6・忘れたい人-3

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 僕は君のことを、信用してもいいのか?
 ――そう問われたことよりも、そう問われてショックを受けていることに、今は注視するべきだ。そんな風に感情を揺すられる関係になってはならないはずだった。女はベッドに身を横たえたまま、眠っているチリーンをゆっくりと胸に抱いた。薄い衣服の生地越しに感じる『友達』の温度が、今はとても冷やかで、虚しい。
 遠征の予定が無下になり、客人も去った後は何もやることがなくなってしまった。手持無沙汰に上がった私室に、隊員服を脱ぎ払ってベッドに伏せる以外の選択肢を彼女は見いだせなかった。華美すぎず、簡素すぎずの少女らしい肌着の上を、さらさらと風が撫でていく。窓が開いている。視界の端にそれを見やると、彼女はそのまま目を閉じた。
 きつく体を締め付ける隊員服から解かれている時、心の動きも自由になると感じる。ゆらゆらと戸惑う感情の波間で、先程のやり取りを、一人思い起こした。――彼の前にその名を差し出すことに、抵抗はあった。けれどあれほど取り乱すとは、正直、思っていなかった。
 肉親の名前の印字の向こうに、彼は何を見たのだろう。色を失った瞳。震えだした指先。予想の外だったとしても、腹の底を這う罪悪感は、どうしようもなく気分を不快にする。何も幸せな場所から戻ってきたばかりの彼に、傷口を無理矢理こじ開けるような酷い仕打ちは、働かなくてもよかったのではないか。その流血に乗じるように、利得を引き出す残酷な真似は。末に放たれた刃の言葉、その後添え付けられた、薄っぺらな埋め合わせ。今のは無しだ。君のことは信用してるよ。
 なぜだろう。あの吹けば消えてしまいそうな心許ない背中を、瞼の裏に思い描く。なぜあの時、私を信用していいと、すぐに言えなかったのだろう。
 胸がざわついている。抱きしめるチリーンをすがるように撫でた。すべすべとした丸みに熱は灯らない。無機質な堅さと冷たさ。微動だにせず、眠っている。
 ビジネスライクな関係と、頑なに言い聞かせてきたのは自分だ。その信念に揺るぎはない、あの人に情を移す理由など、どこにもなかったではないか。ねぇ、あたしあの人に、何かしてもらったことあった? ――ちりーん、と、涼やかな音色が響いた。思わず瞼を上げる。腕の中のチリーンは口を開き、涎を垂らして眠っている。
 音源を求めて視線を上げ、あ、と声が漏れた。窓際で重たげに尾を揺らしているのは、チリーンの小さなレプリカだ。出来が悪いのか、どんなに強い風が吹いても、ほとんど鳴くことはなかったのに。
 安っぽい風鈴を見つめて、彼女は少し頬を緩める。
 再会して間もない頃、それを土産にやってきた彼のぎこちないはしゃぎようを、今一度、瞼の裏に呼び起こした。







 髪を切ってほしいと頼むと、おばさんは存外に喜んでくれた。
 店の戸の外側には休業の札が掛かっている。その内で、敷かれたブルーシートに鼻を寄せ、ヴェルは懸命に匂いを嗅いでいた。ハギが店の椅子をひとつ持ってきて、シートの中央に置く。そこにミソラが腰かけた。

「さぁ、どんな髪型にしようかね」

 ご機嫌に言いながら、次々と見覚えのない散髪用具を取り出してくる。合羽のような服をミソラに着させる。櫛と霧吹き。それから取り出したメインの道具を見て、ハギは眉をひそめた。はさみは錆びてしまっている。
 カウンター席に腰かけてソーダを飲んでいるタケヒロは、断髪式の立会人だ。気取ったように優雅にコップを回しながらも、首を伸ばしてこちらを見るのはいかにも興味津々といった様子。

