千年の盾

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読了時間目安:23分
 ナックルシティ――ガラル地方の中部に位置する大きな街。
 古代ガラルの王家の城壁をそのまま街の塀として利用しており、歴史的に見ても価値の高さが伺える。現在はジムとしても利用されている宝物庫にはガラル地方の伝説を残した文献が数多く存在するという。
 かつての城は今はマクロコスモス社の手が入り、ジムへと生まれ変わってはいるが、歴史的価値を後世に残すため、外観のみならず内装にも当時の石壁がほぼそのまま使用されている。城の外観は、不死鳥が翼を拡げたような形をしており、観光名所としても名高い。
 
「ううむ遅かったかぁ……」
 
 ラフなTシャツにホットパンツという身軽な服装のマスターは、目の前の光景に、ため息をついている。
 マクロコスモス社が建てた、この街を代表するこの巨大なタワーのあるこのナックルスタジアムに、目的の彼が訪れていると聞き、私達はやって来た。
 目的の人物――それは、ダンデだ。
 別世界のダンデのことを当事者に話しておこうとしたところ、このような状況に陥っている。
 
「オレがダンデだ。君は誰なんだ?」
「いやいや、何を言ってるんだ。オレがダンデだ」
「本物なら、リザードンポーズをしてみろ!」
「おもしろい! よりキマったほうが本物というわけだな!」
 
 目の前にはリザードンポーズをする二人のダンデがいた。
 もちろん片方は偽物だ。げきりんの湖で出会った異世界のダンデだろう。しかし、今はこの世界のダンデに髪型や服装もしっかり似せており、瓜二つといったところである。
 
「なかなかキマってるじゃないか。もっともオレのほうがキマっているが」
「偽物の割にはなかなかやるな。どうだ? 二人でダブルバトルに出てみないか?」 
 
 二人のダンデが、ナックルスタジアムの受付前に並び、その間には一人の女性がいる。見知った顔だ。マクロコスモス社支給の制服の胸元を窮屈そうに着ている美女。名前は確か、フジ・コサリ。
 
「何とかしてください、ガラルチャンプ。先程からこの有様なのです。この場を外しているキバナさんには、リーグスタッフから一応連絡は入れてもらったんですけど……」
「なんとか、ねえ……」
 
 胸にたわわに実った二つの果実が、今にもはち切れんばかりにコサリのブラウスを押し上げ、その存在を誇示している。
 マスターは唖然とした表情のまま、コサリの胸と自分の胸元を見比べると急に憤り、鼻息を荒くした。
 
「ふん、チチオバケめ! なんとかするのは、貴方のそのお胸よ!」
 
 などと完全に目的を忘れた発言をし、マスターは背負っていたカバンをドサリと降ろし、中からガソゴソと、別世界のダンデからパクったスカウターを取り出した。このカバン、いつも不思議なのだが、一体この大きさなのに、なぜ何でもかんでも出て来るのだろう。
 私の疑問を他所に、マスターはスカウターをこめかみに装着し、コサリの全身をスキャンし出した。
 
 ――ピピピピッ!
 
「ムムム……? なん、だと……身長167、体重50,上から順に、B99.9、W55.5、H88.8!?」
 
 スカウターが目まぐるしく、強敵のデータをはじき出していき、最終的に弾け飛ぶ――ことは無かったが、何か心に深いダメージを受けたマスターは地面にひれ伏した。衝撃でスカウターが地に転がる。
 
「ガラルチャンプ?」
 
 フジ・コサリが焦ったように走りより、マスターの肩に手をかけようとした瞬間、マスターはすくっと立ち上がり、「じょ、女子力たったの5か、ゴミめ……」と吐き捨てた。泣いていた。
 
「あなたはまだ成長期なんだから、これからよ」
 慰めようと声をかけるコサリだが、マスターは首を大きく横に降る。
「気休めはいらないわ!」
「気休めじゃないわ。これから先ね――」
「いやだ! 今がいいの!!」
 
 聞き分けないことを言うマスターと、それをなだめるコサリ。
 私はどうしたものかと周囲を見渡すと、目の前には完全に言葉を失ったダンデが二人。二人のダンデはどうしたものかと互いに顔を見合わせていた。
 
