No.47 † 保護した湖の遊覧要員 †

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ミブリムを仲間にした翌日
私とメゼスは無事にハイルドベルグに到着した。

メゼス:「緑あふれる、良い町ですね。実は、こっちの方へ来るのは初めてで……」
アーシェ:「そうだったんだ。あっ、私達の家はこっちだぜ。」

メゼスと共に自然に生えた樹木が作ったアーチを歩いて行き……向かって左側に、木製の柵が見えて来た。
庭では私のポケモン達とノーマのポケモン達が快適に過ごしている。

アーシェ:「ただいま、ノーマ。」

私とメゼスは、木製の柵に取り付けられた扉から庭へと入る。

ノーマ:「あっ!お帰りなさい、アーシェさん。あら?そちらの方は?」
アーシェ:「ん?あぁ、今日から此処で一緒に生活することになった……」
メゼス:「初めまして。メゼス・アルスパシアと申します。本日からよろしくお願いします。」ニコッ
ノーマ:「そうでしたか!私はノーマ・フェンネスといいます。こちらこそ!よろしくお願いしますね、メゼスさん。」ニコッ

ノーマとメゼスが優しく微笑み合いながら、握手を交わした。

メゼス:「それにしても……広くて立派な庭ですね。あそこで遊んでいるのは全員、アーシェさんのポケモンなのですか?」
アーシェ:「いや、バンバドロとケンタロス、ギャロップはノーマのポケモンだよ。さてと……」

私が投げたボールが開き、バシャーモ・バサギリ・ルクシオ・コマタナ・ミブリムが姿を現し、他のポケモン達と合流して、庭で自由に過ごし始めた。

ノーマ:「あっ!コリンクがルクシオに進化したのですね。それに、新しくコマタナとミブリムが増えて……」
アーシェ:「そうなんだよ!さてと……皆!集まってくれ!」

私は声を上げると、庭で遊んでいたハガネール・オノノクス・ミロカロス・シルヴァディ・アマルルガが寄って来た。

アーシェ:「新しく仲間になったコマタナとミブリムだ。それと、コリンクが無事にルクシオに進化した!でも、姿が変わっても私達の大事な仲間に変わりは無い!皆、これまでと変わらずに……コマタナとミブリムとも仲良くしてやってくれ。」

私の呼びかけに、私のポケモン達は各々力強く・元気良く頷いてくれた。

メゼス:「あの、アーシェさん、ノーマさん。」
アーシェ:「ん?何だ?メゼス。」
メゼス:「此処で私のポケモン達も、出してあげても……構いませんか?」
アーシェ:「もちろん!この庭でメゼスのポケモン達を、自由に・好きなように遊ばせてやるといいよ!」
ノーマ:「はい!私もメゼスさんのポケモン達を見たいですし。遠慮なさらないでください。」
メゼス:「ありがとうございます。それでは……」

リアンが投げた4個のモンスターボールが開き、マホイップ・ヤバチャ・アマージョ・ビークインが姿を現した。

アーシェ:「皆!この子達も、今日から一緒で此処で暮らすことになったんだ。ノーマのポケモン達同様、仲良くな。」

再度話しかけると、私の……今度は10匹全員が各々力強く・元気良く頷いてくれた。
うんうん。私のポケモン達は、本当に良い子達ばかりだ。

そんな中、ふっとミロカロスが戻ろうとしている湖の方を見ると……新しいポケモンが居ることに気付いた。

アーシェ:「えっ!?あのポケモンは……」


【 ラプラス 】
のりものポケモン / 高さ:2.5m / 重さ:220.0kg / 水・氷タイプ
賢く優しい心の持ち主。
人の言葉を理解する高い知能を持つ。
人やポケモンを背中に乗せて海を渡ることが大好き。背中の乗り心地は抜群。
寒さに強く、氷の海も平気。 ご機嫌になると美しい声で歌う。
皮膚はスベスベで、少しだけひんやりしている
めったに争わないため、密猟でたくさん捕まえられ、絶滅寸前まで追い込まれた。
夕暮れ時になると、少なくなった仲間を探して、悲しそうな声で歌うという。
絶滅の危機を回避するため大切に保護された結果、今度は逆に増え過ぎてきた。
ラプラスが多すぎる海では、さかなポケモンが減ってきたという。


