page.4 愚か者

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前回は2月!!!!!!!!!!今は何月ですか?

正解は12月!皆さん良いお年を!!
「...ふむ、ここがソルミ博士の研究所...なかなか立派なとこだ...雰囲気はプラターヌ博士の研究所に似てるな...」
「ぷらたーぬ、はかせ...?」
「おう。こことはまた離れたところに、カロス地方って言う所があるんだが...そこの博士だ。メガシンカっていう戦闘中だけ進化する、まだまだ謎に包まれてるものを研究してる博士だった...ような気がする。俺もちゃんと話したことは無いから分からないけど。なんかハンサムな博士らしい。」
「ふぅん...よく分かんない...」
「まぁ覚えなくてもいいさ。...さて、中に入るぞ。...アポ取ってないけど大丈夫だよな...?」

ウィーンという音を立てながら研究所の自動ドアが開く。中は白を基調としたロビーがあり、入口からまっすぐ直進した奥の壁にエレベーターがある。
出入口の脇にカウンターがあり、髪を綺麗に後ろで1つにまとめている清楚なお姉さんが佇んでいた。

「...?ソルミ博士に御用ですか?でしたらお繋するのでお名前とご要件をお願い致します。」
「はい。えっと、俺はカイと言います。こっちはシャルロット。...アポ無いんですけど大丈夫っすかね?」
「本来は大丈夫ではありませんが...博士に確認を取ってから判断を下すので、そちらのソファにかけてお待ちください。」

受付の女性の目線の先の茶色い2人がけのソファに2人で腰掛ける。
ふぅ...と1つため息をつくと、ちらっと隣のシャロに目をやる。

「足、痛いか?」
「ちょっと、いた、い」
「あれ~...靴擦れしてる。...確か絆創膏はここに...」

鞄をゴソゴソと漁ると、ピカチュウがあしらわれた絆創膏が1枚出てくる。
それをシャロの左足の患部にそっと貼る。

「よしっと...これで大丈夫。ちょっとヒリヒリするかもしれないが...さっきよりは全然痛くないと思う。ちょっとだけ、我慢。」
「...わかった...!」
「よろしい。...っと、受付の人、こっちに来るな。」

カツカツ、とヒールの音を鳴らしながらこちらに近づいてくる。

「訪問する許諾が降りました。こちらへどうぞ」

くるっと方向を転換し、エレベーターへと向かう。カイとシャロもすくっと立ち上がると、受付の女性の元へと駆け寄る。

しばらくすると、エレベーターの現在位置を示す、エレベーターのドアの上のモニターに1階、と表示され、少し遅れてポーンと到着したことを知らせる音がした。

3人でエレベーターに乗り込み、ソルミ博士の居る階へと向かう。

◆◇◆◇◆◇

「ふむ、君たちがカイにシャロ、か。待っていたよ。私がソルミ。ソルミ・アルテナだ。この地方の1人の博士だよ。」

金髪碧眼。肩の少し下位まで伸びたサラサラの髪。着ている白衣を腕まくりしてポケットに手を突っ込んでいる。外見は女性なのに男勝りな雰囲気の女性だった。

「初めましてソルミ博士。俺はカイ・シルヴィアです。こっちはシャルロットです。」
「うむ。さぁこちらに来て座りたまえ。お茶?コーヒー?何が飲みたい?」
「あ、お構いなく。」
「ふむ。そうか。それで?今日私を訪れた理由は?」

テーブルを挟んで向かいにいる博士はコーヒーを飲みながらこちらを見抜くような瞳で見つめる。
怯えているのか、シャロは俯いたままである。

「実はー。」

一部始終を、カイは包み隠さず話した。
シャロはどこの者なのか。どのような仕打ちを受けてきたのか。なぜ今、カイと行動を共にしているのか。

そして。

これから、自分たちはどうする事が出来るのか。

「ほう。要するに何も考えずに彼女を連れてきたというのか。無責任かつ衝動的。実に馬鹿のすることだ。とても褒められたことではないな。」
「ですが...っ。あの状況を見過ごすことなんて出来ませんでした。...無責任で、どうするかも決めていなかった。その無計画であったことは認めています。反省はしています。ですが、悔いてはいません。これらを踏まえた上で、俺は今貴方の前に居ます。」

博士は黙ってじっとシャロを見る。
穴でも空くのではないかという位、ずっと見つめている。
言の葉を紡ぐわけでもなく、ずっと見つめるだけ。何を考えているのか分からない蒼い瞳が、シャロを見る。
シャロは相変わらず紅い目を少し濡らしながら俯いている。




「ふっ、ふふ。」

静寂を破ったのは、声。
ギョッとして、カイは声の主を見る。

ソルミ博士が、目に涙を浮かべながら嗤っているのだ。

「あーっはっはっは!面白い、実に面白いよカイ・シルヴィア!自分が愚かな行動をしたにも関わらず、他人に縋る。自分の行くべき道標を決めるその権利を、他人に握らせる!愚かだな、ふっ、ふふっ、あぁ面白い...ふふっ」
「...そんなに人を嗤って楽しいですか、博士。」
「ああ。とても楽しいよ。博士なんてやってるが、性格はとても悪いのでな。」

