第1話 『ポケモントレーナー・ハルカ参上!』

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読了時間目安:33分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

突然、『ホウエン地方』の『ミシロタウン』に引越し来た少女『ハルカ』は、何とポケモンのド素人だった!!
ポケモンと触れ合う事すら初めてのハルカは、ポケモンバトルをいきなりする事に…
『オダマキ博士』のモンスターボールから『アチャモ』が飛び出し、ポチエナと戦うハルカ!
しかし、ポケモンの『ポ』の字も知らないハルカに勝てと言うのが無理な相談だった…
ポケットモンスター ルビー 『ハルカジェネレーション』



第1話 『ポケモントレーナー・ハルカ参上!』










ガタガタガタガタッ…!


そんな音をたてて、車の中は大きく揺れていた。
この車は一般の軽乗用車ではなく、引越し等に使う中型のトラックだ。
車の荷台部分には、大きく社名の入ったペイントもしてある。
そして荷台の中には、引越し先で必要な物が半分詰まっているのだ。
その中には、『私』も含めて…



「何で私はこっちなのよ…! もう、結局こうやって費用削るんだから!」


ちなみに、まずは私の自己紹介をしておきます。
私の名前は『ハルカ』…
ついこの間まで、ジョウト地方の『コガネシティ』に住んでいたバリバリの関西人です。
服装はちょっとアダルト(?)な、赤白黒の色合いでバランスを取ってる半袖のトレーナー。
ちなみに下は黒のスパッツよ~☆
ん・で、髪型にも気を配ってオシャレ(?)に赤いバンダナを巻いているの♪
ち・な・み・に♪ 両手には黒と白のグラブも装着済・み☆
まぁ、要するに…本家の主人公ハルカ(初期版!)の見た目だと思ってくれて構わないわ!

ただし!! 先に言っておくけど、年齢は大人の事情で16歳なので要注意!

まぁ、とりあえず話の始まりとしては『ジョウト地方』から『ホウエン地方』に引っ越して来たーって言う話ね…
そして引越しの費用を削る為とはいえ、トラックの荷台に私は押し込められ、監禁状態という訳!

んで、行き先は『ミシロタウン』…
以前に比べたらか・な・りド田舎だけど、静かで良い所ではあるそうだ。


ハルカ
「………」


正直、退屈しそうな気しかしなかった…
ったく、父さんの誘いじゃなきゃジョウトにひとりで残っているトコだわ。

結局、しばらく私は荷台で仮眠を取る事にした。
と言っても、ほとんど眠れなかったけど…
やがて車は目的地に着いたのか、停止してエンジン音のみが後に残る。

そして、ガチャ!と勢い良く荷台の扉が開かれ、私は久し振りの光に目を細めるのだった…


ハルカ
「……」


流石に日の光に慣れるのには数秒程かかったものの、私は何事も無かったかの様に荷台から飛び降りる。
そして…私は、産まれて初めてホウエンの地を踏むのであった…



-ここはミシロタウン、どんな色にも染まらない町-




「ハルカ、お疲れ様!」


私が荷台から降りてしばらく待っていると、家から母さんが出て来る。
つまり、そこが私の家って訳ね…



「長い間、トラックに揺られて大変だったでしょ?」


そう思うのなら費用をケチるなっちゅうのに…!
私は一瞬表情に出しそうになったけど、何とか我慢した。
そんな一人娘の心境は余所に、母さんは無邪気にこう言う…



「ハルカ、ここがミシロタウンよ!?」


母さんは大げさに笑いながらポージングし、ジェスチャーを交えて説明する。
それは町の看板見れば解るっての…



「そして! ここが新しいお家!」


またしても大げさなリアクションで家も強調してくれる。
それも見れば解る…って言うか、そもそも表札があるじゃない!



「ちょっと古風な感じで、住みやすそうな所でしょ?」


確かに古風と言えばそうかも…?
塀は無いけど壁は土気色、屋根には瓦も敷いてあるしね…
見た感じ、築云十年はありそうな家ね。



「ちなみに、今度はハルカのお部屋もあるのよ? さぁ、中に入りましょ!」


そう言って母さんはさっさと家の中に入って行く。
この母親相手にも良い加減疲れているので、私もさっさとその後を追う事にした。



「ほらハルカ! お家の中も素敵でしょ?」


中はまだ未開封のダンボールでごった返ししてるけどね!
ちなみに、配置や片付けは引越し会社の『ゴーリキー』が2体でしてくれていた。
多分業者の所有ポケモンでしょうけど…



