No.15 † 大地の化身と海の守り神 Ⅱ †

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サルスーラ ・ ポケモンセンター

ワカシャモ:「( ´ ・ ω ・)」
コルボー:「ワカシャモのヤツ、アーシェをベッドに寝かせてから、ずっと傍を離れないな。」
ティア:「だって、その子はアーシェちゃんの1番のパートナーですもの。好きなようにさせてあげましょう。」
コルボー:「……そうだな。それで?ナースさんはアーシェのこと、何て言ってたんだ?」
ティア:「ナースさんが言うには、幸いなことにアーシェちゃん、骨が折れたり、内臓破裂とかはしてないみたい。相手のポケモンのレベルが低かったのと、攻撃力に努力値を振っていなかったおかげ……とも。」
コルボー:「そうか。それは良かった……が、結果としてはあまり良くないな。」
ティア:「えぇ。グラードンの復活。あのアリアって子は、おそらく……いえ、断言して良いでしょう。彼女は絶対にグラードンを制御できないと。」
コルボー:「そうだな。結果、あの昔話同様植物も人間も枯れ果てる世界が再来する……と。」
アーシェ:「まだ……終わってない!」
コルボー:「アーシェ!?何か言いたい事があるだろうけど、今は喋らない方が……」
アーシェ:「私のことはいい……!それより、今はグラードンを止めないと……フィリアだけじゃねぇ。最悪、他の地方にまで影響を出してしまう。」
ティア:「それはそうかもしれないけど……どうやって、あの古代ポケモンを止めるの?」
アーシェ:「グラードンだって……伝説や神と謳われていても、結局はポケモン……ポケモンの技で止められないはずはない。」
ティア:「アーシェちゃん……」

町長:「皆さん!!こちらに居られましたか!!」

ポケモンセンター個室の扉が開き、町長さんが駆け寄ってて来た。

アーシェ:「町長さん……すまねぇ。グラードンの復活、阻止できなかった。」
町長:「いえいえ、それを咎めに来たのではありません。事情は町の者やナースさんから伺いました。私が此処に来たのは、アーシェさんにお願いしたい事がありまして……」
アーシェ:「私に?」
町長:「はい。アーシェさんには、この町の沖にある『 嵐の祭壇 』へ向かっていただきたいのです。」
コルボー:「それって……アレか?グラードンの暴走を止めたポケモンが祀られてるとかいう……」
町長:「その通りでございます。」
アーシェ:「けど……あそこって確か、『 スキュラ海峡 』の中心にあるんじゃなかったっけ?……とてもじゃないけど行けないよ。」
ティア:「あら?どうして?」
アーシェ:「その祭壇がある岩の孤島に行くには、その島の周囲で発生している6つの大きな渦潮を突破しないといけないんだ。私の手持ちには水タイプのヒンバスが居るけど……とてもじゃないけど、あの渦潮を突破できるとは思えないんだ。」
コルボー:「まぁ、その渦潮に到達する前に、ヒンバスのあの小さな体に摑まって泳ぐことになるんだろ?途中でヒンバス諸共溺れることになる可能性もあるな。」
アーシェ:「私もそう思う。じゃあ、安全な空から行けばいいじゃないか……という話になるんだろうけど……」
コルボー:「そういえば、アーシェはまだ、空を飛べるポケモンを所持していなかったな。」
アーシェ:「うん。早い話、私は祭壇に行きたくないわけじゃない、行くための手段が無いんだよ。」
ティア:「そういう事……だったら、私のフライゴンを貸してあげるわ。」
アーシェ:「え?良いのか!?」
ティア:「もちろん。こういう時こそ助け合わなくっちゃ。仲間でしょ?私達。」
アーシェ:「ティア……」
コルボー:「まぁ、お前が祭壇で何か用事をしている間、俺達が死ぬ気でグラードンの進行を阻止してやるから。お前は俺達を信じて、自分に任された仕事をしっかりやり遂げろ。」
アーシェ:「コルボー……ありがとう!!あぁ。私、祭壇に行ってくるよ!」
町長:「ありがとうございます。では……アーシェさん。こちらを……」

