No.16 † ポケモン大好きクラブ †

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:11分
私達はティアと別れてサルスーラの町を出発し、西へ向けて旅をしている途中で『 キルデーク 』という町を訪れていた。

此処もなかなかの商業都市で、いろんなものが店頭に陳列されている。

アーシェ:「ふっふっふ~♪ ついに私も現代人の仲間入りだな!」
コルボー:「ライブキャスター買っただけで現代人の仲間入りか……安上がりで良いな。」
アーシェ:「さっそくティアの番号を登録して……登録して……して……んん??」
コルボー:「時間かかってるな。」
アーシェ:「うっさい!こういう機械の扱いには慣れてねぇんだよ!…………よしっ!登録完了っと!せっかくだし、コルボーの通信機器の番号も教えてくれ。登録するから。」
コルボー:「ん?あぁ、俺のは……」


~ アーシェ コルボーの番号登録中 ~


アーシェ:「……よし!コルボーの番号も登録完了!ほら、見てくれ。ティアが私の初めての女で、コルボーが私の初めての男だぞ!」ドヤァ
コルボー:「その言い方はよせっ!誤解が生じるだろうが!!」
アーシェ:「ん?まぁいいや。それじゃあ、さっそくティアに……ん?」
コルボー:「どうした?アーシェ。」
アーシェ:「え?あぁ、いや、ちょっと……この建物が気になって。」

私とコルボーの目の前に1軒の建物がドドンッ!と存在感を放っている。

コルボー:「ん?あぁ……『ポケモン大好きクラブ』 か。どこにでもあるんだな……こういう建物は。」
アーシェ:「なぁ!なぁ!コルボー!ちょっと入ってみようぜ!!」ワクワク
コルボー:「…………」スルー

私の誘いに対し、コルボーは余所見をしながら煙草を嗜んでいる。

アーシェ:「……入ってみようぜっつってんだろ!!無視すんなやゴラァァァァァ!! ( # ゚ Д ゚ )」

今世紀稀に見る私の渾身の力を込めた捨て身タックルが、コルボーの隙だらけだった腹部を強襲した。

コルボー:「ごふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

コルボーが仰向けに倒れ、口に銜えていた煙草は放物線を描きながら宙を舞い、そのまま海へと落ちていった。

アーシェ:「まったく……人を無視すんのは良くないと思います!!」
コルボー:「ぐっ……ごふっ!!だっ……だからって……いきなりタックルしてくんのも……どうかと思います……」
アーシェ:「なぁなぁ!!入ってみようぜ!!面白そうじゃねぇか!!」
コルボー:「俺は嫌だな……そんな得体の知れないクラブに入るの……シンオウにもあるけど、近寄ったことねえよ。」
アーシェ:「確かに名前だけだと何してんのか判んねぇけど……まぁ、ポケモンに関することだろうよ。」
コルボー:「そりゃそうだろうけど……あっ……おい!!服を引っ張んな!!」

私は(ほぼ強引に)コルボーを連れて、建物の中に入った。
建物の中央には円形の机が置かれ、そこに向かい合うようにして数人の男性と女性が座り、談笑している。

その奥のソファには、渋い老紳士が座っていた。

老紳士:「おや?お客人かね?」
アーシェ:「お客……うん、まぁ……そういうことになるのかな?貴方が会長さんか?」
会長:「いかにも!私がこの大好き倶楽部の会長だが……あなた方は、儂のポケモンの話を聞きに来てくださったのかな?」
アーシェ:「え?えっと、いや……私達は、そもそも此処がどういう場所なのかも……」
コルボー:「言うだけ無駄だと思うぜ、アーシェ。会長さん……話がしたくてウズウズしてるみたいだし。」
会長:「…………」ウズウズ
アーシェ:「そう……なのか?じゃあ……あの、会長さんのポケモンの話、聞かせてください。」
コルボー:「おぉい!?正気か!?アーシェ!!」
アーシェ:「えぇ!?こういうことじゃねぇのか?まぁ……いいじゃねぇか。ほら、何してんだ? コルボー。偉い人の話を聞く時は正座しなきゃ!!」
コルボー:「正座って……ちゃんと椅子に座らせてくれ。はぁ……まったく、今日は厄日だな……」
会長:「では……始めさせてもらいますぞ。私のグランブルなのですが、これがまた何ともいえない———————……………」


****


しばらくして——————………も、会長さんの話は続いている。
しかも、マシンガントークなので、自分のポケモンの話をするチャンスすら無い。

コルボー:「……何でお前はそんな平気な顔をして聞いてられんだよ……アーシェ。」
アーシェ:「ん?あぁ……どうやら私は人の話を聞くことを苦に感じないタイプの人間らしくてね。こういうのには慣れてる。」
コルボー:「くそっ……今だけ、その能力が羨ましい……」

会長:「うつくし……寝る時も……ん?おっと……もう、こんな時間か。」

ふぅ……やっと会長さんの話が終わるのか。

会長:「では……グランブルの話も終わったし、次はゼブライカについてでも話そうか。」

『 ふぅ……やっと会長さんの話が終わるのか 』……そう思っていた時が私にもありました。数秒前だけど……
此処の会長さんは華麗に……そして、見事に私達の期待を裏切ったのだ。

