取材

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翌日の天気は晴れ。絶好の取材日和ですおはようございます。いや~昨日は遠足前の子供みたいになんか全然寝付けなかったなぁ~!いやだって、最近はずっとデスクワークみたいに机の上で記事書いてたとかばっかりだったし、直近何か月かで取材も何件かあったと言っても車も使わないで自転車で行けるような距離だけだったから。
他の地域に行くなんて本当何か月ぶりなんだろ~。そもそも全然他の地域まで行かなかったし、本当ひっさしぶりだからめっちゃワクワクドキドキ!おっと、ちょっと車の点検しておくか。洗車は定期的にしてたけど定期点検は全然してなかったし、それにやっぱり遠出するなら綺麗な車で行く方が気持ちいいもんね。うんうん。


特に何も問題はなかった。いやここで問題が生じて貰っても困るのだけど、エンジンも一発で掛ったし変な音も白煙も無かったからこれは良い傾向!これ状態なら全然キンセツシティまで余裕で行けるわ!ん~まだ時間は6時にもなってないな・・・でも周りの人はもう動き出してるし、みんな早いな~(僕も人の事言えないけど)

「さてと、昨日の電話じゃ今日は朝早くにこっちを出るという事でもう5時前から起きているけど、流石に早く起きすぎてしまった感があるな。取材バックはもう玄関に置いているし乗ってく車の準備も万全。あとは新聞社の方のあいつが来るのを待つまで・・・っとその前にまだアシスタントは寝ているのか?昨日帰ってきた時に聞いたら着いてくるって言うからじゃあ早めに起きろよって言ってたのにまさかの寝坊ですか?そうですか。」

昨日アシスタントは夕方遅くに帰ってきた。しかも何か色々とレジ袋持って。レジ袋は有料だからマイバック持つかどうにかしろって言ってたのになぁ・・・ってそんな事言ったらエンペルトもレジ袋持ってたよね?あっ、あいつまた勝手に買ったな・・・小さいところから経費は掛かるからあれしろって言ってたのに。

そんな事思っている間に玄関のチャイムが鳴る。おっ、もう来てしまったのか?まだ午前6時前だぞ?流石現役新聞記者!行動が早いね!って僕もか。僕は意気揚々と玄関の扉を開けた。

「はーい!めっちゃ早かったねー!じゃあ早速出発しますk」

ん?目の前に居るのは肩掛けバックと目を守るゴーグルを着けたリザードンですねぇ・・・あれ?なんだ~あいつじゃないのか~そうかそうか。そうだよなぁ~まだ流石に早すぎると思ったんだよなぁ~ったく、人の期待を裏切るような事して!全く!どこのリザードンだよ!こんな朝早くに訪ねてくるなんて失礼にも程があるでしょ??まったくトレーナーの顔が見てみたい!

「あっ、つい早とちりしてしまいました~それでは失礼します~(ドアを閉めようとする)」

リ『おいおいおいおいおいちょい待ち!!折角久しぶり(1週間)に帰ってきたって言うのにその態度は流石に酷いと思いません???おいおいおい!だからシンゴ!僕だって!!?だから一旦ドア開けて!お願いだから!そんな一生懸命ドア閉めようとしないで!!お願いしますよ!!』

「いやいやいやだってリザードンが帰ってくるって事前連絡貰ってませんし、それにあの管理人の人ならちゃんと連絡位・・・しないか・・・し無さそうだなあの人???うーん・・・まぁ良いか。今ちょっとこちら側は取り込んでますので失礼します~(2回目)」

リ『ああああああああ!!!!』



僕の手持ちポケモンの中にもリザードンは確かに居るのだが、1年位前にジョウト地方に取材行った時の取材先でもあったリザフィックバレーだったかな?に本人自ら入って修行したいって言って聞かなかったからそのまま預けてきたので今はここに居ない筈なのです。それにしてもあの時はそのお陰で帰りがてんやわんやだったのを今思い出した。その場で新幹線のチケットを急いで取ったわ、そのリザフィックから駅までのタクシーを急いで手配したわで真面目に取材よりも忙しかったのを思い出した。その取材の時の空を飛ぶ要員がリザードンだけだったのは失敗だったからなぁ・・・あれ以来ちょっとトラウマです(謎)

「んで、なんで急に帰ってきたん?なんかやらかして自宅謹慎にでもなった?」

リ『いやいやいや僕が帰ってきた=何かしでかしたって方程式止めて!ただ単に久しぶりに帰ってきたいなぁ~と思ったから帰ってきただけだって(1週間ぶり)!ただそれだけ!それ以外に何も用事無いから!本当だって!』

