【第14話】交渉

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:11分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

<SIDE ルカリオ>

チェリム
「・・・わたくしたちはこれからダグネの街に向かいます。
 わたくしたちの作戦に、王家の者としてチュリネも協力していただけますか」
チュリネ
「はい!」
ドータクン
「・・・分かりました」
ルカリオ
「・・・ああ」

チュリネに協力を仰いだ俺たちは、パルス王国とメリス帝国の講和の為にダグネの街を目指している。

ポッチャマ
「それで、ダグネまではあと少しだけど・・・」
ムクホーク
「こうしてぐずぐずしてる間にも、メリス軍の計画が進んじまう。
 とりあえず急ぐぞ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<SIDE エルレイド>

エルレイド
「・・・ガブリアスの暗殺・・・ 本当に実行を・・・?」
ビークイン
「・・・講和の見込みがないという事で我々も強気で出てはいるけど・・・
 ・・・あちらと話が通じなければ致し方ないわね」
エルレイド
「・・・それもそうですが・・・」
ビークイン
「・・・これしか聖戦を止める術がない以上致し方ないわ」
エルレイド
「・・・分かりました。 ・・・それにしてもこれは・・・?」

僕はビークインに、宝珠の様な2つの球体を差し出す。

ビークイン
「この2つをメリス軍から押収したというのね。
 ・・・しかし、これはもしかすると・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<SIDE ルカリオ>

チェリム
「・・・しかし講和とは言うものの、あのガブリアス陛下、
 こちらの呼びかけに本当に応えて下さるのでしょうか・・・」
チュリネ
「・・・ええ。 今は我々とメリス帝国の想いを信じましょう」

夜はもう遅く、風も冷たい。 ダグネに着いた俺たちは、ひとまず市街地の宿へ向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宿の部屋から外を眺めると、雪が少しずつちらつき始めている。

ポッチャマ
「・・・ねえルカリオ。 これで本当に、戦争が終わるの・・・?」
ルカリオ
「・・・終わらせられるかは誰も知らない。
 ・・・ただ、俺たちは出来る事をしているじゃないか」
ポッチャマ
「ああ。 ・・・でもルカリオ、一緒に戦ってくれてありがと」
ルカリオ
「『ありがとう』だと・・・ どうしてそんな急に」
ポッチャマ
「・・・いつもは恥ずかしくて言えないんだけどね。 何だか急に言いたくなっ
ちゃった。
 ・・・実はルカリオを見ると、僕の父さんの事を思い出すんだ」
ルカリオ
「父さんの事と言うと・・・?」
ポッチャマ
「・・・僕は生まれてすぐに母さんを亡くしたから、父さんが故郷ふるさとの村
の警備をしながら男手一つで僕を育ててくれたんだ。 
 昼間の父さんは警備の仕事が忙しかったから、昔から父さんがいない間は、
村から遠く離れたムクホークの孤児院で面倒を見てもらってた。 
 ・・・でも、ある日、孤児院から帰って来た途端、僕は人質に取られた。
 誰がそんな事をしたのかまで覚えてないけど、そいつは確かに父さんに、
父さんと僕の、どちらの命を取るのか迫った。 
結局父さんは僕を助けたい余り、敵に一殴りも入れずに
 敵に殺されたんだ。 改めて孤児院暮らしになったのも、それがきっかけなんだ」
ルカリオ
「ああ」
ポッチャマ
「・・・それから、村の皆で敵を追い払う事になったけど、そいつらに成す術もなく
 やられて、そのまま村も壊滅して敵に占拠された。
 ・・・だから、この世界の皆に、僕と同じ想いをして欲しくない。
 戦争はなおさらなんだよ」

戦争を止めたいという想い・・・ 
それこそまさに、幼いポッチャマの心を支える物だったのだろう。

ポッチャマ
「・・・父さんだってそう思っていた。 父さんは、ちょっと無口だけど
 優しかった。 ・・・ルカリオみたいに。
 父さんは、『暴力や憎しみに、同じように暴力や憎しみを重ねれば、その分だけ
 俺たちを不幸にする』ってよく言ってたんだ」
ルカリオ
「・・・あの時一殴りでもしていれば、不本意に互いを傷つける。
 ・・・その事を知っていたからこそ・・・」
ポッチャマ
「・・・ああ。 父さん、無口だけど実はお人好しだったのかもしれないや。
 ・・・勿論良い意味でね」

それから二人の間に走ったのは、ただ穏やかなだけの沈黙だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝の事。

チュリネ
「姉上。 ・・・ガブリアス陛下の事ですが、昼頃からご一緒に会談を開ける事に
 なりました」
チェリム
「・・・では、講和のお話はそちらで致しましょう」
チュリネ
「ええ」

そこから、俺たちは街の中心部にある屋敷に向かう。
ガブリアスはそこで俺たちを待っているのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

屋敷の目の前での事。

ガブリアス
「・・・チェリム王女か。 今案内致そうではないか」
チェリム
「・・・ええ、ご案内ありがとうございます」

屋敷の中に入るとき、俺たちの夢に、あと一歩で手が届くと確信した。 だが・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