溢れてきた涙をティッシュで拭うと、足を組んでカイとシャロを見据える。

「だが、嫌いではないぞ、カイ。カイ・シルヴィア。少なくとも、希望論や理想論を並べ、そして満足をしている者や、それに賛同し、それを持ち上げ、満足している者。とても愚かだと思うよ、私は。反吐が出そうになる。それよりは。お前達のように、衝動的で無計画で、そして自身の心に嘘をつかずに、人間らしく生きる...生きようとする君たちの方が私は何倍も好きだ。こんなに笑ったのは久しぶりだからな。感謝の意も込めて、数ある中から少し、道を示してやろう。優しいからな!私は!!」
「先程の言葉が、『優しい人』が放つ言葉では無いと思うんですが...」
「何か言ったか?」
「いえ。何も。」

博士は立ち上がり、部屋の隅にある本棚から、一冊の本と折りたたまれた紙を取り出した。

「これがオルタナ地方の地図と、ガイドブックだ。見ての通り、オルタナ地方は本島を中心ち、南部にソル島、北部にあるルナ島、そしてルナ島と本島の間の群島をステラ群島と呼び、分けられている。オルタナ地方の主要部は本島にほぼ集中しているが、ソル島ルナ島に街が無い訳ではなく、ソル島には有名なリゾート地がある。夏なんかは避暑地として賑わったりするな。それで、これからお前たちが何をすべきーか。それについて話をしよう。」

博士はガイドブックを手に取り、パラパラとページをめくったのちに、とあるページを見せてきた。

「最近ジムというものも多様化が進んでいてな。昔は数人のジムトレーナーに勝つことが出来れば晴れてジムリーダーと戦うことができる、という典型的な形に収まっていたのだが...アローラというところでは、ジムではなく試練、というもので腕を競い合っていたり...など。多様化が進んでいてな。オルタナ地方も多種多様な地形、天気などを活かして試練、というものを取り入れている。自らの腕を上げるためにそういうものに参加しつつ、オンブラのことを調べたり聞いて回ったりするのがベストなのではないかと私は思う。遅かれ早かれ、シャルロットの代わりが出てこよう。シャルロットと同じ道を辿る者がこれ以上増えぬようにオンブラという地域を知る必要があると思う。オンブラという地域について、オルタナは無縁というわけでもない。たくさんの者に出会い、縁を結べ。それが今のー。シャルロットに大事な事だ。」

一通り話終わると、冷めたコーヒーを喉に流し込む。やがて飲み終わりカップをテーブルに置くと、また、シャルロットを見据えた。

しばしの無言。
けれど先程のような強い視線ではなく、観察するような。優しさではないにしても、怯えさせる気もない、ただ、みているだけ。そんな視線を、博士はシャロに向ける。

「なぁシャルロット。」

その声に、ビクッと体を震わせながら、恐る恐る顔を上げる。
真紅の瞳が、黄金の髪の中で潤む。

「シャルロット。お前は、外に出てきたことを後悔しているか?」
「...。」

シャロは、首を横に振る。

「そうか。」

優しさを含んだ声色。
先程カイを罵倒した人とは思えない声色であった。

「カイ。お前はシャルロットを連れ出した。それに後悔していないと言うのであれば、この旅、この物語においてシャルロットを外の世界を教える責務がある。これは誰でもない、お前が成し遂げなくてはいけないことだ。シャルロットはこの世界に出て、何を見て、何を思うのか。見届ける義務がお前にはある。果たせる果たせないでは無く、果たせ。」

場を震わせる、声。
しかし、行く末を見守るような、案ずるような瞳であり、声色である。
カイは1度、ゆっくりと深呼吸をした後に、口を開く。


必ず、成し遂げてみせます。


その言葉を聞くと、博士は笑った。
初めて笑った。

この時、初めてシャロは、ソルミ・アルテナの顔を直視したのである。

「日も暮れたことだ、今日はポケモンセンターで休むといい。」

黄昏の光の包む博士の部屋で、金髪碧眼の美女は柔らかさを含んだ微笑みを向けている。

穏やかな陽光の日であった。



◆◇◆◇◆◇

「ふぅ、疲れた...。」
「つかれた...。」

あの後、ここからどこの試練が近いのか教えてもらった後、レオルシティのポケモンセンターへ向かった。

「てか、ソルミ博士の元で濡れたもろもろ、乾かしたりとかしたかったのに...びしょびしょのままだったな...髪は乾いてたし、歩いていた時に服も生乾きぐらいにはなってたが...臭いな。」

ポケモンセンターに備え付けてあるパジャマのようなものに着替え、それぞれの服は今風呂場に干してある。生乾き臭がしないといいのだが...。

「...さて、寝るか。今日はもう疲れたし...シャロも休め。俺はもう疲れた。寝る。」
「うん...おやすみ、いかさん」
「おう。」

カイが部屋の光を落とす。
部屋には優しい月光が差し込む。

そのまま、ゆっくりと、カイは眠りに落ちていったー。




「ここだな。」
「私がちゃちゃっとやってくるんで、『アルタイル』は待ってて大丈夫なのですよ~」
「あぁ...。だがお前の体格で『救世主』を抱えられるか?」
「その点に関しては安心していて欲しいのですよ~!相棒のサイコキネシスでそこは1発なのです!」
「そうか。なら任せた。」

ポケモンセンターの一室の窓の鍵を巧みに解除し、少女ーベガが部屋に忍び込む。





「救世主様...。ちょっとばかしツラを貸しやがれ、なのです。」
多分次の更新は再来年くらいですかね...((((

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