No.19 † 港町の出会い †

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次の町へ向かう道中

コルボー:「……何?はぁ……まったく。わかった、何とか持ち堪えてくれ。それじゃあ」
アーシェ:「コルボー、どうしたんだ?」
コルボー:「いや、仕事先でちょっと厄介事が起こってな……至急戻らなくてはいけなくなった。」
アーシェ:「そっか……丁度、この先のコルポスの港からもシンオウ行きの船が出てるからさ、それに乗って帰ればいいさ。」
コルボー:「あぁ、すまんな。俺としては、もう少し……それこそ、今お前が目指している西の最端の町へも行ってみたかったんだけどな。」
アーシェ:「またいつか機会があるさ。次にまた纏まった休みが取れた時にでも遊びに来いよ。」
コルボー:「そうだな。次の楽しみに取っておくか……」

フクス:「えっ!?わかりました、そこで待っていてください。もうすぐ私もそっちに着きますから。では、また後程。」

アーシェ:「フクスの方は何が遭ったんだ?」
フクス:「いえ、その……先日お呼びした友達が、もうコルポスに到着しているそうで……」
コルボー:「待たせてるっつうわけか。」
アーシェ:「急な呼び出しだったはずなのに、わざわざ来てくれたのか……優しいんだな、フクスの友人は。」
フクス:「ただ、これ以上待たせると、いつ癇癪を起こすか判らないので、なる早で次の目的地……コルポスでしたか?そちらへ向かいたいのですが……」
アーシェ:「わかった。んじゃ、休憩はこの辺にして、そろそろ出発しようか。」


*****


港町・コルポス
フィリア大陸西方の玄関口であり、数多くの豪華客船や貿易船、漁船が出入りしている。
近くには市場や浜辺もあり、観光名所にもなっている。

そのためか……町や港の至る所で、筋肉モリモリ・マッチョマンな船乗りさん達が、丸太のように太い腕を振って、闊歩している。

フクス:「それでは!私は友達を迎えに行ってきます!」

フクスは軽く敬礼をしてから、人混みの中へ駆けて行った。

アーシェ:「忙しねぇなぁ……ちゃんと合流できんのか?あれ。」
コルボー:「連絡を取り合えるなら問題無いだろう。さてと……それじゃあ、俺も行くとするか。」
アーシェ:「あぁ。此処まで同行してくれて、ありがとな!楽しかったよ、コルボー。」
コルボー:「こちらこそ、随分世話になったな。退屈する暇も無かったぞ。」
アーシェ:「それなら良かった。なぁ……また……会えるよな?」
コルボー:「まぁ、ライブキャスターもあるし、何なら俺の休みを待たずに、お前がシンオウ地方に遊びに来ても良いんだぞ?ウラヤマって人の屋敷を訪れてみるといい。」
アーシェ:「そういや、そこで警備員の仕事してたんだったな。わかった、そのうち遊びに行かせてもらうよ。」
コルボー:「おう。と言っても、禄に案内してやれないだろうがな。そろそろ時間か……またな、アーシェ。」
アーシェ:「うん!またな、コルボー。」

乗船するコルボーを手を振って見送った後、私は再び人ごみに目を向けた。

アーシェ:「んで、フクスの奴はちゃんと合流したんだろうか?…………何かあったら、ライブキャスターで連絡できるんだし、ちょっと浜辺の方にでも行ってみるかな。」


◇◆◇


モンスターボールからバシャーモを出して何気なく港周辺の砂浜を探索していると、汽笛が聞こえ、客船が沖へと出航していくのが見えた。

アーシェ:「あれにコルボーが乗ってるんだな。シンオウ地方か……いつか行ってみような、相棒。」
バシャーモ:「(。`・ ω ・) ”」

遥か異国の地に思いを馳せながら水平線を眺めていると、ライブキャスターの呼び出し音が鳴り響いた。
通話するために何やかんやしていると、画面にフクスが映し出された。

フクス:『もしもし、アーシェさん。今、どちらに居るんですか?』
アーシェ:「あぁ、すまねぇ。ちょっと浜辺を散歩してたんだ。そっちは無事に合流できたのか?」
フクス:『はい。今からそちらへ向かいますので、港に戻って来ていただけませんか?』
アーシェ:「ん。わかった。」

- 数分後 -

アーシェ:「えっと……」

バシャーモと一緒にコルポスの港を再度訪れ、人混みを避けて周囲を見渡していると、少し離れた処からフクスの声が耳に入って来た。
その声がした方へ視線を向けると、フクスの隣を茶髪をボブカットにした子が並んで歩いている姿が映った。