「お家の片付けは、引越し屋さんのポケモンがしてくれるから楽チンね!」


母はそう言ってくっ託無く笑っている。
…何時もながら、何処か不安にさせてくれる笑顔だけど。



「ハルカも、2階にある自分のお部屋に行ってごらん?」


母さんにそう言われ、私は2階への階段を見付けてそこに向かう。

そして2階に行ってみると、何時の間にやらテレビ、ベッド、学習机、パソコン、マットが設置されていた。
そして、壁に掛けてある直径30センチ位の赤色の丸時計も発見する。
その時計は何故か時間が12時ピッタシに合わされていたので、私は自分の腕時計で掛け時計を現在の時刻に合わせる事にした…

ちなみに今時の子供達は?を浮かべるかもしれないけど、この世界の舞台はこの作品が連載されていた当時の2003年頃であり、スマホやら何やらハイテクなデジタル機器はまだ存在してないのだ!!
なので、この家の時計もあえてアナログな機器なのだというのを理解しておいてほしい!


ハルカ
「………」


私は掛け時計の時間を合わせると、それをまた元の場所に掛けておく。
すると、タイミングを見計らって母さんが階段を上って来た。



「どう? 新しい部屋は?」
「…うん、綺麗に片付いているわね!」


母さんはそう言って私の部屋をグルリと見渡した。
むしろ何にも無さ過ぎて綺麗なんだけどね…!



「下ももう片付いたわよ? ポケモンがいると、本当に楽チンね!」


母さんは変わらず笑いながらそう言う。
そりゃ、本来届く予定の半分なんだから早いでしょう…その分荷物は少ないし。



「それじゃ、私は下に降りるわね?」


母さんはそう言うと、さっさとと下に降りて行ってしまった。
私は母さんがゆっくりと階段を降りて行くのを見た後、もう1度部屋を見渡す。


ハルカ
「…流石に違和感だらけね」


そもそも、2階のフロア全部が自室ってどうなってんのよ間取り的に?
いやまぁ、原作再現なんだけどもね!?

更にこの部屋にある娯楽品…ゲームキューブとゲームボーイアドバンスが無造作に置かれているわね。
しかもソフトもほとんど無いじゃない…
私は一息、はぁ…とため息を吐いて下に降りる事にした。



………………………




「…あ! ハルカハルカ! 早くいらっしゃい!!」


階段を下りると、リビングで何やら母さんがテレビに見入っていた。
そして慌てた様子で手招きをし、しきりに私を呼んでいる。
私はゆっくりと近くまで歩くと、母さんの後ろからテレビを見た。



「トウカジムが映っているわ、お父さんが出るかもよ!?」


インタビュアー
「…以上、トウカジムからでした!」


テレビにはインタビュアーと、その後ろに和風の道場の様な建物が映っている。
…つまり、それがトウカジムだろう。
しかし既に肝心の見たい場面は終わっており、まもなくカメラはスタジオに返された。



「あらら…終わっちゃった」
「お父さんが出てたみたいだけど残念ね…」


父さん…名は『センリ』と言うのだが、その父は今この町ミシロタウンにはいない。
父さんがいるのは『トウカシティ』であり、そこで父さんはトウカジムの『ジムリーダー』をやっている為だ。

ジムリーダー…一応、解らない人の為に説明をしておきましょうか。
この世界には幾つもの『ジム』という施設がある。
そのジムには必ずジムリーダーと呼ばれる人物がおり、彼らは道場等でいう師範代の様なもので、そのジムの信念を貫き、その道のプロフェッショナルでもあるのだ。

そんな彼らはポケモンリーグ大会運営組合という機関に管理され、その組合の認可を受ける事により、初めて人はジムリーダーという役職になれるそうだ。
もっとも、これはあくまでリーグ公認メジャーなジムの話であり、世界にはまだ非公認のマイナージムも多い。
父さんの働いているトウカジムはちゃんと公認されており、リーグ用のジムバッジも用意されているのだ。

さて、話を戻してジムについて。
ジムの存在理由のひとつとして、まずポケモンリーグがある。
ポケモンリーグとは、1年に1回毎年3月に各地方で行われるポケモントレーナー達の大会だ。
参加条件はその年のリーグ公認、メジャージムのバッジを8枚以上所持しているのが条件。

