16.テレパシーとは

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:3分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 一人の人間がとある洞窟の奥へと向かっていた。このあたりまで来たのははじめてだった。珍しいポケモンを追い求め、こんなところまで冒険しにきた。
 そんなときのことだった。
『人間よ、ここから先へ行ってはいけない』
 急にどこかから声が聞こえてきた。
「だ、誰だその声は! どこから喋っているんだ!」
『貴様の頭上にいる』
 上を向くと、一匹のナットレイが洞窟の天井に張り付いていた。
「ナットレイが喋っている?」
 彼は喋るポケモンを見たのが生まれてはじめてだったので、驚愕して目を丸くした。


『いや、これは喋っているのではない』
「喋っていない?」
『これはテレパシーだ!』
 率直に「は?」と思った。テレパシーがどんなものかは知っている。だが、なぜテレパシーをナットレイが使えるのか、意味がわからなかった。
「ナットレイは普通テレパシー使わないだろ」
『普通に使うぞ』
「あの、テレパシーが使えて納得いくのって、せいぜい幻とか伝説のポケモンだけだから。ミュウツーとかルギアとか」
『それは単なる思い込みだ。使えるポケモンは他にもいる』
「いやそれにしたってナットレイはない。エスパータイプとかだったら、テレパシー使えてもギリギリ納得はいくけど。ナットレイってエスパータイプなの?」
『くさ・はがねだ』
「全然違うじゃん。一番テレパシー持ってなさそうなタイプだろ。草タイプで辛うじて持ってそうなのは、ダーテングぐらいだ」
『なんだ、ナットレイがテレパシー使って問題あるのか?』
「特性が『テレパシー』だったら納得できるんだけど。ナットレイって特性はテレパシーなのか?」
『てつのトゲだ』
「だから全然違うじゃん。なんだよてつのトゲって。真逆だろ」


『貴様、この洞窟になにしに来た?』
「別になんでも良いだろ。それよりお前のテレパシーが気になる」
『あれだろ、どうせ珍しいポケモンでも探しに来たんだろ?』
「なんで分かった?」
『テレパシーだ!』
「テレパシーで他人の心まで読めるのか?」
『後、お前の家は四人家族だな。妹が一人いる』
「なんで分かった?」
『テレパシーだ!』
「いやすごいな。テレパシーってなんでもありだな」
『お前の個人情報など、テレパってしまえばすぐ分かる』
「テレパるって言うのか」
『それよりお前、この洞窟を荒らすつもりか』
「荒らすというか、ポケモンを捕まえにきただけだ」
『だめだ。この洞窟は荒らすな。どうしても荒らすというなら、テレパシーで襲うぞ』
「テレパシーで襲うの意味がわからないんだが」
『そしてお前が攻撃してきたらテレパシーで防御してやる』


「分かったよ、俺はもう帰る。洞窟は荒らさない」
『分か……ら良い。さ…さと…帰っ…くれ』
「急にテレパシーが途切れ途切れになったんだが」
『すまん、テレパシーを使いすぎてギガが減ってしまった』
「テレパシーってデータ容量に限界あるのか」
『俺のテレパシーはまだ5Gに変えていないんだ』

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想