1.戒

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読了時間目安:2分
 最初に感じたのは、動けないほどの激しい痛み。


 周囲は暗闇で何も見えない。


 遠くから絶えず聞こえてくる悲鳴と、ほんのりと香る鉄の匂い。

 
 ここが何処で、自分がなぜこの場所に居るのか。


 そんなこと、知りたくもなかった。


『コれは_、わたシの記オク_____』

 どこかから声が聞こえて来たが、途切れ途切れでよく聞こえない。
 
 この声は一体誰のもので、誰に向けられたものなのか。

 しかし、声はきっと自分に向けられたものであろうと少女は確信することにした。

 きっとどこかで、きっと自分を見つけてくれている人がいる。
 
 そう思わなければ、この場所で正気を保っていられる自信がなかった。


『____あなたは、なにもしなくていい』

 
 次ははっきりと聞こえた。

 そうか、私はただ見てるだけでいいのだ。

 それが分かると途端に安堵で満たされる感覚に落ちた。

 この痛みも、暗闇も、悲鳴も、悲しみも、きっと私のものでは無い。

 私以外の”誰か”のものだ。

 そう思うことで、いや、そう思わなければ自分が自分でなくなっていく。


『知らなくてはいけない』

 
 “声”は語り続ける。


『私たちの、願いと、契りを』
 
 
 そうだ。

 私は成ったのだ。


『あなたは、ジラーチ』

 
 だから、知らなくてはいけない。


 ジラーチの”力”と”代償”を。

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