私は町長さんが差し出した綺麗な鈴を手にした。

ジャパニーズの神社やお寺で『御神楽舞い』とかいうのを行う時に用いるような、小さな鈴がたくさん付いたアレだ。

町長:「これを持って祭壇に降り立てば、きっと……神様が力を貸してくださるでしょう。」
アーシェ:「……わかりました。」

正直……私は修道女でもなければ巫女でも尼僧でもない。

そんな私に何ができるのか解らないけど……やれるだけの事はやってみよう。

グラードンによる惨劇を繰り返さないためにも。


◆◆☥◆◆


私はポケモンセンターから出るとすぐにティアから借りたフライゴンに跨り、急いで嵐の祭壇の方へ向かう。

フライゴンに跨って飛んでいる時にアリアのプライベートビーチがあった方角を見ると、グラードンが海の中を歩いて行く姿が目に入った。

いや、少し違う……グラードンが通った場所の海水は蒸発しており、少しずつ……でも確実に乾いた大地が完成している。


アーシェ:「急がねぇと……フライゴン!!頼む!!」
フライゴン:「(。`・ ω ・) ”」

私の呼びかけに頷いたフライゴンは、指示道理に飛行してくれ……何事も無く、嵐の祭壇に到着した。

アーシェ:「よっと……ありがとう。フライゴン。ちょっとそこで待っていてくれるか?」
フライゴン:「(。`・ ω ・) ”」
アーシェ:「さてと……」

私は町長さんからもらった鈴を取り出し、歩き回りながら2~3回振って鳴らしてみる。

アーシェ:「…………なんちゃって。こういうのって、神様に選ばれた人間がやらねぇと意味が無いよな……此処でひたすら祈祷していてもいいんだろうけど、グラードンを足止めする人手は多い方が良いハズ。フライゴン!私をティアとコルボーの処へ運んでくれ。」

私は再びフライゴンに跨り、2人が頑張る戦場へと向かった。


**✝**


アリア:「おーほっほっほ!!やるだけ無駄ですわ!!グラードンの力、思い知りなさい!!」
ティア:「させないわ!!ドータクン!!ラスターカノン!!」

グラードンが口から発射した火炎放射とドータクンが発射したラスターカノンがぶつかり合う。

コルボー:「今だ!!シャーリー、冷凍ビーム!!」

コルボーの指示でエネコロロが発射した冷凍ビームが、攻撃の最中で隙ができていたグラードンの腹部に当たった。

効果抜群ダメージを受けてグラードンの体が少しよろめき、背中に乗っていたアリアも少し慌てた表情を浮かべる。

アリア:「鬱陶しいですわね!!いくら頑張っても、普通のポケモンが伝説のポケモンに敵うわけがないのよ!!」

アリアが翳した紅色の玉が再び光出したかと思った瞬間……グラードンの体に変化が表れ始めた。

とても大きな鼓動が聞こえる中、グラードンの体がより巨大になり……体の黒いラインが、赤々と高熱で流れる溶岩によって、その形を変えていく……

自分の溢れんばかりの強大なパワーを解放させるかのように咆哮したと同時に地面から噴き出す数本の極太火柱……

その火柱の中心で、全体の形をそのままにより巨大に、力強く、グラードンの姿は変貌していた。

ティア:「これは……原始回帰!?」
コルボー:「少し前にホウエンで確認されたっていうヤツか?くそっ……此処のグラードンも同じ恩恵を受ける事ができたってわけか。」
アリア:「さぁ!!グラードン!!あの目障りなポケモンとトレーナーを始末してしまいなさい!!断崖の剣!!」

ゲンシグラードンが大地を揺らし、鋭利な刃を突出させてドータクンとエネコロロに襲いかかる。

ティア:「ドータクン!!」
コルボー:「シャーリー!!」

アーシェ:「ワカシャモ、守る!!」

刃がドータクンとエネコロロを襲う直前、2匹の前に着地したワカシャモが大地の刃を受け流した。

アリア:「なっ……!?」
アーシェ:「よぅ。随分と派手に暴れてるじゃねぇか……アリア。」

私はフライゴンの背中から下り、ワカシャモと一緒にグラードンの進行方向で干上がってできた地面の上に立ちはだかる。

アーシェ:「2人共、お待たせ。フライゴン、お疲れ様。」
ティア:「アーシェちゃん!!ありがとう、助かったわ!祭壇の方はもういいの?」
アーシェ:「今の私にできるだけのことはやってきた……はず。恩恵を受けられるか判らないけど、とにかく神頼みをする前に、私達でできるだけのことはやらないと!」
コルボー:「そうだな……とりあえず、お前を信じてグラードンの進行を食い止めてやったぜ。一応、引き続き俺達も協力するけど……しっかり決めてくれよ。」
アーシェ:「あぁ!!任せろ!!」