 私は足元に転がったスカウターで、ダンデをスキャンする。
 
『本物は貴方、そっちは偽物』
 
 私は本物のダンデの手を引き、偽物と距離を取る。
 すると、偽物のダンデは、「くっくっく」と笑い始め、肩を振るわせて大笑いした。
 先ほどまで泣き崩れてたマスターも、それをなだめていたコサリも、視線は偽ダンデに向いていた。
 
「バレちまったらしょうがねえ……」
 
 偽ダンデは、自らの顎に手をかけると、バリッと顔の皮膚――いや、マスクを取り去った。
 
「やっぱり貴方だったのね、ルパン」
「ほんの冗談だから、拗ねないでくれよ。可愛い顔が台無しだぜ、フゥジコちゅわぁぁん!」
 
 ルパンと呼ばれた“怪盗”は、素顔は見せなかった。一瞬の間に顔の上半分を隠すマスクを着用してみせたのだ。
 
「ルパン? 何なんだい、君は?」
「なんなんだい?」
 
 ダンデのセリフが引き金になり、急に男は華麗な動きで跳躍する――が、単に一歩下がっただけだった。
 アニメみたいに大きく飛んだり、動き回るスペースはここにはないし、照明も変わらない。しかし、男はポーズを決めながら続けた。ある種の矜持のような、深い信念がそこにはあるらしい。
 
「なんなんだいと聞かれたら! 答えてあげるが世の情け! 世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため! 愛と真実の悪を貫く、ラブリーチャーミーな二人組!」
 
 いつの間にか赤い薔薇をくわえており、どこに潜んでいたのか一匹のニャースが飛び出してきて混ざる。
 
「怪盗カイト!」
「シャケ猫だニャ!」
「ガラルを駈ける我々ふたりには!」
「ウルトラホール! にゃん」
「未知なる明日が待ってるぜ!!」
「にゃーんてな!」
 
 相変わらず息ぴったりに叫ぶと、カイトとシャケは決めポーズとともに静止した。待つことしばし、ニャースのシャケが口を開く。
 
「ニャーたちは、そこの元チャンピオンに用事があるニャ」
 
 それは怪盗ルパンと呼ばれ、ゼニガタ警部に追われていたあの男、怪盗カイトと、その連れのニャースのシャケであった。
 
「僕たちは、世界の破壊を防ぎに来た」
 
 どうやら、先ほどの登場シーンはこの台詞に向けた長い前ふりだったらしい。
 話を聞こう、とダンデは少し真剣な顔をしてみせた。

――――――――――
【補足】「B99.9、W55.5、H88.8」とは?
 カイトはかつて、受けループ戦術を好んでいたため、受けルパン略してルパンという二つ名がついていた。今やこの呼称を用いるのは、国際警察のゼニガタと、今回の話に登場するフジ・コサリのみである。
 コサリにベタ惚れのカイトは、自分だけ特別感を出してもらいたくて、勝手にオリジナルのあだ名「フジコちゃん」をつけた。元ネタはカントー地方で流行した某アニメのヒロインの名前である。
 なお、スリーサイズは上から順にバスト99.9、ウエスト55.5、ヒップ88.8であり、某アニメのヒロインと全く同じである。
 スカウターの弾き出した正確なデータにもあるとおり、完璧なプロポーションの持ち主が、フジ・コサリである。
 スリーサイズが今一つイメージつきにくい方は、ポケモンで言うところの、孵化かつ厳選のできないようなポケモンの理想個体(オシャボ、色違い、性格一致、6V)を思い浮かべてほしい。天文学的確率である。
――――――――――


「宝物庫を見せてほしい。時間的に今がベストなんだ」
 
 スマホロトムの画面を確認しながら、カイトは言った。
 
「そこはキバナが居ないと入れないぜ。オレの裁量を超えたナックルスタジアムの番人の特権だが……こういうときは不便だ」
「大丈夫だよ。僕の考えどおりなら、キバナも居るはずだ」
「そうなのか?」
 
 歩きながらダンデはカイトと話していた。
 それを背後から見ていると、ダンデのシンボルでもあるタフネスマントがよく目立つ。多すぎるスポンサー企業のロゴマークはそのままダンデの人気の高さを表しているのだが、悪目立ちと言っても良い。
 ポケモンリーグそのものが興行化され、産業の一種となっているここガラルにおいては、有力なポケモントレーナーにはスポンサーがつく。ダンデは熱く真っ直ぐで誠実な性格から、チャンピオンを退いた今でさえ圧倒的な人気を誇っている。
 対象的にマスターは、スポンサーのロゴは一切身につけていない。マスターは福祉事業として孤児院ホームを開いている手前、営利目的の活動はできず、その代わり孤児院ホームが寄附金を受け取っているのだという。
 その影響もあって、ダンデにスポンサーが流れているのかもしれなかった。
 
