day5-1

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寒すぎ。
(仲間達と共にこの世界を旅しなさい。)

・・・いきなりこんな事言われて誰が平然を保てるのだろうか。大抵は疑問やら怒りやらの気持ちが湧くとは思うが今の僕は特段何も思っていない。そりゃあこの世界に来た当初はどうやって生きていくべきかとかこの先の人生とはとかを考えていたが、今はお陰様で3体も心強いパートナーがいるから心の支えはあります。
そんな事よりもこれは僕の夢の中での話なのだが、この世界を旅せよという命令は一体誰からだったのだろうか?僕が知らない僕自身?それとも神?あの無責任な天使??分からない。そんな事を思っていると朝になったのか目が覚めてしまった。窓の外には朝日が照り付けていて如何にも素晴らしい朝って感じだ。あの音楽を流してほしい位の。朝の会・・・

「今日の天気は持ちそうだな。それよりも昨日は帰って来てからご飯食べてちょっと横になったと思ったらそのまま寝落ちしてしまったな~お陰様で服が凄いしわだらけ。っというよりもこの町で服を買おうと思ってたんだった。」

テーブルの上には昨日の夜に近所のコンビニで買ってきた総菜やらご飯やら飲み物のペットボトルやらが置かれたまま。そしてそのテーブルの近くでミニリュウとピジョンが雑魚寝。ラプラスはと探してみると僕が寝ていたベッドの上に頭だけを乗せて器用に眠っていた。・・・あれ?いつの間に布団なんて羽織ったんだろ?もしかしてラプラスが着せてくれた??後で聞いてみよう。僕は静かにベッドから立ち上がると洗面所に行き朝の身支度を始める。やっぱり服はこの町で買っておこう・・・靴下も下着も全部揃えておこう・・・そして次のポケモンか泊る場所で洗濯。

ラ『・・・!!あれ??コウイチさんは・・・??あっもう起きてるんだ。ってもう7時過ぎ?!これは寝すぎた・・・僕も急いで身支度しないと・・・ってあーあ、昨日の片付けもせずに寝ちゃったんだった。コウイチさんがベッドの上で布団もきらずに寝ちゃってたからかけてあげて・・・そこから僕も寝ちゃったんだった。』

「やっぱりラプラスが布団かけてくれたんだね、ありがと。それよりもそんなに急ぐ必要はないからゆっくりで良いからね?もうクチバシティ内には入ってる事だし、あとは中心部に向かうだけだからね?」

ラ『分かった!』

部屋の掃除はラプラスに任せる事にして僕は身支度の続き。相も変わらずミニリュウとピジョンは寝息やら寝言やら言いながら夢の世界を旅しているし、もうちょっとどうにかしてほしいなぁと思っているところでもある。





なるほど・・・この町の境目から町の中心部は結構離れているのがこの町の特徴なのか。クチバシティの看板は所々出ているにも関わらずにジムやら何やらがある中心地までは結構な距離ある。ミニリュウは相変わらず超絶不機嫌で凄い形相でこっちを見てるし、そんなんだったらボールに入ってもらった方が良いような気がするんですよね。

「・・・ミニリュウもあんな起こされ方して怒ってるのは分かるけど、いい加減その形相止めてくれないかな・・・滅茶苦茶怖いし気になって仕方ない・・・あれだったらボールに入って貰ってピジョンの方を連れ歩いても良いけど・・・あっそれは嫌との事ですかそうですかそうですか・・・うーん。」

頑なにボールに入るのを拒むミニリュウ。やはりまだ怖いのだろうか・・・それとも何か他の理由があるのかは分からないけど僕は取り合えず前へと進んでいく。暫く歩くとちょくちょくと高いビル群だったりロードサイド店舗が増えてきた。遂にクチバシティの中心部へと到着した模様である。セキチクシティからここまで約4日近く掛った。

ミ『ところでクチバシティには何しに来たの?確か最終目的地はマサラタウンって話だったと思うけど、ここはまだまだ手前の町だよ???』

「・・・何しようか。」

僕は全くノープランでクチバシティへとやってきてしまった。そうだったそうだった、マサラタウンが最終目的地だった。もう既にここで旅のすべてが終わったみたいな雰囲気になってしまっているけどそうじゃなかったわ。まだまだ旅は始まったばかりで1週間も経ってねぇ。

「珍しいポケモンをお持ちのそこの貴方。もし良かったら私とお手合わせ願えないかしら?」

急に後ろから話しかけられた僕は驚きを隠しながら声がした方へと振り向く。そこには一人の大きな麦わら帽子を被ったまだ若そうな女性が立っていた。おっ、あんな大きな麦わら帽子被った人なんて久しぶりに見たな。今の時代あれ被る人居ないのよね~トレンドでもそこまでって感じだったしってなんでいきなり勝負???あっ、この世界はポケモン連れてる同士が出会ったらバトルみたいな感じだったな。まじバトル厨多すぎ。

「いや特に理由とかなんも無くて、ただミニリュウなんて珍しいポケモン連れていたから勝負をしてみたくなっただけよ。どう?私と勝負して勝ったらヤマブキシティまで行ける位のタクシー代は出すわよ?どう?勝負する気になった?」