私達の眼前で、グラードンに乗っていたアリアが悔しそうに拳を振り上げては下ろして、ゲンシグラードンの背中を叩く。

アリア:「きぃぃぃぃぃ!!どこまで……どこまで私の邪魔をすれば気が済むんですの!?アーシェ・バーンハルウェン!!いいですわ……あなたと、あなたのポケモンだけは!私のポケモンで地面を嘗めさせてさしあげましょう!」

そう言いながらグラードンの上でアリアが投げたボールから、再びガントルが姿を現した。

アーシェ:「頼む、ワカシャモ。私と一緒に、あのバカとグラードンの進撃を止めるぞ!力を貸してくれ!!」
ワカシャモ:「(。`・ ω ・) ”」

私の呼びかけに、答える様に力強く咆哮したワカシャモの体が青白い光に包まれた。

アーシェ:「ワカシャモ!?お前……!」

私の隣に居たワカシャモは光の中で一回り大きくなり……羽の生えていた腕は細くなり、逆に脚は毛が生えて太く、より屈強になり

頭の鶏冠だった部分が変形して2本の細い角へ変わり、頭の毛は全体的に後方へ長く伸び……

光が掻き消えた瞬間

私の相棒だったワカシャモは、バシャーモへと進化した。


【 バシャーモ 】
もうかポケモン / 高さ:1.9m / 重さ:52.0kg / 炎・格闘タイプ
アチャモの最終進化系。
戦いになると、手首から灼熱の炎を吹き上げ勇敢に挑みかかる。相手が手強いほど激しく燃え上がる。
強靭な足腰を持ち、30階建てのビルも楽々飛び越すことができる。
数年ごとに古くなった羽が燃えて、新しく しなやかな羽に生え代わる。
♂の方が頭部の羽が長く、♀の方が短い。


アーシェ:「やった………やったぁぁぁ!!おめ……おめでとう、バシャーモ!!」
バシャーモ:「(。`・ ω ・) ”」
ティア:「ついに、アーシェちゃんのパートナーが進化したのね。おめでとう、アーシェちゃん。」
アーシェ:「ぐすっ……ありがとう!ティア!」
コルボー:「ん?アーシェ、お前……泣いてんのか?」
アーシェ:「なっ……泣いてない!って、強がる必要も無いか……うん。私の最初のポケモンが無事に最終進化を遂げてくれて、感極まってる。」/////
コルボー:「そうか。よかったな。」
アーシェ:「うん!」

アリア:「……ふっ、ふふん……いくら進化したところで、私のポケモンには敵わない。このグラードンの前に倒れる運命なのですわ!!」

アーシェ:「頼むぞ、相棒。グラードンにブレイズキック!!」
バシャーモ:「(。`・ ω ・) ”」

私の指示を受けたバシャーモが、ガントルの隣を素通りして、ゲンシグラードンの腹部に燃え上がる蹴りを決め込んだ。

相性的に有効打とはいえないだろうけど、日照りのおかげで炎技の威力が上昇している分、グラードンの体を少しだけ仰け反らせた。

アリア:「きゃああぁぁっ!!」
アーシェ:「ちっ!原始回帰して炎タイプが追加された分、思うようにダメージを与えられねぇな。」
ティア:「あら、アーシェちゃん。原始回帰を知ってたの?」
アーシェ:「実際に見るのはこれが初めてだけどな。その存在は本で読んで知ってたよ。」
アリア:「よくも下賤の輩の分際で、伝説のポケモンに……ガントル!何をやっているの!?早くそのバシャーモを止めなさい!岩落とし!!」
アーシェ:「させるか!バシャーモ、ガントルに二度蹴り!!」

攻撃を仕掛けようとしたガントルに素早く接近したバシャーモがガントルを蹴り上げ、追撃するように跳び上がった後……回し蹴りの要領で、ガントルをグラードンの腹部めがけて蹴り飛ばした。