「しかし、なぜキバナが宝物庫に?」
「街を巡回していて、誰かに呼び出されたみたいです。さっき、建物を出るときにリーグスタッフが話しているのを聞きました」
 
 私たちの隣を歩いていたコサリが前を歩く背中に声をかける。
 
「そうなのか。しかし、ここの街並みはいつ見ても素晴らしいよな。由緒正しきガラル王家の歴史を感じさせる」
 
 ダンデは話題を変え、城の外観に視線を移しながら歩いた。
 
 宝物庫はナックルスタジアムからは入れない作りになっている。一度表に出た上、外周に沿って西側に進む必要があった。
 ナックルスタジアムのある古城を見上げる。
 かつての堅牢な城は、ナックルスタジアムとして活用されるだけではなく、近年マクロコスモス社により増改築が施され、その管理する巨大なタワーが現在はそびえ立っている。
 
「でっかいタワーだよねえ、サナたん。わたしはつくづく感心するよ」
 
「凄いだろ。毎年何人かは、なぜか無駄にこのタワーを登るヤツが出てくる。身動き取れなくなり、レスキューに救助されるまでがテンプレだ。あと、この城のうえのシンボルの形がシンボラーに似ていて気に食わないとクレーンで突撃したヤツもいたな。古くは、ワイルドエリアを始めとして、南方からの敵を監視する見張り塔のような役割があったらしい。何はともあれ、このタワーはよく目立つんだ」
 
 前を歩くダンデが振り返り説明する。
 確かに、ワイルドエリアからもよく見えた。見ようによっては確かにポケモンのシンボラーのシルエットにも見えなくもない奇妙な形状をしていた。
 
「見張り塔を改築したこのタワーは発電装置の役割を果たしてるの。ガラル鉱山や、第二鉱山で採掘された“ねがいぼし”のエネルギーを吸収して、地下のプラントに送る。そこで電気へと変換して、発電してガラル全土に電子を供給してるの」
 
 コサリが補足する。
 私もこのガラルに来て様々な書物を読み、ときにマスターのスマホロトムを借りながら暇さえあればこの地方のことを学んだため、この分野についてはある程度の知識はあった。マグノリア博士の専門分野であり、孤児院ホームの書棚からいくつか読んだものだ。
 
「そうだな……」
 
 リーグ委員会のみならず、今やマクロコスモス社の中核すら担うダンデは少し表情を曇らせた。
 
「このインフラ設備が無ければ、ガラルの豊かさはなかっただろう。ブラックナイト騒動の後、ガラル粒子の量も増え、巣穴と呼ばれるところのエネルギーワットも増えた。ローズさんが集めさせた“ねがいぼし”と、擬似的に作り出した成分との化学反応で、電気の供給は、未来永劫安定したと言っても過言じゃない。ローズさんは、間違いなく、ガラルの未来を救ったんだ」
 
 ダンデの「未来は救われた」という言葉を受け止めるべきか。それとも、先ほどのカイトの「世界の破壊」という発言を受け止めるべきか。
 カイトは何を伝えようとしているのだろう――と考えた瞬間、何かが脳裏を電撃のように走り、私は足を止めた。
 
『う……ッ……』
「サナたん? どうしたの?」
 
 声に気づき、ダンデとカイトも足を止めこちらを見ている。
 
 嫌な予感がする。
 何者かの悪意を感じ、私は咄嗟に走り出していた。地を蹴り、前を歩いているダンデを押し倒す。
 その動作と同時か、あるいは早かったか遅かったか――時間差はわからない。銃声が響き、背後の城壁を削り取る。誰も怪我をすることなく回避できたことは幸いだ。
 立て続けに撃ち込まれる銃弾を、私とダンデは避け続けた。
 銃弾は確実にダンデに狙いを定めており、不幸なことにダンデのタフネスマントは悪目立ちしすぎていた。ダサいだけではなく、どうしようもないマントである。
 