「おばちゃん、その散髪グッズであいつの髪切ってたわけ?」
「あいつ?」

 言いながらハギは奥の部屋へと一旦引っ込んで、別のはさみを手に戻ってきた。

「あいつだよ、あいつ」
「お師匠様ですよ」
「ああ、トウヤかい」
「『あいつ』は『あいつ』だ」

 タケヒロがどうしてもトウヤを名前で呼びたがらないところは、ミソラが知り合った時から相変わらず。サラサラと指先から零れる金髪を弄びながら、ハギは笑った。

「トウヤなら、子供の頃、髪は自分で切ってたんだよ」

 散髪代をせがむのも遠慮してたんだろうけど、とハギが言うのもそれっぽいし、相談せずさっさとやってしまいそうなところもそれっぽい。子供の頃から、やっぱり『トウヤ』は『トウヤ』なんだな。そんな話をもうちょっと続けたかったけれど、なんだかうまい言葉が出てこなくて、結局前を向き直してしまった。
 俺だって自分で切ってる、とタケヒロが自慢げに主張して、閑話休題。髪を一束、持ち上げられる。背筋が伸びる。自分が緊張していることに、ミソラはそこでやっと気づいた。
 かっこいいのにしようね、というハギの声掛けにも、頷くことしか叶わない。これからこの頭の重さがなくなって、女の子扱いされることもなくなって。それで、自分はどうなるのだろう。

「どのくらい切ろうかね、まだしばらく暑いから、ばっさり?」
「短くだ、短く。男らしくしてやって」

 ミソラが何か言う前にタケヒロが要望した。あんまりにも女の子と見間違えられるものだから、男らしさへの憧れはもちろんミソラも持っている。でも、男らしい髪型なんて、自分に似合うのだろうか。――不安がどんどんと胸を侵食していく。むずむず足を動かした。その間にも、ヴェルはまだ執拗にシートを嗅ぎまわっている。リナは向こうの方で耳を掻いているばかりで、主人のイメージチェンジには興味がなさそうだ。
 切っちゃうよ? とハギが問うた。ミソラは頷いて返した。なぜだろう、声が喉を通らない。……鈍く光るはさみが、ミソラの視界から背後へ消えた。心臓がばくばくと高鳴る。髪を切るって、こんなに緊張するものなのだろうか?
 ドサリと、自分と分断された長い長い髪の毛が、死体のように床に落ちる。ブルーシートの上に打ち広がるごみ屑と化した金の髪。そんな光景を想像した。
 首筋に冷たさがひた走る。

「あの」

 やっと声が通った。ハギは手を止めて、何だいとミソラを覗きこむ。ミソラはその目を見れなかった。前を向いていると、店内に光を取り込む大きな窓の向こう側に、通りを行く人の往来が見える。いつもと変わらない、夕暮れのココウ。

「あの、お師匠様は、喜んでくださるでしょうか」

 そんなことを聞いた。きょとんとするハギの代わりに、またお師匠様かよ、とタケヒロが吐いた。ストローに口をつけて、ぶくぶくとソーダ水を泡立てる。その音が、いやに大きく耳についた。
 喜ぶかは分からないけど、相当びっくりするだろうね、とおばさんは言ってくれた。それはそうだろう、絶対に、めちゃくちゃびっくりするはずだ。けど、今、自分は、そんな答えが欲しくて、そんな無駄口を利いたのだろうか?
 切るよ、という再びの問いかけに、今度ははいと答えられた。前を見据える。窓の向こうに行き交う視線が、たまにこちらを捉えてきて、ミソラの視線と合致する。そのどれもがすぐに興味を失って、ミソラから離れた。無意識に唇を噛む。冷たい金属の刃が、ミソラの髪へ入ろうとする。

