Message:4 記念すべき初依頼
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部屋に差し込む光で、目が覚める。あれ、ここは……えっと……。……そうだ。ボクはリオルになって、ポケモンの世界に来て、伝達隊サウンズに入隊して、ピズとチームを結成したんだった。
と、ボクはふと思い出す。そういえば、夜、なにか夢のようなものを見たような……。でも、よく思い出せない。良くない夢って印象だけは覚えてるけど……。まあいいか。
よいしょと身体を起こし、起き上がる。隣のピズはまだ寝ているようだ。身体を丸まらせて、すやすやと寝ている様子がかわいらしい。無理やり起こすのも悪いし、ボクはピズが起きるまで待っている事にした。
何もしないで待っているのもあれだし、ボクは部屋を見回す。最初に入った時はシンプルな部屋だと思ったけれど、よく見るとピズのものと思われる小物があちらこちらに置いてあった。と、ふとピズの方を見てみる。ピズのベッドの近くを見てみると、会った時からつけていた雷のようなモチーフが入った、かわいらしい水色の音符の耳飾りの他に、なにやら綺麗な青い石のネックレスが置かれていた。
「んぅ……」
と、ピズが目を覚ましたようだ。
「ピズ、おはよう……!」
ボクがピズに声をかける。
「おはよう。あ、そっか。昨日からアルコと一緒に寝ることになったんだもんね、まだ慣れないや」
ボクもまだ慣れないな。と、さっき目について気になっていた物のことをピズに訊いてみる。
「ねえピズ。この石のネックレスって……」
ボクは石のネックレスを指さし、ピズに訊く。すると、「ああこれはね……」とピズが話し始めた。
「私の大切なもの。……ずっと持ってるんだ、このかみなり音符の耳飾りと一緒にね」
ピズが石と耳飾りをぎゅっと握りしめる。その様子を見て、よっぽど大切なんだなぁ、とボクは思った。
* * *
「「おはようございますー」」
ボクとピズが部屋から出て、シークレットベースの広間、あの大きなテーブルの置いてある場所に入る。そう、ボクらはみんなに報告しなきゃならない。チームを結成したことを。
「ああ、おはよう。ピズちゃんにアルコくん」
真っ先に挨拶してくれたのは、朝ごはんを作っていたビブラートさん。
「よく眠れましたかな?」
それに続き、トリルさんも声をかけてきた。「はい」と答えると、「それは何より」と返してくれた。
広間にいるのは、チーム:シェイクスの2匹だけのようだ。スモールズのみんなはわかるけど、スローリーズの2匹はいないんだな。……チーム名の由来、起きるのが遅いから、だったりしないよね。
うーん。チーム結成のことは、みんなが揃ってからの方がいいだろうか。と考えていた時。
「……ん、あんたは……」
後ろの方から、見知らぬ声が聞こえてきた、思わず振り向く。そこには、体色が水色っぽい、頭に4つのピンク色のフサが生えている、謎のポケモンがいた。
「あ、リーダー!」
ピズがそのポケモンに駆け寄る。今、ピズからリーダーと呼ばれていた。ということは、彼女はサウンズの……!
