77.フラッシュモブ

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:4分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 美しい草花が生い茂り、心地よい風が吹くこの草原では、ポケモン達が本当に楽しそうに遊んでいた。
 そんな草原に、ミュウというポケモンが迷い込んだ。ミュウはこれまで、あちこちを坦々としていた。だが、楽しげに遊ぶポケモン達の様子に惹かれ、ここに留まることにした。
 ミュウは草原のポケモン達と共に、有意義な時間を過ごしていた。


 ある日のこと。ミュウと普段よく遊ぶキルリアは、ミュウの元へと駆け寄り、こう言った。
「私、人間のポケモンになったんだ」
 ミュウは、その言葉を聞いて唖然とした。人間に捕まったなんて、信じたくなかった。
「人間って、すごい優しいんだよ。おやつとかも一杯くれるし。だから、私望んでボールの中に入ったの」
 ミュウの体に更に衝撃が走った。自ら望んで捕まるポケモンがいるなんて。
「だからごめんね。明日から一緒に遊べなくなっちゃった。これからは人間のポケモンとして頑張らなくちゃ」
 キルリアは去っていく。ミュウは何も言い出せなかった。
 ミュウはこのことを、友達のユンゲラーに話した。キルリアのことを聞いたユンゲラーは大層怒っていた。
「きっとあいつは、人間に騙されているに違いない。人間は恐ろしい奴だから」
 ミュウもユンゲラーの意見に同意した。人間がどういう存在かは、ミュウもよく知っていたのだ。
「よし、俺がキルリアを取り戻してやろう」
 そう言ってユンゲラーは、人間が住む地帯に足を踏み入れていった。
 翌日。ユンゲラーは帰ってきた。彼の表情からは怒りが消え失せ、喜びのみが感じられた。
「なあミュウ。俺も、人間のポケモンになることにしたよ」
 ミュウは驚きのあまり声を出せなかった。やっとの思いで「どうして?」と聞いた。
「人間の姿を見て、考えが180度変わったんだ。人間は恐ろしい奴じゃ、まるでなかった。特にあそこにいる人達は、良い人ばかりだった」
 そんなに人間が良いものに見えるのかなあ、とミュウは疑問に思った。
「ミュウも、人間に捕まることをおすすめするよ」
 最後にそう言ってユンゲラーは去っていった。


「ユンゲラーもキルリアもどうかしてるわ。私、彼らを説得してくるね」
 ミュウの話を聞いたゴチルゼルは、すぐさま人間が住む地帯へと走った。
 だが翌日。
「人間は素晴らしい生き物だわ」
 ゴチルゼルも人間のポケモンになっていた。
 その後、ニャオニクスやイエッサン、ガラルポニータも、みんな人間のポケモンになった。みんなどうしちゃったんだ、とミュウは思った。
 最終的に、草原で遊んでいたポケモン達は全員、人間のポケモンになった。
 彼らはある日、みんなでミュウの元へやってきた。そして、彼らは円を作りミュウを囲った。
「ミュウもおいでよ! こっちへ!」
 さすがのミュウもここまでくれば、自分の意見を貫き通しはしない。友達が揃いも揃って、人間に捕まることを薦めてくるのだ。
 こうしてミュウは、人間のポケモンになることにした。ミュウは草原の隣にある、人間が住む地帯に向かった……。


 ミュウが自らモンスターボールに入ったのを、研究者達はモニターから確認していた。
「ふう。ミュウが研究所から逃げ出したときは、どうなるかと思った」
「なんとか捕まえることができたな」
「作戦が良かったな」
「ああ。普通に捕獲を試みると、テレポートで逃げられる。かといって手荒な真似もなるべく避けたい」
 草原で遊んでいたポケモンは、実は最初から全て研究所のポケモンだった。知能が高いエスパータイプのポケモン達に、草原で楽しそうに遊んでもらい、ミュウをおびき寄せた。
 仲間達が徐々に人間のポケモンになっていく様子を見れば、ミュウも捕まりたいと思うだろう。そういう作戦だった。
「それにしても誰だよ。こんな作戦思いついたの」
「俺だよ。フラッシュモブの動画観てたら思いついたんだ」

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想

感想の読み込みに失敗しました。

 この作品は感想が書かれていません。