56.強豪トレーナーの指導

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「いやー山本もかなり強くなったな」
「桜井がつきっきりで指導してくれたおかげだよ。ありがとう。桜井がいなかったら、特性や持ち物を有効活用する術も、タブンネを倒して経験値をためることも知らなかった」
「いやいや。山本自身の努力の結果だよ」
 強豪トレーナーの一人である桜井は、山本の先生となりポケモンバトルを教えていた。
 山本は以前、バトルが全く勝てず悩んでいた。そのことを知った桜井は、山本に声をかけた。
「にしても、なんで俺なんかにこんな親切に教えてくれるんだ? 確かに小学校の同級生ではあるが、そんなに仲良くもなかったのに」
「困っているトレーナーがいると、ほっとけないんだよ。俺も最初の頃は、ずいぶん苦労したから」
 桜井は山本から指導料などは一切もらっていなかった。ボランティアで教えていた。


「今日も訓練を始めるよ」
「今日は何をやるんだ?」
「いよいよ実践トレーニングに入る。この道路には十人くらいトレーナーがいる。彼らを全員倒すんだ」
「十人も一気に? 無理だよ」
「大丈夫大丈夫。山本の実力なら、全員速攻で倒せるよ。今の自分の腕とポケモン達の強さを信じて!」
「分かった。やってみる」
「俺は山本が戦っている間、高橋にバトルを教えているからね。何かあったら電話して」
「え? 他の同級生にも教えていたのか?」
「うん。今は三人に教えてる」
「そっか凄いな。じゃあ俺は、その間頑張って戦っているよ」
 山本は必死になってトレーナーと戦った。桜井の言う通り、山本は全員に勝利することができた。
 次の日も山本は多くのトレーナーと戦い、そして勝利した。
 最終的に山本は、100人ものトレーナーに勝利した。


「今日で訓練も最終日。これまで山本よく頑張ったね」
「最終日は何をするんだ?」
「俺と一対一でバトルする」
「え? 桜井と?」
「最終日だから、直に山本の実力を見せてもらいたいんだ」
「無理だよ。実力が違いすぎる」
「そんなことないよ。今のお前なら勝てる可能性だってある」
 桜井と山本は一対一で戦った。
 山本はだいぶ善戦はした。しかし桜井にはまだ実力は及ばず、負けてしまった。
「強くなったな山本! 一瞬ひやりとしたよ」
「本当か!」
「もうこの辺りのトレーナーには負けなしのレベルまで来てると思う。本当に強くなった」
「よっしゃー! これで俺も、ジムバッジを全部集められる! 桜井のおかげだ、ありがとう!」
「あ……一応、バトル勝ったから、賞金もらっておいていい?」
「え?」
「いやまあ……一応トレーナー同士の掟だから。もしかしてお金持ってない?」
「あ、いや」
「お金持ってないなら、全然無理しなくていいよ。持ってないならだけど」
「お金は持ってる」
「あ、じゃあ賞金もらっていい?」
「うん。そうだよな。トレーナー同士の掟を破る訳にはいかないな。たとえ友達同士でも、こういうのはちゃんとすべきだ」
 山本は桜井に賞金として、有り金の半分を渡した。
 

「じゃあこれからも頑張れよ!」
「ありがとう! 山本に教えてもらったおかげでこれからも頑張れそうだ」
 山本は嬉しそうに手を振りながら去っていった。
「このお金の稼ぎ方、効率良いな。自分でバトルしなくても、お金って稼げるんだな」
 山本は、桜井からもらったお金を数えながら呟いた。
 山本は100人のトレーナーに勝利していた。そのため、大金を持っていた。その半分でも、かなりの額だった。
「よし、次は田中に声をかけるか」

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