「昨日リーダーが居なかったので、紹介できなかったんですけど、彼、アルコです!」
「あ、ど、どうも……!」
いきなり紹介されて、キョドってしまうが、一応ぺこりと頭を下げ、挨拶をした。
「ふーん。なるほどね。……あたいは伝達隊サウンズのリーダー、“リタルダンド”。リットでいいよ」
「リットさん……! よろしくお願いします!」
サウンズリーダーの彼女の名前はリット。あとから教えてもらったが、種族はエムリット、珍しい種族らしい。
ボクは改めて、きちんとお辞儀をした。なんだろう、何も説明していないが、彼女には全てお見通しなように思えてしまった。
「んぅ~おはよう~」
「おはよう」
と、リーダーとの初対面をしていると、さっきまで起きていなかったメンバーたちが次々と起きてきた。発表するなら、今だろう。ピズと目線を合わせ、お互いうんと頷いた。
「リーダー、みんな。ご報告があります」
ピズが前へ出て、みんなに向き直る。ボクもその横に並んだ。
「昨日、私ピチカートは、彼アルコとチーム:ストリングスを結成しました……っ!」
ピズがボクの手を取り、そのままその手を上へとあげる。しばらくしてピズは手をさげ、リーダーへと歩み寄った。
「お願いします、私とアルコのチーム、ストリングス。認めていただけないでしょうか……!」
ぴょこんと跳ねるアホ毛を揺らし、ピズが頭を下げる。すかさずボクも「お願いします!」と頭を下げた。
「……いいよ、あんた、アルコのサウンズ入隊も、あんたたちのチームの結成も。認めるよ、頑張りな」
「「ほんとですか!?」」
ピズとボクの声が重なる。ありがとうございます、ありがとうございますと何度もお辞儀をし、やったやったと手を取り合って喜んだ。
「じゃあ」
と、喜んでる中、リーダーが口を開く。そして、ボクらにこう告げた。
「今日、あんたたちに依頼に行ってもらうよ」
* * *
リーダーからのお達しで、なんといきなり今日から依頼に行くことになった。でもピズはチームを組むまで依頼に行ったことがないらしく。……つまり、ボクらの初依頼ってわけだ。
「そうじゃ、アルコ殿、ピズ殿」
ワクワクしながら準備していたところに、トリルさんが声をかけてくる。
「どうしました?」
「お主らもチームを組んだということでな、こいつを渡そうの思ってな」
と言って彼が差し出してきたのは、2つの赤いスカーフだった。それを見たピズは。
「わああああっ!! スカーフ、スカーフだ!! ずーっと憧れてたの!」
と、ぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。その様子を見て、ボクまでつられて笑ってしまう。
そういえば、ピズ以外のメンバーは色は違えどみんなどこかしらにスカーフを付けていた。チーム:シェイクスは青色、スローリーズは緑色、スモールズは黄色、リーダーは桃色と、おそらくチームごとに色が決まっているのだろう。他にもいるメンバーは、違う色をつけているのかもしれない。
ピズがトリルさんからスカーフを受け取り、「はい、アルコの!」と片方をボクに差し出した。ボクはそれを受け取る。ピカピカ新品の赤いスカーフ。ボクはそれを首元に巻いた。ピズも同じように巻く。
「ふふっ、どう?」
じゃーんという効果音が似合うような感じで、ピズがポーズをとる。「似合ってるよ」とボクが言うと、「えへへ」とピズがちょっと照れたような仕草をする。そして、「アルコも似合ってるよ、かっこいい」と言ってくれた。
「それと、もうひとつ……いや、ふたつ」
トリルさんがもうふたつ、ボクらに何かを差し出す。それは、茶色い革でできたバッグと、なにやら丸くて羽が生えたバッジであった。
「バッグがないとこれから先困ると思いましてな、これはアルコ殿が持った方が良いであろう」
「わ、わかりました、ありがとうございます!」
ボクはトリルさんからバッグを受け取る。
「そしてこれは伝達隊バッジ。これがあれば持っている者同士で音声のやりとりができたり、ダンジョン等から脱出できたりする。……まあ、行きは山の呪いのせいで自力で行かねばならないがな」
「なるほど……便利なバッジですね!」
「ほんとにねー」
金色に輝く伝達隊バッジ。そこにはシークレットベースの入口にあった“S”の文字が掘られている。
ボクとピズはそれぞれバッジを受け取り、スカーフの内側にしまった。
「っと、初依頼、だよね」
そう、スカーフやバッジに盛り上がって忘れかけていたが、これからボクらは初依頼に向かうのだ。……といっても、どの依頼を受ければいいんだろうか。
「アルコー、こっちこっち」
ピズが横の方のモニターの近くにいて、ボクのことを手招きする。というか、こんなモニターあったんだ。
「これは?」
「見てみて」
ピズに言われるがまま、ボクはモニターの画面に目をやる。すると、そこには2匹のポケモンが映っていた。片方は黄色い頭巾のようなものを被っているようなポケモン。もう片方は青い三角の頭の横に耳のようなものが生えているポケモン。そして、どちらもどことなく雰囲気がリット――リーダーに似ているような気がした。
「副リーダーの“アッチェレランド”さんと“アラルガンド”さん!」
『アッチェレランドです。アチェルとお呼びください』
『ぼくはアラルガンド。アラルグって呼んでくれ』
