【第8話】憎悪

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読了時間目安:10分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

<SIDE ルカリオ>

インレッタでの戦いを何とか終え、ロッキーの街に宿泊中の俺たち。
宿屋の外で、一人佇む俺がいた。

???
「あ、ルカリオ・・・」
ルカリオ
「ああ・・・」
???
「・・・ルカリオ・・・?」

振り向くとそこには(何故か)ミミロップがいる。
粉雪は未だ降りやもうともしない。

ミミロップ
「・・・久し振りよね、こうして二人きりで話すのも」
ルカリオ
「・・・言われてみれば、確かにそうだが・・・」

ミミロップ、(何故か)俺の隣へ近づいて来る。

ルカリオ
「・・・実は聞いて欲しい事がある」
ミミロップ
「そうなの。 是非あたしに話して」
ルカリオ
「ありがとう。 ・・・しかし、俺も迷ったままだ」
ミミロップ
「迷ったまま・・・?」
ルカリオ
「・・・俺だって、パルスの平和を護りたい。
 ・・・そのつもりで兵士になった筈が、メリスへの憎しみが先走りしちまうのさ」

消えぬ憎しみは、波となって俺に迫る。
その波に乗って進むべきか、それとも抗うべきか・・・

ミミロップ
「メリスへの憎しみ、か・・・」
ルカリオ
「・・・平和のために戦うか、復讐のために戦うか・・・
 ・・・俺たちは直に選ばされる・・・ ・・・そうだろう?」
ミミロップ
「・・・・・・・・」

何とも言えぬ空気、依然として拭えず・・・
どうせ結局、過ぎていくのは時間だけだ
(それはミミロップにとっても恐らく同じ)。

ミミロップ
「・・・ええ。 ・・・結局のところ、選ぶのはあたしたちなのだけど・・・」
ルカリオ
「・・・尤も、選んだことを、後悔さえしなけりゃ良いものではあるん
 だけどな・・・」
ミミロップ
「・・・そうよね」

ようやく粉雪が止んできただろうか。

ミミロップ
「・・・結局、戦いの果てに何を求めるか・・・
 ・・・あたしたちは、それを考える事でしか戦う意味を見出せない。 
 そんな生き物なのかもしれないね」
ルカリオ
「・・・確かに、同感だ」

粉雪がたった今止んだ(気がした)。

ルカリオ
「それはそれで、・・・ ・・・おい、ミミロップ」
ミミロップ
「今度は一体?」
ルカリオ
「・・・頬を赤らめてどうした・・・?」
ミミロップ
「・・・何でもないわ」

・・・でもやはり俺たちの空気は、このまま暫く暖まらないと見える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

未だ肌寒い翌朝。
一旦パーティ全員でロビーに集まる。 ムクバードが新聞を片手に駆け寄る。
冷気の中、俺は肝を冷やす。

ドータクン
「ムクバード、どうしたのですか? まさかメリス軍が・・・」
ムクバード
「・・・生憎そのまさかだ。 イラプタの西にある、火山遺跡を占拠しやがった」
ルカリオ
(やっぱりあの屑ども・・・ 許してたまるか・・・!)
チェリンボ
「それなら一刻も早くメリス軍を止めましょう」
ムクバード
「確かに。 下手するとどこもかしこも破壊されんぞ!」

それから俺たちは、いち早く出発の準備を進めた。 のだが・・・

???
「腐敗し切った上流階級ども! 早く食料を寄越しやがれ!!」

ルカリオ
「あいつらは・・・ この間の盗賊ハガネール・・・!」

お互いに、即座に戦闘態勢へ移行。

下っ端ハガネール
「いち早く食料を見つけ出せ!」「ドン! 倉庫が・・・」
「よし! 構わんから壊せ!!」
「・・・アイアンテール!」「・・・雷の牙!」「・・・炎の牙!」

チェリンボ
「あの方たち・・・!」
ルカリオ
「ハガネールの奴らだ。 そいつらなら俺に任せろ! ボーンラッシュ!!」
ポッチャマ
「ううん、僕も一緒に行く! 渦潮!!」

下っ端ハガネール
「また野郎どもか・・・!」「うぎゃぁぁ・・・!」
「おのれ、覚悟してやがれ・・・!」

それから、丁度その時。

エレキブルの兵士
「諸君、何があった?」「大丈夫か?」
「宿のお客様方の、救助を始める! 道を開けろ!!」

下っ端ハガネール
「あれは?」「パルス兵だ」「何だ」「王族の味方か」
「取り敢えずぶちのめそうぜ」

王国兵らしき方々が俺のもとに駆け寄って言う。

エレキブルの兵士
「あとは我々に任せてくれ。 ハガネール盗賊団の面々は我らが国の
 国際指名手配犯だ。 必ず我々で、王家に引き渡す!」
ルカリオ
「・・・仕方ない、了解しました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