「くっ、何者だ……!? なぜ、的確にオレを狙える……!?」
 
 遠くからでも目立つマントのせいだ。
 避けながら、ダンデはすぐに臨戦態勢を取り、素早い身のこなしでボールを投げる。マスターも負けてはいない。最初の銃声の時点ですでにボールは投げられており、盾のようなものを頭部につけたポケモン――ザマゼンタを繰り出していた。
 
「いけ、ギルガルド! “キングシールド”!」
「おねがい、ザマゼンタ!」
 
 ダンデの繰り出したギルガルドは指示を受け、瞬時にその身を主を守る盾へとフォルムチェンジさせる。シールドフォルムと呼ばれる形態である。
 また、同時に現れたマスターのザマゼンタも通常とはやや異なるデザインをしていた。深紅の盾に、黄金で装飾された真実の眼のレリーフが美しく映えている。

「んん? なんか、いつものザマゼンタと形が違うような……あんな目あったっけ? 前にカイトがワイルドエリアでくれた遊戯王カードの千年の盾に似てるような……」

 以前ワイルドエリアで決闘者デュエリストぶっていたカイトが、千年の盾というカードをマスターに投げつけていたことを私も思い出した。マスターもノリで、「千年の盾を生贄にザマゼンタを召喚」などと言っていた。確かにあの時のカードのデザインに似ている。

 当のザマゼンタはと言うと、特に周囲を意に介した様子もなく、盾のようなタテガミに力を込め、どこからか撃ち込まれる銃弾を全て弾き返していく。
 弾くというよりは、無効化し、地面に落としていっているようなイメージを受ける。その堂々とした様子はまるで、孤児院ホームで読んだ絵本の昔話に出て来る“ 百獣の王ライオン”のようだった。
 
 それは、私の記憶にあるザマゼンタとはまるっきり異なる、ある種のオーラさえ纏ってそこに存在していた。
 私が知るのは、コウタローの使用していたナオミという名のザマゼンタであり、発情期のため、ベーコンという名のザシアンのお尻をひたすら追いかけ回していた様子しか記憶にない。私にとってザマゼンタやザシアンは、そういったどこかコミカルなイメージを持っていたが、このザマゼンタは違う――この世界、この時代に唯一無二の本物だと確信させた。
 
 ザマゼンタはどこか遠くへ向け、咆哮した。頭部の盾が光り、何かのエネルギーを溜め込むように動き、その直後、銃弾がピタリと止む。
 
「ありがとう、ザマゼンタ。お陰さまで見つけられたわ。それに、今ので敵は気絶したみたい」
 
 ザマゼンタに全てを任せ、先ほどから眉間に皺を寄せ何かに集中していたマスターが声をあげる。
 どこか見えないところにいる狙撃手スナイパーに何らかの影響を与えたらしい。銃撃にすら微動だにせず、主を守り続けるその姿は、千年以上も前から伝わるという、ガラル神話にある最強の盾を彷彿させた。
 
「敵は二人……“気”は確かにこのタワーの上」
 
 そう断言したマスターの顔を思わず見返した。
 ポプラと同じことができているのだ。相手の存在を示す“気”を読めるというマサラ人の末裔は、優れたポケモントレーナーであることが多いというようなことをポプラも言っていたことを思い出し、私はすぐに納得する。
 
「サナたん、サイコキネシスで動かせる?」
 
 サイコキネシスは便利な能力だ。
 物質に干渉し、何らかの形でそれに力量を加えることで、バリエーションに飛んだことができる。
 ポケモンバトルで使用する場合は、バトルに最適解である安定した攻撃ということになるが、優れたエスパーはそれを応用し、様々なことができる。
 先般、ポプラを縛っていた蔓を切ったのもその一つ。そして今回は――
 
 頷き、頭の中に意識を集中させ、マスターが指したタワーに向けて、私は“見えない手”をイメージする。そして、そこにいた誰かを思い切り引っ張り寄せた。
 私たちの目の前に飛びこんできたのは、ふたりの男。
 
 一人は、白いスーツに、黒のカッターシャツを着た体格の良い男。見たことのない顔だった。眉が太く、角刈りに髪を短く切り揃えており、その雰囲気は一般人とは異なっていた。
 その証拠にシャツの胸元には、カラフルな色合いの“R”の文字が刻印されていた。間違いない、レインボーロケット団の一員だ。
 