モニターから声が聞こえる。黄色い方がアチェルさん、青い方がアラルグさんのようだ。それぞれ、ユクシーとアグノムという種族らしい。彼らも、珍しい種族なようで。
「アルコです、よろしくお願いします!」
ボクは、副リーダーたちにモニター越しに挨拶した。
「依頼は、副リーダーが私たちに伝えてくれるんだ」
ここで、ピズから伝達隊の詳しい仕組みについて説明がされた。
それぞれ、アチェルさんはフレイムタウンに、アラルグさんはエレクシティに拠点があって、そこから依頼を仕入れているらしい。そして、仕入れた依頼内容をハイテクなモニターで伝達隊に伝えるそうだ。ここで、こんなにハイテクだったら物の行き来も科学の力やエスパータイプの力で何とかなるのではないか、と思ってしまうが、それはダメらしい。前に言っていた、山にかかった呪いのせいで、それらの力ですら使えないのだという。だから、力などを使わず、ポケモンそのものの力のみで依頼をこなさなければならない、と。
中々面倒なんだなぁ、と思ってしまった。
「それで、私たちの初依頼はどんなものなんですか!?」
ピズが食い気味に訊く。よほどワクワクしてるんだな。それに対し、アチェルさんから返答があった。
『依頼主はイーブイの“アカリ”さんからです。[フレイムタウンのアカリです! エレクシティに住む兄のサン兄ちゃん(サンダース)にきのみの伝達を頼みたいのです! よろしくお願いします!]だそうです』
元気のいい依頼主さんだなぁと思った。なんだか微笑ましい。その子の依頼、絶対達成したいなとボクは思った。
『というわけで、君たちには1回フレイムタウンに行ってもらって依頼主からきのみを受け取り、こっちのエレクシティに届けてほしいんだ』
アラルグさんからこう伝えられる。ボクとピズは頷きあった。
「任せてください!」
「絶対成功させてみます!」
『健闘を祈ります』『初依頼、がんばってね』
副リーダー2匹からの応援の言葉を受け取り、モニターの画面がプツンと切れる。
「あたいも応援してるよ、アルコ、ピズ、頑張りな!」
リーダーからの言葉に「はい!」と答え、ボクらは出口へと向かう。外のことがわからなかったらピズが教えてくれるらしい。ピズは実践こそしていないものの、ずっとベースの外の勉強はしていたらしい。だから、少し緊張していたボクはちょっと安心した。
「いってらっしゃい!」「がんばれよ!」
他のサウンズのメンバーからもあたたかい言葉を貰う。
ボクは肩から提げたバッグを背負い直し、ピズもスカーフとアホ毛を整え、サウンズのメンバーに向き直る。
「いってきます!!」
初依頼、ドキドキするけど楽しみだな――!
と、ボクはふと思い出す。そういえば、夜、なにか夢のようなものを見たような……。でも、よく思い出せない。良くない夢って印象だけは覚えてるけど……。まあいいか。
よいしょと身体を起こし、起き上がる。隣のピズはまだ寝ているようだ。身体を丸まらせて、すやすやと寝ている様子がかわいらしい。無理やり起こすのも悪いし、ボクはピズが起きるまで待っている事にした。
何もしないで待っているのもあれだし、ボクは部屋を見回す。最初に入った時はシンプルな部屋だと思ったけれど、よく見るとピズのものと思われる小物があちらこちらに置いてあった。と、ふとピズの方を見てみる。ピズのベッドの近くを見てみると、会った時からつけていた雷のようなモチーフが入った、かわいらしい水色の音符の耳飾りの他に、なにやら綺麗な青い石のネックレスが置かれていた。
「んぅ……」
と、ピズが目を覚ましたようだ。
「ピズ、おはよう……!」
ボクがピズに声をかける。
「おはよう。あ、そっか。昨日からアルコと一緒に寝ることになったんだもんね、まだ慣れないや」
ボクもまだ慣れないな。と、さっき目について気になっていた物のことをピズに訊いてみる。
「ねえピズ。この石のネックレスって……」
ボクは石のネックレスを指さし、ピズに訊く。すると、「ああこれはね……」とピズが話し始めた。
「私の大切なもの。……ずっと持ってるんだ、このかみなり音符の耳飾りと一緒にね」
ピズが石と耳飾りをぎゅっと握りしめる。その様子を見て、よっぽど大切なんだなぁ、とボクは思った。
* * *
「「おはようございますー」」
ボクとピズが部屋から出て、シークレットベースの広間、あの大きなテーブルの置いてある場所に入る。そう、ボクらはみんなに報告しなきゃならない。チームを結成したことを。
「ああ、おはよう。ピズちゃんにアルコくん」
真っ先に挨拶してくれたのは、朝ごはんを作っていたビブラートさん。
「よく眠れましたかな?」
それに続き、トリルさんも声をかけてきた。「はい」と答えると、「それは何より」と返してくれた。
広間にいるのは、チーム:シェイクスの2匹だけのようだ。スモールズのみんなはわかるけど、スローリーズの2匹はいないんだな。……チーム名の由来、起きるのが遅いから、だったりしないよね。
うーん。チーム結成のことは、みんなが揃ってからの方がいいだろうか。と考えていた時。
「……ん、あんたは……」
後ろの方から、見知らぬ声が聞こえてきた、思わず振り向く。そこには、体色が水色っぽい、頭に4つのピンク色のフサが生えている、謎のポケモンがいた。
「あ、リーダー!」
ピズがそのポケモンに駆け寄る。今、ピズからリーダーと呼ばれていた。ということは、彼女はサウンズの……!