ジムバッジは、ジムリーダーとポケモンバトルを行い、ジムリーダーに勝利する事によって手に入れる事が出来る物…
そしてバッジとはポケモンリーグの参加するのに必要な物でもあるのだ!
更に、バッジはそのジムのジムリーダーに勝利したという証明品にもなるわけだから、強くて有名なジムリーダーに勝ったならそれが誇りにもなるわけね。

だからこそ、ジムリーダーからバッジを得るのはほぼ全てのポケモントレーナーの憧れでもある。
その為に、ポケモントレーナー達はジムリーダーに挑むのだから…
まぁ、中にはジムリーダーに憧れてその下に付くポケモントレーナーもいる。
憧れ下に付くのか、超える為戦いを挑むのか…?
少なくとも、トレーナーとしてはすべからず後者であるべきだとは思うけど。


とまぁ…ちょっと説明が長くなっちゃったけど、例によって作中の時間は全く動いていないので気にしないでね♪


それじゃ…気が付いた所で、本編に戻ってみよう!



「…あ、そうそう! この町には『オダマキ』博士っていうお父さんのお友達がいるのよ?」


母さんは思い出した様に、手をポンっと叩いてそう言う。
あまりに唐突な話題であり、流石の私は興味すら抱けそうに無かった…



「博士の家はお隣なんだから、きちんと挨拶をして来なさいね?」


母さんはそう言って終始笑顔だった。
私はため息を吐き、やむ無くオダマキ博士の家に向かう事に…



………………………



ハルカ
「………」


私は家を出て、まず左右を見渡す。
すると、家の右側には同じ様な家があった。
数m程離れてはいるが、確かにお隣さんね。
私は挨拶の為、その家に向かう事にした…

しかし、家にはインターホンが無かった為、私はやむ無く扉を手で叩く事に…
するとすぐに扉は開き、中から女性が出て来る。
その女性は私の母とは見た目からして、全く違うタイプの女性だと一瞬で思えた。


ハルカ
(やっぱ、母ってこう…何か見た目からして、こうじゃないとね?)


仕方無いとはいえ、正直にそう思ってしまった…
それだけ私の母は浮世離れしているのだ…いい加減年齢って物を考えなさいと思うのよね~


女性
「…えーと、どなたかしら?」


私ははこの町に引越し、お隣に来たという事をこの女性に話す。
すると、その情報自体は耳にしていたのか特に疑う事無く女性は信じてくれる。


女性
「そう、あなたがお隣に引っ越してきたハルカちゃんね?」
「実は、家にも貴女と同じ年頃の息子がいるのよ」
「2階にいると思うから、良ければ会ってあげて♪」


そう言って私を家の中に入れ、2階に案内してくれる。
やっぱりこっちのの母とは大違い…落ち着いているわね!
私はとりあえず、そのまま2階へと上がる事にした…



………………………



ハルカ
「……?」


2階に上がると、何やら机に座って作業をしている少年がいた。
私は少し近付いて、その様子を見てみる事にする。


少年
「ポケモンの体力は満タン! 道具もこれで良しっと!」


何やら身支度の準備をしていた様だ。
バッグとひとつのモンスターボールを確認しているわね…


少年
「…って、お前誰?」


少年は私の存在にようやく気付き、椅子を回して後ろを振り向いた。
私が後ろにいたので驚いていた様だけど、割とすぐに冷静になったわね…?
私はとりあえずさっさと用件を満たす事にする。


ハルカ
「今日、こっちに引っ越してきたハルカ…って、親から多分聞いていると思うけど」


私は、簡単に自己紹介しておく。
どうにもこういうやりくりは苦手なのよね…


少年
「お前がハルカ…そうか、今日引っ越して来たのか」
「俺は『ユウキ』だ、よろしくな」


ユウキ…という少年は少し照れくさそうにそう言う。
オイオイ、惚れるなよ…少年?
って、彼も私と同年代なんだけどね!
服装も初期の3世代男主人公をイメージしてくれれば良いわ!


ユウキ
「そうか…俺はあのセンリさんの子供だから、てっきり男だと思ってたんだが」
「まさか、女だったなんてな…」


ユウキは私をマジマジと、まるで見定める様に見つめる。
私が女だったのが余程意外なのか、複雑な表情をしていた。
ハルカって名前が男に使われるのは、あまり無いとは思うんだけどね~
それとも名前すら聞いてなかった、か…


ユウキ
「あ、いけね! 俺、父さんの手伝いで野生のポケモン捕まえに行かないと!」


ユウキはハッ!と、それに気付きバッグを背負う。
そしてすれ違いざまに…じゃ、また後でな!とだけ言っていなくなってしまった。


ハルカ
(何か、視線が微妙~に嫌だったわね…)


私の美貌がそんなに驚きだったのだろうか?
…自分で言っててアホかとは思うけど。
まぁ、よっぽど引越しドッキリ出会いが効いたんでしょ!
…我ながらベタなネタだと思うけど!