アーシェ:「どうしたんだ?あのラプラス。」
ノーマ:「アーシェさん。見えますか?あの浜辺。」

そう言ってノーマは、庭の……出入り口用扉がある方とは反対側の柵の向こう側、少し斜面になった先にある砂浜と遥か水平線が見える方を指差す。

ノーマ:「群れから逸れたのか、群れから追放されたのか……どうして1匹で居たのかは判りませんが、あの子は先日、そこの砂浜に打ち上げられていたんです。」
メゼス:「まぁ……可愛そうに……」
ノーマ:「しかも、野生のポケモン……サメハダーなどに襲われたのか、トレーナーのポケモンに襲われたのか、酷い怪我も負っていたので……保護という名目で、1度ボールに入れてポケモンセンターに連れて行ってあげたんです。人の言葉を理解できるほど賢いポケモンですからね。『 あなたを助けたい 』という思いをちゃんと伝えたら、モンスターボールに入ってくれました。」
アーシェ:「なるほど。」
ノーマ:「それで、ハイルドベルグのポケモンセンターで治療してもらった後、再び海に帰してあげようとボールから出してあげたのですが……あの子は顔を近づけてボールのボタンに触れると、再びボールに戻って……」
メゼス:「野生に帰ることより、ノーマさんのポケモンであることを選んだというわけですね。」
ノーマ:「えぇ、そうだと嬉しいです。アーシェさん。あのラプラスを私のポケモンとして、此処で住まわせてあげても構いませんか?」
アーシェ:「もちろん!ポケモンが増えて賑やかになることは良いことだからな!ただ……」

私は水面をラプラスが、水中をミロカロスが泳いでいる湖の方を見る。

アーシェ:「ラプラスもミロカロスも割と大きなポケモンだからさ……可能なら、湖の面積をもうちょっと広くしてあげた方が良いかもな。」
ノーマ:「そうですね。少しでもポケモン達には此処で快適に過ごしてほしいですし、その辺りはまた、庭師さんに見てもらって決めさせていただきます。」
アーシェ:「うん。よろしくお願いします。さてと……それじゃ、次はメゼスの方の話を進めようか。」
メゼス:「あっ、はい!」
ノーマ:「メゼスさんのお話し……ですか?」

私達は柵に設置された扉から外に出て、施設の前を通り、庭と反対側の空き地の前に立つ。

アーシェ:「どう?これくらいの広さがあれば、何とかなりそうか?」
メゼス:「はい!充分すぎます。先日もお話ししましたが、そこまで大きな物を建てるつもりはありませんので。」
ノーマ:「アーシェさん、メゼスさん、此処に何かを建てるんですか?」
アーシェ:「あっ、言うの忘れてたな。メゼスはパティシエールでさ、此処でお菓子屋さんを開いてもらうことになったんだ。」
ノーマ:「パティシエール!?私とそんなに歳が変わらないのに、凄いです!メゼスさん。」
メゼス:「いえ、そんな……あっ、ありがとうございます。」
アーシェ:「それで、メゼスが大工さん達と話し合って建設が始まったら、しばらく工事の音が響くと思うけど……」
ノーマ:「大丈夫です。煩いのが苦手なポケモンは居るかもしれませんが……私は気にしませんよ。」
アーシェ:「ありがと、ノーマ。それじゃ、この件はとりあえず、現時点では此処で終了!メゼス、今度は施設の中を案内するよ。」
メゼス:「はい!お願いします。」
ノーマ:「それでは、私はポケモン達のお世話に戻りますね。」
アーシェ:「うん!いつもありがとな、ノーマ。」

メゼスの案内を終えて再び庭の方へ出向いてみると、ラプラスの背中に乗って楽しそうにしているミブリムの姿が見ることができた。

私、ノーマ、メゼスのポケモンがそれぞれ増えたことによって、より賑やかになった庭の光景は、見ているでも充分楽しかった。

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