ほうほう・・・1週間前にも同じような事言って帰ってきたポケモンが居ましたけど、それは何処の誰かさんでしたかねぇ~。・・・これまた抜け出してきたな・・・はぁ、また連絡しておかないと。なんて言われるかなぁ・・・流石にこれだけ帰っていくんだったら、もう引き取ってもらっても結構ですよとか言われそうよなぁ。前電話した時はなんか凄い呆れた感じの対応だった気がするし、それにあそこの管理人ちょっと性格きつそう(偏見)あそこにいる他のリザードンもなんか凄く気が荒そうなリザードンばっかりだったし、ちょっと連絡するのが怖いですね、はい。

ボー『朝から煩いなぁ・・・もうちょっと寝かせてよ・・・ってなんでまたリザードン居るんだよ?あっ!遂に何か仕出かしてそのよくわからない渓谷を出禁になったんでしょ!一体何やらかしたん?話だけなら僕で良ければ聞くよ?えっ?他のリザードンの食べ物取ったって?本当食い意地張ってるなぁ~、他のポケモンの食べ物勝手に取ったらダメって言ってるでしょ?』

リ『なんでみんな僕が帰ってきた=何かやらかしたって方程式になってるの(泣)しかもなんかボーマンダに至っては事実とは全く異なる事で納得してるし・・・明らかに事実無根・・・。』

「ごめんごめん。それで今度は何時位までこっちに居る予定でいるの?それと折角帰ってきてもらって申し訳ないけど、僕これから他の地域に取材に行く事になってて・・・だから僕明日か明後日まで帰ってこないのよね?だから家に居るだけになるけどそれでもいいならゆっくりしていってね!!!」

リ『えっ?取材?取材なら僕がタクシー代わりになるよ!全然それ位なら大丈夫だって!・・・え?なんでそんなに呆れた顔してるのシンゴ???前に僕がそのリザフィックに入った事で帰りの足がなくなったっていう経緯があるからトラウマって???大丈夫だよ~、暫く僕帰らないし!何ならもう修行終了~ってしても良いし!』

「本当にそんな軽い感じでいいのかしらね・・・それよりもボーマンダ達も事務所の方よろしくね?何かあったらすぐに連絡するんだよ?・・・ところで夕ご飯とか何食べるつもり???」

ボー『うーん、まだ決めてないけどなぁ・・・。』

「もしかしてまた僕のカードで高いポケモンフーズとか頼むんじゃないだろうね??・・・火を使うよりは良いけど、あまり高い物他の頼まないでよ?それでリザードンはどうするの?えっ?タクシー代わりにドゾーって?・・・次あの時と同じ事やったらこの事務所出禁にしてやる(ボソッ」

ボー『出禁も何も・・・リザードンはシンゴのポケモンなんだから関係ないだろ・・・。それよりもそっちに昨日の人いるぞ?もうそろそろ出るんじゃないのか?』

「えっ?・・・・あぁぁぁ!!ごめんごめん!!!本当ごめん!!全く気付かなかった!!さささ行きましょ!えっ?もう一人来るんじゃなかったのかって?・・・起きろぉぉぉ!!!いつまで寝てんだこらぁあぁぁぁぁあ!!!

そう僕が荒げた声を出すと奥から凄く焦った表情で1体のパーカーを着た眼鏡姿のマフォクシーが飛び出してきた。その容姿を見ると、明らかに直前まで熟睡してただろうなと思うくらい頭はボサボサで、全身の毛は至る所でくるりとカールみたいに巻き上がっていた・・・なんだこいつ・・・

マ『ふぇ!?あっ!!!ごめんなさい!!!あっ!!新聞社の人もおはようございます!!ってシンゴももうちょっと優しく起こしてくれたって良いじゃないの!?私、朝は弱いって言ってるじゃないの!!』

ちなみにこのマフォクシーは僕の姉である・・・最初に言っておくけど、姉がポケモンだからと言っても僕はポケモンじゃないぞですからね?・・・簡単に言うと元は人間だったポケモンである。詳しい事を話すとかなりの時間が掛かるので別の機会に話す事にして、僕はそんな慌てふためいている姉を尻目に荷物を持ち玄関の方へと歩き出す。車のカギは・・・あっ、リザードンに取られてどっかに放り投げられたわ。あーあ、こりゃ空を飛ぶで移動するって事でしょうなぁ・・・あいつの方は大丈夫かな??ピジョットを出しているという事は特に問題ないって事か。じゃあ行きますか・・・姉ちゃんの方はもう放っておこう。最悪ボーマンダに送ってもらってくるだろうし・・・