チェリム
「講和条約を結ぶ準備はお父上が中心となって進めて下さったようです。
 それはそれで、調書を無事届けられたのもチュリネのおかげですわ」
チュリネ
「・・・というか姉上、わたしたち皆とっても心配したんですからね。
 全く、姉上が戦火に呑まれて亡くなられていたらどうしようかって、冷や汗搔きっ放し
 だったんですよ」
チェリム
「・・・わたくしの我が儘の為に妹にそうまでさせてしまって申し訳ありません」
チュリネ
「・・・でも良いんですよ、姉上」

と、その時。

???
「クロスポイズン!」「サイコショック!」

ルカリオ
「・・・チュリネ、チェリム! 危ない!」

シャンデラ
「・・・ふっ、ここが貴様たち全員の墓場です・・・!」

ガブリアス
「・・・シャンデラ、お前聖戦を止めると・・・」
チェリム
「・・・ガブリアス陛下、ここは一旦お引きください。
 わたくしたちが必ず奴らを止めます」
ガブリアス
「・・・ああ」

こうしてガブリアスを、屋敷の外に逃がすや否や・・・

シャンデラ
「・・・聖戦を止める? ・・・笑止。
 ・・・わたしはただこの世界の実権が欲しいだけなのです」
ムクホーク
「・・・この世界の実権か」
シャンデラ
「・・・パルス王国と故郷ふるさとを制圧すれば、帝国民を戦禍から救う事が出来るのです。
 ・・・解ったのなら邪魔をするな、煉獄!」

シャンデラの煉獄と共に、アリアドスやカラマネロの兵士が一斉に襲い掛かる。

アリアドスの兵士
「・・・シザークロス!」「・・・毒突き!」
ムクホーク
「ブレイブバード・・・!」
チェリム
「種マシンガン・・・!」

カラマネロの兵士
「・・・サイコカッター!」「・・・地獄突き!」
ミミロップ
「じゃれ付く・・・!」
ポッチャマ
「渦潮・・・!」

ルカリオ
「くっ、 ・・・すまないドータクン、チュリネの事を頼む!」
ドータクン
「はい・・・!」
チュリネ
「お二人ともありがとうございます・・・」

ルカリオ
「・・・覚悟しなシャンデラ・・・! 悪の波導・・・!!」
シャンデラ
「・・・火炎放射!」

重なった技同士が激しい爆発を起こす。

ムクホーク
「燕返し!」
ミミロップ
「・・・もう一度じゃれ付く・・・!」
アリアドス・カラマネロの兵士
「くっ・・・」「奴ら・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

チェリム
「チュリネ! お怪我は?」
ドータクン
「この子に特に怪我はないようですが・・・
 ・・・それよりシャンデラはどこへ・・・?」

言われてみれば確かに、シャンデラの姿が見当たらない。

ムクホーク
「どうせまたガブリアスも一緒に撤退したのだろうが、それにしても・・・」

すると、俺の前には何故かエルレイドが現れる。

ルカリオ
「・・・エルレイド。 どうしてお前が・・・」
エルレイド
「・・・僕もガブリアスの行方を追っていた。
 生憎彼は殺し損ねたが、重大な情報を彼の手下から聞き出したのだ」
ミミロップ
「『殺し損ねた』・・・ ・・・まさかあなたも・・・」
エルレイド
「・・・ああ。 ・・・僕がメリス帝国を滅ぼす」
ルカリオ
「・・・エルレイド、お前・・・」

ミミロップ
「ルカリオ・・・」

ルカリオ
「・・・エルレイド! 本当に殺し合いをしようと・・・」
エルレイド
「・・・まあいい。 兎も角、まずはインレッタへ向かうんだ。
 ・・・その街の、北の外れに大きな遺跡がある。
 そこにいる心の神々をこれで解放してほしい」

エルレイドが手渡したのは紺色の球体だ。
さらに彼は、純白の球体を右手に持ちながらそう言う。

エルレイド
「・・・解放の為には、今渡した時の宝珠と僕の空間の宝珠を使えば良い。
 ・・・ただし、宝珠は1つに付き、一匹のポケモンとしか呼び合わないのだ」
ルカリオ
「・・・それで俺を頼ろうというのか・・・ ・・・致し方ない」
エルレイド
「ああ。 ・・・ひとまず僕が先にインレッタへ向かう。
 君もそこに到着したら連絡をくれ」
ルカリオ
「ああ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、夜がすっかり遅くなってからの事。
俺たちはまた宿を探し、そこに一泊してからインレッタへ向かう事を決めた。

ドータクン
「『2つの宝珠 心の神々を2人の心へと呼ぶ』・・・
 ・・・絶対に宝珠を守り抜きましょう」
ルカリオ
「ああ」

それから、俺はふと窓に顔を近づける。
また強い吹雪が来る。

ルカリオ
「・・・しかし、エルレイド・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<SIDE エルレイド>

エルレイド
「・・・ルカリオ、 ・・・どうか僕の想いを解ってくれ・・・」

宝珠を片手にインレッタへと向かう僕。
その想いを片手に、神界へ続く扉を開ける。

エルレイド
「・・・僕たちの正義の為に、・・・」

本当の想いは吹雪に揺れ動かされていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【TO BE COUNTINUED】
*次回・・・9月25日公開!
      ミミロップの想いとは・・・ 乞うご期待!

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想