恋バナ 終。

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:10分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「逃げるって…言った…?」

レイが僕の顔をまじまじと見つめる。僕は深く頷いた。こんな地獄のような生活はもう嫌だ。表へ戻って幸せに暮らせたらいいんだ。でも僕だけじゃ無理なのは火を見るより明らかに分かる。だからレイの協力が必要だ。3柱って言われるぐらいならかなり心強い。僕はワクワクしながらレイを見つめる。
すると、レイは俯く。どうしたんだろうと思って僕は声をかけようとした。

「レイ…」

その瞬間。レイが急に立ち上がり僕の顔面を掴んだ。そして頭蓋骨ごとぶち割るんじゃないかってぐらいの握力でにぎりしめてくる。そして、レイが立ち上がると同時に僕は無理やり押さえつけられてしゃがむ。
僕はレイの指と指の隙間から頑張ってレイを見ようとした。すると…

「…っ!」

声が出なかった。出せなかった。眼孔がこれ以上無いほどに開いていて、鋭い目に眉の間に深く刻まれているシワ、この世の物とは思えないような鬼の形相をしていた。
そして僕は本能的に思ってしまった。

コイツはヤバいーと。

しかし、非力な僕はそこで呆然と立ち尽くしただ恐れているしかなかった。
そしてレイは僕にしか聞こえないような小さな声で、それでも一生脳裏に焼き付けられるぐらいのどす黒い声で僕に言った。

「 脱 走 だ な ん て 二 度 と 考 え る な 」

僕は反射的に頷いた。頷くしか無かった。
するとレイは次の瞬間ニコッと微笑みに変えた。そしていい子だねと僕を撫でる。ずっと微笑みを絶やさないレイ。その顔の裏は僕には想像しきれないほどの感情で溢れてると思うと急にレイが…いや、レイ以外のこの場に、この施設にいる人達が恐ろしくなってきた。

ーここの人々は…化け物だ。

「おい。そこ。時間過ぎてるだろ。部屋に戻れ。」


リーダーが僕たちに声をかける。
周りが静かだなと思ったらもうそんな時間だったんだ。僕は何かの緊張が取れる。

「はいはい。分かってますよーオッサン。じゃ、シュウ。俺は先に行くな。」

そう言っていつもは一緒に居てくれるレイは先に部屋へ戻ってしまった。
あ、僕も戻らなきゃ。そう思った時に…

「おい。」

リーダーに声をかけられた。
なにかやらかしただろうか…
僕にまた恐怖が襲いかかりリーダーの方をむく。

「な、なんでしょうリー…ダ…」

てっきりいつもの怒り顔と思ったがリーダーは予想外の表情をしていた。
口は1文字に閉じていて綺麗な銀色の眉は八の字に、深い紫根の瞳は水性絵の具を垂らして滲ませたようにへしゃがれていた。
まるで…悲しんでる…?

「お前は…レイじゃないんだよな。」

そう言われる。
レイじゃ…ない? レイはさっき部屋に戻ったでは無いか。僕は疑問に思いながら否定の意を込め首を横に振る。しかし、リーダーは余計目を見開くばかりだ。

「そう…だな。レイな訳ないよな…
 お前…いや、シュウ。出会ってそうそう悪いが1つ俺の願い事を聞いて欲しい」

「なんでしょう…」

いつもの威厳があるリーダーとのギャップに驚き、声がかすれる。

「レイを…レイを元に戻してくれ…」

「え?」

僕は訳が分からないという顔をすると、同時にリーダーの顔がいつものキリッとした誰も近づかせない顔に戻る。

「行け。」

そう一言言われ、僕は慌てて帰った。リーダーはフードを被りどこかへ出かけて言ってしまった。

僕はここを脱走したい。脱走したって外にはもう何も残ってないが… でも、何故か脱走したいのだ。謎の使命感が僕を纏うのだ。だから、僕は諦めない。


でも、そのためには…覚悟が必要かもしれやい。

僕は意を決して部屋にもどった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

一通り周りのポケモンを倒し終えて、ヘロヘロだった。でも、レイは気にせずタッタッタッと『皆』がいる場所へとかけてく。

『まっ、まってよレイっ!』

耐えられなくなった僕は遂に口にする。

『フジ!遅い!アーボとドクにまた叱られるよっ!』

僕は2人の開きすぎた瞳孔に鋭い目、シワが深く刻まれた鬼の形相を想像しただけで悪寒がした。

『で、でもぉ…僕レイよりも遅いし…』

と、言い訳をしてみる。するとレイははぁ…とため息をつき、ブカブカな上着を翻し僕の元へ駆け寄る。

『もうっ!ほら!』

そう言って、僕をおぶってくれる。僕は心地良さを感じながら周りの景色を見る。

『あぁっ!フジずるい!スイもやってほしかったぁ!』

『スイは相変わらず素直だね』

『ダミぃっ!離して!レイとフジを離して!』

『コイツらには呆れるわ…』

『ドク。そんな事言わないの』

『アーボ…あのなぁ…』

そんな騒がしい声を聞いて僕は目が覚めるんだ。目が覚めてたんだ。

ねぇ、皆どこに行ったの…?
ねぇ、僕を置いて行かないで…お願い…お願い…!

レイ、レイ…レイ…!



レイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイ



ーーーーーーーーーーーーー

「…気色悪い夢を見た。」

俺は外の月を見る。そして横のベットで寝ているシュウも見る。

「レイー…」




      終

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想

感想の読み込みに失敗しました。

 この作品は感想が書かれていません。