 髪を切ったら。
 その髪を、失えば。

「……あの!」

 自分で肩が震えるくらい、大きい声だった。

「でも、喜んでくださると思うんです。お師匠様は目立つのが、お嫌いなので、長い金髪も……」

 声が止まる。何を言っているんだろう。おばさんも、タケヒロも、何も言わなかった。静かに時が過ぎる。ぞわぞわとした得体の知れないものが、ミソラの胸を、這い回っていた。怖い。咄嗟にその感情が、意味もなく首をもたげる。何が怖いというのか。意味がない。自分でも、そう思うのに。
 ミソラ、と小さく控えめに、タケヒロが呼んだ。振り向けなかった。頑なに、まっすぐ前を見ていた。知らない人が歩いている。誰か見知った人が通らないだろうか。例えば、お師匠様。少し背筋の丸まったあの人が、すたすたとやってきて、こちらに気付いて、困ったように微笑む。そんな風に。
 けれど、そんなことは、起こらない。その人はここには来ない。
 頭を撫でられる。おばさんだ。慮るように、聞いたこともないような柔らかい声で、ミソラに問うた。

「本当に、切っちゃっていいんだね?」

 すぐに頷いた。当たり前だ。こんなもの、今のミソラには、何の意味もないのだから。……鼻をすする。どうしたのだろう。僕は、どうしてしまったのだろう。どう考えたって、意味がないのに。
 頭の上を、優しい手が、離れる。離してほしくなかった。そんなこと言えなかった。これでいいんだ。右手が上がる。手にははさみが握られている。二枚の刃が。折り重なって、知らない『自分』を切り離す。いいはずなんだ。『自分』が遠のいていく。『自分』を取り巻いていた、すべての人が、ことが、離れていく。怖いはずがない。だって僕は、今ここにいるミソラだけなのだから。ミソラとそれらとは、何の関係もないのだから。震える膝へ手をやって、強く、おさえつけた。
 決意を確かめたくて、降り積もってきた時間を思う。おばさんのごはんを食べた回数を、タケヒロとした馬鹿な遊びを、レンジャーの呆れたような表情を、リナを撫でた感触を、トウヤの背中を眺めた日々を。繋いでいた、彼の温かい掌を。ミソラの大好きなものたちを、今、強く、握りしめている。――それなのに。
 離しがたいものが、もっと、存在している。回顧する日々の、もっともっと前に。そんなものはもう、いらないんじゃなかったの? ここで生きていくなら、必要のない辛い気持ちは、捨てていくって決めたでしょう? でも。一度、切り落としてしまうなら。生の記憶の象徴たる長さを、なかったことにしてしまうなら。そう鳴り響くのは、『僕』の声。

『きっともう、元のようには、戻れなくなる』

 ああ。もう二度と。襲ってくる感情に頭がぐらぐらした。視界が利かなくなる。行き交う人が、ぼんやりと滲んでいく。はさみの刃と刃がこすれあう音が、聞こえた。

 僕は。

「……あ、の」

 鼻をすする。にぎりしめた指が、爪が、掌に食い込んでいる。僕は、何を、しているの。

「……今日の、ばんごはん、なんですか?」

 明るく言ったって、もうほとんど、だめだった。おばさんがはさみをテーブルに置く。後ろから、大きな両手が、ミソラの肩を静かに抱いた。どうしようもなく背中が温かかった。惨めで惨めで、目の奥が熱い。震えながらミソラは言い訳を続けた。

「だって、おばさんのごはん、食べるの、本当に久しぶりでしょう? ずっと楽しみだったんです、私。ハシリイのごはんも、すごく、おいしいんですけど、でも……やっぱりおばさんの……」
「ミソラちゃん」

 しゃくりあげる。もう言葉にならなかった。どうしてだろう。何を恐れているのだろう。こんなにも優しくて、良い人たちに囲まれて、おろおろと近寄って手を取ってくれる友人や、そっぽ向いてたと思ってたのに、気付けば不安げに見上げてくれているポケモンの友達までいて。髪を切ることくらい、何が怖いの。こんなに幸せなのに、どうして怖いの。過去に囚われるくらいなら、大切な今を、今だけを大切にする決意を、どうして僕は、裏切ってしまうの。分からない。分からなくて、とてつもなく、怖い。
 ミソラちゃん。もう一度呼びかけてから、ミソラを抱きしめたまま、ハギは語り始める。

