【TALE18】『再生』の始まり

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読了時間目安:12分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

<SIDE ピカチュウ>

ヘルガーの兵士
「何だあの小僧ども・・・?」「・・・まあ良いだろ、捕らえちまえばな」

ピカチュウ/廉太郎
「・・・瓦割り・・・!」
ミミロル
「・・・ローキック・・・!」

ヘルガーの兵士
「・・・くっそ!」「・・・てめぇ何もたもたして、・・・ ・・・ぐっ・・・!」

ポリゴン/アンディ
「・・・雨乞い!」

ヘルガーの兵士
「畜生、炎が!」「あいつら・・・!」
「くっ! 一旦撤退だ・・・!」

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敵兵たちを退けた後、俺たち3匹はとある遺跡を目指し、村の北部へと向かう。
相変わらず、周囲の空は紫色だ。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・しかし、漸く遺跡が見えて来たな」
ポリゴン/アンディ
「・・・うん」
ミミロル
「・・・確か、自分の力について、知りたいとか何とか・・・?」
ピカチュウ/廉太郎
「ああ。 ・・・正確には、俺の力を貸して欲しいって言ってた方が、それを戦争に使ったりするような悪い奴じゃない、って事を確かめに
 行くのさ」

こうして歩いていると、やがて目の前には、いつかの2匹組が現れる。

ジュペッタ
「・・・首長くしてお待ちしてたぜ、ピカチュウさんよ」
ドラピオン
「・・・俺たちが欲しいのはピカチュウだけさ。 さあ来な」

ドラピオンは俺の腕を強く引くと共に、アンディとミミロルの方に岩石封じを放ち、足止めして俺から引き離そうとする。

ポリゴン/アンディ
「・・・待って! お兄ちゃんに何をする気?」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・こいつの言う通りです! 落ち着いて下さい!!」
ミミロル
「その通りよ!」

ジュペッタ
「・・・ピカチュウは兎も角、あんたら邪魔者は下がってな! シャドークロー!!」

ピカチュウ/廉太郎
「・・・2匹とも危ない! ・・・アイアンテール・・・!!」

アンディ、ミミロルの2匹に向けられたジュペッタの技を、俺は尻尾で必死に受け止める。

ミミロル
「ピカチュウ、わたしも助太刀するよ! ・・・炎のパンチ!!」
ドラピオン
「小癪な! ・・・岩石封じ!」
ミミロル
「・・・ピカチュウ、避けて!」

俺とジュペッタの身体が、互いに衝撃で引き離されたその時。大岩は確かに飛んで来る。だが・・・。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・ミミロル、お前岩で何を・・・!」
ミミロル
「・・・丁度良い大きさの岩だわ、足場にするにはね。 ・・・トリプルアクセル!」

ミミロルは連射された大岩をテンポ良く蹴り、その勢いのまま一気にドラピオンの懐へと突っ込む。

ドラピオン
「おのれ、岩石封じをあんな事に・・・ ・・・ぐわあっ!」

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俺たちは目の前の敵を倒し、遺跡の更に奥へと足を進める。すると、・・・。

ポリゴン/アンディ
「あのポケモン・・・!」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・あなた、あの時の・・・!」

あの時の様に前時代的な鎧を着た、1匹のポケモンが言う。

鎧を着たポケモン
「・・・わたしのもとへ来たか・・・。 ・・・ピカチュウよ、ひとまず付いて来るが良い」

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その後、鎧を着たポケモン共々遺跡の最果てへ到着してからの事。
そこには、墓石がなぎ倒された墓地の様に、薄気味悪い灰色の岩場が広がる。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・ところで、ここは・・・?」
鎧を着たポケモン
「・・・行き場のない憎悪や、怒りの溜まり場さ。 世界の運命を変えるには、まずはそこから浄化しなければならない」

遺跡の一番奥にある不思議な石板に、鎧を着たポケモンは掌をかざす。

鎧を着たポケモン
「・・・再生の為に己が身を削る。 その覚悟はあるか」

鎧を着たポケモン、俺を試すように問い掛ける。

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@揚陸艦メビウス

その後、燃料の積み込みも終わり、フライゴンとデリバードは無事にメビウスへと帰還した。

ドリュウズ
「・・・お疲れ様。 補給の準備なら出来ている」
フライゴン
「・・・ええ」

ドリュウズは袋を給炭機の大きな投入口に向けて、思い切り石炭を投げ込む。

ドリュウズ
「こんなもんで良いか? あまり入れすぎると、今度は給炭機が動かないからな」
デリバード
「ドリュウズさん、ありがとうございます!」

しかし、補給の終了後。地面が突然、大きく揺らぎ始める。

デリバード
「・・・?!」

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<SIDE ピカチュウ>

鎧を着たポケモン
「・・・再生の為に己が身を削る。 その覚悟はあるか」
ピカチュウ/廉太郎
「『再生』・・・。 ・・・一体どういう意味なのですか!」
鎧を着たポケモン
「・・・知らぬのなら教えてあげよう。 それがお前の存在意義だとな!」

