恋の伝道師

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読了時間目安:4分
 「何だか最近、シーちゃんにオスとして見られてない気がする…」

 今日は主人が休みだったので、他の皆と一緒に公園へ遊びに来たはずなのに、僕の心は沈んでいた。シーちゃんとの仲が全く進行していないことに焦り、僕は仲間のポケモンに相談することにした。

 「へえ〜珍しくレオンが話しかけてきたと思ったら、恋の相談とはね。正直言うと、別にそこまで悩まなくてもいいと思うけど…」

 公園の原っぱで自主トレ中だったコジョンド♀(通称コジョ姐さん)に頼んで、ストレッチがてら何かアドバイスをもらおうと思ったが、やっぱりトレーニングにしか興味のないコジョ姐さんには難しいのか…。

 「でもさ、僕とシーちゃんはもう10年も一緒に過ごしてるんだよ?それなのに何も進展がないからさ、シーちゃんは僕のことを、ただの仲間として見てるだけなんじゃないかって思うんだ」

 ちなみにシーちゃんは、主人と一緒にゴムボールで遊んでいて、僕とコジョ姐さんは、シーちゃんと少し離れたところで話し合っている。

 「確かにそうだけど、私たちがのんびり暮らすようになったのは、わりと最近でしょ?今までは戦闘のことばかり考えてたから、そんなことを思う余裕もなかったけど、今では二人で過ごす時間も増えてきたんだし、そう結論づけるのは早いと思うわよ」

 コジョ姐さんの手触りの良い毛並みに触れながら、僕は彼女の背中をグッと押す。普段から鍛えてるだけあって、コジョ姐さんの柔軟体操は美しい。

 「そ…そうなのかな?」

 「そうよ。シーちゃんも意外と恥ずかしがり屋さんだから表に出さないだけで、レオンがしっかり想いを伝えてあげれば、彼女も応えてくれると私は思うわよ」

 僕のことを励ますかのように、立ち上がったコジョ姐さんは僕の左胸に向かって、握り拳をトンと叩く。彼女なりに応援してくれてると感じて、僕も不安な気持ちを取り払う。

 「わわっ!ボール上げすぎですよ〜。後ろに下がらないと…」

 そんな時、僕の背後からシーちゃんの声が聞こえた。すぐに振り返って見ると、落ちてくるボールをキャッチしようと、後ろ向きで下がってくるシーちゃんの姿が!

 「二人とも危ないっ!」

 コジョ姐さんが叫んで、ようやくシーちゃんが僕の方を見たが、もうぶつかる直前まできていた。
 僕は咄嗟に体を反転させて、シーちゃんを受け止める態勢をとった。それによって、シーちゃんと一緒に倒れ込む形になったが、僕がクッション代わりになったおかげで、彼女に外傷はなさそうだ。

 「二人とも大丈夫!?」

 心配そうに駆け寄ってくるコジョ姐さん。シーちゃんは目を瞑ったまま、僕の腕と体に身を任せてくれた。おかげで何とか無事のようだ。
 シーちゃんは目を開けると、申し訳なさそうに僕を見つめる。

 「ご、ごめんなさいレオンくん!怪我はない!?」

 「う、うん…シーちゃんこそ大丈夫?」

 「はい、レオンくんが守ってくれたおかげです」

 「そっか、なら良かった」

 (あの一瞬で受け止めるとはね…さすがレオンってところかしら)

 コジョ姐さんが感心したように見ている中で、僕はゆっくりと体を起こして、シーちゃんの頭を撫でる。

 「次からはお互いに気をつけないとね。さあ、主人がオロオロしているから、無事だったことを伝えてきてね」

 「はい、ありがとうございます」

 ゴムボールを持ちながら、シーちゃんは主人の元へ戻る。そこで僕は一旦、フゥ〜と息を吐きながら、先程の感触を思い出していた。


 (事故だったとはいえ、僕はシーちゃんの体を抱きしめてしまった…。しかも、想像以上に…や、やわらかかった〜っ)

 心の中でそう思っていたが、結局全部表情に出てしまって、真っ赤になった顔を隠すように、僕は両手で顔を覆う。

 (ウブね〜レオンったら)

 コジョ姐さんにそんな様子を見られながら、僕たちは公園で楽しい時間を過ごしました。

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