「おばちゃんね、息子がいたんだよ」

 ミソラの前にしゃがみこんでいるタケヒロが、顔を上げ目を瞠った。けれど多分、彼は知っていたのだろう。驚きよりももっと困惑した感情が、前面に表れている。

「多分、ミソラちゃんが生まれるより前のことだよ。私、世界で一番大切な息子を、この町で失ってしまった。心が粉々になってしまうんじゃないかと思うくらい悲しくて、苦しくて、毎日泣いて、いっそあの子がいたことをきれいさっぱり忘れられたら、って、その頃は思ったりもした。それでも」

 ぎゅうと、抱きしめる力が強まる。

「私が覚えていなくちゃ、息子のことは、どんどん忘れられていってしまう。私が覚えていなくちゃ、あの子が生きていたことが、なかったことになっていってしまう。それがとても怖くてね。怖くて、とても悲しかった。だったら、私、覚えていようって決めたのよ。ずーっと抱えて、あの子の思い出と一緒に、笑って生きていこう、って」

 ねぇ、ミソラちゃん。まるであやすような声で、おばさんは言う。情けなくて、みっともなくて涙が出る。タケヒロが、リナが見てるのに。

「いいんだよ。無理に忘れなくたって。ね?」
「……はい……」

 やっとそれだけ返して、おばさんの温かい腕に身を預けて、ミソラは泣き続けた。
 差し込む斜陽が、店の中を、懐かしい色彩に染め上げていた。





 同じ色彩の中で。
 紅の雫が、一滴、指の腹を伝った。
 赤黒い皮膚の上を、それより幾分鮮明な赤が、細い筋を作っている。トウヤはぼんやりと手首を眺めていた。それから上へと視線を移していく。五本の指の先。血を吐く無数の傷口は、皮膚の地色のおかげで、その輪郭が定かではない。
 蜜色の陽は、空しいほどに、世界を等しく演出する。 
 キブツに飛んですぐに借りた安宿の一室で、トウヤの座る向かいに、ハリが立っていた。トウヤは目の前に持ち上げた自分の左手越しに、従者の瞳を見据えた。冷めた双眸が対峙するのは、濃い、月の色。

「ハリ」

 名を呼ぶ声は、切なかった。ハリは動かなかった。微笑みを象った口元のままで、主人の動きを見つめていた。
 トウヤは薄く笑う。窓際の壁に、力なくもたれかかった。

「もし、明日、会えたら」

 捧ぐように、傷ついた左手を掲げる。指先からひとつ滴った血液が、ぽつと目尻に落ちる。
 痣の蝕む頬に、涙のように、軌跡が赤く残った。

「お前、あっちに行くのか?」

 ハリは動かなかった。トウヤは目を閉じると、血塗れの薬指を、もう一度、口の中へ招き入れた。
 歯を立てる。
 鈍い鉄の味が、広がる。







 その晩、ミソラは初めて、一人きりの夜を迎えた。
 ミソラが眠りに落ちるとき、トウヤが部屋にいないことがなかった訳ではない。けれどそういう時は必ず、階下から賑やかな宴会の声がしていて、トウヤはその中だった。ミソラが眠った後なら、部屋を抜け出して、階下の店のベンチで朝を迎えていることも、何度かあった。今思えばあれは、不眠症の気のある彼が、寝つけずに取った行動だったのかもしれない。どっちにしろ、ミソラがミソラになってからのほとんどすべての夜、ミソラはトウヤが傍にいる中で、夢の中へと落ちていった。きっと彼は、せめてそうであるように、努力してくれていたのだと思う。
 歯磨きを済ませて二階に上がる。暗い部屋の電気をつけた。帰宅した時の荷物が壁際に寄せられている以外は、ハシリイに飛び立った日のままの部屋が、まだ残っていた。襖が開けっ放しだ。ミソラは一人、ベッドに腰掛ける。こうやってミソラは座っていて、テラを首筋にひっつけたトウヤが慌てて室内を物色するのを、くつくつと笑いながら眺めていた。