周囲には激しい地響きが起こる。
そして、それから間もなく、アンディとミミロルもそこまでやって来る。

ミミロル
「・・・あのポケモン、ピカチュウの力で村を・・・!」
ポリゴン/アンディ
「・・・うん。 ・・・ところで、あのポケモンは・・・!」

アンディは石板の方を見つめる。そこ鎮座していたのはミカルゲだ。ミカルゲは激しい咆哮を上げ、こちらへと影討ちを放つ。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・取り敢えず、今の所動く様子はない! このまま慎重に行けば・・・! 
 ・・・10万ボルト!!」
ポリゴン/アンディ
「・・・ありがとう。 ・・・動かないなら狙いはすぐ定まる! ・・・冷凍ビーム!!」
ミミロル
「・・・それなら、わたしが一番前で注意を引き付ける! ・・・じゃれ付く!!」

俺たち3匹の攻撃は確かに命中している。
・・・しかし、その直後。再びミカルゲの咆哮が響き、大地が激しく抉られる。空も濃い紫に染まる。

ポリゴン/アンディ
「2匹とも僕の側へ! ・・・マジックコート!!」

アンディはマジックコートで、砂埃をはじき返す。
それから、ミカルゲの影は、少しずつ俺から遠ざかっていく。

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その後、ミカルゲだけでなく、鎧を着たポケモンも、いつの間にか俺の視界から姿を消していた。

ポリゴン/アンディ
「・・・2匹とも、怪我はない?」
ミミロル
「ええ」
ピカチュウ/廉太郎
「ああ。 ・・・でも、村の方が心配だ」

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それから、俺たちは急いで村へ戻る。
先ほどの地響きのせいだろうか。周囲の建物は悉く崩れ、地面も所々ひび割れていた。そんな状況下で、フライゴンさんとドリュウズさんがやって来る。

ドリュウズ
「・・・大丈夫か、ピカチュウたち!」
ピカチュウ/廉太郎
「ええ」
フライゴン
「・・・早いところ救助活動を始めましょう。 あなたたちは、燃料屋の近くの集落を頼むわ」

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その後、俺はアンディとミミロルを連れ、先程の燃料屋の方へと向かう。
こちらでは斜面の崩れている様子の他、所々に落石も確認出来た。

モルペコ
「おらおらぁ! とっとと飯寄越せやぁ!!」

救助活動に取り掛かろうとした矢先、いきなりポケモンの集団が襲い掛かって来る。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・あなたたち、落ち着いて下さい!」
ミミロル
「・・・そうです! ・・・?!」

ところがその時。ミミロルは驚いての事か、ポーチを懐から落としてしまう。
それから間もなくポーチは、襲ってきた集団の内の、1匹の手で開けられる。

ミミロル
「・・・あ! わたしのポーチ!」

モルペコの集団
「・・・何隠してんのかと思えば、木の実が1つか」
「木の実か。 ここは俺が有難く・・・」「・・・何が有難くじゃ、ざけんじゃねぇ!」
「そん通りだ! 早く寄越しな!」「・・・いいや、俺んだ!」
「・・・殺られてぇかおらぁ! ・・・瓦割り!!」「・・・俺も瓦割り!!」
「・・・解っとるだろうな、俺に寄越さんきゃどうなるかな! ・・・泥棒!!」

たった1つの木の実が地面に落ちた瞬間、集団の面々は貪るように奪い合いをし始めた。
・・・かのように見えたが・・・。

リーダー格のモルペコ
「・・・全く、家の集落の連中が迷惑かけてすまんな」

集団のリーダー格と思しき方が、唯一冷静になって前に出る。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・いえいえ」
リーダー格のモルペコ
「・・・言い訳するつもりじゃあないが、ちょっとばかり聞いてくれ。
 ・・・元々この村自体、3年前の戦争のせいで、貧しい暮らしを強いられてる連中の集まる場所さ。
 中でも家の集落に来る奴らってのは、飯すらも碌に食えねぇような奴ばっかりなのさ」

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その後俺は何を考えたのか、感情的になりながらメビウスの方へ走っていた。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・食糧です。 安い木の実が、木箱2,3個分くらいあれば足ります」
ラッキー
「木の実ね。 今引っ張り出して来るから、少し待っていてちょうだい」

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@世界樹の遺跡

ドータクン
「・・・それで、奴は協力する気はないってのか?」
鎧を着たポケモン
「そういう訳ではなかろう。 ・・・ただ、彼にはまだ迷いがあるように見えた。
 その迷いを断ち切らぬまま、『再生』の本当の意味を知ってしまえば・・・」
ドータクン
「・・・『再生』の本当の意味、か。 一体何なんだ」
鎧を着たポケモン
「・・・己が身を以てして、腐敗したこの世界を消し去る。 そうすれば、世界樹もろども朽ちていく、総ての世界の運命さだめすらも変えられる。
 ・・・それが『再生』という事であり、彼の存在意義でもある」
 

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@タイマントの国王官邸

スターミー
「・・・国王陛下。
只今の議会での審議をもちまして、戦地への大規模な援軍派遣が、正式に決定されました」
メタグロス
「・・・了解した」

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【TO BE COUNTINUED】

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