞれに渡す。ミニリュウも目が覚めたけどまだ本調子じゃないっぽく、僕の肩から降りてボーっと空を見上げてる。
ラ『やっぱり久しぶりに食べると美味しいね!それに今日はなんか暑いな~と思ってたから丁度良かった!コウイチさんも早く食べないと溶けるよ?あっ、もしかしてミニリュウの事が気になっている感じかな?』
「いや僕のアイスはどうでも良いんだけど、ミニリュウ何でか食べたそうにしないんだよなぁ・・・朝ご飯もあまり食べてないみたいだし、なんでだろ?まだ体調が本調子に戻ってないってのもあるかもしれないけど、もしかしてミニリュウって氷技が苦手だからアイスも苦手だったりしないよね。」
ピ『いやそこまで氷に弱い訳じゃないと思いますよ?ただ最近色々あったんで疲れただけじゃないですか?そもそも氷菓子でダメージ受けるんだったら、僕だって氷タイプ苦手なんでダメージ蓄積されると思いませんか?それと同じです。寝起きだからじゃないですか?』
そうか・・・っと思って一先ず僕の分のアイスを食べようと封を開けたら急にミニリュウの体が光り出した。えっ?もう進化するの??ほらなんか進化って言うと何年も掛かってやっと次に進化するって感じじゃないんです?1週間ちょっととかですぐに進化しちゃうの?確かにトレーナー無双してたりしてたけど、あれで経験値めっちゃ溜まってたとか??ほらラプラスとかピジョンも驚きのあまり( ゜д゜)と口開けた状態で固まっちゃったよ。リザードンは相も変わらず興味無さそうだなぁ~
ピ『僕は進化しようと思ってから半年以上経ってやっと進化出来たのに・・・ミニリュウってそんなにバトル厨だったっけ???』
「バトル厨かどうかはともかく、もしかして・・・もうすぐ進化が近かったからあんな感じに荒れてたとか???そういう訳じゃないのかな?それとこれは話が別で全く関係ないって感じだったりする?」
ラ『それは無いと思うけど・・・でもミニリュウって最近何かずっと焦っているような感じは受けたし、僕としてはそれが原因であんなに荒れてるのかなと思ってたんだけど・・・進化となるとなんかねぇ。まだまだ僕も勉強する必要があるな~。』
僕達が心配そうに話しているとミニリュウを包んでいた光が収まった。そしてミニリュウが居た場所にはハクリューがこちらもまた( ゜д゜)とした顔でその場に立ち尽くしていた。
ハ『・・・進化した???えっ???』
「ミニ・・・じゃなかった。ハクリュー大丈夫?どこか痛いところとか具合悪いとか無い?」
ハ『・・・コウイチさん・・・・はっ!!もしかしたらもう・・・。』
ハクリューは何を思ったのか急に泣き出してしまう。それでまたリザードン以外の僕達は困惑+どう対応すれば良いのか分からないとなって大惨事気味になってしまう。なんで急に泣き出すの!?もしかして進化ってなんかアレなの!?やっぱりどこか痛いんじゃないの!?
ハ『もう・・・コウイチさんの肩に乗って一緒に旅できないんだなぁって思って・・・グズッ・・・進化は仕方ない事だと前々から思ってはいたけど・・・グズッ・・・でもやっぱりコウイチさんの肩に乗って色々な景色見て来たから何か・・・うぁぁぁぁぁぁ(号泣)』
ピ『これは暫くそっとしておいた方が良いかもしれませんね。急に進化したから体の変化に気持ちが追い付いていません・・・。そもそもハクリューはずっとコウイチさんの肩?首元???に乗ってましたから、尚更寂しさを覚えたのかもしれません。』
リ『・・・・そんな事で号泣するもんなのかな??僕からすると全然分からないんだけど。』
ラ『あんたは少し黙っときなさい。・・・あっ、僕の言う事も聞かないんだっけ?ふーん。そうなんだぁ~あっそ。』
「ラプラスも少しは静かにしておいて。リザードンもこういう時は相手の事を考えて、少し口チャックでお願いね。ハクリューも落ち着いてって、大丈夫だからね?本当。だからちょっと落ち着いて?」
僕達はハクリューを宥めてはいたが、その後もハクリューは10分くらい泣き続けたのだという。滅茶苦茶周りからの視線が痛かった。