怪盗団が存在する意味

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読了時間目安:4分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 俺はファントムの後ろを追いかけながら、ここ影通りの風景を観察する。
 ただ品物を置いてあるだけの露店や、どこから仕入れてきたのか分からない、謎の商品を扱う怪しげな店。道行くポケモンは危険な雰囲気を感じるし、挙げ句の果てには堂々と寝転がるポケモンすらいる。監視するポケモンがいないせいで、規則など存在しない無法地帯となっている。
 しばらく歩いていると、ガラクタが無造作に置いてある場所に来て、一匹のポケモンがファントムに近づく。

 「あ、ファントム!今日も見回りお疲れさん!」

 「おう、ヤミカラスか。今日も宝探ししてるみたいだな?」

 「へへっ!ここには上の奴らが捨てた物が集まるもんで、中には掘り出し物もあるんでさぁ!これを集めてテキトーに売りさばくのが、今のオイラの生きる道なんで!」

 「お前は昔から目利きが良かったもんな。一時は鑑定士として有名だったのに、まさか不正品を扱ったっていう冤罪をかけられて、こんな場所に来ちまうとはな…」

 「ま、これも欲をかいたオイラの失態です。まさか提供してくれた相手がお尋ね者だったなんて…金品ばかり目をやっていると、善悪の目利きが出来なくなるということを、身を持って味わいましたぜ」

 そこでヤミカラスは、ファントムの後ろにいる俺に気づいた。ヤミカラスはピョンと跳ねて俺をじっと見てくる。

 「お、もしかして怪盗団の新入りですかい?」

 「あ、ど、どうも。ブ…あ、いや、ムーンっていいます」

 一瞬名前を忘れていて、途中で言い直した。俺は怪盗団の一員として、これから振る舞わないといけないんだった。

 「初めまして、オイラはヤミカラスっていいやす。この下層で鑑定屋をやってるんで、何か面白い物や価値の分からないもんを見つけたら、オイラに任せてくだせぇ!怪盗団の方なら、手数料はお安くしておきますぜ、へへ」

 …金取るのかよ、抜け目ないやつだな。でも、こういう友好的なポケモンがいてくれるのは素直に有難い。
 ヤミカラスと別れた後も、ファントムは影通りに住むポケモン達から声をかけられる。そして全員が揃って、ファントムに対して労いの言葉を伝えてくるのだ。悪名高い怪盗団という噂が、まるで嘘のようだった。

 「…ははーん、まるで信じられないって顔してんなお前。言っとくけどな、俺達怪盗団は無差別に盗みを働いてるわけじゃねぇ。強盗や盗賊という悪者や、不正に金を稼ぐ悪徳商人のみをターゲットにする、いわばダークヒーローみたいな存在だ。
 その金を使って俺達は、この街をより良い環境にするための活動を起こす。誰も差別されない自由な街を手に入れるんだ」

 そうやってファントムは熱く語りだす。怪盗団は犯罪組織ではなく、貧しいポケモン達を救う義賊のような存在ということか。もしそうだとしたら、この怪盗団を結成したシャドウというポケモンは、まさに下層の英雄と言うべき存在だ。俺がかつて憧れていたルカリオさんとは、また違う意味で尊敬してしまうな…。どんなポケモンなのか、早く会ってみたい。
 そんなふうに感じていると、目の前に一匹のポチエナが駆け寄って来る。またファントムに話しかけてきたかと思ったが、何だか様子がおかしい。ファントムが話を聞き終えると、突然走り出した。

 「ちょっ!?急にどうしたんすか!」

 「どうやらこの先でポケモンが暴れてるみたいだ。早く行って暴動を止めるぞ!」

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