………………………



ハルカ
「……?」


私は、オダマキ博士の家を出るとすぐにあるものに気付く。
町の入り口の所で、何やら困った様な顔で外を見ている子供がいたのだ。
私はその子供に近付き、何があったか聞いてみる事に…


ハルカ
「どうかしたの少年?」

子供
「こ、この先で叫び声が聞こえるよ!?」
「どうしよう!? どうしたら良いかな!? 助けに行かなきゃ…!?」


私は半分パニクっている子供を優しく宥め、叫び声のする方へ向かった。
すると数m先の草むらで、その叫び声の元凶を見付ける。
何やら白衣のいかにも怪しい男が、黒い犬のようなポケモンに追いつめられていたのだ…

ちなみに自慢じゃないけど、私はポケモンに関しては意味不明!
興味はアリアリなんだけど、今まで触った事すら無い程の超初心者だ。
さて…そんなドシロートの私が、この場面をどうしたものかしらね?


怪しい男
「た、助けてくれーっ!」


そんな感じで私がしばらく眺めていると、男はようやく私に気付きガン見して来た。
何となくこの後の顛末が予想出来るのだけど、私はどんな顔をした事か…


怪しい男
「あ、そこの君! 助けておくれーっ!!」


大方の予想通り、私に助けを求めて来た。
私は考えを簡単に纏めた上でこう言い放つ。


ハルカ
「自分でやれ…」


私は無情にそう言ってそそくさと背を向けた。
こういう厄介事は警察呼んだ方が早い。
下手に素人が関わったらどんな惨劇が起こるやら…


怪しい男
「ど、どこへ行くんだい!? 早く助けておくれ~!!」

ハルカ
「めんどい」


尚も食い付かれるも、私はあくまで立ち去ろうとした。
そして、男はこれまた予想通り何か条件を出して来る事に…


怪しい男
「よし! 助けてくれた暁には、レアなポケモンをプレゼントしよう!!」

ハルカ
「よし乗った!!」


私はダッシュで男の側に駆け寄る。
やっぱ世の中ギブ&テイクよね~♪
何事もご褒美が無くてはやる気が出ない!


黒犬
「ガルルッ! ワンワン!」


と言っても、犬ポケは随分興奮状態だった。
流石に少々近寄りがたいわね…


ハルカ
「投げや関節技は無理ね…やはり打撃系で!」


私はこれでも、小さい頃から趣味で格闘技全般を学んでいたのよ!?
それもただの素人では決して無い!


怪しい男
「おーい! そこの鞄にモンスターボールがある! そのポケモンと一緒に戦うんだー!!」


男は顔を蒼くしながらも、必至にそう叫ぶ。
その鞄はちょうど見晴らしの良い草むらにあったので、すぐ見つかった。
私は急いでその鞄の所に向かう…


ハルカ
(何よ…モンスターボールが3個だけ? しけてるわね…)
 

あわよくば、ピンハネでもしようと思っていたのだけれど…
その鞄の中を見ると、普通の赤いモンスターボールが3つ入っていた。
とりあえずこれで戦えと言うのなら、やってやろうじゃない!
私は、迷わずど真ん中に置かれているモンスターボールで戦う事にする。


ハルカ
「ほな、いっきまっせー!!」


思わず興奮気味で関西弁が出た。
そう言えば、アカネちゃん今頃元気かな? 昔はいつかジムリーダーになるんだ!って夢追い掛けてたけど。
あの泣き虫のアカネちゃんがなれるかなぁ?なってれば良いけどね~


ポケモン
「チャモ~♪」


私が投げたモンスターボールからは、赤い(オレンジ?)のヒヨコが出て来た。
ゆくゆくは立派なニワトリになるであろうと予想出来るわね!
とりあえず、私はそのヒヨコにいきなり命令する。


ハルカ
「ようし! 『はかいこうせん』よ!!」


ヒヨコ
「…チャモ?」


しかし何も起こらなかった…
それ所かヒヨコは首を傾げて?を浮かべている。
おかしいわね…父さんのポケモンの得意技だったはずなんだけど。


怪しい男
「アホッ!! アチャモが『はかいこうせん』を覚えるわけ無いだろうが!?」

ハルカ
「え! そうなの!?」


私は本気で驚く。
ちなみにこの子はアチャモっていうのね…覚えとこ。
とりあえず、仕方無いので他の技を命令してみよう!


