三話 残虐

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読了時間目安:5分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

理都が死者蘇生能力に目覚めた翌朝、僕らは学校へ行けずにいた。

「さぁ、そこの女の子を渡しなさい」
「どちら様ですか?」

登校中に不審者に出くわす可能性なんて、本来なら0に近いだろう。

「私はサイキック・パワー・カンパニーの者です」

黒いスーツの男が言う。

訳がわからない、と言うように理都が首を横に振る。それと同時にポニーテールが揺れる。可愛い。

「そこのポニーテールの子、早くこちらへ」
理都はもう挙動不審になりかけて、半径数十センチの円を描き続けている。僕がどうにかしないと。

どうにかする体力も無いけどね。

男の懐に飛び込んでいった僕は、次の瞬間には地面に叩きつけられていた。

見よう見まねのインファイト、そう簡単に決まるわけがない。

地面に伸びる僕を横目に、黒スーツの不審者は理都へ歩み寄る。
半泣きになった理都がまた可愛い。
本来こんなことを考えている余裕はないが、身体に力が入らない。

なんてひどい奴なんだろう。理都を可愛がっていいのは僕だけなのに(そんな訳はないし、奴の目的も違うだろうが)。

僕のことはどうでもいいから誰か理都を助けてあげてください。
誰に祈ればいいのかわからないけど取り敢えず祈る。

その祈りが届いたのか。

「これこれ。少年少女を傷付けてはいかんじゃろう?」

何処からともなくおじいさんが出てきた。

「さて、フライゴン、やってやるかのう」

この声、顔、そして相棒のフライゴン。

元チャンピオンのソゴウさんだ。

ついこの間、曾孫さんに敗北するまで、数十年無敗を貫いた、今でも最強クラスのトレーナーじゃないか。
彼の戦い方は少し特異で、決して相手の弱点を突かない、というものだ。
相手の弱いところに漬け込むのはトレーナーとして云々…とか言っていたが、流石に弱点位いいんじゃないかと思う。
「ソゴウめ…相手が元チャンピオンとは分が悪い。本日は帰らせていただきます。ですが、その死者蘇生能力の女の子、いただきたいと思いますよ。ではまたいつか」
ソゴウさんの登場だけで、帰ってしまった。
「ソゴウさん…ありがとうございます」
「わしは何もしとらんよ。奴が勝手に帰っていっただけじゃ」
「それでもっあなたのお陰で…」
「お主ら、この先何があるかはわからんから、気をつけるんじゃぞ」
「「はい!」」
ソゴウさんはそれだけで帰っていった。

学校についてから、僕達は黒スーツ対策の話をしていた。
「やっぱりボディガードを雇ったほうが良いんじゃないかな」
「私にそんなお金ないよ」
「確実な方法を取るなら、ここからチャンピオンになって、国から無償で守ってもらうとか」
「ポケモンすら持ってないけど」
「昨日の一件で、捕まえに行くのは絶望的だと思った」
「死んでたもんね」
「だから、貰いに行くのはどう?これから旅立つトレーナーの為にそういう補助をしてくれる制度が、このタイヨー地方にはあるじゃんか」
「なるほど…」


「どのポケモンにする?」
20代くらいのお姉さんが言う。
「どのポケモンって…」
理都は困惑の表情を浮かべる。
僕らは人気ダンサーのYUKINAさんの練習場に来ていた。
YUKINAさんは、この辺りだと一番お手軽にポケモンを譲ってくれる。
だが。
「どのポケモンって…アブリーしかいませんよね」
「ガラルで捕まえた子がいるんだけど、その子、すごい子沢山になっちゃって」
「じゃあ、この子にします」
理都が選んだのは、たった一匹のピンク色のアブリボンだった。
「その子ね。軽く紹介すると、ちょっとせっかちなんだけど、頑張り屋さん。今の所「ムーンフォース」と「吸い取る」が使えるね」
生まれつき強い技を覚えていたのだろう。たまにいる。
そういえばリグレーの異常に強い念力も、生まれつき覚えていたサイコキネシスだったらしい。
「じゃあ、ありがとね〜」
「「ありがとうございました!」」

YUKINAさんのところを後にする。

「アブリー、これからよろしくね」

理都は優しく、ボールの中のアブリーに話しかけていた。
何ヶ月ぶりの投稿だよ、と思った方も多いと思います。

プライベートではそろそろ受験期に入るところ、別名義で音楽をやっていたらこっちの活動がめちゃくちゃ疎かになっていました。

今回は公開中の過去作の伏線をいくつか回収してきました。

気付けなかった人のために軽く解説します。

1、「舞」のフライゴン使い…今回で、「カレンダーに遺された記憶」のおじいさんと同一人物である、というところまで公表させていただきました。
2、「カレンダーに遺された記憶」の「曾孫」…初登場時に「生きてる説」「死んだ説」が出ていましたが、生きてることになりました。これは考察読んでるとき正直面白かったです。
3、長崎雪奈のその後…アブソルと再会し、タイヨー地方でダンサーになりました。

以上です。

ありがとうございました。また次回、お会いしましょう。以上、抹茶でした。
(久しぶりに抹茶名義で何かした気がする)

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