「昨日リーダーが居なかったので、紹介できなかったんですけど、彼、アルコです!」
「あ、ど、どうも……!」
いきなり紹介されて、キョドってしまうが、一応ぺこりと頭を下げ、挨拶をした。
「ふーん。なるほどね。……あたいは伝達隊サウンズのリーダー、“リタルダンド”。リットでいいよ」
「リットさん……! よろしくお願いします!」
サウンズリーダーの彼女の名前はリット。あとから教えてもらったが、種族はエムリット、珍しい種族らしい。
ボクは改めて、きちんとお辞儀をした。なんだろう、何も説明していないが、彼女には全てお見通しなように思えてしまった。
「んぅ~おはよう~」
「おはよう」
と、リーダーとの初対面をしていると、さっきまで起きていなかったメンバーたちが次々と起きてきた。発表するなら、今だろう。ピズと目線を合わせ、お互いうんと頷いた。
「リーダー、みんな。ご報告があります」
ピズが前へ出て、みんなに向き直る。ボクもその横に並んだ。
「昨日、私ピチカートは、彼アルコとチーム:ストリングスを結成しました……っ!」
ピズがボクの手を取り、そのままその手を上へとあげる。しばらくしてピズは手をさげ、リーダーへと歩み寄った。
「お願いします、私とアルコのチーム、ストリングス。認めていただけないでしょうか……!」
ぴょこんと跳ねるアホ毛を揺らし、ピズが頭を下げる。すかさずボクも「お願いします!」と頭を下げた。
「……いいよ、あんた、アルコのサウンズ入隊も、あんたたちのチームの結成も。認めるよ、頑張りな」
「「ほんとですか!?」」
ピズとボクの声が重なる。ありがとうございます、ありがとうございますと何度もお辞儀をし、やったやったと手を取り合って喜んだ。
「じゃあ」
と、喜んでる中、リーダーが口を開く。そして、ボクらにこう告げた。
「今日、あんたたちに依頼に行ってもらうよ」
* * *
リーダーからのお達しで、なんといきなり今日から依頼に行くことになった。でもピズはチームを組むまで依頼に行ったことがないらしく。……つまり、ボクらの初依頼ってわけだ。
「そうじゃ、アルコ殿、ピズ殿」
ワクワクしながら準備していたところに、トリルさんが声をかけてくる。
「どうしました?」
「お主らもチームを組んだということでな、こいつを渡そうの思ってな」
と言って彼が差し出してきたのは、2つの赤いスカーフだった。それを見たピズは。
「わああああっ!! スカーフ、スカーフだ!! ずーっと憧れてたの!」
と、ぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。その様子を見て、ボクまでつられて笑ってしまう。
そういえば、ピズ以外のメンバーは色は違えどみんなどこかしらにスカーフを付けていた。チーム:シェイクスは青色、スローリーズは緑色、スモールズは黄色、リーダーは桃色と、おそらくチームごとに色が決まっているのだろう。他にもいるメンバーは、違う色をつけているのかもしれない。
ピズがトリルさんからスカーフを受け取り、「はい、アルコの!」と片方をボクに差し出した。ボクはそれを受け取る。ピカピカ新品の赤いスカーフ。ボクはそれを首元に巻いた。ピズも同じように巻く。
「ふふっ、どう?」
じゃーんという効果音が似合うような感じで、ピズがポーズをとる。「似合ってるよ」とボクが言うと、「えへへ」とピズがちょっと照れたような仕草をする。そして、「アルコも似合ってるよ、かっこいい」と言ってくれた。
「それと、もうひとつ……いや、ふたつ」
トリルさんがもうふたつ、ボクらに何かを差し出す。それは、茶色い革でできたバッグと、なにやら丸くて羽が生えたバッジであった。
「バッグがないとこれから先困ると思いましてな、これはアルコ殿が持った方が良いであろう」
「わ、わかりました、ありがとうございます!」
ボクはトリルさんからバッグを受け取る。
