読書の時間

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 初めまして、僕の名前はレオンです。素晴らしいポケモントレーナーの元で、メッソンの頃からポケモンバトルに明け暮れていました。
 それから色々あって10年後、大人になった主人はトレーナーを引退して、一流企業で働いています。主人が働いている間、インテレオンに進化した僕は、他のポケモンたちとお留守番をしながら、家事全般をこなしています。やることが多くて大変だけど、実はそんなに苦でもないです。何故なら…

 「レオンくん、洗濯機回しておきました」

 一緒に手伝ってくれる存在がいるから。
 彼女はサーナイトのシーちゃん。僕とシーちゃんは小さな頃から一緒に育ち、おそらく10年ほどの付き合いになります。

 「あ、ありがとうシーちゃん。あとは僕がやっておくから、ソファーでゆっくりしてて」

 僕が洗い物を片付けながらそう伝えると、シーちゃんは腕をグーッと伸ばしながら、主人の本棚を物色する。元々知能が高いポケモンなだけに、バトルをしなくなってからは、読書をすることが日課になっているようだ。
 メガネケースからメガネを取り出し、それをかけながら本を読み始める。シーちゃんのメガネ姿を見るのも、ようやく慣れてきました。
 あぁ…今日も平和な一日ですね。今までバトルの事しか考えてこなかったので、こういう生活を送るなんて予想できませんでした。しかし、安穏としたこの生活も悪くありませんね。
 洗い物を終えた僕は、タオルで手を拭いた後、同じく読書をしようと本棚を探す。まだ字を読むのに慣れてない僕は、読みかけの「モンスターボール」という漫画を手に取る。

 「あ、隣いいかな?」

 「はい、レオンくんも読書ですか?」

 「うん、って言っても漫画だけどね」

 「あ、それモンスターボールですか?私も読みましたが、とても面白かったですよ」

 「やっぱり面白いよね。さすがバトル漫画の王道と言われるだけあるよ」

 七つのボールを集めると球神様が現れて、どんな願いも叶えてくれるという伝説を巡り、様々なバトルを繰り広げていくというストーリーだが、ギャグシーンと戦闘シーンのバランスがちょうど良い。最初は主人が全巻買ってきたことに疑問を抱いたが、それも納得できる面白さだ。
 そして僕たちは、二人だけの空間で読書を続けた。ただ、やっぱり僕の方が読み終わる速度が早くて、机に次から読むやつを何冊か準備しておくことにした。
 そんな僕とは対照的に、シーちゃんは小説と呼ばれる本を読んでいて、一ページをじっくり見ながら読み進めている。僕だったら数分で眠くなりそうだ。
 それから僕たちは本を読むことに集中して、ページを捲る紙の音だけが聞こえるだけになった。しかし、僕がモンスターボールの「天下一格闘会編」を読み終えた時に、突然強烈な眠気が襲ってきた。

 (どうしよう…まだ真剣に読書してるシーちゃんの邪魔をしたくないけど、今すぐ横になりたいくらいに眠い)

 眠気に耐えられなくなった僕は、そのままシーちゃんが座ってる方に倒れる。

 「わっ!?レオンくん、急にどうしたんですか?」

 シーちゃんの声掛けを最後に、僕の意識は途切れた。


 …数時間後。

 「…く〜ん、レオンく〜ん。起きてくださ〜い」

 シーちゃんの声が聞こえて、僕は目を覚ます。あれ、確か僕は読書をしていて…急に眠くなってそのまま…あっ!
 思い出した僕は、照れ隠しをしながら起き上がる。

 「ご、ごめん…読書の邪魔しちゃって」

 「ううん、大丈夫ですよ。そんなことより…私の膝枕、気持ち良かったですか?」

 ニコニコしながら突然そんなことを聞いてくるシーちゃん。その笑顔が純粋なものか、それとも邪魔されたことを憎みつつも、気にしてない素振りをしながらの笑みなのか…。彼女はどんな答えを期待しているのか、僕は必死に考える。
 …駄目だ、どう答えたらいいのか分からない!

 「あ、そうだ!洗濯物干してこなきゃ!」

 僕は逃げるようにリビングから出ていく。昔から長い付き合いだというのに、僕は未だにシーちゃんとの距離を縮めれずにいた。

 (あ〜僕としたことが、やってしまった!思わぬハプニングがあったとはいえ、シーちゃんと仲良くなれるチャンスだったのに…臆病な自分が嫌になるぅ〜!)

 洗濯機の前でゴロゴロと転がる僕は、洗濯物を干すことも忘れて悶絶していた。


 一方、リビングに残されたシーちゃんは…

 「はぁ…全く、逃げ出したいのはこっちですよ。急にレオンくんが倒れてきたから、ずっとドキドキして読書に集中できませんでした…。ひ、膝枕なんて…まるで恋人同士みたい…ぽっ」

 そう呟きながら、紅くなる顔を両手で隠すシーちゃん。
 はたして二人の恋は結ばれるのでしょうか?微妙に噛み合わない二人の、甘酸っぱい関係は今日も続く。続くったら、続く。

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