思わぬ追撃を受けたグラードンが腹部を押さえ、その場で立ち止まる。

コルボー:「おぉっ!今の攻撃は見事だな。」
ティア:「さすが格闘タイプ。動きのキレが良いわね。」
アーシェ:「今の攻撃でガントルを戦闘不能に追い込めただろうし………残るはグラードンだけだ!!」

私とティア、コルボーとそれぞれのポケモンがアリアの乗っているゲンシグラードンと対峙する。

そんな私達の後方から涼しい風が吹き抜けたと同時に、遠くの方から羽ばたきの音が聞こえてきた。

アーシェ:「ん?羽ばたきの音……?」

ふっと私が振り返った視線の先から高速で1羽の大型の鳥ポケモンが、こちらに向かって飛んできた。

鳥ポケモンといっても、その顔はどちらかというとドラゴンタイプのポケモンに近かったりする。

アーシェ:「このポケモンって……」


【 ルギア 】
せんすいポケモン / 高さ:5.2m / 重さ:216.0kg / エスパー・飛行タイプ
海の神様と伝えられるポケモン。
翼を軽く羽ばたかせただけで、民家を吹き飛ばす破壊力を持っている。
ルギアが羽ばたくと、40日嵐が続くといわれている。
その強すぎる能力を持つため、深い海の底で静かに時を過ごすと伝えられる。


ティア:「ルギア……!?このポケモンが、レックウザの代わりを務めたというポケモンなのね……!」
コルボー:「やりやがったな、アーシェ……まさか、本当に守り神を呼び寄せるとは……すげえな、お前。」
アーシェ:「いっ……いや、そんな……偶然だと思いたい。あんな適当に鈴を鳴らしただけで、来てくれるなんて……」

私のいい加減な神楽舞いの効果なんかよりも、おそらく自分の生活する海が急に干上がりだして怒りによるものだろう。

ルギアは大きく口を開くと、圧縮された渦巻く空気の砲弾をグラードンに向かって放った。

エアロブラストをダイレクトに受けたグラードンが背中から音を立てて盛大に倒れた。


アリア:「何なの……何なんですの!!寄ってたかって……グラードン、しっかりなさい!!ルギアはこの際、無視ですわ!グラードン、アーシェのバシャーモに断崖の剣ですわ!!」

しかし、グラードンはアリアの命令を聞かず、眼前のポケモン達に向かって地震を放って来た。

アリア:「地震!?こらっ!言うことを聞きなさい!!」
アーシェ:「相棒!頼む!!」
バシャーモ:「( `・ ∀ ・)ゞ 」

私の伝えたいことを理解してくれたバシャーモがティアのドータクンと、コルボーのエネコロロを両脇に抱え込んで……地面を強く蹴って跳び上がった。

私達人間は地震の揺れを体感したが……この日照りだ。津波の心配も無いだろう。

アリア:「なっ……!?なんて跳躍力なの!?」
アーシェ:「地震は地面に足さえ着けてなかったら、ダメージは受けねぇからな。バシャーモ!そのままグラードンにブレイズキック!!」

両脇に2匹のポケモンを抱えたまま、バシャーモは空中で燃え盛る蹴りを繰り出すが、グラードンの両手によって防がれてしまった。

そのまま押し返されたバシャーモが宙返りをして体勢を立て直し、無事に着地する。

ティア:「アーシェちゃん、バシャーモ!本当にありがとう。」
コルボー:「ティアのドータクンも俺のシャーリーも無傷で済んだ。礼を言わせてもらうぞ。」
アーシェ:「ふふっ……バシャーモになって、いろいろできるようになって私も嬉しいんだ。よく私がして欲しいことを解ってくれたな。ありがとう、バシャーモ。」
バシャーモ:「(。`・ ∀ ・)b☆」

ドータクンとエネコロロを開放したバシャーモの隣でルギアが大きく息を吸い込み、ハイドロポンプを発射する。

しかし、原始回帰したグラードンの特性 『終わりの大地』 のせいで、水タイプの技はグラードンに当たる前に蒸発してしまって、ダメージが通らない。

アーシェ:「ルギアの攻撃が……エアロブラストがあと1発でも通れば、きっとグラードンを倒せる。バシャーモ!ルギアの次の攻撃まで、グラードンの注意を引き付けるぞ!」
バシャーモ:「(。`・ ω ・) ”」
アリア:「グラードン!いい加減にしなさい!アーシェのバシャーモに断崖の剣!!」
ティア:「させないわよ!!ドータクン!!ラスターカノン!!」