盗賊の事件が一段落してからの事。

ルカリオ
「イラプタを越えるのなら、この間のマニューラを呼ぼう」
ムクバード
「ああ」

それから数分後。 この間のマニューラ、華麗に(?)マンムータクシーを連れて
現る。

マニューラ
「おお、あんたたちこないだの! またイラプタの方へ行くんか?」
ドータクン
「ええ。 イラプタから西の方にある、火山遺跡の麓までお願いします」
マニューラ
「あいよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タクシーがイラプタに近づいていく。 ふと気が付けば、ここは深い森の中だ。

マニューラ
「・・・しっかしあんたらも物好きなもんなんだな。
 火山遺跡なんかに行こうとするなんてよ」
ルカリオ
「・・・マニューラ、それには深い訳があるんだ」
チェリンボ
「実は火山遺跡がメリス軍に制圧されているのです。
 このまま野放しにしておけば、我が国全域が・・・!」

丁度その時。 辻斬り(らしき攻撃)が派手にタクシーに命中する。

ルカリオ
「ドンカラスの奴・・・」
ドンカラス
「ドータクン様にチェリンボ王女。 お二人は未だ、この世界の現実を理解して
 いないようだ」
ルカリオ
「この世界の現実・・・」
ドンカラス
「聖戦により腐敗し切った世界・・・ この世界には再生が必要なのだ・・・!」

その時、ドータクンも俺のそばに歩いて来る。

ドンカラス
「ドータクン様、遂に世界再生に・・・」
ドータクン
「・・・ドンカラス! メリス軍のやり方は間違っている!!」
ドンカラス
「・・・何を言う」
ドータクン
「殺戮をいくら繰り返し、憎しみを連鎖させたところで、世界は何も変わらないの
 です!」
ドンカラス
「おのれ・・・!」

ドンカラスの野郎は絶句したのだが、その後、すぐさまこう続ける。

ドンカラス
「・・・致し方ない。 敵に打ち明けても致し方ないものだが、わたしの想いを
 赤裸々に打ち明けようではないか」

ドンカラス、お前・・・

ドンカラス
「・・・私には、祖国に大事な恋人がいた。 ・・・だが、そいつを聖戦で喪った
 のだ」

冷たい空気が少しずつ陰鬱に変わっていく。

ドンカラス
「・・・わたしがパルス軍から彼女を護れていれば、我々二人は共に倖せを
 目指して行けた筈だった。
 ・・・彼女が死んだその時まで、わたしは彼女を護ろうとしたのだが・・・ 
 ・・・糞が・・・! 確かにわたしは力不足だった。
 ・・・しかし、聖戦さえなければ・・・!!」
チェリンボ
「それでメリス軍の計画に・・・?」
ドンカラス
「ああ。 だからわたしは聖戦を許せないのだ」

確かに聖戦を許せないのは、俺たちも同じなのだ。 だが・・・
・・・やはり俺の心は、天秤のように揺れ動く。

ドンカラス
「・・・人の憎しみは、正義などという綺麗事だけで片づけられるものではない
 のだよ。
 ・・・解らぬか、貴様たちとてきっと同じであろう」

相容れぬであろう互いの想いに、互いに想いを馳せていた最中。
メリス軍の鎧を着た、ドクロッグの兵士がドンカラスに駆け寄って言う。

ドクロッグの兵士
「・・・ドンカラス様。 速やかに火山遺跡へ向かいましょう」
ドンカラス
「・・・すまぬな、少し取り乱していたものでな」

ルカリオ
「・・・おい、待て・・・!」

ドンカラスは火山遺跡の方へ、(何事もなかったかのように)飛んでいく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから数分後。

マニューラ
「おい! 例の遺跡に着いたぞ」
ルカリオ
「すまない。 ありがとな」

そして俺たち6匹、火山遺跡の内部へ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ルカリオ
「・・・しかし、さすが火山が近いだけある。 さすがに暑いな」
チェリンボ
「ええ」
ドータクン
「それは確かに。 兎に角あまり無理をしないでください」
ムクバード
「ああ」

しかし、順調に遺跡内部を進んでいたその時。

???
「・・・煉獄!」

ドータクン
「・・・雨乞い!」
ポッチャマ
「・・・渦潮!」

ミミロップ
「まさか・・・ シャンデラ・・・!」

ミミロップの言う通り、俺たちの目の前に現れたのはシャンデラだ。

シャンデラ
「・・・さあ、今度こそ皆殺しにしてやりましょうか」

そこにさらに・・・

ドンカラス
「・・・さあ、今度こそ戦いに片を付けようか」

ルカリオ
「お前ら・・・」

その後、突如シャンデラが振り向く。

シャンデラ
「・・・怪しい光!」

怪しげな鳴き声が響く。

チェリンボ
「あのポケモンはヒードラン、この遺跡に眠る神・・・」
ルカリオ
「あいつら正気か? 神と呼ばれしポケモンを混乱させ、暴走させるなんて・・・」
ドータクン
「ええ。 早くヒードランの怒りを鎮めましょう」

ヒードランの咆哮が激しく響く・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【TO BE COUTINUED】
*次回・・・8月14日公開!
      火山遺跡の戦いと動き出すメリスの陰謀・・・ 乞うご期待!

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