76.ポケモンの痛みはトレーナーの痛み

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 あるネックレスがシルフカンパニーから販売されたことは、ポケモントレーナー界に衝撃を与えた。そのネックレスを身につけると、バトルでポケモンが受けたダメージの1/20を、自分も受けるようになるのだ。
 ポケモンの痛みをトレーナーも少しは体感し、もっとパートナーを思いやる気持ちを持てるようにしよう、という意図で開発されたらしい。
 このネックレスは、最初は本当にごく一部のトレーナーのみつけていた。


 あるとき、ネックレスをつけたトレーナーが、ネックレスをつけていないトレーナーに勝利した。
「お前、もうちょっとポケモンのことを考えてやれよ」
 ネックレスをつけていないトレーナーは、責められていた。
 そういった感じで、徐々にトレーナー界に、ネックレスをつけていない人は、ポケモンに対する思いやりが欠けている、という風潮ができてきた。反対に、ネックレスをつけている人は、ポケモンと痛みを分かち合っているから立派だと、言われるようになってきた。
 いつしか、半分以上のトレーナーは、ネックレスをつけるようになった。ネックレスをつけていないトレーナーが、テレビ中継のあるリーグに出ると、批判が起こるようになった。


 やがて、トレーナーの9割以上が、ネックレスをつけるようになった。
 ある日のことだった。
 シルフカンパニーは新しく、ポケモンが受けたダメージの1/10が自分にくるネックレスを開発した。1/10はさすがに、かなりの痛みが伴う。最初はその商品は全く売れなかった。
 ところが、月日が経つと、状況は変わっていった。
 1/20で妥協している奴は、ポケモンのことを考えていない。そのような風潮が、次第にできはじめた。
 徐々に、1/10の方をつけるトレーナーの方が、増えていった。


 しかし、1/10ともなると、体が耐えきれず、バトル中に倒れるトレーナーが続出した。救急車に搬送されるトレーナーの様子が新聞の一面を飾り、社会問題となった。
 結局、1/10の方は販売中止となり、1/20の方も徐々に下火になっていった。
 だが、これらのネックレスは、今もなおSMクラブでひっそりと使われている。

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