壮年紳士とサーナイト

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読了時間目安:3分
 ショッピングモールで皆と別れた後、僕は目的のお店に向かった。そのお店というのは、様々なジャンルの本が並んでいる、この街でも一番大きな本屋さんだ。
 実は少し前にシーちゃんと漫画を読むようになってから、次巻が待ちきれなくなってしまった。その影響で僕は、お小遣いを漫画に使うようになってしまったが、後悔はしていない。
 このままだと本棚を増やさないといけない不安を抱えながら、僕はバトル漫画系の本を何冊か手に取り、レジでお金を出して購入した。やっぱりビニール包装されたこの状態の手触りがたまらない。
 ウキウキ状態で本屋を後にしようとすると、雑誌コーナーに見覚えのあるポケモンが見えた。

 「あれ、もしかしてシーちゃん?別のお店に行くって言ってたのに、なんでここにいるんだろう?」

 そんな疑問を浮かべていると、その隣にスーツ姿の人間が立っていて、肩を並べながら何かを見ているようだった。多分別のサーナイトだろうと考えていたのだが、僕はなぜか二人の様子が気になって仕方がなかった。

 「ふむ…本当にこんな服が私に合うのだろうか?」

 「絶対似合いますよ、マスターはもっとオシャレになるべきです!」

 「そ、そうなのか?こんないい歳したおっさんが、目立つような格好をするのは恥ずかしいんだがな…」

 「むしろマスターはもっと目立つべきです!トレーナーの界隈では有名なのですから、私はもっと皆に注目されてほしいんです!」

 「…フフッ、君はあの時から随分と積極的になったな。おかげで以前よりも距離が縮まったように感じる」

 「これが私なりの気持ちの表現ですから。マスターのパートナーとして、これからも色々とアドバイスしていきますよ」

 人間の腕に体をくっつけながら、仲睦まじく会話するその姿を見て、僕は不思議な気持ちになりながら、心境の変化に戸惑っていた。
 あのサーナイトはシーちゃんとは違う個体のはずなのに、どうしてもシーちゃんと姿が重なってしまう。そんなふうに思えば思うほど、胸の奥がチクッと痛くなる。そして隣の人間を見ていると、なぜか嫌な気持ちになってくる。
 これ以上見ていると辛くなると感じた僕は、本屋から逃げるように立ち去った。どうしてこんな行動をとっているのか、自分でもよく分からない。さっきの二人に対して色んな感情が湧き出てきて、心の整理が追いつかない。

 「はぁ…はぁ…こんな経験初めてだ。この胸のざわつき、頭のもやもや…僕の身に何が起きてるんだ?」

 とにかく今は、皆と決めた集合場所に行かないと…。僕は一階のフードコートにあるお店「PokeCafe」へ急ぐことにした。

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