 彼がこのまま戻ってこなかったら。

 ……無理に微笑もうとする。大丈夫。そんな怖いことは、もう起こらない。
 浮かんだ疑惑を取り払うために、ポケットからボールを引っ張り出した。リナを開放してから、襖を閉めるために立ち上がる。ひたひたと自分の足音が聞こえる。静かだ。口数の少ない人なのに、一人いないだけで、こんなにしんとする部屋だったのか。
 六日でも、一日でもないのだ。刹那、瞬きをするそれだけの隙に、己を取り巻く舞台は、動いてしまう。人は、変わってしまう。
 襖を閉めようと手を掛けて、ミソラはふと奥を覗きこんだ。
 腕を突っ込んで、引っ張り出す。潜んでいたのは少し大きめの荷物だった。デフォルメのポケモンが印刷されたピンクが基調の包装紙。女の子が好みそうで、トウヤのイメージとはいまいち結びつかない。
 迷ったけれど、寂しさが勝って、ミソラはその包装を丁寧に解きはじめた。
 中から現れたのは、アチャモドールだった。抱き心地はふかふかで、さらさらした上等な生地で作られている。トウヤがハヅキに誕生日プレゼントを用意していたという話をふと思い出した。ハヅキの誕生日はもう過ぎてしまって、トウヤは別のプレゼントを送っている。アチャモの黒々とした瞳を、ミソラは憑りつかれたようにしばらく見つめていた。
 それを抱きしめて電気を消し、ベッドに入る。長い髪を背中に敷き、リナを隣へと招き入れた。温かい。新品のぬいぐるみの匂いも、何となく落ち着く。どちらも、トウヤがいたならばできなかったことだ。たまにはいい。自分に言い聞かせて、ミソラは目を閉じた。

 その日は晴れていたけれど、夜空に月はなかった。闇は深かった。そして夜は、とてつもなく長かった。

 寝つけずに目を開ける。隣からリナの寝息が聞こえているから、闇に対する恐怖感はない。月がないなら、星がきれいだろう。起き上がって窓の外を眺めてみるのもいい。けど、下手に動いてリナを起こすのも可哀想だ。そして興味を向けるのは、柔らかな抱き心地。布団を上半身から剥がして、胸に抱いていたものを、両手で掲げてみた。
 面と向かう、僅かな星明りに、アチャモの顔が浮かび上がっている。
 泣いてしまいそうだった。

「モモちゃん」

 呼ぶ。胸が痛い。締め付けられるように、苦しい。それでも。

「ねぇ、モモちゃん」

 喘ぐように呼んだ。小さな声で、何度も何度も。涙が伝っていく。小さく震えながら、白い頬を下っていく。

「僕、忘れるのが怖いよ」
「あの人のことも」
「君のことも」
「ねぇ。モモちゃん。僕、いっそ」

 息を継ぐ。呼吸が苦しい。

「全部、思い出してしまえば……」

『兄弟』

 モモが呼びかけに答える。ミソラは唇をわななかせながらアチャモを見つめていた。

『鍵はもう、開いてるんだ』
『何かが扉を開けるとすれば、それは』

 包み込まれるように、力が抜けた。かくんと折れた腕からアチャモが滑り落ち、ミソラの胸の上に跳ねる。腕に当たられたリナがふと目を開けたとき、ミソラは既に眠っていた。

『それは、お前の手だ』




 ――モモちゃん、君は。
 僕にとっての『何』だったの?

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