ヤマブキシティ・・・タウンマップで見て見ると位置的に言ってしまえば東京都か。タクシー代は出すという事は数万以上くれるのだろうか?それなら乗らない手はないね。勝てたら暫くの生活費はどうにかなる。ただ相手のレベル高くなければいいんだけどなぁ~そこだけが心配。

「良いですよ。じゃあ勝負しましょう。」

「そう来なくっちゃ!じゃあ私のポケモン行って来て!!」

相手のポケモンはそれまたこの地方では珍しい分類になるであろうワカシャモである。

・・・はっ?ここってカントー地方よね?なんでいきなり別地方のポケモン出てくるんです?それともこれが港町クチバシティの特徴なのか??んな事考えている場合じゃなかった。じゃあミニリュウ行って来て。凄い不機嫌な所ごめんけどお願いします。

「言い忘れてたけど私はホウエン出身のトレーナー!今さっき到着した定期船でカントー地方に来たばかりなの!だから私が出すポケモン達は全員ホウエン地方のポケモン!この勝負は2体2のシングルバトルって事で良いわね?」

「もうご自由に・・・しかもこんな道路のど真ん中で・・・邪魔にならないのかしら。じゃあミニリュウお願いします。」

ミ『あんな奴さっさと蹴散らしてあげるから任せておいて!』

「そうこなくっちゃ!じゃあそちら先行で良いわよ?」

「わかりました。ミニリュウたつまき!!」

ミニリュウはたつまきを繰り出そうとしたがその瞬間にあのワカシャモが凄い勢いで飛び膝蹴りを決めてきた。恐らくそんな技名は無いと思うが素早さ高い・・・ギリギリの所で避けれたから良かったもののこれはちょっとミニリュウには不利じゃないか??そう思ってうーんうーん唸っていたらピジョンではなくラプラスの方のボールが揺れた。

「ラプラス・・・?・・・!ミニリュウここは一旦下がって!明らかに形勢不利!!滅茶苦茶形勢不利だから!早よ下がりなさいって!」

ミ『そこまで言うなら・・・私はまだまだ全然いけるのに・・・。』

「ラプラス宜しく頼みます!無理しなくても良いからね?無理なら無理って早めに言ってね?」

ラ『大丈夫!コウイチさんも指示お願いします!!僕精一杯やるから!!』

「相性が良いポケモン出したところで結果は同じ事よ!!ワカシャモ火炎放射!!」

「ラプラス水鉄砲!!!」

火炎放射と水鉄砲が当たり水蒸気が辺り一面に広がり道路の周りが濃霧のような状態になった。これでは視界が利かないから遠方技は狙いが定まらないから不利!!かといって近距離戦も相手がどこにいるのか分からないから結局不利・・・ラプラスは確かまだ遠距離技しか使えないと思うからこの状況は結構ヤバいかもしれない。ん???

ミ『ほら・・・だから言ったじゃない・・・それにこの状況だと流石にラプラスでは厳しいと思うって。まだあの子遠距離技しか習得していないし、かと言って近距離で見様見真似で叩くとかはこの濃霧では当たる確率が低い・・・どうするコウイチさん・・・。』

「何よこの濃霧は!ワカシャモ!こんな濃霧でも怯む事はないわ!!あのラプラスは貴方よりもずっと弱いのよ!だからもう一度火炎放射!そしてスカイアッパー!!」

「さっきまでの余裕は何処に行ったのやら。それにこの状況でそんな滅茶苦茶な指示は厳しいのではないのでしょうかねぇ・・・あっちは動くつもりでいるのか・・・ならば。ラプラスはじっと目を閉じて相手の気配を感じて!!・・・出来るならで構わないから・・・。」

ラ『えっ???えっ????わ・・・分かった!!やってみる!』

ラプラスは言う通りに目を閉じて相手の居場所を感じ取る様に集中しだす。アニメとかだとこういう風な時はこういう風にすると大抵当たるんだけどどうなるかは僕にも分からない。

ラ『!!!コウイチさん!!』

「そこに向かって思いっきり水鉄砲!!躊躇なくやって良いからね~!!」

濃霧の中にある一点にラプラスは水鉄砲を放つ。その勢いは先程の水鉄砲とはちょっと違い勢いも威力も勝っているものだった。ハイドロポンプとまでは行かないと思うけど結構強そう。そして霧の中からは聞き覚えのある声の悲鳴が聞こえてきたからどうやら誰かしらに当たったようである。人じゃなければ良いんだけど。

「もしかしたらラプラスはそういう風に狙い撃ちするのが上手かったりするのかもしれないね。いやはやポケモンによってやっぱり色々と得手不得手があったりして奥が深いなぁ・・・それならラプラスは遠くから狙い撃ちしてもらう感じにして近距離は他のピジョンとかに」

ミ『コウイチさんまだ勝負はついてないよ?安心しきるのはまだ早いと思うけど?ほら霧が晴れたらあのワカシャモがびしょ濡れな状態でこっち見てる・・・めっちゃにらんでますけど。』