フクス:「アーシェさん、お待たせしました。」
アーシェ:「いや、こっちもさっき戻って来たばかりだから……そちらさんが、お前の友人か?」
「初めまして、ボクは『 サモン 』。フクスさんにはいきなり呼ばれたから、この地方に関する下調べがまったくできてなかったんだけど……何とか無事に来れて良かったよ。」
アーシェ:「遠路はるばる、ようこそフィリアへ。私はアーシェ・バーンハルウェン。一応、ポケモントレーナーをやってるよ。」
サモン:「うん。よろしく。」

私とサモンはその場で軽く握手を交わす。

フクス:「サモンさん。わからないことは何でもアーシェさんに訊くと良いですよ。」
アーシェ:「こいつ……全部丸投げしやがった……まぁ、仕方ねぇか。お前もこの地に来たばかりだもんな。」

しかも漂着……あの浜に打ち上げられていたのだって、本当に偶然だもんな……

アーシェ:「とりあえず……此処で立ち話ってのも何だし、ポケモンセンターに行こうか。」


✝✝✝


その日の夜
コルポス・ポケモンセンター

コルポスに到着し、サモンと出会った時にはもう日がかなり西に傾きかけていたので、今日はもう先に進まず、ポケモンセンターに宿泊することにした。

アーシェ:「さてと……私は風呂にでも行くかな。フクスはどうする?」
フクス:「私は後で行きますので、先に行っていてください。」
アーシェ:「ん。わかった。」
サモン:「あっ、じゃあボクは一緒に行こうかな。アーシェさんにはいろいろこの地方の話を聞きたいし。」
アーシェ:「え?」
サモン:「え?」
アーシェ:「サモン……お前、女湯に入るつもりなのか?」
サモン:「そりゃそうだよ。」
アーシェ:「まぁ、確かに見た目的にいけなくもないんだろうけど……それでも、男の子を入れるのはなぁ……くそっ!こんなことならコルボーに出立を1日ズラしてもらえばよかった……」
サモン:「え?いや、ボク……女なんだけど……」
アーシェ:「え?またまた……女湯入りたさにそんなこと言って………………マジなのか?」
サモン:「口で言って説明して信じてもらえないなら……一緒に来て。」

私はサモンに腕を掴まれ、客室内にある洗面所へと連れ込まれた。


~数分後~


アーシェ:「すんませんでした!まさか弟じゃなくて妹だったなんて……」

私は腰をほぼ直角に折り、深々と頭を下げてサモンに謝罪した。

サモン:「いや、アーシェさんは何も悪くないよ。ボクをこの地方へ呼んでから今日会うまでの時間の中で、フクスさんが事前に説明をしておいてくれれば、よかったんだから。ねぇ?フクスさん。」

ギギギ……と、いびつな擬音が当てはまりそうな動き方で、サモンがフクスの方へ振り替える。

フクス:「いやぁ、今回のサモンさんの招待は、突発的に決めたことで……私がアーシェさんと出会ってから、まだそんなに日も経っていませんし、事前に言わなくても会った時に紹介すれば良いかなぁって。」
アーシェ:「その説明が無かったから、今、こんなハプニングが起こってんだけどな。」
フクス:「それにしても、アーシェさん……ふふっ、サモンさんを男の子……」
アーシェ:「お前、いつか絶対に泣かせてやるからな……けどまぁ、それならこの場にコルボーが居なくて正解だったな。危うくアイツを変態にしちまうところだったぜ……」
サモン:「確か、ボクと入れ違いで帰った人だったっけ?一目で良いから、会ってみたかったな。」
アーシェ:「まぁ、機会があればいつか会えるさ。さてと……明日、私は予定通り西に向かうけど、2人はどうするんだ?」
フクス:「何で置いていこうとしてるんですか。私達もアーシェさんと一緒に行きますよ。」
サモン:「そうだよ。右も左も判らないボク達を置いていこうとしないでもらえるかな?少なくとも……フクスさんと2人、見知らぬ土地で放置するのはやめてほしいな。」
フクス:「え?それ、どういう……」
サモン:「言葉通りの意味だよ。フクスさんだって、この地には偶然来ただけなんでしょ?」
アーシェ:「わかった、わかった!何かフクスは用事があるとか何とか言ってたような気がするけど……とりあえず、お前達に何か用事が出来て帰らなきゃいけなくなる時まで、同行してやるよ。」
サモン:「ありがとう、アーシェさん。」
フクス:「そうやって最後にはちゃんと受け入れてくれるから、ありがたいです。頼りにしてますね、アーシェさん。」

こんな口煩い奴と一緒に居るより、せっかくなんだから友達同士で旅行すりゃ良いとも思うんだけど……まぁいいか。
とりあえず今日は、新しい人の仲間と出会えたことを、素直に喜んでおくとしよう。

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