ドータクンが発射した眩い光を放つ光線が、バシャーモに向かって放たれた岩の刃を撃ち抜いた。

ティア:「うふふ。」
アリア:「くっ……邪魔を—————……」
コルボー:「シャーリー!!猫の手!!」

その場に慌ただしく動いていたエネコロロが止まったかと思った瞬間、両前足を勢い良く振り下ろして、周囲を大きく揺るがすほどの衝撃を繰り出した。

私も目の前のグラードンが似たような行動をしているのをさっき見た。今のは地震のモーションだ。

それを察知したバシャーモが私を小脇に抱えて、一時的にその場で跳び上がった。

コルボー:「あ~……イルシオンに覚えさせてた地震が出たか。すまん、ティア。お前のドータクン、確か耐熱だったよな?」
ティア:「大丈夫。これまでアーシェちゃんのバシャーモが余計なダメージを負わないよう守ってくれていたし、ドータクンはまだ倒れてない。それに、猫の手の効果も知っているから気にしてないわ。」

そして、エネコロロが繰り出した地震はティアのドータクンと、ゲンシグラードンに襲いかかり……今までの蓄積ダメージと、唯一の効果抜群技を受けたゲンシグラードンが大きくよろめく。

アリア:「貴方達!!邪魔をしないで!!アーシェとバシャーモを攻撃できないでしょ!!」
コルボー:「悪いが、それをさせねえのが俺達の仕事だからな。何より、悪いお嬢ちゃんには摂関が必要だろうし……なぁ?」

煙草を口から離し、白い煙を吹き出したコルボーがアリアを睨む。

アリア:「ひぃっ……!!」
アーシェ:「ルギア!!頼む!!」
アリア:「え……?はっ!!しまった!!グラードン!!すぐに迎撃を——————……」

地震を受けて体制を崩していたのと、紅色の玉を持つ指揮官であるアリアの判断が遅れたこと……

この2つの要素が合わさり、無防備な腹部にルギアのエアロブラストを受けたゲンシグラードンがアリアを乗せたまま、仰向けに倒れて戦闘不能となった。


*****


サルスーラ・ポケモンセンター

窓の外を眺めると、久しぶりの豪雨によって大地が潤いを取り戻しつつある。

あれから———……

意識を取り戻し、原始回帰した姿から元の姿に戻ったグラードンは私達とルギアをジッと見つめた後、ゆっくりと来た道を引き返し、最初に現れた岩壁の亀裂から更に地中奥深くへと戻って行った。

グラードンが去った後に残された本物の紅色の玉は、アリアが再び拾い上げる前にコルボーが回収。
そのまま、町長さんに手渡しで返却していた。

おそらく、今頃旱魃の神殿のあるべき場所に戻っているだろう。

ルギアはグラードンが地中奥深くへ戻って行くのを見届けた後、私の方を見てから自分の羽を器用に一本引き抜き、そのまま私に差し出した。

鋼のように硬いのに薄く透き通って軽い銀色の羽……

私がそれを受け取った後、ルギアは少しだけ微笑みながら再び舞い上がり、沖の方へと飛んでいった。

同時に、ルギアが去って行った方角の空に灰色の雲の存在を確認し……今朝、目が覚めた時には既に雨が滝のように降り注いでいて、現在進行形で今もまだ降り続いている。

ほんの少し、小降りになってきているようだ。

アーシェ:「そういや、私……アリアがあの後どうなったのか知らねぇんだけど……」
コルボー:「あぁ。あのお嬢ちゃんなら俺が玉と一緒に神殿まで連れて行ったんだがな……町長さんや神官さんに謝罪もせず、勢いに任せて逃げて行ったよ。」
アーシェ:「あいつ……全然懲りてねぇみたいだな。」