「マジかよ。」

ミニリュウに言われたようにびしょ濡れのワカシャモが先程よりも鋭い眼光でラプラスの方を睨んでいた。あれが俗にいう睨みつけるという技なのだろう(多分違う)でもあの鋭い眼光で睨まれたら流石に怖いというか後ろに後ずさりしちゃいそうな感じはするよね。

「よくもやってくれたわね?でも私のポケモンはそんなやわじゃないのよ?ワカシャモ!火炎放射からのスカイアッパー!素早さ増し増しで!!」

「増し増しってラーメンじゃあるまいし・・・ラプラスもう一度水鉄砲!それで消火してからの今度はじっくりとあのワカシャモを狙ってギリギリまで引き寄せてからの至近距離から思いっきり放つ感じでお願いします!」

ラ『分かった!・・・ギリギリまで引き寄せて・・・まだ早い、もうちょっと・・・・今だ!!!』

ラプラスはワカシャモが放った火炎放射を秒で消火し、スカイアッパーを当てに来たワカシャモをギリギリまで待ってから超至近距離から思いっきり水鉄砲を放つ。その衝撃でワカシャモは空高くまで飛ばされそのまま近くの地面に落下、砂埃が起こった。

ミ『凄い・・・あんな至近距離まで引き寄せてからのあの水鉄砲・・・一秒でも遅れると相手の攻撃が当たるというのにあの子はあんなにギリギリまで引き寄せられるなんて・・・怖いもの知らずというかバトル慣れしてないってのは怖い事なのかも・・・。』

「やっぱりラプラスはああいう感じな戦い方なんだな・・・なるほどなるほど。多分だけどこれであのワカシャモは相当ダメージ喰らったと思うよ。・・・でもやっぱりガッツあるなぁ、また立ち上がってるよ。でもふらふらだね・・・じゃあラプラス、も一度水鉄砲。」

その後ふらついていたワカシャモに追加で水鉄砲が当たり、ワカシャモはその場に倒れ目を回した。ラプラス意外と戦闘能力高いなと思うと同時にやっぱり知能は高いと感じた勝負だった。

「さてと、じゃあこのままラプラス続投でお願いできる?」

ラ『うん分かった!全然大丈夫!』

「よくもワカシャモを・・・あっちでは負けなしだったのに・・・だからこっちに来ても全然大丈夫だろうって思ったのに・・・・!!!でも大丈夫、ワカシャモ同様にもう一体も簡単にやられるような子じゃないよ!!行って来てマッスグマ!!」

「マッスグマならミニリュウでも良いかな・・・(ボソッ)、じゃあミニリュウ行って来て。ラプラスはちょっと後ろに下がってて。多分ミニリュウボロクソやると思うし、技があちらこちらから来て危ないかもしれないからこっち来て来て。」

ラ『分かった!じゃあミニリュウ後はよろしくお願いします。』

ミ『OK!全然任せて!!なーんかコウイチさん投げやりになってない??全然私でも大丈夫!それにもうボロボロにやっても良いよね?じゃあやるよ!』

「ボロボロってボコボコの言い間違いでしょ。まぁご自由に・・・。」

ミ『ちょ・・・そんな引かなくても良いんじゃないの???それに指示してくれないと私どう動けばいいか分からないからね???』

「うん、一先ず指示はするわ。」





「くっ・・・まさかこんな人に負けるなんて・・・でも約束は約束ね・・・はい、これ位あればヤマブキシティまでタクシーで行けるでしょ?私?・・・大丈夫大丈夫!こう見えて私お金持ちだから全然大丈夫!それ位貴方にやっても全然オールオッケー!じゃ・・・じゃあね!珍しいポケモン持った不思議なトレーナーさん!次またどこかで会ったらこうはいかないからね!!」

「あっ・・・・行っちゃった・・・今まで戦ってきた中でもトップクラスの変な人だった・・・それよりもラプラスもミニリュウもお疲れさまでした。疲れたでしょ?」

ラ『全然!まだまだ全然行けるよ~!それにバトルってあんなに楽しかったんだね!でもそれもコウイチさんが的確に指示してくれたお陰だね!僕一人だったら全然無理だった・・・。』

ミ『そりゃあコウイチさんだもの!それに私だってあのマッスグマボコボコにしてやったんだから褒めて褒めて!』

あれはボコボコにしたってレベルじゃなかったぞ・・・ミニリュウはちょっと技の加減という物を知らないのかなって思う。その点に関してはなんか前から気になっている。ちょっとやり過ぎていまうような・・・自分の力を制御できないのか???それよりもあの女性結構な額置いてったぞ・・・金持ちだとか色々言ってたけどこれは・・・多分札束で15万位はある。この世界のタクシーが初乗り幾らでその後どの位の距離でメーターが上がるのかは知らないけど・・・

「うーむ・・・まさかの相当な金額を置いて行ってくれた。なので有意義に使わせて頂くとしよう。まずは着替えとかを買ってからヤマブキシティまでのルート検討会議という事でまずは町の中心地にさっさと行くよ。」

僕達は町の中心に向けて再び歩き始めたのだった。

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