ハルカ
「ようし、なら『きりさく』!!」

アチャモ
「…チャモ~?」


またしても時が止まる…何故か風が冷たく感じた。
心なしか黒犬も呆れた様な顔をしており、一気に場が覚めたのを私は理解する。


怪しい男
「まだ、覚えてねぇよ!? 頼むから早く助けてー!!」

黒犬
「ウ~! ワンッ!!」


痺れを切らしたのか、遂に黒犬がアチャモを先に攻撃した。
ただの『たいあたり』みたいだけど、体重の軽そうなアチャモはいともたやすく吹っ飛んでしまう…

そしてアチャモは地面を転がり、あっさりと気絶した。


ハルカ
「って、『私』のアチャモに何すんのよーーー!!」


ドガァッ!!


黒犬 「キャイーーーーンッ!!!」


私の鋭い右回し蹴りで、黒犬は数mの高さまで吹っ飛んだ。
そして、ズシャア!!と大きな音を立てて落ち、黒犬はそのままダウン。
我ながら良い蹴りだったわね…子犬相手にちょっと可哀想な事しちゃったけど!!


ハルカ
「いや~んっ、アチャモ大丈夫?」

アチャモ
「チャモチャモ~」


鳴き声的に、どうやら無事の様だ。
私は優しく抱き上げて、アチャモを撫でてあげる。
うむ、まぁ最初は誰もが弱者よ! こん位乗り越えて強くなりなさい!


怪しい男
(な、何考えてんだ…彼女? 普通、蹴るか~?)


気が付くと怪しい男は私の目の前にいた…
何やら相当複雑そうな顔してるけど、何か不満でも有ったのかしら?


怪しい男
「と、とりあえず助かったよ…ありがとう」


怪しい男はため息を吐くも、それまでの事を丁寧に説明してくれる。
どうやら、この人はここでポケモンの調査をしていたらしい。
…で、犬に不意打ち食らってビビりまくっていたと!


怪しい男
「どうやら、想像以上のお転婆な様だね…ハルカちゃん?」

ハルカ
「は?」


この怪しい男は、どうやら私を知っているらしい。
そしてこの言葉から察するに…この男もしかして。


ハルカ
「まさか、オダマキ博士…?」


っていうか、それしか考えられなかった。
まさか、こんなに怪しいオッサンとは思ってなかったけど!


オダマキ
「いかにも、私がオダマキだよ!」
「とはいえ…実際に会うのは初めてだから、知らないのも無理は無い」


どうやらマジの様ね…父さんからアウトドア派とは聞いていたけど、こんなに立派な髭とスポーティな格好に白衣とは…やはり怪し過ぎる!


オダマキ
「まぁこんな所では何だから、ちょっと研究所まで来ておくれ」

ハルカ
「は、はぁ…」


私は仕方無く、オダマキ博士に従ってアチャモを抱きながらオダマキ博士に付いて行く事に…
そこから歩いて10分ちょい、やがて私はそれなりに立派な研究所を目にするのだった…



………………………



『ポケモン研究所』


私はオダマキ博士に連れられて中に入って行く。
中はそんなにゴチャゴチャとはしていなく、割とスペースの広い快適そうな場所に思える。
が、別に整理がよくされているというわけでも無く、単に何にも無い様に見えるだけだ…

まぁ、図鑑の様な類の本は私の身の丈よりもずっと高い脚立を使わないといけない様な本棚に仕舞ってあり、後はダンボールなら一杯ある。
他には、見た事の無い機械だらけね…
後、助手みたいなのもひとりいる…男だけどね!


オダマキ
「さて、ハルカちゃん!」


研究所の奥まで辿り着くと、博士が元気な声で私に話し始める。
そしてニコニコしながらも博士はこう言った…


オダマキ
「君の事は、お父さんからいつも聞かされていたよ!」


まぁ、そりゃ親しい知り合いなんだから、それぐらい話すのかもしれないけど…
少なくとも博士は私に相当の先入観を持っていそうではあった。


ハルカ
(まっ、その先入観も速攻で崩れたでしょうけど!)


