Page2 雨の日の出会い

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:3分
 マイヤの母の実家はフキヨセシティ。大きな滑走路があるものだから、飛行機が空を舞う光景はついつい目に入る。飛行機を見るたびに、マイヤは故郷のアサギに思いを馳せていた。
 だが、マイヤの母国シックは思ったよりも早く薄れていた。いざイッシュの生活に入れば馴染むのは早い。人見知りをしないマイヤは、すぐに学校でも友達ができた。
 少し不思議で特別な出会いがあったのは、ちょうどその頃だった。



 その日は空いっぱいに雷雲が広がっており、冷たい雨が降っていた。学校からの帰り道の出来事。レインブーツが雨水をはじく音と、雨水が傘ドラムを叩いている音。そして、ゴロゴロと轟く雷鳴のアンサンブル。
 風神様と雷神様がいたずらでもしているのかな。そう思いながらマイヤが1人家に向かっていると。

「エモ……」

 声が聞こえた気がした。もう一度耳を澄ませてみる。また聞こえた。人間の声ではなさそう。
 マイヤは声の主を探す。探すのに夢中になって、雨水が髪の毛や通学カバンにかかるのも、お構いなしだ。
 やがてマイヤは、道の真ん中でボロボロになっている小さなポケモンを見つける。白い肌は所々赤黒くなっているし、大きな耳や尻尾につけられた切り傷や擦り傷も、赤くにじんでいる。
 瀕死の状態になっているのは、1匹のエモンガ。アサギでいうところの、ピカチュウにそっくりなポケモンだ。

「ひどいケガ! 大丈夫? しっかりして!」

 傘を放り投げ、マイヤはエモンガを抱きかかえる。その冷たさに、死んでいるんじゃないかとマイヤはドキドキした。僅かな生ぬるい吐息が、マイヤの胸元にかかる。まだ生きてる。こういう時、どうしたらいいんだっけ。弱っているポケモンは、ポケモンセンターに連れて行けばいいんだ。周りの大人達が言ってた。
 マイヤの小さな足が、水溜りを力強く踏み込む。雨水がブーツの中を侵食し、靴下ごと濡らす。
 雨のせいか、必死になっているせいか。今のマイヤにとって、ポケモンセンターは遠い道のりに感じた。

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想

感想の読み込みに失敗しました。

 この作品は感想が書かれていません。