「そしてこれは伝達隊バッジ。これがあれば持っている者同士で音声のやりとりができたり、ダンジョン等から脱出できたりする。……まあ、行きは山の呪いのせいで自力で行かねばならないがな」
「なるほど……便利なバッジですね!」
「ほんとにねー」
金色に輝く伝達隊バッジ。そこにはシークレットベースの入口にあった“S”の文字が掘られている。
ボクとピズはそれぞれバッジを受け取り、スカーフの内側にしまった。
「っと、初依頼、だよね」
そう、スカーフやバッジに盛り上がって忘れかけていたが、これからボクらは初依頼に向かうのだ。……といっても、どの依頼を受ければいいんだろうか。
「アルコー、こっちこっち」
ピズが横の方のモニターの近くにいて、ボクのことを手招きする。というか、こんなモニターあったんだ。
「これは?」
「見てみて」
ピズに言われるがまま、ボクはモニターの画面に目をやる。すると、そこには2匹のポケモンが映っていた。片方は黄色い頭巾のようなものを被っているようなポケモン。もう片方は青い三角の頭の横に耳のようなものが生えているポケモン。そして、どちらもどことなく雰囲気がリット――リーダーに似ているような気がした。
「副リーダーの“アッチェレランド”さんと“アラルガンド”さん!」
『アッチェレランドです。アチェルとお呼びください』
『ぼくはアラルガンド。アラルグって呼んでくれ』
モニターから声が聞こえる。黄色い方がアチェルさん、青い方がアラルグさんのようだ。それぞれ、ユクシーとアグノムという種族らしい。彼らも、珍しい種族なようで。
「アルコです、よろしくお願いします!」
ボクは、副リーダーたちにモニター越しに挨拶した。
「依頼は、副リーダーが私たちに伝えてくれるんだ」
ここで、ピズから伝達隊の詳しい仕組みについて説明がされた。
それぞれ、アチェルさんはフレイムタウンに、アラルグさんはエレクシティに拠点があって、そこから依頼を仕入れているらしい。そして、仕入れた依頼内容をハイテクなモニターで伝達隊に伝えるそうだ。ここで、こんなにハイテクだったら物の行き来も科学の力やエスパータイプの力で何とかなるのではないか、と思ってしまうが、それはダメらしい。前に言っていた、山にかかった呪いのせいで、それらの力ですら使えないのだという。だから、力などを使わず、ポケモンそのものの力のみで依頼をこなさなければならない、と。
中々面倒なんだなぁ、と思ってしまった。
「それで、私たちの初依頼はどんなものなんですか!?」
ピズが食い気味に訊く。よほどワクワクしてるんだな。それに対し、アチェルさんから返答があった。
『依頼主はイーブイの“アカリ”さんからです。[フレイムタウンのアカリです! エレクシティに住む兄のサン兄ちゃん(サンダース)にきのみの伝達を頼みたいのです! よろしくお願いします!]だそうです』
元気のいい依頼主さんだなぁと思った。なんだか微笑ましい。その子の依頼、絶対達成したいなとボクは思った。
『というわけで、君たちには1回フレイムタウンに行ってもらって依頼主からきのみを受け取り、こっちのエレクシティに届けてほしいんだ』
アラルグさんからこう伝えられる。ボクとピズは頷きあった。
「任せてください!」
「絶対成功させてみます!」
『健闘を祈ります』『初依頼、がんばってね』
副リーダー2匹からの応援の言葉を受け取り、モニターの画面がプツンと切れる。
「あたいも応援してるよ、アルコ、ピズ、頑張りな!」
リーダーからの言葉に「はい!」と答え、ボクらは出口へと向かう。外のことがわからなかったらピズが教えてくれるらしい。ピズは実践こそしていないものの、ずっとベースの外の勉強はしていたらしい。だから、少し緊張していたボクはちょっと安心した。
「いってらっしゃい!」「がんばれよ!」
他のサウンズのメンバーからもあたたかい言葉を貰う。
ボクは肩から提げたバッグを背負い直し、ピズもスカーフとアホ毛を整え、サウンズのメンバーに向き直る。
「いってきます!!」
初依頼、ドキドキするけど楽しみだな――!