20.ポフィン

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 ある日、アカがバシャーモと少年を連れてきた。
 「彼はシャモ、こっちはホムラ。仲良くね、イミビ」少年は無言で頭を下げた。第一印象は、暗いし絡みづらそうな奴。その印象は当たっていた。ホムラはほぼ、喋らなかったのだ。
 「今日は暑いっスね」とか「これ食うっスか」とか、こちらが普段の100倍気を遣ってやっても、無言もしくは短い返答。交流する気ゼロ。皆無。その代わりバシャーモとは常に一緒にいた。こいつトモダチいないんだろうなとイミビは直感した。
 正反対に、バシャーモは素直で人懐っこかった。ポケモン用のお菓子を見せると、パッと顔を輝かせる。しかしホムラを気にして、近づいては来ない。だからだろう。おやつを禁止された子供のようで、ホムラがいない隙を狙ってイミビはポフィンを差し出した。

「シャモ?」
「ほら、今のうちに食うといいっス」

 バシャーモは迷いつつも――ぱくんと、食べた。瞳が輝く。「シャ――」「しーっ。内緒ッス」こくこくと口を押さえ、バシャーモが頷く。満足そうに笑い、自身の口にも放り込む。人間が食べてもそこそこ美味い。「今度、またあげるっス」踵を返すと、目を丸くしたホムラがいた。ギシッと体が固まった。
 ホムラが、イミビの抱えているポフィンの紙袋を注視している。「気になるなら店に行くっス。南東の赤い屋根の店ッスよ」軽く頭を下げ、横をすり抜けていった。
 部屋を出ると、足下をちょろちょろしていたブースターが、燃やそうか? と目で尋ねてきた。「別にいいっス。イミビは良い子ッスからね」ぽふぽふと頭を撫で、ポフィンを与えた。
 後日、バシャーモがポフィンを食べていた。ポフィンのたくさん入った紙袋は、イミビが買いにいった店と同じものだ。「買ったんスね」ホムラは気まずそうに目を逸らし、良い店だった、とだけ答えた。
2021年6月11日 執筆
100本ノックが意外に続けられてて感動しています、為せばなる。

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