アーシェ:「くあぁぁぁ!!もう我慢できねぇ!!」

流石にこれ以上のマシンガントークに付き合うわけにはいかない。

アーシェ:「会長さんのポケモンの話は、よぉく……よぉくわかりました!!わかりましたから…………」
コルボー:「おう!!言ってやれ!!アーシェ!!」
アーシェ:「次は私がポケモンの自慢をする番だ!!」
コルボー:「そうじゃねえぇぇぇぇぇ!!」

コルボーが私の頭を勢い良く叩いた。
『スパーンッ!!』という気持ち良い音が会場内に響き渡る。

アーシェ:「ぁったぁ!!むぅ……だって!!このまま何も言い返せないって、悔しいだろ!!」
コルボー:「だからって、無理に張り合う必要もないだろ……!」
アーシェ:「目には目を!!歯には歯を!!ポケモンの自慢話にはポケモンの自慢話で対抗だ!!やられたら倍返しでやり返すの精神は忘れちゃいけねぇ!!」
コルボー:「いや、まぁ……その考えは俺も納得できるものがあるし、嫌いじゃないけど……そんな事やってたら、どんどん時間が無くなるだろうが!!」
会長:「時間を忘れてポケモンの自慢話に花を咲かせる……それが、我がポケモン大好き倶楽部なのです!!」
コルボー:「あんたは黙っててくんねえかな!?会長さん!」
アーシェ:「ふぅ……いいですか?会長さん。私の相棒のバシャーモはですね——————……」
コルボー:「お前もナチュラルに自慢話を始めてんじゃねえ!!」


数時間後……


その場の勢いに任せて始まったコルボーのエネコロロの自慢話も終わった頃……西に太陽が傾き、空が赤くなっているのに気付いた。

コルボー:「やべっ……つい、場の空気に流されちまった。」
アーシェ:「ふふっ。良いじゃねぇか、楽しかったんだし。」
会長:「はっはっは。いやぁ……本当に楽しかった。こんなに充実したのは久しぶりだ……」
アーシェ:「そうなのか?会長さん、ずっと此処に居るんだし、此処の会員さん達とは違う……私達みたいな訪問者が来るだろ?ポケモンの自慢話を聞くのは日常茶飯事じゃねぇのか?」
会長:「うむ。たまに貴方達みたいに此処を訪れる人達も居るのだが……な。」

会長さんは 少し寂しそうな顔をして言葉を続ける。

会長:「私の話を聞かないのは別に構わんのだ……それは良いんだ。老人の長い自慢話など聞いていてもつまらんだろうしな。」
コルボー:「そこまで解ってて、あのマシンガントークか。」
アーシェ:「こらっ!そんな事言っちゃ駄目だろ、コルボー。会長さんは純粋にポケモンが好きなだけなんだよ。」
コルボー:「………だろうな。でなきゃ、こんな施設や会合を作ろうとは思わん。」

私達の会話を聞いていた会長さんは怒る訳でもなく、むしろ楽しそうに笑って……また少し、寂しそうな表情をする。

会長:「ほっほっほ。ありがとう。で……先程の続きなのだがな。私は自分の話を聞いてもらえない事よりも、自分のポケモンの自慢話を私に聞かせてくれるトレーナーさんが少ない事が寂しいのだよ。」
アーシェ:「何で?やっぱり……私達みたいな『 やられたらやり返すの精神 』が足りないとか?」
コルボー:「いや……たぶん、そういう問題だけじゃないと思うぞ。」
会長:「自慢話ができない人達は口を揃えて言うのだよ……『自分のポケモンとの出会いなんて覚えていない。』とね。」
アーシェ:「それは…………」
会長:「まぁ、ポケモンに対する思いという物は人それぞれだから、それがいけないという訳ではないさ。言葉にしなくてもポケモンを大切に思っていたりするし……残念ではあるが、逆も然り。ただね……自分の仲間との出会いや思い出を忘れてしまうということは……それはそれで悲しいことなのだよ。」

『 まぁ、貴方達には関係の無い話だね 』—————……と、会長さんは続けて言う。

会長:「今日はありがとう。実に楽しかったよ!!これはお礼だ……遠慮しないで受け取ってくれたまえ。」

私は会長さんから小さくて綺麗な玉を……コルボーはまた違うアイテムを貰っていた。

アーシェ:「この玉は?」
会長:「バシャーモ専用アイテム……らしいんだ。私の友人から頂いた物なのだが、私はバシャーモを持っていないのでね。バシャーモ……アチャモの頃から熱く語ってくれた君になら、快くあげることができるよ。是非とも有効活用してくれたまえ。」
アーシェ:「会長さん……ありがとう!大切に使わせてもらうよ。」

アーシェは 『キーストーン』 と 『バシャーモナイト』 を 手に入れた ▼

会長:「いやいや。こちらも楽しい時間を過ごさせてもらった。また近くに来た時は寄ってくれたまえ!共に楽しい一時を過ごそうでは無いか!!」
アーシェ:「はい。その時にはまた……なぁ、コルボー。」
コルボー:「ん?あ……あぁ……まぁな。それなりに楽しかったし……その時があれば……な。」

何気に気になって入った建物だけど、思っていた以上に有意義な時間が過ごせたと思う。

バシャーモに関するアイテムも貰ったし……今度、機会があったら使ってみよう。

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想

感想の読み込みに失敗しました。

 この作品は感想が書かれていません。