逃げた先はおそらく、大都市・エルセア……今頃、自分のパパにでも泣き付いていることだろう。

自分の行いを正当化かつ美化しながらな。

ティア:「2人共~。ポケモンの回復、終わったわよ。」

ティアが引き取ってくれたモンスターボールの中から、自分のポケモンが入ったボールを受け取り、私は今後の行き先を考える。

アーシェ:「さてと……これからどうしよっか。此処でゆっくりしようにも海水浴できる状態じゃねぇし……ティアとコルボーは何処に行きたい?西?北?」
ティア:「あ……ごめんなさい。アーシェちゃん……その事なんだけどね、私……1度、地元に戻ろうと思うの。」
アーシェ:「えっ……!?どうして?」
コルボー:「随分と急だな……」
ティア:「本当はまだまだアーシェちゃんとコルボーさんと一緒に旅を続けたいのよ。でもね……外交官として、今回フィリアで起きた事を私の仲間や上の人に報告しなくてはいけないの。」
アーシェ:「え……?マジで!?外交官って……ティアが!?」
コルボー:「中々に良い役職に就いてるじゃねえか、ティア。道理で他国のことに詳しいわけだ。」
ティア:「うふふ。もう、茶化さないで。真面目な話、今回のグラードン復活という事件……現象は本当にレアなケースなの。ホウエン地方、フィリア地方でグラードンの姿と伝承を確認したわ。でも……世界は広い。探せば他にもグラードンとカイオーガの伝承、今回みたいなルギアという特殊な伝承もあるかもしれない……そして、それを復活させようとする人間や組織の事も……仮に復活したとして、どうやって止めるのか……ということを色々報告しなくちゃいけないのよ。特に、今回その場に居た私としては……ね。」
コルボー:「なるほど……大変なんだな。」
ティア:「そうなの。国と国との友好関係を築いたりするだけが仕事じゃないのよ。」
アーシェ:「そっか。そういう事なら……それに、最初に約束したもんな。用事があるなら遠慮せずに戻ってくれて良いって。私の我儘でティアに迷惑かけたくないしな。」ニコッ
ティア:「アーシェちゃん……ありがとう。報告と……ちょっと溜まってると思う仕事を片付けたら、また遊びに来るわ。」
アーシェ:「うん!待ってるよ、ティア。」
ティア:「コルボーさん。貴方にも仕事があるのは知っているわ。でも……できることなら、アーシェちゃんに新しい仲間……友達ができるまで、一緒に居てあげてくれないかしら?」
コルボー:「まぁ……こいつを放置しておくと、また危険な事をやり兼ねないだろうし……な。保護者は必要だろう。」
アーシェ:「子ども扱いすんな!!」
ティア:「うふふ。あっ……そうだ。」

ティアは何か思いついたかのように、1枚の紙切れにペンを走らせる。

ティア:「はい。アーシェちゃん。」
アーシェ:「これは……?」
ティア:「私の連絡先。アーシェちゃん、今は連絡手段を持ってないようだけど、いつかそういう機械を手に入れた時にでも登録しておいてほしいの。」
アーシェ:「うん。わかった。その時には必ず登録する……コルボーに見せても大丈夫?」
ティア:「えぇ。せっかく出会ったのだし、いつでも。」
アーシェ:「だってさ。良かったな、コルボー。」
コルボー:「御気遣いいただき、どうも感謝致しますとでも言っておけば満足か?」
ティア:「うふふ。さてと……雨も止んできたことだし……」

気が付けば、雨は幾分か小降りになっており、ティアはポケモンセンターの外に出るとフライゴンを呼び出し、その背中に跨る。

ティア:「それじゃあ、2人共。行ってきます。」
アーシェ:「うん。行ってらっしゃい。」
コルボー:「報告が義務ってのも大変だな……まぁ、お勤め御苦労ってことで、頑張って来いよ。」
ティア:「えぇ。」
アーシェ:「ティア。此処まで一緒に旅してきてくれて、ありがとう。とっても楽しかった!また会える日を楽しみにしてるよ。」ニコッ
ティア:「えぇ、私も楽しみにしてるわ。また会いましょうね。」ニコッ

硬く握手を交わした後、フライゴンが飛び立ち、沖の方へ飛んでいくティアを見送った後、私はコルボーに話しかける。

アーシェ:「それで、さっきの話なんだけど……コルボーは何処か行きたい場所とかあるのか?」
コルボー:「ん?いや……正直、この地方の何処に何があるのか、まだ詳しくは知らねえからな。お前が行きたい場所があるならそこを優先で構わないぞ。」
アーシェ:「そっか……じゃあ、私が進路を決めさせてもらうぜ。」
コルボー:「ということは、行きたい場所があるんだな。」
アーシェ:「うん。これから私達は……西へ向かいます。」

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