ちなみに、父さんと博士が知り合ったのは約4年前だそうだ。
当時、父さんがまだジョウト地方でジムリーダーをしていた頃、偶然博士がジョウト地方にやって来た。
慣れないジョウトの地で博士は色々と困っていた所、たまたま父さんと出会ったそうだ。
そこでふたりは意気投合し、そのまま親友になったという…

そして博士がジョウトでの仕事を終え、ホウエンに帰る時父さんは博士にこう言ったそうだ…


『もし、何か困った事があれば…遠慮無く呼んでくれ!』


と…
それから2年程経ち、突然オダマキ博士から家に電話があった。
その電話の内容は、こう…


オダマキ
『現在、ホウエン地方ではジムリーダーが不足している』
『そこで組合から優秀なジムリーダーを、ホウエン地方に招致くれないか?と電話があったんだ…』
『そこで…もし良ければ、ホウエン地方でジムリーダーをやってみる気は無いか?』


それを聞いた父さんは困っていた…当然ながらジョウトの家には私や母さん、更にこの地で知り合った多くの友人や育成トレーナーがいたからだ。
しかし…かつての約束もあってか、親友が困っているのを知らん振りは出来なかったのだろう。
だから父さんは当時14歳だった私と母をジョウトに残し、単身ホウエン地方に渡る事を決めた。
その時、父さんは自分の勤めていたジムをその当時の若手トレーナーに権利を渡して…
そして今現在、私と母さんはホウエン地方にやって来たって訳ね。


オダマキ
「しかし、君はまだ自分のポケモンを持った事が無いんだって?」

ハルカ
「…はい」


大抵のご家庭では、小さい頃からポケモンを父ないし母に貰ったりするそうだが。
私はポケモンは好きでも、実際に関わった事は1度も無かった。
ジムにも直接入った事は無かったし、その頃はとある理由で格闘技を覚えるのに夢中だったのもある。


オダマキ
「…しかし、あれは流石にちょっといただけないな~」
「本当にお父さんの血が流れているのか、正直疑問だよ…」

ハルカ
「だって、初めてポケモンを触れましたし…技とかもほとんど知らないですし」


勿論、父さんが練習していたりするのは見た事があったので、そう言うのは何となく知ってる。
だからといって、誰が何を使えるのかは意味不明な訳だけど!


オダマキ
「そうそう、助けてくれたお礼だけど、その『アチャモ』を君にプレゼントしよう!」

ハルカ
「やった! ありがと博士~♪ アチャモ、これからよろしくね☆」

アチャモ
「チャモチャモ~♪」


私はアチャモを高く掲げて喜ぶ。
私の初めてのポケモン、これから一緒に強くなろうね♪


オダマキ
「ちなみにその子は♀だからね、大切に育ててあげてほしい!」

ハルカ
「そっか~女の子だったんだ…なら女同士、頑張ろうね!?」

アチャモ
「チャモ~」


私は改めてアチャモを観察する。
ちなみに雌雄の違いは全く解らない…♂♀の判断ってどうしてんだろ?


オダマキ
「まぁこれから経験を積んでいけば、きっと良いポケモントレーナーになる『はず』だろう!」
「ちなみに、ちょうど息子のユウキが103番道路でポケモンの調査をしているから、会いに行ったらどうだろう?」

ハルカ
「え~? めんどい…」


私は速攻でダレる…大体、いきなり外に出るのも危なっかしい気がするんだけど?
まだ技もロクに解らないし…また私が自分で戦えってか!?