「誰です、この人は……」
「ゴルゴという少し特殊な殺し屋さ、フジコちゃん」
 コサリの呟きに反応したのはカイトだった。
「じゃあこっちは誰なんだ?」
 倒れていたのは浅黒い肌に白髪の男だった。奇妙な衣装を着込んでいる。
 顔面に何故か痣ができており、どうやら何者かに殴られ、気絶しているらしかった。そちらには見たところ、“R”の文字はない。
 ダンデの問いかけに答えたのもカイトだった。
「殺しの依頼人だろうね。詳しくはキバナに聞くほうがいいと思う」
「なぜキバナに? 何か関係があるのか?」
 
 カイトは黙っていた。
 そして、スマホロトムを開き、「13時を超えたか……第一段階クリアだな」と口にした。その時刻に何か意味があるのかもしれない。

「カイト、ここまでは想定内にゃん。だけど……ニャーは嫌にゃ予感がするにゃん」
「そうだな、シャケ。ちょっと先回りして様子を見てきてくれないか」

 シャケ猫は頷くと、二足歩行を四足歩行に変えて、物凄いスピードで走り去った。ニャースは元々が四足歩行だ。きっと、その方が早いのだろう。
 
「ねえ、なんでこの人は殴られた痕があるの?」
「ゴルゴは少し特殊な殺し屋だからね……」
 
 シャケが走り去った後、口火を切ったのはマスターである。しかし、カイトはそれ以上は説明せず、慣れた手つきでロープをどこからともなく取り出し、男二人を縛りあげる。
 
「こいつらを宝物庫まで運ぶの手伝ってくれないか? ブラックマジシャン……じゃなかった、サナ」
 
 なぜか、私をブラックマジシャンと言いかけ、口を閉じた。
 その単語で私は思い出した。カイトが別世界で会ったという、もう一人のマスターのことを。
 そのマスターは古代ガラルの王の人格を宿しており、人が変わったようになったり、やたらとカードで決闘デュエルしたがるのだと言っていた。そして、その一番の相棒のサーナイトの名前がブラックマジシャン――
 
 私はサイコキネシスで悪党二人を引きずりながら、宝物庫を目指した。
 カイトの目的は現時点で深くわからないが、おそらくは、別世界で経験したことをもとに、この世界で何かの結末を回避しようとしているように思える。
 だとすれば、私たちは今、世界の何かの岐路に立っているのかもしれない。
 願わくば、石を投げただけで分岐する世界の、一番良い道を選びたいと思う。

――――――――――
【補足】「少し特殊な殺し屋」とは?
 今回サナ達が捕縛した殺し屋は、凄腕の狙撃手スナイパーであり、その二つ名は“ゴルゴ13”である。
 狙った獲物は13時に仕留めることをモットーとしており、そのため、標的ターゲットの行動を綿密にシミュレーションしなければならず、殺しの難易度も格段に高くなるのだが気にしない。なぜならば凄腕だから。
 依頼主により、成功率をあげるため13時に拘らず標的ターゲットを始末してくれと報酬を上乗せして頼まれても信念を曲げない。正しく一流の狙撃手スナイパーにしてプロの殺し屋である。
 その特性に、背後に立たれると誰であろうと殴り飛ばすというものがある。
 闇社会でも一流の狙撃手スナイパーであるゴルゴ13は、厳めしい風体とは逆に臆病とさえ言えるほどに慎重な人間である。しかしその臆病さゆえに、細心の注意の下に不可能な依頼さえ成し遂げてしまう。当人もこの性格は自認している。
そのため、彼は絶対に他人に背後を取らせない。
 彼にとって『自分の死角となる背後を取られる』ことは即ち『死』であるからである。もし他人が背後に近づいた場合には、敵はもちろん、依頼人だろうと問答無用で殴り飛ばしてしまう。今回の依頼人もつい背後から話しかけてしまったため殴り飛ばされた。
 なお、ポケモントレーナーとしても優秀であるが、なぜかポケモンは6体ともオクタン(プレシャスボール入り)であり、全部がオクタン砲を覚えている。
 不可思議な点としては、6体全員が同じ性格、技構成、同じレベル、ステータス(個体値、努力値が同じ)、特性や性格、出会った日付なども全く同じであり、過去にイベント配布された『ゴルゴ所長のオクタン』だとしても、コピーポケモンである可能性が極めて高い。
――――――――――
Special thanks,ゴルゴ13

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