結局空をとぶで移動する事になっちゃったから、こんな朝早くから車の点検やら洗車やらしなくて良かったなぁ・・・そもそもリザードンが帰ってくるって想定外の事が起っちゃったもんだし・・・いやまずね、先週まで2週間ずっと居たポケモンが修行の為にあっちに帰っていったその翌週にまた帰ってくるって誰が想定するよ。とうの本人はなんかまんざらでもない表情ですけどね、こちらとしては余計な仕事が一つ増えたわけでしてね・・・

リ『シンゴ大丈夫?寒くない?あれだったらもうちょっとスピード落とすけど?』

「いや大丈夫よ。それよりもリザードンも疲れたら言ってね?すぐに止まる様にあいつに言うから。」

こういう気遣いをしてくれる所がリザードンの良いところよね・・・ボーマンダの時はお構いなしにぶっ飛ばされるし、寒いし急に止まるしで某遊園地の絶叫マシーン状態だし(ハーネスしてるから吹き飛ばされないけど・・・)


( ^ω^)・・・えっ?


それよりも何で新聞社の同期の事をあいつ呼ばわりしてるのかって?新聞記者という事を悟られてはならないという彼の謎な信念に基づく為だったりする。僕は同期だから名前教えてくれるかなーって思ってたんだけど残念な結果・・・その後も何度か名前は聞いた事はあるけど、名刺も無ければペンネームすらないという事でどうする事も出来なかったからあいつ呼ばわりとなっておりますねぇ。

さて、キンセツシティまでは空を飛ぶなら大体1時間か2時間あれば着く距離。そしてそこからシーキンセツまでは凡そ30分程度。シーキンセツ辺りは以前ならば立ち入りが厳格に禁止されていて、常時ポケモンやら巡視船に乗った人が見張っていたけれども、廃業放棄された今は誰もが勝手に入る事が出来るいわばオープン廃墟。



・・・・・ん?( ^ω^)そういえばシーキンセツはカイナシティとムロシティの間にあるぞ?キンセツシティにはそこを管理していた会社の本社があった筈だけど、そこに直接こんにちはー( ゜Д゜)って乗り込むつもりなのかな?ちょっと不思議に思った僕は、あいつから貰った昨日の資料をバッグから取り出して見てみる。



あっ、これシーキンセツの事じゃなくてニューキンセツの事って書いてある。そうだよね~だってシーキンセツとニューキンセツって名前が似てるし、そもそもシーキンセツはカイナシティに近い所にあるからこっち方面だったしね!でもニューキンセツはただ単に無人発電所的な感じの場所で特に何もない場所って聞いてたけど、一体何があったんですかなぁ。噂だと地下都市を築いているのではないかと言われていたけど、行政がそれは無いって内部の写真付きで声明文出してその噂を断ち切っていたけどどうなんでしょ。

リ『ん?どうかした?えっ?取材する場所間違えてたって?シーキンセツを取材すると思ってたらニューキンセツだったって?それはそれは・・・間違えるね!絶対間違える・・・シーとニューじゃかなり語呂が似てるし、両方共キンセツって入ってるならそりゃあキンセツシティにあるって勘違いしちゃうね!』

うーん・・・でもなんで今更ニューキンセツの事を?ニューキンセツ周辺で行方不明事件続出?一体何故?なんかあっちのシーキンセツの事も気になってきた。こりゃ帰ったらそっちの事も調べてみる必要がありそう・・・じゃあ超特急で用事済ませて帰ろう!そうしよう!





取材は終わったけど、これ僕要った???なんもしてないよ?しかもリザードンが家にボール忘れてくるものだから、ずーっと連れ歩く形になってしまって取材先の人の周りにいた人間滅茶苦茶警戒しまくりだったし(笑)さてと、あいつの取材は終わったみたい。んで、あれだけ来るって言ってたアシスタントは結局来ずと。あの様子だと来ないだろうなとは思ったし、それにボーマンダが僕以外の人を乗せて空を飛ぶなんてしないだろうなと思ったから想定内だったけど・・・。

「それじゃあ帰りましょっか。今日は色々とありがとね、これで良い記事が書けると思うわ。じゃあ俺はこっからカナズミに直接帰るからシンゴとはここでお別れ。じゃね!」

「また何かあったら連絡してよ。それじゃあ。」

あいつがピジョットで飛び立っていったのを見送ると、僕もリザードンに跨って家路についた。

次回は姉がポケモンになった経緯について書こうと思います。

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