オダマキ
「そ、そんな事言わずに、会いに行ってはどうだろう?」

ハルカ
「え~…だって戦い方もまだ良く解らないのに、アチャモが危険ですよ~!」

オダマキ 
「それなら君が戦えば…じゃなくて! 技と戦い方は、今から簡単に教えるから!!」



………………………



オダマキ
「…解ったかい?」

ハルカ
「何だ、そんな簡単だったんだ♪ それなら、これで戦えるねアチャモ!?」

アチャモ
「チャモ!」

オダマキ
「じゃあ、改めて会いに…ってあれ? ハルカちゃん!?」

助手
「ハルカちゃんなら、さっさと出て行っちゃいましたけど?」

オダマキ
「…全くお転婆な、本当にセンリの娘とは思えんな~」



………………………



ハルカ
「とりあえず、町を出ないとね!」


研究所から外に出ると、私は真っ先にミシロタウンを出る事にした

そしてまず、101番道路を抜ける事に…
すると早速草むらが動き、私はポケモンかっ!?と身構えるも、それを見てガッカリする。



「ムソムソ…」

ハルカ
「…何だただのデカイ虫か」


私はそれを無視し、さっさと『コトキタウン』に向かう事に…
後程知る事になるが…この時の虫がポケモンだと知った時、私は大層驚いた事だ。



………………………



-ここはコトキタウン、何かが微かに始まる所-



ハルカ
「小さな町ね…ミシロよりも更に」

アチャモ
「チャモチャモ?」


私はアチャモを抱いたままで、町を歩いて行く。
すると、町を出ようとした所でいきな男に声を掛けられた。



「ちょ、そこにちょっと入らないで!! 今足跡をスケッチしているんだ!!」


私は少し驚くも、そのまま後ずさる。
変なマニアの様ね…私は仕方無く、そのままノンストップで103番道路へ向かった。



………………………



『103番道路』


ユウキ
「えーと、今103番道路にいるのはポケモンはコイツとコイツで…」


103番道路に入り、少し小高い丘の上でユウキが何かを調べているのを発見する。
どうやら真剣な面持ちで作業に没頭している様だ。
終わるまで待っていても良かったが、とりあえず声を掛ける事にした。


ハルカ
「捗ってる~!?」

ユウキ
「わっ! ハルカ…!?」


ユウキはあからさまに驚く。
私が近付いて来たのも解らなかったのかしら?
それだけ没頭してたって事ね…


アチャモ
「チャモチャモ♪」


そして私に抱きかかえられているアチャモはユウキを見て嬉しそうな鳴き声をあげる。
そういえば、元々オダマキ博士のポケモンだから、ユウキの事も知ってたのかも…

そんなアチャモを見たユウキは、優しくも複雑そうな顔でこう言う…


ユウキ
「…そうか、父さんに貰ったんだな?」
「あの臆病なアチャモが、とうとう旅立ちか…」


ユウキはそう言って感慨深そうにアチャモの頭を撫でる。
アチャモもそれが嬉しいのか、とても気持ち良さそうにしていた。
むぅ…当たり前なんだけど、私よりも懐いてるわね。


ユウキ
「…そういえば、何で抱いたままなんだ?」

ハルカ
「? 何か問題でも?」

ユウキ
「あ、いや…普通のトレーナーはボールに入れるからな」


私はそれを聞いて、完全に忘れていたのを思い出す。
そもそもボールに出し入れとか、やり方も良く解んなかったわ!
出す時は何となくの感覚で出来たんだけどね~
そんな無知な私に呆れながらも、ユウキは丁寧にモンスターボールの使い方を事細やかに説明してくれたのだった…



………………………



ハルカ
「ああ成る程…そうやってモンスターボールに出し入れするんだ~」

ユウキ
「ほ、本当に知らなかったのか?」

ハルカ
「うん…だって今日初めてボール触ったもん」


私がそう言うと、ユウキは感心したのか呆れたのか、微妙な表情だった。
まぁ、すぐにどうでも良くなったのか素に戻ったけど…
そして、ユウキはそこから唐突にこんな事を言い出した。


ユウキ
「そうだ、折角だからちょっとバトルしてみるか?」
「トレーナーってどんなものか、折角だから俺が教えてやるよ!」


ボンッ!


ミズゴロウ
「ミズ~」


微笑しながらそう言い、ユウキは水色の四足モヒカンを繰り出してくる。
よく解らないけど、顔は結構可愛いわね。
私はそれを見て、軽く笑いながらもアチャモを地面に置いて前に出る。
そして、こう啖呵を切る事にした…


ハルカ
「とりあえず何の意味が有るかは解らんけども! 挑まれたからには受けるが漢!!」

ユウキ
「ハルカは女だろうが!?」


良いタイミングでツッコマれる。
中々やるわね…アカネちゃんを思い出すわ。
私はニヤリと笑いながらも、構えてこう促す。


ハルカ
「さぁ、どこからでもかかって来なさい!!」

ユウキ
「………」


ユウキは突然硬直した。
あれ? 何か、また間違えた?


ユウキ
「いや、そうじゃなくて…戦うのはポケモンだから!」

ハルカ
「だから、私と戦うんでしょ? そのポケモンが!」

ユウキ
「………」


あれ? 何かまた冷たい風が…
また勘違い? それとも間違い?


