第138話 ただ、ひたすらに君を想う。ゴールド編

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 今日はポケモン屋敷に珍しいメンバーが勢揃いしていた。広いリビングの四人掛けのソファーに四人、二人掛けのソファーに一人が座って、ニの字になって話をしていた。
 四人掛けのソファーには右から、イエロー、ブルー、レッド、グリーン。向かい側に座るのがゴールド。

「なあ、ゴールド。大事な話ってなんだ?」
「レッド先輩」

 黒髪の前髪がM字に分かれていて、瞳が燃える炎の色レッドが言葉を発した。深く頷くゴールドにレッドは生唾を飲む。

「実はマイが――」
「ああ、そうよ。マイちゃんは? アタシ会ってみたいのよ。あんたが顔面の筋肉がゆるゆるになっちゃう程、メロメロな女の子に♪」

 今まさにその人物について話そうとしていたのに、美人でグラマースタイルで、ロングの暗い茶色をした髪色を持つ少女が足を組みながらニタニタと企むような青色の瞳の顔つきで遮った。

「いや、それが……。マイが、勝手に2の島に行っちまって」
「約束でもしていたんですか? 話を聞くだけだと優しくて、ゴールドさんに忠実なイメージでしたけど」
「忠実ってな、イエロー。語弊が生まれるぞ」

 痛い所をつかれて奥歯を噛みしめるゴールド。一瞬、伏せた顔をすぐに上げて訳を話すと、金髪をポニーテールにした少女、イエローに追い打ちを掛けられる。
 すかさず、茶髪の髪をツンツンに立たせた少年の持つ緑色の瞳に睨まれる。イエローの黄緑色の瞳が睨まれて、申し訳なさそうになった。

「別に約束はしてた訳じゃねぇんスよ。ただ、あいつは昔から身体が弱かったから一人で行っちまって……なんつーか」
「心配してるのね。やっぱり、シルバーから聞いてた通りのご様子ね。オーホッホッホッ」
「楽しんでるなぁブルーは~たはは~」

 膝の上に置いた手が震えを抑えるように握られているのを見て、ブルーは不安な気持ちを吹き飛ばすように笑い飛ばす。鈍いのかレッドは、頭の後ろに手を回して苦笑い。やつれた顔にも見える。

「そういえば、そのトゲピーずっとゴールドを見てるけど何かしたの?」
「何かっつーっか。何もしてないっス」

 レッド達の座るソファーから隠れるようにゴールドを見る、その顔から火が出るかのように血相を変えて見るトゲピ―を指さした。イエローは膝の上に乗せてやり会議に参加させてやる。

「何もという事は育てていないという事か?」
「そっすね。この家の中でのびのびやらせてるんスよ。こいつの本望っすよ! 俺にはこいつらがいれば十分なんで」
「うーん。でも、このトゲピーはゴールドさんと旅に出たいって言ってますよ? ふわあぁ~眠たくなっちゃった……」

 言い訳なんてさせないぞ、といった真剣な表情に、後ろ髪を引かれる。言い訳を言えばイエローの能力「ポケモンの気持ちを読み取る力」であっさり嘘が見破られる。
 イエローはこの能力を使うと体力を消耗するのか眠たそうな目になり、ブルーの肩を借りてさっそく眠りについてしまう。

「そうは言っても、トゲたろうの進化条件が分かればいいんすけどねェ。俺にはさっぱりっす!」
「アタシに任せなさい。トゲちゃん、こっちにいらっしゃい」

 イエローの膝に乗っていたトゲピーは、ひらりとブルーの膝の上に飛び乗った。引きしまっていて、白く細長い指がトゲピーの身体をあちこち触り診察開始。
 これはブルーの「ポケモンの進化条件が分かる」能力。ただし、能力と言っても彼女の並大抵ならぬ努力と進化に造詣が深さによる成果だ。

「なーるほどね。この子はなつき度進化ね。その次は、光の石で進化するわ。つまり、全部で三段進化ポケモン。育てれば強くなるわ」
「なつき度進化っすか。うーん、懐いてると思ったんだけどよォ~……」

 指を一つづつ立てながら説明をするブルー。トゲピーはブルーに触られて嬉しかったのか、ゴールドには見せない笑顔を振りまいていた。なんとなく嫉妬を覚えたゴールドは身を乗り出してブルーから取り上げる。
 必死に短い手足をバタつかせて逃げようとしてる姿を見て、レッドは思わず声を出した。

「全然懐いてないな~。顔はゴールドそっくりなのに。懐いてるか懐いてないかって言うより心を開いてない感じかな。ゴールドも、トゲピーも」
「前半はかなりぐさって来ましたけど、後半には何も言えねえっす」

 普通のトゲピーは顔が愛らしいが、ゴールドが孵したトゲピーは目つきが悪くゴールドみたいなのだ。そう言われて脳裏に浮かぶのは、ビリヤードを勝手にやったりマイにちょっかい出したりしてるシーンばかり。
 今もブルーには笑顔を見せていて心が痛む。

「仕方ないな」
「おっ育てる者~! 何か良い案があるのか?」

 ため息をついたグリーンは顔を床に向けてから、何か意志を宿した瞳をゴールドに向ける。

「マイに会いたいんだよな、お前は」
「ま、まあ。そっすね……会いたいっつーか、なんつーか……」
「ごちゃごちゃうるさい。いいか、マイに会いたいならまず俺達に会いに来れるようにポケモンを"育てて"から連絡をしろ」
「ウッ」

 狙った獲物を逃がさないように、ゴールドもまたその瞳から逃げられない。茶化そうにも茶化せない雰囲気にレッドとブルーはくっついて震えた。

「しかし、ここに俺がいてよかったな。俺は"育てる者"ポケモンだけではない。そのトゲピーを最終進化までお前と一緒に育ててやる! 付いて来い!」
(グリーンはこうなると止められないからなぁ~)
(ゴールド、ドンマイ。頑張ってらっしゃい、うふふ)

 ソファーから立ち上がると、ゴールドの座るソファーまで移動し腕を掴み、立ち上がらせる。
 レッドが熱い性格のせいでグリーンが冷静に見られがちだが、グリーンにも熱い男の魂がある。どうやら"育てる者"として火が付いたらしい。

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