ユウキ
「あのな…トレーナー同士のポケモンバトルってのは」



………説明中………



ユウキ
「…ドゥーユーアンダスタン?」

ハルカ
「何だ~そんな簡単な事だったの♪ だったらやるわよアチャモ!?」

アチャモ
「チャモチャモ!!」


私は意気揚揚とアチャモに指示をして前に出す。
相手のモヒカンはこっちと違って素早さは遅そうね!
なので、私はまず先制攻撃をかける事に…


ハルカ
「アチャモ! 『ひっかく』!!」

アチャモ
「チャモチャモ!」

モヒカン
「ミズ!?」


ザシュッ!と良い音が鳴り、アチャモは足でモヒカンの顔を引っ掻いた。
さしものモヒカンも先制攻撃が効いている様で、首を振って大丈夫とアピールする。
そしてユウキはすかさず…


ユウキ
「ミズゴロウ! 『たいあたり』だ!!」

ハルカ
「避けるのよアチャモ!」


私はすかさず指示を飛ばし、アチャモに回避行動を取らせる。
ちなみにあのモヒカンはミズゴロウというのね…覚えとこ。


アチャモ
「チャモ!」


アチャモはミズゴロウの体当たりをかろうじて避けた。
さっきの引っ掻きが効いてるわね! 動きが鈍いわよ!?


ハルカ
「良いわよアチャモ! そのまま『ひっかく』!!」


アチャモはヒットアンドアウェイで攻撃を重ねるも、中々ミズゴロウは倒れてくれない。
どうやらかなり打たれ強いみたいね…アチャモは逆に打たれ弱いはず。
前の犬にも1発で吹っ飛ばされちゃったし、直撃には気を付けないと!

そんな風に私はしっかりとアチャモとミズゴロウの動きを見て指示を飛ばしていく。
やがてミズゴロウはフラフラになり、ついにはダウンを喫してしまうのだった…
アチャモはそこまでダメージも受けておらず、上手くスピードを生かす事が出来た様だ。


ミズゴロウ
「ミズ~!」

ユウキ
「ミズゴロウ!?」


ミズゴロウは体を弛緩させてそのまま気絶する。
私の中では、ドキドキがしっぱなしだった…
トレーナーとして初めての実戦であり、精神的疲労感が半端無い…
でもこれは、格闘技をやっていた頃よりもずっと大きなカタルシスだった。
私は、新たな感動を覚えたのだ!


ハルカ
「やったねアチャモ! よく頑張ったわね!!」

アチャモ
「チャモ~…」


アチャモ疲れた様に、私の胸に持たれかかった。
私はそのまま優しく抱きかかえて、頭を撫でてあげる。


ユウキ
「…本当にバトルは初めてか?」


いつのまにかミズゴロウをボールに戻し、ユウキが私にそう話し掛けてくる。
私はアチャモを休ませるため、一旦ボールに戻した。
これも初めての操作ね…


ハルカ
「うん、初めて…ポケモンと触れ合ったのも、今日が初めて」

ユウキ
「父さんがハルカに注目するのも、何となく解る気がするよ…」
「貰ってすぐのポケモンが、もう懐いている」
「ハルカなら、どんなポケモンとも仲良くなれるかもな…」

ハルカ
「………」


私はそれを受けて、1度深呼吸する。
こんな緊張する瞬間は何だか久しい。
私がそんな風に言葉にも出来ない感動を噛み締めていると、ユウキがこう促す。


ユウキ
「じゃあ、俺はこのまま研究所に戻るよ…ハルカも一緒に戻るか?」

ハルカ
「…うん」


こうして、私たちはふたりで研究所に戻る事にした。
突然起こった、初めてのポケモン、初めてのバトル…
一気に色んな事が起こって、正直まだ気持ちの整理が出来ていない。
今まで、触れ合う事すらしなかったポケモン。
でも、今日からは違う!
私は決意を新たに、モンスターボールを握り締めたのであった…


ユウキ
「…ちなみにボールは小さくしてスロットに仕舞えよ? そうしないと、その内ポケモンが増えて持てなくなるぞ?」

ハルカ
「はっ!?」


とまぁ…まだまだトレーナーとして知らない事は多すぎる様だったとさ…
チャンチャン!!





…To be continued
この作品は、2003年頃に製作した作品のリブート作となります!
なので、現在のポケモン観からはかけ離れた表現や解釈も多い為、ご注意ください!

気になる点や疑問点等ありましたら、ご遠慮無くコメントください…

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